冬の仙台としてはとても珍しく、ツアー期間中は温かく海況も穏やかで、予定していた3日間全てで出船することができました。海況は日々異なるため、航行コースは状況に併せて選定し、海鳥を探しました。3日間の主な結果は以下のとおりです。
<ウミスズメ類>
本ツアーの中でも一番の目的となるマダラウミスズメは、1日目に計25羽、2日目に計16羽、3日目に計7羽を見ることができました!主に1~2羽で見られ、6羽の小群も確認しました。
本種の国内における渡来数は大きく減少しているものの、仙台湾では現在も継続して越冬しています。その個体数も、この10年ほどに限った中では減少している傾向はありません。仙台湾は間違いなく重要な越冬地の1つと言えるでしょう。一方で、ここ数年は黒潮の接近などによる海水温度の上昇とそれに伴う魚種の変化が確認されているため、今後の本種の生息状況の動向が気になるところです。



ウミスズメは数羽~十数羽の小群が見られました。仙台湾では、海水温度の高い冬は個体数が少ない傾向にあり、平年比で4℃ほど海水温度が高い今冬は、例年より少ない結果となりました。
ウトウは1~3羽、時に5~6羽ほどの小群が見られました。ほとんどの個体は顔の白い飾り羽のある生殖羽になっていました。
<アビ類>
3日間を通じてアビ、シロエリオオハム、オオハムの3種類が見られました。
アビは主に岸沿いに多く、シロエリオオハムとオオハムは沖合側に多い傾向があります。餌場は日変化が大きく、観察される個体数は日によって大きく異なります。今回のツアーでは、1日目はシロエリオオハムが多く、2日目はオオハム、3日目はアビが多い結果となりました。

<カイツブリ類>
3日間を通じてアカエリカイツブリ、カンムリカイツブリ、ハジロカイツブリの3種類が見られました。また、ミミカイツブリが見られた日もありました。
<海ガモ類>
3日間を通じてスズガモ、ビロードキンクロ、クロガモ、ウミアイサが見られました。ウミスズメと同様に、仙台湾では海水温度の高い冬は海ガモ類が少ない傾向にあり、今冬も例年より少ない結果となりました。

<カモメ類>
ミツユビカモメ、ユリカモメ、ウミネコ、カモメ、オオセグロカモメの計5種類が見られました。ミツユビカモメは沖合を好むカモメ類ですが、海況や餌の状況によって仙台湾の奥部へ入ってくることがあります。今回は沖合がやや時化ていた1日目に、数十羽の群れを見ることができました。

<トウゾクカモメ類>
1日目にトウゾクカモメ1羽が見られましたが、残念ながら遠くを飛翔したのみで、じっくりと観察することはできませんでした。
これほど海況の安定した3日間は私自身も初めての経験でした。
3日間、長時間の乗船・観察、大変お疲れ様でした。