ヒンドゥー教の新年を祝うお祭り「ディワリ」

毎年10月末から11月初めに、インドの最も大きなお祭りのひとつである「ディワリ」が行われます。

ヒンドゥ教の新年をお祝いするこのお祭りは、ヒンドゥ暦の第7番目の月の初日から5日間にわたって行われます。時期的に「収穫祭」の意味合いもあり、インドの人々にとっては1年で最も重要かつ盛り上がるお祭りです。

ディワリの電飾が光るショッピングモール
スーパーにもディワリ用のギフト商品が並びます

ディワリはもともと「光の祭り」とも呼ばれており、お祭りの期間中は富と幸運の神であるラクシュミーを家に招くために、夜間は無数の灯明などで家の周りを明るく照らす習慣があります。
このお祭りに向けて、人々は家中の隅々まで大掃除をし、新しい洋服を新調したり、壁の塗装などを塗りなおしたり、時には家具一式までも新調したり。気分一新、ディワリを迎えるのです。

約1週間のお祭り期間中は、夜には灯明で家の周りを明るく照らし、家族・親族が集まってお祈りをして、その後みんなでご馳走を囲んで粛々と新年を祝う、というのが昔からのスタイル…なのですが、この伝統のお祭りも、近年の経済発展とともに少し様変わりしているようです。

玄関先に置かれた灯明

ささやかだった「灯明の明かり」は、今や家をピカピカと照らす色とりどりの電飾にとって代わり、各家庭の夕食後のイベントは、夜通し行われる花火と爆竹を家族総出で見学…というのが、近年のディワリのスタイルです。

一番盛り上がるのは、ディワリの最終日。お祭りの本番は暗くなった夜7時~8時くらいから。
家々でラクシュミーに祈りをささげ、豪華な夕食を食べたら、三々五々外に出て花火を打ち上げ、爆竹を鳴らしてお祝いをします。ひとしきり鳴らし終わったら、また家に入ってデザートを食べたり、チャイを飲んでみんなでくつろぎ、家族同士の贈り物の交換などをして過ごします。それが一段落すると、また外に出て花火と爆竹…飽きたらチャイを…飽きたら花火と爆竹…チャイ…花火…これを一晩中繰り返します。

左:ディワリでにぎわう街 右:花火を楽しむ人々

家々を飾る電飾は、ご近所同士で規模やセンスを競争し合っていることもあり、年々派手になってきていて、イルミネーションと言っても過言ではないレベルのお宅も少なくありません。日本のクリスマスシーズンを彷彿とさせます。

そして、もちろん花火の派手さもご近所と競争!
隣近所に負けじと、各家々で競うようにあちこちで打ち上げます。
爆竹も、周りには負けられないとばかりに半端ではない量を一度に鳴らしたりすることも。
目の前で鳴らされると、若干気が遠くなるほどです。

ときには、それどこで買ってきたの…??と思うほど立派な、日本の花火大会で見られそうな(ちょっと大げさですが)豪華できれいな花火が打ち上がることもあります。

きれいに飾られた街で、ひっきりなしにあちこちから打ち上がる花火。
そこにこだまする爆竹の音と人々の歓声。

ディワリはまさに、年に一度の「お祭り騒ぎ」なのです。
 
※この記事は2011年11月のものを修正・加筆して再アップしたものです。