繁殖期のカシミールマーコール

繁殖期に観察したカシミールマーコールのレポートです。前に観察に来たときはオス同士が角を会わせて戦い「順位」を決める時期でしたが、今回訪れた時期ははもう「順位」が決まっていて「アツアツ」のマーコールたちの様子が観察できました。

 

カシミールマーコール Kashmir Markhor

マーコール(Markhor)は、中央アジアから南アジアにかけての山岳地帯に生息する、世界最大級の野生のヤギです。その名前はペルシャ語で「蛇を食べる者」を意味しますが、実際には草食動物です。最大の特徴は、オスに見られる立派な螺旋状の角です。初めてこのマーコールの角を見たときは衝撃を受けました。パキスタンには現在3つの亜種が生息するとされ、このヒンドゥークシュ山脈麓に生息するものはカシミールマーコール Kashmir Markhorと呼ばれ、角のフレア(広がり)が大きく、ゆるやかな螺旋を描くのが特徴です。

 

↓↓繁殖期のカシミールマーコールの動画  Kashmir Markhor in rut 

 

動画をご覧いただくと、オスの舌がでたままになっているのが気になりますよね。

この「出たままの舌」にはいくつかの理由があり、その1つは発情期特有の興奮状態によるもの、そしてもう1つはフレーメン反応の一部と考えられます。

フレーメン反応は、上唇をめくり上げることで「ヤコブソン器官」という特殊な嗅覚器官を露出させ、ニオイ(フェロモン)を取り込む動作。また舌を出すことで、メスの尿などに含まれる化学物質をより直接的に感知したり、口の中の空気の流れを調節してヤコブソン器官へニオイを送り込みやすくしたりすると考えられています。こうやってオスは「このメスが発情しているかチェック」を行っているのです。スゴイです。

 

↓↓カシミールマーコールのフレーメン反応動画(10秒)
Flehmen response in a Markhor / マーコールのフレーメン反応

 

興奮しているオスは、メスを追いかけて川原まで降りてくることも。至近距離でマーコールを観察できるチャンスです
望遠レンズをつけていたら、近すぎて入らなくなりました
ホットなオスとメス
岩場でもオスがメスをおいかけています

余談ですが、今回KOWAのスコープに携帯アダプターをつけて撮影したのですが、これはなかなか。みんなで見ることができお勧めです。パキスタン人が大変羨ましがっていました。

 

なお、パキスタンにいるマーコール3亜種のうち、2亜種(カシミールマーコールとアストールマーコール)の観察には成功しましたが、残る1亜種スレイマンマーコール Suleiman Markhorはハードルが高く、観察に行くことすらできていません。一度この名前で画像を検索してみてください、ビックリする角を持つマーコールです!いつかこの夢がかないますように。

 

Image & Text : Mariko SAWADA

Observation : Dec 2025, Chitral, KPK

 

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【Vlog】春を呼ぶ、カラーシャの谷へ。ジョシ祭の鮮やかな儀式

5月、カラーシャの谷が最も輝く季節。静かな儀式から熱狂の最終日まで、その鼓動を詰め込んだVlogです。

 

Joshi Festival Kalash Valley / ジョシ祭 – カラーシャの谷

 

ブログ記事:カラーシャの春祭り・ジョシ祭の儀式

 

Image & Text :  Mariko SAWADA

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チョウモス祭 – マンダイク:今も息づくカラーシャの儀式

カラーシャのチョウモス祭レポートです。

「クタムル」の儀式の翌日は「マンダイク」の儀式が行われます。

 

この日は早朝4時ごろ、村人の声で目が覚めました。「チッチッチ」。前日の夜に「クタムル」の儀式で描いたり作ったりしたシャラビラ(マーコールや雄ヤギ)を伝説の地デズィラワットへ追い立てる声でした。

>カラーシャのチョウモス祭「クタムル」の儀式についてはこちら

 

マンダイク 先祖の魂を迎える儀式

「到着する」ことは「ik(イク)」、「墓地」は「Mandaw’ jaw(マンダウジャウ)」と呼ばれます。Mandaik(マンダイク)、Madahik(マダイク) とは、直訳すると「墓地から到着すること」を意味します。この日は亡くなった先祖を追悼し、は生者と死者を一つに結びつけます日となります。

人々は、朝からこの1年に家族が亡くなった家を訪ねます。

各家では神殿での儀式のために2種類のパン作りが行われ、お供えものになる果物なども用意されます。

夕暮れ時、人々はジェスタクハン神殿に集まり始めます。神殿の外に死者への食べ物が入った籠が並べられます。神殿の入り口にはチルゴザマツをスティック状にして組み立てたチリコティク(Chilikotik)と呼ばれる小さな塔のようなものが作られます。

 

村の人々はどんどん神殿へ集まってきます。そしてこのチリコティクが完成すると、人々は小さな枝をもって全員が神殿の中に入ります。チリコティクに火がつけられると神殿の扉が閉められ、チリコティクが燃え尽きるまでの時間、人々は神殿の中で火を灯して待ちます。

 

資料によると、この時、村の長老か司祭(カズィ)が、亡くなった魂に向かって大声で呼びかけると言います。「おお、先祖の方々よ。来て、食べて、飲んで、そしてお帰りください。」チリコティクが燃えている間に先祖の魂が神殿の外に到着し、供え物を食べて満足して去っていくと信じられています。その間村人は枝に火を灯して神殿の中で待ちます。

やがて神殿の扉が開かれます。外へ出るとチリコティクは燃え尽きて灰になっています。村人はお供え物を分配し、それぞれ帰路につきます。

 

また、この日は「魂」がうろうろしていると信じてみんな怖り、本来大きな声でしゃべったりはしない日なのだそうです。

 

お供え物のフルーツを持ち、今年家族が亡くなった家を回るカラーシャの女性たち。

 

訪問する人々が到着、家の人が感謝を伝えています。

 

家は集まった人々で大変賑やかでした。見学に来た私たちにもフルーツやショーシュというクルミの練り物が振舞われました。

 

村では昨日のクタムルで作ったシャラビラで遊ぶ子供の姿。もうシャラビラの魂はデズィラワットへと出て行ったので、あとは牛の餌にしたりするそうです。

 

午後、村人はマンダイクの供物となるパン作りを始めました。パンには神殿で村人に配るためのものと、死者の魂のためのものがあり、 塩の入ったパン=マンダイクタトゥーリ を3つ、 塩の入っていないパン=ビリーリを3つ、合計6つのパンを作ります。

 

タトゥーリを焼く
ビリーリを焼く

3時ごろ神殿に行くと、まだあまり人は集まっておらず、子供たちが遊んでいました。

 

間もなくチリコティク Chilikotik 作りが始まりました。

 

神殿にはバスケットにフルーツやパンなどの供物を入れた女性達が集まってきました。

 

お供えは死者の好きだったものが揃えられます。かぼちゃは死者が好む「天国の食べ物」と考えられています。

 

神殿の中では、分配される食料が集められていました。

 

大人が準備で忙しい間、神殿で遊ぶ子供たち
火を囲んで歓談する人々

外ではいよいよチリコティクが完成です。

そして、全員、手に火をともす枝を持って神殿の中へ入ります。

 

祭壇に近い囲炉裏で火がたかれ、ここから皆に火が広がっていきます。私の持っている枝にも火が付きました。

 

火はどんどん神殿内に広がっていきます
神殿の中は、とても幻想的な空間になりました
とても美しい瞬間、写真に夢中になって消えてしまった火を近くの女の子がすぐにつけてくれました

神殿のドアが開きました。チリコティクが燃え終わったということです。みな一斉に外へ。

 

人々は食べ物の分配にみんな夢中になっていましたが、暗くなるころには神殿は静かになりました。

明日はいよいよ、女性の清めの日、シシャオ・アドゥShishao Aduです。

 

Text & Photo : Mariko SAWADA

Visit: Dec 2025, Kalash Valley – Khyber Pakhtunkhwa

※情報は現地での聞き取りによるものです。資料により儀式の表記や説明が異なる場合があります、予めご理解ください。

 

チョウモス祭 – クタムル: 今も息づくカラーシャの儀式

チョウモス祭 – マンダイク:今も息づくカラーシャの儀式

チョウモス祭 – シシャオ・アドゥ:今も息づくカラーシャの儀式

チョウモス祭 – プシャオ・アドゥ(生け贄の日):今も息づくカラーシャの儀式

チョウモス祭 – チャンジャ・ラット:今も息づくカラーシャの儀式

カラーシャの春祭り・ジョシ祭の儀式

 

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インダス川上流域の仏教遺跡 マンタルブッダロックManthal Buddha Rockと岩刻画群

これまでチラス周辺のインダス河畔の岩刻画を多く取り上げてきましたが、その上流域スカルドゥを中心とするバルティスタン地方の岩刻画をご紹介します。実はパキスタンの他の北方地域に比べるとバルティスタン地方で知られている考古学遺跡は少ないのです。その一因として、印パ両国の考古学全盛期、オーレルスタイン卿の中央アジア探検において、バルティスタンはその「空白地帯」に位置していたためだという考古学者もいます。

スカルドゥに観光へいったら、最初に訪れる場所のひとつがここ、マンタルブッダロック。日本語名は「マンタル摩崖仏」でしょうか。

この9世紀の仏陀のレリーフは、8世紀から10世紀にかけてインダス川上流域で栄えた「仏教の黄金時代」後期の様式を伝えるものです。大きな岩に刻まれたこのレリーフには、触地印を結ぶ仏陀が描かれており、その周りを小さな20体の触地印を結ぶ坐像と2体の弥勒菩薩立像が囲んでいます。

 

仏陀を囲む触地の小さな坐像のレリーフ

岩の左側面には2体の弥勒菩薩を伴った別の仏陀の彫刻があり、地面にある岩には小さな卍が刻まれています。岩の裏側には、別の岩に仏塔の彫刻が施されています。

 

弥勒菩薩
刻まれたチベット文字

岩には文字がのこされており、チベット学者A.H.フランケにより解読されています。これらの碑文は紀元1000年頃に遡るもので、学者たちは劣化が進む前にと、その内容を記録していました。碑文はバルティ語をチベット文字で表記した貴重なものです。

 

<解読された部分の訳>

Of the offering … this secret collection  (Buddha’s religion)

as it will be taught for a long time…; as many are lost through death, all men should,

showing devotion, offer very many prayers ; henceforth for ever the faithful ones

[should] from time to time [make] the colours [of] the sculptures bright,

and make a cleaning [or, and clean] the place of offering that it may not decay.

 

Preaching perfection with body, speech, and mind, on this firm medallion here … the five [Buddhas] in the middle (surrounded by..) through mercy it originated from me [called] Great-hand…

the very good Samantabhadra.. (row?) (mother?) (earth?) to cut…

 

Salutation to the three gods! offering; children (or riches?) of men, and… of the teaching which is firmer than anything … body (or statue) … of the magnified… it was looked for by him with trouble outsiders or insiders (Buddhists or Non-buddhists )…

from this medallion, which has been shown since a long time, is very long (?) …

 

仏教の教えが、長く語り継がれていくことを願う言葉

死によって多くの人々が失われるため、すべての人が信仰心を示し、多くの祈りを捧げる

信仰心を持つ人々は、彫刻の色を定期的に鮮やかにし、供養の場が朽ちないように清掃を続ける

 

「身・口・意」をもって完全なる教えを説く

中央に位置する五仏

「大いなる手」と呼ばれる人物が慈悲をもって五仏を祀った

「善き普賢菩薩」「母」「地」

 

「三つの神々(三宝のことでしょうか)」への帰依のことば

仏教の教えが何よりも堅固なものであること

教えを求める人々が、仏教徒であるか否かを問わず苦難を乗り越えてきたこと

古くから存在し、長い歴史を持つこと

 

 

マンタルブッダロックはスカルドゥの町の近くにありますが、インダス川とその支流沿いにも岩刻画が残されています。

 

ゴールの岩刻画

ゴールのインダス河畔に残る岩刻画。古い時代のものと思われるアイベックスの絵の上に仏教後期のストゥーパが描かれています。ゴールにはほかにも岩刻画がありますが、幹線道路沿いのものはひどく落書きをされており残念な状態です。

 

ナル村の岩絵

ナル村では岩絵が見つかっています。残念ながらほとんどが失われていますが、発見された当初は下記のような図だったのだそうです。

 

Harald Haupman : Pre-Islamic Heritage in the Northern Area of Pakistanより

発見された当時のスケッチ。チベット様式の3基の仏塔とそれを礼拝する人々のようすでしょうか。今は仏塔の一部が確認できるだけになってしまいました。

 

バルガーの岩刻画

良い状態で残っているバルガー Balgharの岩刻画。後期仏教特有の2基の大きなストゥーパは、スワスティカ、ユンドゥルン(逆卍)、三叉戟、蓮の花などのチベットのボン教や仏教の聖なるシンボルで飾られています。また、チベット文字や、後期ブラフミー文字、グプタ文字に似た未解読の文字で書かれたマントラも見られます。

 

ユーゴ村の岩刻画

インダスの支流、ショヨク川 Shyok沿いのユーゴ村Yugoにも岩刻画があります。落書きがひどいですが、後期仏教のストゥーパの岩刻画です。

 

ユーゴ村の岩刻画

同じくユーゴ村にある、吉祥模様と蓮華の上の仏塔。

 

オムマニペメフムと刻まれた岩

さらにショヨク川を進むとカプルー村へ到着です。カプルーはラダックへ向かう交易路を守る上で重要な役割を担った場所です。岩刻画を求めてカプルーの夏村・ハンジョールを歩いていたとき、道に「オムマニペメフム」を刻んだ古いチベット文字の岩を見つけました。古の交易路で見つけた祈りの言葉に感動です。

 

バルティスタンのインドとの国境は外国人の制限地域が多く、行けるようになったらまだ新しい発見があるのかも?と期待してしまいます。

 

Image & Text : Mariko SAWADA

 

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チョウモス祭 – プシャオ・アドゥ(生け贄の日):今も息づくカラーシャの儀式

カラーシャのチョウモス祭は超神聖な期間ディッチDitchに入りました。生け贄の日プシャオ・アドゥでは、サジゴールで行われる神への生け贄プシャオ・マラットと男性を浄めるイストンガスの2つの生け贄が行われます。そしても子供の通過儀礼ゴシュニクも行われます。

 

宿の人は「バリマインが到着している」、「夜、地震があったよね?それがバリマインが到着した音だ」と言います。バリマインはサジゴールでの生け贄、そして夜の松明を見届けてからボンボレット谷に移動していくと。

 

朝、谷のすべての男性は体を洗い、新しい服、靴を着用します。女性はすべての食器を洗い、家を掃除をします。この後は、イスラム教徒に触ってはいけないなどの決まりに加え、神聖な期間が終わるまで「掃除をしてはいけない」「昨日までに作られたパンは食べてはいけない、新しい小麦粉でパンを作らなければならない」が加わります。このため、新しい小麦が間に合わないので朝食はアユンでとれたお米でした(これが大変美味)。

 

朝から歌い踊る村人

プシャウ・マラット Pushao Marat 神への生け贄 

朝から村人が広場に集まり歌い踊っていました。10時ごろ、各家族から選ばれた立派な雄ヤギがサジゴールへと連れて行かれます。男性たちがそれにあわせてサジゴールへと歩き始めました。女性は生け贄の儀式には参加できないので、写真はカラーシャの男性に撮影してもらったものです。女性たちはその間、歌って踊って楽しんでいました。

 

生け贄の雄ヤギがサジゴールへと向かいます。各ヤギ小屋の最も立派な雄が選ばれるそうです。
サジゴールに到着し、準備が進められます。
マーコールのような立派な角のヤギ
この日は30頭以上の雄ヤギが神に捧げられました。
生け贄の祭壇
生け贄のヤギの肉は特に神聖な期間に食され、プシャオ・モースと呼ばれる特別な煮込み料理にも使われます。

ゴシュニク Goshnik 

子供の通過儀礼で、この儀式が終わるとカラーシャの一員となり戒律を守ることになります。儀式を受ける子供の親は、儀式を司る叔父に果物やプレゼントを用意します。叔父は雄のヤギをプレゼントします。このお祝いに親族が集まり、親は果物やワインを振る舞います。お祝いに訪れた親族が通過儀礼を受ける子供にお金をあげているのも見ました。まるで日本のお年玉のようでした。

 

儀式を行う叔父が甥に儀式の衣装を着せます。
両親からの振る舞いを受ける親族。果物、ドライフルーツにワイン。
兄弟で儀式を受けました。男の子は3~5歳と5~8歳の2回、ゴシュニクの儀式を受けます。兄弟同時に儀式をすることで両親は経費も節約できます。ちなみに女の子のゴシュニクは1回だけです。
村人がゴシュニクの祝福に家を回り、歌い踊ります。
村人が手をたたき歌います。それにこたえて踊る儀礼を受けた子供たち

プルシュ・イストンガス Purush Istongas 男性の浄めの生け贄

ヤギ小屋の屋根の上で生け贄が行われます。その生け贄の血が並んだ男性の顔にふりかけられ、浄めの儀式となります。夕方に行われたイストンガスの儀式。写真はカラーシャの男性に撮影してもらいました。

 

ヤギ小屋の屋根の上が浄められ生け贄が執り行われます。
血がふりかけられます。
カラーシャの男性のお浄めです。

生け贄のヤギの肉はここで解体され、この神聖な期間(7日間)に食べる肉となります。生け贄という儀式が息づくカラーシャの信仰と暮らしを学んだ日でした。

 

Text: Mariko SAWADA

Photo: Mariko SAWADA & Jamil

Visit: Dec 2024, Kalash Valley – Khyber Pakhtunkhwa

※情報は現地での聞き取りによるものです。資料により儀式の表記や説明が異なる場合があります、予めご理解ください。

 

チョウモス祭 – クタムル: 今も息づくカラーシャの儀式

チョウモス祭 – マンダイク:今も息づくカラーシャの儀式

チョウモス祭 – シシャオ・アドゥ:今も息づくカラーシャの儀式

チョウモス祭 – プシャオ・アドゥ(生け贄の日):今も息づくカラーシャの儀式

チョウモス祭 – チャンジャ・ラット:今も息づくカラーシャの儀式

カラーシャの春祭り・ジョシ祭の儀式

 

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秋のデオサイ国立公園ワイルドライフキャンプ ヒマラヤヒグマを求めて

秋、冬眠前のヒマラヤヒグマを求めてデオサイ国立公園へ。秋深まる高原のワイルドライフレポートです。

アストール側のチラム・チェックポストからデオサイ国立公園へ入りました。入り口にはとても美しい夏のヒマラヤヒグマの写真が。

 

チラムのチェックポスト/国立公園の入口にて

チラムの国立公園入口から高原までどんどん高度を上げていきます。途中、野鳥の観察。今回、高原で観察できた野鳥は少なく、一番種類が多かったのがチラムからシェオサル湖までの登り途中でした。

 

ベニヒタイセリンの幼鳥 アストール渓谷からデオサイ高原への道中でよく見かけます
シベリアノビタキ 秋の渡り
ムネアカイワヒバリ アスト-ル渓谷からデオサイにかけて見られ、冬は標高2,000m付近に移動します

ナンガパルバットが見えシェオサル湖に近づいたとき、前方に犬らしき動物の姿が。同行スタッフに「ここって犬が来る?」と聞くと、「いや、民家は遠いしここには来ないでしょう、見間違いじゃない?」と。しばらくあたりを探しましたが見つかりません。やはり見間違いかと思い、シェオサル湖畔へ。そこに、この動物がいました。オオカミです。デオサイ高原ではヒグマを見るより難しい、チベットオオカミ!

 

チベットオオカミ 中型のオオカミでハイイロオオカミの亜種。チベットやヒマラヤ地域に生息しています
チベットオオカミ

このオオカミは群れではなく一匹で行動していたようです。この後、デオサイ高原滞在中に2回チベットオオカミを遠くに観察する機会がありましたが、いずれも単体でした。国立公園スタッフも、5日間の滞在で3回もオオカミを見るのは異例で、冬眠前のマーモットを狙って活発に動いているのではないかと推測していました。

デオサイ高原に入ると、シェオサル湖、カラパニを経てバラパニのキャンプ地へ。

 

シェオサル湖(4,200m)から見る、世界第9位峰の高峰ナンガパルバット(8,126m)
オナガマーモット

シェオサル湖付近はパキスタン国内観光客が多く、餌を期待するオナガマーモットが現れます。相当人に慣れている個体もおり、国立公園当局は野生動物に人間の食べ物を与えないようにもっと厳しく注意するべきです。

 

バラパニの私たちのキャンプ。レンジャースタッフの施設エリアに設立したプライベートキャンプです。夏は山で活躍しているIndus Caravanのキャンプチームがテント、ダイニングテント、トイレテントを設立してくれました。テントの前には川が流れ大自然の中での滞在です。

 

冬の渡り鳥オオズグロカモメ いつもテントの前の川にいました
毎朝、川にはカワアイサのペアの姿 。カワアイサも冬の渡り鳥です
デオサイ高原を歩く。遠くに見える雪山はナンガパルバット(8,126m)

ヒマラヤヒグマの観察はその確率が高い場所が何か所かありますが、いずれの場所も歩かないと近くで見ることはできません。標高4,000mを越える高原を歩くのは決して楽ではありません。そしてヒマラヤヒグマは大変臆病で、2キロ先に見つけても風向きが悪いと私たちの臭いを感知し、あっという間に遠ざかっていきます。

 

ヒマラヤヒグマ

ヒマラヤヒグマの雄の姿を確認。気づかれないように遠くから撮影。この個体は風向きが良くなく遠くからの観察だけになりました。そしてこの個体の奥にいた親子グマにすこし近づいてみることにしました。

 

ヒマラヤヒグマの親子、なんて愛らしい光景!
デオサイ高原を歩く

高原を歩くのは大変です。湿地帯や草の下に隠れる凹凸に気をつけながら進まなければなりません。

 

ヒマラヤヒグマ

ヒマラヤヒグマはヒグマの亜種でインド・パキスタン・アフガニスタンの北部山岳地帯に生息し、デオサイ国立公園の最後のセンサス(2022年)で77頭が確認されています。2023年の秋に3頭に発信機が取り付けられ、それまで不明だった冬眠場所もわかってきました。3頭のうち2頭はアストール渓谷へ下り冬眠し、1頭はデオサイ高原のバラパニ付近で冬眠していました。

 

ヒマラヤヒグマ

風が味方してくれました、ヒグマの方からこちらへ近づいてきました。「何かがいる」とわかっているようで興味をもってこちらを見ています。

 

愛らしい見た目のヒマラヤヒグマ
高原でのピクニックランチ

観察チーム、高原でのランチ。おにぎりを作って行ったら「Japan’s アニメフード」と言われました。動物好きのスタッフは、日本のアニメも大好きでした。

ところで、ヒマラヤヒグマはとても臆病で遠くからしか観察することができないこともあります。下の写真の中央の小さな黒い点がヒマラヤヒグマです。でも、夜は大胆にもキャンプにやってくるのです。

 

中央の小さな点がヒマラヤヒグマ
夜、キャンプにやってきたヒマラヤヒグマ

キャンプ地に現れたヒマラヤヒグマ。人がいないと食料を探してキャンプに近寄ってきます。ライトで照らしてもすぐに逃げることもなく、昼はあんなに臆病なのに夜はこんなに堂々として・・・。暗闇でこちらから見えていないと思っているのでしょうか・・・。4泊したすべての夜にヒマラヤヒグマはやってきました。しかも、毎日異なる個体でした。事故を防ぐために国立公園のキャンプ地の食料とゴミの管理が急務です。

 

Text & Photo: Mariko SAWADA

Visit: Sep 2024, Deosai National Park-Gilgit Baltistan

パキスタンの野生動物特集

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シムシャール・パミールトレッキングとミングリク・サール(6,050m)登頂 Part-1

シュイズへラブで放牧されるヤクたち
シュイズへラブで放牧されるヤク

2024年8月下旬から9月にかけてシムシャール・パミールの6,000m峰を目指した山旅の記録です。場所は「カラコルムの空白地帯」とも称され、トレッカーが訪れることも稀なシムシャール・パミール。私自身、2011年の夏に初めて訪問して以来、毎年のように“帰省”している場所です。

 

この地域は厳しい自然の中で放牧地を移動しながら、ワヒ族がヤギ、羊、ヤクを放牧しています。かつては移動しながら女性達が夏を過ごし乳製品を作っていましたが、暮らしの近代化が進み今は行われなくなてしまいました。(過去のシムシャールの夏の暮らしはこちらの記事をご覧ください。

>>Shimshal Pamir シムシャール・パミール ある夏のクッチ

 

「シムシャール・パミール」の旅では、ワヒ族の夏の放牧地の暮らしにふれることができます。実際のところ、シムシャール村を出発しこの「夏の放牧地」を訪れるだけでも十分ハードなトレッキングですが、さらにその先に待つ6,000m峰への登頂は達成感が大きく、とても満足度の高いルートです。

 

トレッキングルート
トレッキングルート

■トレッキング1日目 シムシャール村(3,100m)→ガーレ・サール(3,670m)

初日はシムシャール村からガーレ・サール (3,670m)を目指します。小さな吊り橋(Michael Bridge)を渡り、ヤズギール氷河のエンドモレーンを眼前に望みながらシムシャール川沿いを直進。平坦な道ではありますが、川岸の大きい石がゴロゴロしていて歩きにくい箇所もあります。今回は川の水量が多く、ヤクは対岸からロープを渡して、引っ張って渡らせていました。

 

ヤクに乗って移動することもできます。「ヤク・サファリ」と呼ばれています。
ヤクに乗って移動することもできます。「ヤク・サファリ」と呼ばれています。
ヤズギール氷河のエンドモレーンを眼前に望みムシャール川沿いを直進
ヤズギール氷河のエンドモレーンを眼前に望みムシャール川沿いを直進

シムシャール川と支流のパミール・タング川が合流するポイントの橋で川を渡り、その先の小屋で昼食。この後から急登が始まります。まだ登り慣れていない足腰には堪えます…。

 

急登が始まります
急登が始まります

徐々にヤズギール氷河を見下ろす角度が変わり、しばらくして展望のよいキャンプ地に到着です。日が落ちると、シムシャール村の夕景を見ることができました。

 

展望のよいキャンプ地に到着
展望のよいキャンプ地に到着

■トレッキング2日目 プリエン・サール(3,850m)へ

ここからは絶壁、ランドスライド地帯など少々危ない箇所を歩きます。緊張感が高まると一層疲労が増します。やがて、急な谷を下りるとパスト・フルズィン(3,550m)のキャンプ地がみえてきました。さらに崖道を進み、休憩場所となるウッチ・フルズィン(3,365m)に到着。

 

谷を見下ろしながら歩く
谷を見下ろしながら歩く
ウッチ・フルズィンにて休憩
ウッチ・フルズィンにて休憩

吊り橋を対岸へ渡り、危険なトラバースを進みプリエン・ベン(3,596m)へ。緊張が続くルートですが、無事に谷を見下ろすポイントまで辿り着きました。

 

吊り橋をわたり対岸へ
吊り橋をわたり対岸へ
危険なトラバース
急な斜面のトラバース
プリエン・ベンを見下ろす展望地から、右上のコル(パスト・ダルワザ)まで ジグザグに急斜面を登る先行ポーター組を眺める
プリエン・ベンを見下ろす展望地から、右上のコル(パスト・ダルワザ)まで ジグザグに急斜面を登る先行ポーターを眺める

いよいよ、高低差約320mの急な登りに差し掛かります。足を滑らすことのないよう、スタッフと共にマンツーマンで一歩一 登ります。

 

標高差約320mの登り
高低差約320mの登り

無事に登りきった先は、石で作られた門のあるパスト・ダルワザ(下の門)。さらに石と木の階段を手を使いながら登り、ウッチ・ダルワザ(上の門)へ。宿泊地プリエン・サール(3,850m)に到着です!アプローチの核心部を無事に越えました。そして前方にはミングリク・サールの頭が見えてきました。

 

パスト・ダルワザ(下の門)
パスト・ダルワザ(下の門)
プリエン・サールのキャンプ地 左奥にはミングリク・サール(6,050m)の頂上がみえる
プリエン・サールのキャンプ地 左奥にはミングリク・サール(6,050m)の頂上がみえる

■トレッキング3日目 シュイズへラブ(4,350m)へ

今日は夏村シュイズヘラブを目指します。朝、ホワイトホルン(6,400m 左)とディスタギル・サール(7,885m)が太陽の光を浴びて、輝いていました。

 

朝日に輝くディスタギル・サール(7,885m)とディスタギル・サール(7,885m 影がついている奥の峰)
朝日に輝くディスタギル・サール(7,885m/左)とディスタギル・サール(7,885m/影がついている奥の峰)

前日とはうってかわって広々としたルートを進んでいきます。アルバ・プリエン(復路のキャンプ地)を経て進み、シュイズヘラブの川とガンジ・ドールの川との合流地点を越えていきます。

 

川の合流地点を目指す
川の合流地点を目指す

柳の木が生えるチコールで昼食。シュイズへラブ川沿いに進み、夏村が近付いてくると放牧されているヤクたちの姿が現れました。シュイズへラブはシムシャール村から移牧して登ってきたヤギや羊、ヤクが放牧されながら夏を過ごす村です。

 

チコールでパスタランチ
チコールでパスタランチ
ヤクの親子
ヤクの親子

■トレッキング4日目 シュイズヘラブ(4,350m)滞在

休養日です。ヤクの乳絞りや夏の住居の訪問などワヒ族の夏のパミールの暮らしを見学。ヤクは、ヤギ、羊とは異なり迫力があります。

 

家畜とともに生きるワヒ族の暮らしを見学
家畜とともに生きるワヒ族の暮らし
ヤクの乳絞り体験
ヤクの乳絞り
ヤクミルク
ヤクミルク

その後高所順応も兼ねて、隣丘のグルチンワシュク・サム(4,600m)までハイキング。標高差250mの登りです。上部では登頂日のガレ場登りの練習になりました。

 

グルチンワシュク・サムの丘にて
グルチンワシュク・サムの丘にて
登頂日のアンザイレン下山練習を兼ねて高所順応
登頂日のアンザイレン下山練習を兼ねて高所順応

■トレッキング5日目 シュイズヘラブ(4,350m)→ミングリク・サールB.C.(4,730m)

ミングリク・サールB.C.まで約3~4時間の道のりです。途中、ミングリク・サールを左手に通り過ぎます。角度によってはなだらかな山に見え、山麓にはザック・ゾーイ(小湖)とルップ・ゾーイ(大湖)の2つがあります。今回はザック・ゾーイ沿いにB.C.を設置しました。

 

ザック・ゾーイ沿いにB.C.を設置
ザック・ゾーイ沿いにB.C.を設置

天気予報では翌日から回復に向かうとのことだったので、もう1日高所順応日を設けることとしました。その間、シュウェルトで4万ルピーで購入してきた羊を捌き、日本風カレーでいただきました。

■トレッキング6日目 ミングリク・サールB.C.(4,730m)滞在

夜から雪が降り積もり、ベースキャンプは雪景色へと様変わりしました。気温も氷点下となり冷え込んできました。今日は動けないかと思っていましたが、雪が止んだので登頂ルートの視察も兼ねて高所順応トレッキングに出かけました。太陽が出て、どんどん天気が回復に向かっている様子が見てとれます。地面の雪もどんどん融けてゆきました。

 

高所順応トレッキングに出発!
高所順応トレッキングへ
高所順応途中(約4,000m)にB.C.方面を振り返る。
約4,000m付近でB.C.方面を振り返る。

午後は、装備チェックをしたり、ゆったりと過ごしました。体を動かしたいメンバーはさらに奥の村シュウェルト(4,670m)まで訪問しました。

 

ウスユキソウ属の花も逞しく咲いている
ウスユキソウ属の花
B.C.(4,730m)から望んだミングリク・サール(6,050m)
B.C.(4,730m)から望んだミングリク・サール(6,050m)

ミングリク・サールもはっきりと確認でき、士気も高まります。

後編へつづく。

 

 

Photo & Text : Osamu KUSUNOKI

Visit : Aug-Sep 2024, Shimshal Pamir, Shimshal, Gilgit-Baltistan

 

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タルパンのアルターロック<祭壇の岩>、インダス河畔の岩刻画

タルパンのアルターロック(Alter Rock)「祭壇の岩」はインダス川北岸の砂地にあります。仏教モチーフの他、アイベックスなど動物を中心としたモチーフ、中央アジアやイランの影響がみられる岩刻画が描かれた岩です。この古代シルクロードの魅力に満ちた岩刻画をご紹介します。

古来より多くの旅人が行き来したタルパン。最初にこの場所を選び彫刻をしたのは遊牧民でした。アルターロックの正面の岩面はさまざまな動物、屠殺シーンが描かれ、まさに「祭壇」として使われていたのかもしれません。

 

アルターロック、全景

このアルターロック(Alter Rock)の岩の岩刻画の中でも際立つのが、この「生贄を持つ戦士」の絵。生贄なのか狩猟した動物(多くの資料にはヤギとなっていますが動物好きの私にはアイベックスに見えます)を屠るシーンのようですが、大きなナイフを持つ中央アジア風の人物の姿が大変特徴的です。
この男性の服装は当時の騎馬遊牧民の衣装だと考えられ、紀元前3世紀から紀元後3世紀までイラン高原で栄えた王朝、パルティア(Parthian)の人物ではないかとされています。

パルティアは現在のトルクメニスタンで発祥し、イラン高原を中心に紀元前3世紀から広く西アジアを支配し、その治世末期の紀元20年頃分派し、ゴンドファルネス王によってインド・パルティア王国が建てられました。タキシラも一時都としたインド・パルティアはこのインダス河一帯でも活躍していたのでしょう。

この動物を生贄(または屠る)岩刻画のモチーフは殺生を禁ずる仏教の影響より、中央アジア民族の影響が強かったことが伺えます。

 

前足を45度にまげた、デザイン化された馬(また一角獣)の図です。
このポーズは”Knielauf”と呼ばれる表現で古代ギリシャで飛翔を描く際に見られた表現で、アケメネス朝ペルシャの芸術でも見られます。この馬はたてがみと尾が結ばれまるで弓のように見えます。

 

デザイン化したアイベックスでしょうか。目が円い、ことなるスタイルのイラン的な表現です。

 

角をデザイン化したシカのような生き物と、それを追う2つの尾を持つ生き物の図です。パキスタンで野生動物の観察をしている私には、崖にいるアイベックスを襲うユキヒョウに見えます。面白いのは崖のように見えるギザギザの線の先にヘビの頭があることです。
「これは前にはヘビがいて、後ろにはユキヒョウがいて、さらに狩人と猟犬がいて、行き場を失って困っているアイベックスの図です」と教えてくれた人がいました。
このような波状のようなデザインは南シベリアのアルタイ地方の芸術によく見られる特徴だそうです。

このアルターロックにおいて、イラン的な要素の岩刻画が見られることは、すでにアケメネス朝時代にガンダーラ、タキシラがサトラップであったことから驚くことはありませんが、世界でも有数の山脈地帯を越えた北にある南シベリアのアルタイ地方とこのインダス河畔地域に交流があったことは驚かされます。

 

光背持つ大きな仏陀座像と同じく光背を持つ4つの小さな仏陀座像の図です。どの仏陀像も定印 を結び、その衣装は両肩を隠し、衣紋が平行に優雅に描かれています。このような衣紋はインドでAD320~550年に栄えたグプタ朝で見られるデザインに似ています。同じ岩にアイベックスと思われる生き物が描かれていますが、その動きと方向から先にこのアイベックスが描かれ、その上に仏陀像が描かれたと考えられます。

このアルターロック岩刻画の製作年代ですが、仏教モチーフ以外のものは紀元前1千年期半ばごろのものと推測されています。

 

アルターロックの西側のパネルも岩刻画で覆われてます。

 

インダス河畔の岩刻画の中でもマスターピースとも言えるアルターロック。
繰り返し言い続けていますが、これらの岩絵がダムにより永久に失われることが残念でありません。

 

Photo & text : Mariko SAWADA

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インダスハイウェイ、シンド州最深部の旅

まずは6~8月にかけての集中豪雨により洪水災害が発生し、被害にあわれた方々に心よりお見舞い申し上げます。一部地域では復旧作業も進み、シンド州・バロチスタン州への旅行手配をさせていただいておりますが、水浸しになった畑などこれまでと違う光景を目の当たりにしました。

ハイデラバードから北上するNational Highway 55 (N-55)、通称インダスハイウェイはインダス川の西岸を貫く、西シンドのライフライン。秋の収穫の季節にはたくさんの穀物、もみ殻を積んだトラックが見られます。

今年は夏の災害のため道路の両サイドがまだ水浸しの場所もあり、収穫はおろか水が引くのをひたすら待っている場所もたくさんありました。

 

畑が水浸しで湖のようになった場所もありました。家を失いキャンプ生活をしている人々の姿をたくさん見ました。

 

水が溜まっている畑もあれば、収穫をしている畑も。11月は米の収穫の季節です。

 

いつもなら普通の光景が、本当にありがたく、美しく思いました。

 

道路沿いに積まれたもみ殻をトラックに移し替えている作業をしていました。木の棒で支えをつくって、あの巨大なバルーンのようなトラックの荷物ができあがるんですね。

 

薪を運ぶラクダがやってきました。インダスハイウェイ沿いの集積場所に村から運ばれてきます。

 

シンド州の村では薪は重要な燃料です。

 

手作りのベルにタカラガイの装飾。とても伝統的な装飾で飾られた、大事にされているラクダです。

 

インダスハイウェイ沿いのレストランで昼食をとっていたら、隣のホールで行われていた結婚式に呼ばれました。お札で飾った「結婚祝い」、次々と新郎の首にかけられていきます。

いつもと違う風景のインダスハイウェイの旅、もうすぐ東の道へ入りモヘンジョダロです。モヘンジョダロへの道中も水没している畑がたくさんありました。早く水が引くことを祈ります。

 

Photo & text  : Mariko SAWADA

Visit : Nov 2022, Indus Highway, Sindh

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ヒゲワシ Lammergeier (クンジュラブ国立公園)

クンジュラブ国立公園のヒゲワシです。英名はBearded Vulture で、そのまんま「髭のあるハゲワシ」。

ヒゲワシ(Gypaetus barbatus)は、ラマガイエ(lammergeier)とも呼ばれ、大型の猛禽類で、この種だけでヒゲワシ Gypaetus属を形成しており、最も近縁のエジプトハゲワシ Egyptian vulture(Neophron percnopterus)、ヤシハゲワシPalm-nut vulture(Gypohierax angolensis)とともに、ハゲワシ亜科の小系統を形成しています。猛禽類の中では珍しく尾が菱形をしています。

 

このヒゲワシ、食べているのは死肉で、主に骨と骨髄です。小さい骨はそのまま飲み込んで強力な胃液で消化します。大きな骨は上空から落として飲み込みやすいサイズにします。

ユキヒョウを探していた時、クンジュラブ峠(4,600m付近)でヒゲワシが骨を落としている光景を見ました。遠いのでわかりにくいかもしれませんが、映像を撮ってみました↓↓↓↓

 

ヒゲワシが骨を落として割る Bone crasher!

 

ヒゲワシは全長115cm、羽を広げると3m近くもある大きな鳥です。時々真上を飛翔してくれるとその大きさに圧倒されます。

 

クンジュラブ川の崖に降りてくるヒゲワシ。

 

クンジュラブ川の河原にアイベックスの死骸を見つけてそばの岩にとまっていたヒゲワシ。羽を傷める危険があるため狭い河原には入っていけず、もどかしい思いでこのアイベックスの死骸を見ていたことでしょう。

 

Photo & text : Mariko SAWADA

Observation :Spring 2022, Khunjerab National Park

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