渡りの本流!韓国の離島バードウォッチングツアー【後編】

Report by 大西敏一&五百澤日丸 / 2025年5月3日~7日

5月6日:4日目 / Report by 五百澤日丸

この日は島での最終日です。船の席が連休ということで発売日でも満席だったため、やむなく朝一番の船で帰るため、早朝から1時間弱しか鳥見も出来ません。それぞれパッキングして朝食後、フェリー乗り場まで向かいます。宿の周辺では相変わらず鳥は多くいます。後ろ髪引かれる思いで離島にさよならです。

7時30分、離島を後にしました。帰りもうねりは多少あったものの、快適な船旅でした。12時前に韓国本土に到着、そのまま昼食場所へ向かいます。連休最後の日ということもあり、道路も激混みでした。昼食の後は、2時間ほど南へ行った干潟や湿地のある場所へ移動しました。干潟はまだまだ干潮で、遠くまで干潟が広がっています。ホウロクシギやトウネンなど様々なチギ・チドリ類、ズグロカモメの夏羽、遠くにはカラシラサギも確認しましたが、なんせ遠くて大変です。後背地の疎林や草地ではダルマエナガ、繁殖中のジョウビタキなどを観察しました。日本でも近年、ジョウビタキの繁殖確認が増えていますが、韓国では昔から普通に繁殖していて、それも平地でもどこでも見かけます。

コイカル、コムクドリ、シベリアムクドリ、シロガシラ水浴び後(五百澤撮影)
シベリアムクドリ群飛(五百澤撮影)

なぜ、日本はまだ高原のような標高がやや高い位置でしか見られないのか不思議に感じています。夏の暑さは、日本と変わりの無い韓国では、町中や港のそばなどごく普通に繁殖しています。そんな違いも興味深いところです。そしてコガラはほとんどいないけれど、ハシブトガラは町中でも普通にいます。韓国で繁殖する鳥について、日本との違いにその面白さがあり魅力を感じるときでもあります。やや日も傾いてきたところで、北へ向かったところの海中道路を挟んだ内陸側の湿地が見えるところで観察です。その池にはいかにも内陸湿地を好む、ツルシギの群れ、オグロシギ、セイタカシギ、クロツラヘラサギの小群、クロハラアジサシ、シマアジなどがいました。後背地の田んぼを耕したばかりのところでは、マガンと亜種ヒシクイなど200羽強が降りていました。光線具合もよく存分に観察を楽しみました。18時、本日はここで終了です。

アカガシラサギ(五百澤撮影)

 

この日確認した鳥:115種

 

 

5月7日:最終日 / Report by 大西敏一

最終日は朝探が無く、のんびりです。朝食は7時から。3日ぶりの洋食バイキング。これまでの探鳥が良かったのでコーヒーが美味しい。8時にチェックアウトし、昼までの短い探鳥へ出発しました。今日は車で行ける2つの小島へ。

韓国本土から橋で歩いて渡れる離島
橋で歩いて渡った離島の風景

途中干潟でカラシラサギやホウロクシギ、オオソリハシシギなどを観察しているとシロガシラが鳴いています。韓国ではすっかり定着してしまった感がある鳥です。沖の小さな岩礁にはクロツラヘラサギの小さなコロニーがありました。ほどなく現地に到着。プチ離島気分が味わえます。予定では集落周りの農地で鳥見するつもりでしたが、道路を作るため造成されていました。ここでも人の手が入り、生き物の住処が失われていてとても残念です。

もう一つの場所も観光地になっていますが、多少鳥は見られそうです。雑木林で猫にモビングするカササギを見ていると突然シマゴマの声が。粘って姿を探しますが手強く、ちらっとでも姿を見られた方はラッキーでした。小さな林ではキマユムシクイが多く、そこかしこで囀っています。コサメビタキ、チョウセンウグイス、カラアカハラ、シベリアアオジやキマユホオジロ、シロハラホオジロ、アカゲラなどが出現し、再びシマゴマが鳴き始めます。複数いるようだ。赤い鳥が目の前に出てきたのでシマゴマかと思ったらダルマエナガでした。比較的見やすい個体が3羽ほどいて、バッチリ写真に収めた方もいらっしゃいました。

キマユムシクイ(藤田正昭さま撮影)
キマユホオジロ(藤田正昭さま撮影)
ダルマエナガ(藤田正昭さま撮影)
シベリアアオジ雄(大林修文さま撮影)

お昼が来たので探鳥の道中にあったお店で海鮮チヂミや餃子、にゅうめんなどをいただきました。帰りの便は関空行きが早いため、これにて探鳥は終了です。食後、仁川空港へ向かい、そこで私、大西だけが皆さんとお別れになりました。

海鮮チヂミなど

この日確認した鳥:69種

 

今回の離島ツアーは天候にも恵まれ、島での鳥も非常に多く、観察種も186種と申し分ない探鳥になりました。これだけの数の渡り鳥を目にできたのは、20年以上韓国に通っていてもそうあるのではありません。まさに渡りが大爆発したという表現がピッタリでした。とはいえ、離島のツアーには欠航というリスクが付きまといます。それでも離島に足が向いてしまうのはこういうのに出くわしてしまうからでしょうね。

来年も五百澤さんとのタッグで離島ツアーを行う予定ですので、皆さまよろしくお願いたします。

 

この記事を書いた人

大西 敏一 おおにし としかず
1961年生まれ。大阪府在住。野鳥歴45年。フリーランスとして鳥類調査をメインに執筆、講演、ツアーガイドなどに携わる。離島の渡りに関心があり、韓国の島嶼にも長年通い続けている。シギ・チドリ類やムシクイ・ヨシキリ類などが好み。主な著書に「日本の野鳥590/650」(平凡社)、「世界のカワセミハンドブック」(文一総合出版)などがあり、協力図書も多い。

この記事を書いた人

五百澤 日丸 いおざわ ひまる
新潟県在住。(有)レイヴン・所属。鳥類調査を中心に、執筆、写真撮影、ツアーガイドを行う。一番の関心事は、ヒマラヤ山脈から台湾・南西諸島・朝鮮半島・日本にかけての鳥類の分類・分布。主な著書に「日本の鳥550 山野の鳥 増補改訂版」(共著/文一総合出版)、「日本の野鳥650」(共著/平凡社)など。他にも著書多数。

渡りの本流!韓国の離島バードウォッチングツアー【前編】

Report by 大西敏一&五百澤日丸 / 2025年5月3日~7日

5月3日:初日 / Report by 五百澤日丸

今年も韓国離島ツアーがやってきました。このところのツアーは天候に恵まれないこともあり、不安な気持ちもありましたが、多くの鳥たちに会えることを期待しつつ仁川国際空港へ向かいました。

関空組は私一人なので参加者の皆さんとは仁川で顔合わせです。仁川に到着するとあいにく雨。午後からの回復予報を期待しつつ、中部からご参加の方々と合流し談笑していると、成田便が遅延との一報が。現地添乗の朴さんといつものドライバーさんとも合流し、ファストフード店でしばし待機。13時過ぎに成田組の方たちが到着する頃にはすっかり雨も上がっていました。これは幸先が良いぞ。皆さん機内食が出ていたので昼食はパスし、ホテルに向かい、荷物を置いて早々に探鳥に出かけました。

まずはいつものクロツラヘラサギの繁殖する場所へ。調整池のど真ん中の人工島でクロツラヘラサギとモンゴルセグロカモメが繁殖しています。例年ならこの時期は両種とも可愛いヒナの姿が見られるのですが、今年はまだ抱卵中のようです。気温の低い日が続いたからかもしれません。そこではアカツクシガモ、セイタカシギ、コガモに混じるシマアジなども観察。定番のダルマエナガはなかなか手ごわくて写真が難しそうです。

調整池に浮かぶ人工島
セイタカシギ(藤田正昭さま撮影)

その後、クロツラヘラサギが至近距離で見られる湿地公園へ移動。お約束どおり、本種が近い。散歩の人が通るすぐ横で採餌していて、スマホでも撮影できそうです。セイタカシギもすぐ近くにいます。1枚の田んぼにバンが10羽もいる場所があり、デイスプレイや争いなどいろいろな行動が見られて楽しめました。他にはアカハラツバメ、ヒバリシギ、タカブシギなどが見られました。

クロツラヘラサギ(C)五百澤日丸
アカハラツバメとツバメ(大林修文さま撮影)

初日最後の探鳥は干潟で。以前、ホウロクシギなどが数百いた場所ですが、干潮のタイミングだったようで、多くのシギチは遠くで蠢いていました。それでもダイゼン、オオソリハシシギ、ダイシャクシギ、ホウロクシギなどはそこそこの距離で観察ができ、特にズグロカモメの夏羽がひっきりなしに目の前を飛び回り、干潟でシャコの仲間などを捕って食べる場面もありました。気温が低いうえ、風が強く、寒くなってきたので長居はせず本日の探鳥を終了。

夕食はいつもの店でサムギョプサルです。明日は皆さんと渡島できることを願って美味しくいただきました。

ズグロカモメ成鳥夏羽(大林修文さま撮影)
サムギョプサル

この日確認した鳥:56種

 

5月4日:2日目 / Report by 大西敏一

朝起きて、真っ先に空と風を確認した。快晴でほぼ無風。これなら船は出そうです。ホッと胸をなで下ろしながら、ホテルの朝食会場へ行くと、皆さん、すでに朝食バイキングへと集まっておられました。出航が9時なので、朝食は6時30分からです。今日は離島に渡ることが最優先のため、早朝の探鳥はご遠慮いただきました。朝食後、専用車にてフェリーターミナルへと向かいます。

韓国も連休2日目となっているので、道路もやや混んでいます。ターミナルの駐車場も満車で入れません。外で下ろしてもらい荷物を持って乗り場へと向かいます。中に入るとものすごい混雑ぶりで、座る場所もありません。たくさんある離島の船乗り場なので、みんながみんな、同じ離島ではないので、心配はありませんが、それでも満席とのことでした。8時40分、乗船し指定席に座ります。9時に出港すると鏡のような海面を滑るように走ります。船酔い止めはいつも飲みますが、この日は飲まなくても大丈夫そうでした。黄海は海鳥がいつも少なく、ずっと探していてもほとんどいなくて疲れるだけで後悔します。モンゴルセグロカモメとウミネコ、カワウ(亜種が気になるところです)、ウミウ程度で、参加者の中でヒメウも確認されました。12時30分、目的の離島に無事に到着しました。これで一安心です。今回の宿は以前もお世話になってペンションで、そちらの迎えのバスに乗り込んで、まずは宿に入ります。荷物を置いたら昼食会場へ行って腹ごしらえです。

今回の離島のペンション
ウミネコ

 

13時30分、昼食後、宿に戻りひと休憩して観察機材を各自準備していよいよ探鳥の開始です。宿の周りには林、荒れ地、農耕地があり、集合中、宿の木にとまっているシベリアムクドリ、キマユムシクイ、バフマユムシクイ、ヤナギムシクイと次々と鳥たちが出てきます。始めから渡りパワー?全開で参加者もガイドもどうして良いのかわからなくなるような嬉しい悲鳴が続きました。

離島の環境(荒れ地)
シベリアアオジ(五百澤撮影)

 

まずは宿の前の荒れ地を見ながら舗装道路をゆっくりと進みます。足下から次々と小鳥たちが現れては藪に入ります。地面で草本の種子を一生懸命についばんでいます。シベリアアオジ、コホオアカが中心で、キマユホオジロ、シマノジコ、シマアオジなどなど。その数は日本の離島の比ではありません。シベリアアオジやコホオアカなど各1,000羽は楽にいる感じだし、シベリアムクドリも200羽程度の群れでいます。チョウセンメジロも20羽程度の群れが飛んできて目の前の桜の低木に入り、一気に盛り上がりました。空を見ると、ハチクマとサシバが結構な柱を作り、東から西へと渡っていきます。その中にアカハラダカやアカアシチョウゲンボウの姿も確認できました。大西さんがノゴマやアカモズを説明していると、こちらでアリスイやハリオシギなど出て、どこを見たら良いのかわからなくなるほどでした。

ノビタキ(五百澤撮影)
ハチクマ(五百澤撮影)

 

こうしてあまり歩く前に時間は過ぎていき、あっという間に夕方になってしまいました。終了間際、チャキンチョウが1羽飛んでいく姿を見ましたが、去った方向を探しても見つからず・・・。日没は日本より西にあるだけ(時差はない)、まだまだ明るかったのですが、18時30分に夕食の時間となり、本日はここで、終了です。

 

この日確認した鳥:106種

 

 

5月5日:3日目 / Report by 五百澤日丸

後述しますが本日は渡りが大爆発した一日でした。いつどこを見ても鳥がいる状況で長年韓国に来ていますがなかなかお目にかかれない、素晴らしい鳥見の一日でした。

今日は島に一日滞在して探鳥ができる日です。朝5時半に探鳥へ出発。空は昨日とうって変わり曇天で霧も出ています。このような天気の時は渡り鳥たちが島に降りてくる可能性が高く、ときに大当たりになることがあるのです。昨日のコースを逆に辿りながら回ってみることに。いきなり道端からハリオシギが飛び出し、コイカルやサンショウクイが群れで飛びます。ツツドリ、カラアカハラ、キマユムシクイなどがよく囀っています。オウチュウは複数で出現。昨日五百澤さんが見たチャキンチョウ目当てに定点観察をしているとマミジロキビタキの雄が現れ、端ではムジセッカが囀り始めました。上空を見上げるとマミチャジナイとカラアカハラの大群が何度も渡っていきます。明らかに小鳥類が増えてきている感じです。水田地帯に抜ける途中でシロハラクイナやシマノジコを確認。まだ水が張っていない田んぼでは、ツメナガセキレイ3亜種、アカガシラサギ、シマアオジなどをじっくりと観察しました。朝探だけで61種を観察。

コイカル・シベリアムクドリ・コムクドリ・シロガシラの水浴び(大林修文さま撮影)
オウチュウ(大林修文さま撮影)
マミジロツメナガセキレイ(大林修文さま撮影)

 

朝食のメインはカレイの煮つけ。ゆっくりと食事をしたあと9時半から探鳥を再開。宿前の電線にはシベリアムクドリが飛来し、桜にはアカマシコの群れも現れたので皆さんで観察。宿前の空き地を歩くとマミジロタヒバリやジシギが飛び出します。綺麗なノゴマの雄の姿も。ツメナガセキレイやホオジロハクセキレイを見ているとケリが1羽佇んでいます。本種は離島でたまに見られる珍鳥です。ムクドリ類の声がするので見ると数十羽の群れが飛んできて木に止まりました。なんとほとんどがシベリアムクドリ!カラムクドリも混ざっています。さながらシベリアムクドリがなる木には皆さん大興奮。遠くの電線にも群れが止まっています。

アカマシコ雄と雌(藤田正昭さま撮影)
シベリアムクドリのなる木(藤田正昭さま撮影)

その後、カラアカモズやマミジロキビタキなどを見たあと、海岸でしばしカモメウォッチング。ウミネコが多く、モンゴルセグロカモメの姿もちらほら。ひときわ背中の色が濃い個体がいたので見ると足の色が黄色い。ホイグリンカモメかと思いましたが、そこまで背中が濃くないのでtaimyrensisタイプでしょう。成鳥の初列風切はすべて換羽している点もモンゴルセグロカモメと違うポイントです。ここではミヤコドリやタイワンハクセキレイなども近くで観察しました。海岸横の小さな公園もポイントです。草地にはシマアオジやキマユホオジロ、コホオアカなどがいます。コイカルの声のする方を見ると数十羽木に群がっています。シベリアムクドリやシロガシラも羽繕いをしています。どうもそばに水たまりがあり、そこで水浴びしたものが木に移って休んでいるようでした。結局、午前中だけで103種を観察しました。

モンゴルセグロカモメ第1回冬羽(藤田正昭さま撮影)
シマアオジ雄(藤田正昭さま撮影)

 

昼食は豆腐チゲ。スープがとても美味しい。朴さんのコーディネイトで辛いのが苦手な方も安心して美味しい韓国料理が食べられるのもこのツアーの良いところです。食事を終えて店を出ると近く木にマミジロキビタキが止まっています。と、「クロウタドリ!」と五百澤さん。見ると目の前の畑に雄がいます。コウライウグイスも数羽飛んできます。少しも気が抜けないのが離島の渡りです。宿に戻り、バスから降りると今度はブッポウソウが10数羽飛来して木に止まりました。私は宿にカメラを置いて食事に出ましたが、私がカメラを持っていないと必ず何かが出るジンクスは健在で、皆さんに「今後はカメラ無しでお願いします」と言われ大爆笑でした。

マミジロキビタキ雄(藤田正昭さま撮影)

少しの休憩を挟み、14時から探鳥スタートです。オジロビタキが宿裏にいたようでお客さんが綺麗な雄を撮影されていました。宿前の電線には奇麗なシベリアムクドリの雄が止まっています。午後は少し遠出をして以前のツアーで色々と見られた島の南部の集落を目指すことに。しかし現地に着いて驚きました。ここ数年の間に風景が変貌しており、良かったポイントは軍施設のフェンスで仕切られていたり、農地には住宅がいくつも建っていて探鳥ポイントが無くなっていました。これは島だけのことではなく、本土側でも様々な理由で探鳥ポイントが失われているのはとても残念なことです。

オジロビタキ雄(大林修文さま撮影)

早々にその場を離れ、ある程度戻った位置から徒歩で水田地帯を進みながら宿まで戻るコースに変更。幸い今回は鳥影が濃いので歩きながらじっくり探す方が色々と見られそうです。途中、軍人さんから職務質問を受けるハプニングを挟みながら探鳥が進みます。キマユムシクイやマミジロキビタキが増えていて、後者を撮りたかった方も無事カメラに収められたようです。畑と隣接するブッシュにイワミセキレイが出現。皆さん色めき立ちます。独特の声も聴かれました。ここではオジロビタキやアムールムシクイ、シマノジコ、シロハラホオジロ、アカガシラサギなども見られました。

イワミセキレイ(大林修文さま撮影)

 

ふと空を見上げると断続的にブッポウソウの群れが飛んでいきます。一体、何羽通過して行くのでしょうか。水田地帯を歩くとアカガシラサギが何度か出現。田植え前の田んぼではシマアオジの雄やハリオシギ、ツメナガセキレイ3亜種などを観察。シベリアアオジやコホオアカはどこにでもいます。昨日のチャキンチョウポイントで定点観察をしているとブッポウソウとコウライウグイスの群れが飛来し、木に止まったのを皆さんとじっくり観察。宿には18時過ぎに戻りましたが、再びブッポウソウの群れが。数えると70羽以上。コウライウグイスもわらわら飛んでいきます。今日一日でブッポウソウはゆうに300羽以上は見られたし、シベリアムクドリに至っては一生分見たような感じでした。

シマノジコ雄(大林修文さま撮影)
コウライウグイスとブッポウソウ(大林修文さま撮影)

本日の夕食はペクスクという地鶏を使った鍋です。参鶏湯のようにナツメグなど漢方的なものやコウタケなどが入っていて美味しい。今日のような鳥だらけの島にはずっと居たいですねと皆さんと乾杯。食事が終わり店を出ると遠くコノハズクが鳴いていました。

ぺクスク

この日確認した鳥:116種

 

後編に続く………

この記事を書いた人

大西 敏一 おおにし としかず
1961年生まれ。大阪府在住。野鳥歴45年。フリーランスとして鳥類調査をメインに執筆、講演、ツアーガイドなどに携わる。離島の渡りに関心があり、韓国の島嶼にも長年通い続けている。シギ・チドリ類やムシクイ・ヨシキリ類などが好み。主な著書に「日本の野鳥590/650」(平凡社)、「世界のカワセミハンドブック」(文一総合出版)などがあり、協力図書も多い。

この記事を書いた人

五百澤 日丸 いおざわ ひまる
新潟県在住。(有)レイヴン・所属。鳥類調査を中心に、執筆、写真撮影、ツアーガイドを行う。一番の関心事は、ヒマラヤ山脈から台湾・南西諸島・朝鮮半島・日本にかけての鳥類の分類・分布。主な著書に「日本の鳥550 山野の鳥 増補改訂版」(共著/文一総合出版)、「日本の野鳥650」(共著/平凡社)など。他にも著書多数。

渡りの本流!韓国・春の離島【2024年5月 前編】

Report by 戸塚学 / 2024年5月1日~5日

昨年は残念ながら島に渡ることができずに辛い思いをしましたが今回は天気も潮周りも良く無事に渡ることができました。しかし渡った初日は鳥たちが抜けてしまったようで数も種類も少なく同行の五百澤氏が焦るほどでした。翌日からは徐々に鳥たちが増えはじめみなさん撮影を楽しめているようでした。3日目の午後からは状況が変わり、2日目の午後から島に入り出したおかげで鳥たちの数も種類も増えたおかげで、シマアオジ・シマノジコ・シベリアムクドリなどみなさんが撮りたかった鳥が撮れて良かった。最終日は朝から雨になりましたが1ヵ所ハイドのある観察地を廻り、お買い物をして関西空港組は先発で帰国の途に就き、成田組は食事をして帰国しました。

 

1日目 晴れ

GWの中日のせいなのか?空港は混んでおらず、関西組、関東組も無事お昼前に仁川空港に集合できましたのでそのままクロツラヘラサギや、シギ・チドリが見られる水郷公園に移動します。しかし今年はシギやチドリが見当たりません。タカブシギ1羽とカルガモ・バン・サギ類しか見当たりません・・・。そんな時です、鳥たちを必死に探している私たちの上空をクロツラヘラサギたちが飛んで行きました。降りた場所を確認してそちらに近づきますが、やはり人数が多いせいか?オーラが出まくりなせいか?また飛ばれてしまいました、残念。今度は少し離れたところで静かに待っていると、どんどんこちらに近づきます。おかげでちょうどよい近さで撮影ができました。おまけに水浴びするところまでしっかり撮れた!やはりきれいなロケーションで夏羽の姿を撮れたのは良かった。

クロツラヘラサギ
クロツラヘラサギ

引き続きワシミミズクのポイントまで移動しますが、探せど、探せど見つかりません。その姿を見た近所の人が「夜は良く鳴いてるぞ」と教えてくれたという事は、ここはまだ使っているのは間違いないが、タイムアップで切り上げることに・・・1月はいたのに残念です。最後の最後で干潟に寄り短時間ですが水鳥を堪能しました。オグロシギやオオソリハシシギ・コオバシギが夕陽の赤い光に照らされると赤い身体の色が強調され美しかった。ホテルに入る前にホテル近くの食堂で朴さんおすすめのサムゲタンを食べて満足な1日となりました。

シギの群れ
シギの群れ

 

2日目 晴れ

朝食前に希望者だけでホテル周辺で鳥を探しますが、カササギとツバメぐらいしか目に着きません。島に渡る船がお昼なのでそれまでの時間を有効に使うため渡り鳥たちが良く立ち寄るポイントへ移動しますが、思わぬ事態に!いつも鳥を見ている場所にフェンスがしてあり、リゾートホテルを建設中だった。そればかりかポイントでは鳥たちの声すらしない・・・!しかしダルマエナガの声はするので、探すと5~6羽の群れがいて何とか撮影をすることができました。

ダルマエナガ
ダルマエナガ

カササギもいますが、手強いです。ダルマエナガは何とか撮影ができたので、急いで港に戻り手続きを済ませ船に乗りますが・・・?聞いた話と違う。普通の旅客船のはずが・・・まるで揚陸艦!港のスロープに着けてそのまま車も人も乗り込むタイプで、客室は狭く雑魚寝状態。しかしこれ以外の選択肢が無いので仕方がないと諦める。船室で朴さんが買ってきてくれたキンパ(韓国の海苔巻き)を食べるとこれが美味い!以前食べたものとは大違いでこのキンパなら毎回でもいいと感じました。移動中は波もなく穏やかな2時間40分の船旅で無事「鳥たちが降る島」に到着しました。まずは分宿なので各自の宿に荷物を置いて出発します。

五百澤氏の案内で各ポイントを巡りますが、早々に木の枝の葉越しにムシクイたちがざわめきますが、私には何がどれなのかさっぱりちんぷんかんぷんです。五百澤氏がみなさんに詳しく解説をしてくれる。やはり「歩く野鳥図鑑」と呼ばれるだけあって心強い。

キマユムシクイ
キマユムシクイ

その後も鳥たちを探すがあまり種類も数も見られず、ふと五百澤氏を見るとぐったりしている?どうやら鳥たちが抜けてしまっていたようで彼は悪くないのに責任感にさいなまされていたようです。それでもキマユホオジロ・コホオアカ・シロハラホオジロはいたるところで私たちを歓迎してくれました。

キマユホオジロ
キマユホオジロ
コホオアカ
コホオアカ
シロハラホオジロ
シロハラホオジロ

小さな水路は鳥たちの水浴び場所になっているようで、アトリ、マヒワ、オオルリが来ていました。

オオルリ
オオルリ

ハリオシギとコシギがいたのですが撮影はできませんでした。数が多いと言えば、コイカルが多くてきれいなオスの夏羽の特徴の嘴の付け根のコバルトブルーはしっかりと確認できました。

コイカル
コイカル

最後は魚醤タンク周辺で鼻が曲がりそうな臭いの中でイワミセキレイ・ツメナガセキレイ・タイワンハクセキレイ・コサメビタキを撮影して終了することに。帰り道でオジロビタキが出たのですが、しっかりと食事と休息ができていたせいか?元気に飛び回り、私たちを尻目に消えてしまいました。悔しいラストです。

ツメナガセキレイ
ツメナガセキレイ
タイワンハクセキレイ
タイワンハクセキレイ
コサメビタキ
コサメビタキ

 

渡りの本流!韓国・春の離島【後編】

Report by 大西敏一 / 2023年4月25日~30日

 

ツアー3日目

朝目覚めると快晴で風は収まり、波も穏やかです。思わず一人でガッツポーズをしてしまいました。朝食でも皆さん心なしか嬉しそうです。出航が決定し、ホッとした気持ちでチェックアウトを済ませ、港へ向かいました。船に乗り込むと7割程度の乗船率。途中、2つの島を経由して2時間ほどで目的の島に到着です。一昨日から入島している韓国の鳥友からの情報だとホオジロ類が山ほどいるとのこと。宿へ向かう途中、電線に止まっているアカハラツバメを見つけ皆さんと観察。今回は諸事情から2箇所に分かれての宿泊となりましたが、島の宿で各部屋ともトイレ・シャワー付きなのは有り難かったです。

 

はやる気持ちで観察道具をセットし、昼食までの2時間ほど探鳥へ。まずは集落裏の鳥の多いポイントへ行くと、歩くたびに草地からもの凄い羽音を立てて鳥が飛び立ちます。コホオアカとシベリアアオジの大群です。その数、数百!キマユホオジロもめちゃくちゃいます。その一角だけでもそれぞれ1000羽以上はいたと思います。アトリも何百もの数が入っていて、真っ黒な頭にオレンジの胸の雄にドキッとさされます。菜の花には夏羽のノビタキの雄やホオアカが止まっています。背後の林からはカラアカハラやシロハラの囀りが聞こえ、オオルリやキマユムシクイがあたりを飛びます。広葉樹の梢を見るとコイカルの群れが目に入りました。皆さん鳥が多すぎて何を見ていいのかわからない状態で嬉しい悲鳴をあげている様子。と、草むらから少し大きめの鳥が飛び出しました。「コマミジロタヒバリ!」韓国でもレアな部類に入る鳥です。草むらの中でなかなか全身を現さず、そのうち潜って見えなくなってしまいました。遠く飛ぶことをしなかったのでまた出会えるでしょう。

コホオアカの群れ
コホオアカの群れ

島の風景
島の風景

鳥の多いポイント
鳥の多いポイント

 

昼食はユッケジャンと肉鶏タン。午後からの探鳥は東屋の近くで綺麗なコルリの雄が我々を出迎えてくれました。エンベリザとアトリの群れをやり過ごし、歩を進めると聞き覚えのある声がします。声の主はシロガシラでした。今日1日で30羽ほど確認しましたが、この鳥は韓国で分布を広げている代表種で、この島でも繁殖している可能性があります。シベリアジュリンの雌雄を見ながら魚醤タンク置き場へ向かいます。タンクに群がるハエなどの昆虫を狙って多くのセキレイ類を始めとする小鳥が付く場所です。そこではタイワンハクセキレイがそこかしこにいて、真っ赤なムネアカタヒバリの姿も。シマゴマを狙いに峠に向かうと大型ツグミが大合唱していました。カラアカハラがあたりを飛び、時折木に止まるので雌雄や成幼の識別点の説明ができました。ここではアカハラ、クロツグミなど6種の大型ツグミ、ノゴマ、マミジロキビタキなどを確認しましたがシマゴマは鳴き声のみでした。珍しかったのはエゾムシクイで韓国では超レアです。私も20年間で2回しか見たことがありません。それを観ていると、よく似た「ピッ」という声を発しながらひっきりなしにムシクイ類が通過します。今度はアムールムシクイです。忙しい鳥見であっという間に時間が過ぎていきます。これぞ渡りの本流、離島での鳥見です。宿へ戻ると山からコノハズクとアオバズクの声が聞こえてきました。夕食は牛プルコギ。島に渡れたこととコマミジロタヒバリに皆さんと乾杯しました。鳥合わせをすると本日の出現種は72種となりました。

タイワンハクセキレイ雄
タイワンハクセキレイ雄

アムールムシクイ(撮影:藤田明嗣さま)
アムールムシクイ(撮影:藤田明嗣さま)

探鳥風景
探鳥風景

 

ツアー4日目

天候は晴れ。風が幾分吹いています。朝探(朝の探鳥のこと)は6時から開始です。集合前に上空をミサゴとハヤブサが舞っています。昨日一番鳥の多かった菜の花畑に行くとムジセッカが複数囀っています。小さな学校の校庭にはコホオアカやシベリアアオジが群れていて、シロハラホオジロもいます。昨日韓国の鳥友がヒメコウテンシを見た場所をチェックしましたが既に抜けたようでした。残念。広場で鳥を待っていると、どこからかコウライウグイスの声が。「あそこにいます!」五百澤さんがスカイラインの木の中にいるのを発見し、鳴いている場面をプロミナーでじっくり観察できました。広場は小さな人工池があり、珍鳥がでるポイントです。今は水が抜けていますが、雨水が溜まるので鳥が集まります。ぱらぱらといるビンズイを丹念にチェックしているといました!ヨーロッパビンズイです。我々が観察していると韓国のバーダーも到着し、興奮しています。こちらでもそう簡単には見られない種なのです。朝食のため宿に戻る途中、逃げないマミジロキビタキの雄がいてなかなか戻れません。朝食はクロソイの焼き物が出てきました。基本、韓国の食事は野菜や魚中心でヘルシーです。

 

午前の探鳥に出発すると道端には鳥影が多く、シロハラホオジロが増えている感じです。島に鳥が入ってきたのを実感する瞬間です。昨日まで大騒ぎしていたコホオアカやキマユホオジロ、シベリアアオジは、皆さんにはもう普通種になっています。その後、菜の花畑でコマミジロタヒバリを再発見し、今度は姿が見えて大サービス。コイカルも群れで止まっていて雌雄の違いを見比べることが出来ました。島には天然記念物になっている常緑樹の小山がありそちらへ行ってみることに。ヒメイソヒヨがよく出るポイントもあります。木道を歩き、鳥を探しながら登ります。途中、踊り場で一休みしていると上空を小鷹が飛びます。ツミかと思いきや翼先が黒い。アカハラダカです。山頂に着き、昨日鳴いていたコノハズクを探しましたが確認はできずでした。下山後は東屋でまったりと鳥を見ます。歩いての探鳥も良いですが、1箇所留まっていると結構色々なものが見れたりします。その後、発電所脇の草地ではコジュリンの雄やノジコを見ました。

コマミジロタヒバリ
コマミジロタヒバリ

コウライウグイス
コウライウグイス

コイカル雄(撮影:藤田明嗣さま)
コイカル雄(撮影:藤田明嗣さま)

シロハラホオジロ雄(撮影:藤田明嗣さま)
シロハラホオジロ雄(撮影:藤田明嗣さま)

 

昼食を終え、午後からの探鳥は東屋を拠点に周辺をウロウロと探します。朝より逃げない鳥が増えています。採餌に夢中なチョウセンウグイスやケラを捕まえて格闘中のマミジロキビタキの雄が目の前に現れたりとなかなか楽しい。ツグミ類の多かった場所に行くと今度はムシクイ類がたくさんいます。多くはキマユムシクイでしたが、アムールムシクイやヤナギムシクイも出現し、「ムシクイロードだね」と皆さん。その他、クロウタドリの雌、オオヨシキリ、ノゴマなども確認できました。探鳥を終えて宿へ戻ると裏山の稜線にチゴハヤブサが止まっていました。

 

本日の夕食は焼肉、サムギョプサルです。食後にはコピ(コーヒー)を飲みますが、韓国では砂糖とミルクが入りのとても甘いやつを飲みます(最近の若者はブラックが増えているとか)。最初は「そんな甘いのはちょっと」と敬遠していた皆さんもいつの間にか虜になっています。韓国に来るとこれを飲まないと食事が終わった気がしなくなります。面白いですね。食事後の鳥合わせでは78種を観察していました。

キマユムシクイ(撮影:伊藤紀子さま)
キマユムシクイ(撮影:伊藤紀子さま)

ヨーロッパビンズイ(撮影:藤田明嗣さま)
ヨーロッパビンズイ(撮影:藤田明嗣さま)

ラをくわえるマミジロキビタキ雄
ラをくわえるマミジロキビタキ雄

 

ツアー5日目

朝、霧が立ち込めるなか、港にはモンゴルカモメが佇んでいました。この天候で多くの鳥が島に入ってきている様子ですが、朝食後には島を離れなければなりません。朝探でホオジロ類の同じ顔ぶれなどを見ながら歩いているとコウライウグイスの声がします。他にもカラアカハラ、クロツグミ、シロハラが合唱し、シマゴマも鳴いています。霧の中で聞く鳥たちの声はとても幻想的です。と、目の前をヨタカが横切ります。まだまだ面白くなりそうなところでいつも終了です。後ろ髪を引かれながら島を後にし、本土へ戻ります。昼食は海鮮カルグクス。2日目の店よりあっさりしていたかな。

 

午後は車を北へ走らせチョンスマンへ。冬はガンカモ類やハクチョウ、ツルなど多くの鳥たちで賑わう探鳥地として有名な所です。この時期シギチも面白く、このあたりは砂質の干潟もあるのでクンガンとは少し違った種類も期待できます。予想通り干潟にはミヤコドリやオバシギ、キョウジョシギ、チュウシャクシギなどが多く、フラッグ付きのオオソリハシシギも見られました。干潟にいる白いサギを見るとすべてカラシラサギでした。流石は韓国、7羽もいます。シギチドリを堪能したあと、上流の観察舎がある場所へ移動し、カモ類などを観察し、本日の探鳥は終了しました。

 

今日の宿泊地はインチョン。ラストナイトの夕食は韓国の伝統料理・サムゲタン(参鶏湯)。丸鶏の中に高麗人参やもち米、ナツメ、松の実などを詰めて煮込んだ薬膳料理です。今回は全体的に気温が低かったので、探鳥で冷えた体には嬉しい食事です。食後に鳥合わせを行い、本日は84種となりました。

カラシラサギ
カラシラサギ

オバシギ
オバシギ

 

ツアー6日目

朝食はホテルでのバイキング。久しぶりに洋食も嬉しい。最終日の探鳥はクロツラヘラサギとモンゴルカモメの繁殖地へ向かいます。今回は飛行機の関係で午前のみの探鳥になりますが十分に楽しめます。ホテルから40分ほどで現地に到着。調整池の中洲には人工の円形の小島が2つあり、そこでクロツラヘラサギが営巣しています。ただいま繁殖期の真っ只中で、幾つかは雛が孵っています。小さなヘラを持った幼鳥の姿がとてもキュートでした。同じ場所にはモンゴルカモメも営巣していて、こちらも幼綿毛でもふもふの雛の姿が見られました。両種とも今年の繁殖は早いようです。目の前に出てくるガルマエナガを見ているとヨシ原からカモの群れが飛び出しました。アカツクシガモです。池脇の林ではカササギが営巣中でキマユムシクイやシベリアアオジなどの姿も。2時間ほどの探鳥を終え、昼食へ。空港近くの滑走路が見渡せるカフェで韓国冷麺とキンパ(韓国海苔巻き)をいただきました。食事後空港へ向かい、全員でチェックインを済ませ、今回のツアーは無事終了となりました。

㉖アカツクシガモ(撮影:藤田明嗣さま)
アカツクシガモ(撮影:藤田明嗣さま)

営巣中のクロツラヘラサギ
営巣中のクロツラヘラサギ

都会の中の繁殖地
都会の中の繁殖地

今回のツアーでは156種を観察できました。島での滞在は1日短くなってしまいましたが、それでも十分渡りの本流を実感していただけたかと思います。離島は欠航のリスクがあり、渡れないこともしばしばあります。しかし、一度離島マジックを体験してしまうと病みつきになるのがこのツアー。リピーターの方が多いのも頷けます。来年は別の島へ行くことも考えています。今回ご参加いただいた皆さま、本当にありがとうございました。またどこかでお会いできるのを楽しみにしております。

この記事を書いた人

大西 敏一 おおにし としかず
1961年生まれ。大阪府在住。野鳥歴45年。フリーランスとして鳥類調査をメインに執筆、講演、ツアーガイドなどに携わる。離島の渡りに関心があり、韓国の島嶼にも長年通い続けている。シギ・チドリ類やムシクイ・ヨシキリ類などが好み。主な著書に「日本の野鳥590/650」(平凡社)、「世界のカワセミハンドブック」(文一総合出版)などがあり、協力図書も多い。

渡り鳥の楽園・秋の飛島

Report by 簗川堅治 / 2022年10月28日~30日

 

日本海側の離島は、渡りの時期は鳥、鳥、鳥…色々な鳥が所せましとあちこちで見られるのが特徴です。はてさて、今秋は……?

 

1日目。まずはとるものもとりあえず、26日から滞在中の珍鳥・オガワコマドリを見に学校方面へ向かいます。途中、雨が降り出し、雨宿りしながら現場到着。ところが、アオジやカシラダカ、ジョウビタキなどは出てくるものの、待てど暮らせど、オガワコマドリが出てきません。朝はいたので、まだいるはずです。それもそのはず、上空をトビやハイタカがちょくちょく飛んでいます。これでは警戒して出てきません。やっとこれらがいなくなり、またしばし待ったところに、ようやくオガワコマドリ登場!気の済むまでじっくりと観察撮影しました。

オガワコマドリ(撮影:平野様)
オガワコマドリ(撮影:平野様)

 

観察風景
観察風景

 

オガワコマドリを堪能したら、雨が降ってきたので雨宿りです。その間、ハイタカが現れ止まってくれました。

ハイタカ(撮影:簗川)
ハイタカ

 

移動し、道路際に出てくるルリビタキやクロジなどを見ながら、次のポイントで待機。

クロジ(撮影:簗川)
クロジ

カキにやってくる鳥待ちです。時間の都合であまり待機できませんでしたが、メジロとマミチャジナイを観察。最後は1の畑で珍鳥・オジロビタキを見るため移動中に珍鳥・ムジセッカを確認。動きが早く大変だったものの、無事見れました。そうこうしているうちに時間がなくなり、オジロビタキは少し待った程度では出会えませんでした。

 

2日目。朝食前にオガワコマドリに会いに行きました。果たして、まだ残っているか?途中の道では、昨日に比べて鳥が減っている感じです。現場到着後、ほどなくしてオガワコマドリ登場!まだいてくれました。しきりに餌をとっています。ミヤマホオジロやカシラダカ、アオジも数羽。

アオジとカシラダカ(撮影:平野様)
アオジとカシラダカ(撮影:平野様)

朝食後、スタート時間からまたしても雨が降ってきました。どうもすっきりしない天気です。少し雨宿りをし、出発。やはり鳥は減っています。オジロビタキのいる1の畑で、しばし待ちました。しかし、声もせず。抜けてしまったか?それでもオオムシクイが現れ、楽しむことができました。

オオムシクイ(撮影:簗川)
オオムシクイ

2の畑、マユミに来る鳥待ちです。ジョウビタキの他にルリビタキも来ました。

ルリビタキ(撮影:平野様)
ルリビタキ(撮影:平野様)

ごどいも畑ではコホオアカの声がします。3の畑へ移動し、お昼です。鳥待ちしながらでしたが、成果はイマイチ。土捨て場に移動するも、特に何もいなませんでした。中村の畑ではオオムシクイとキマユムシクイを見ました。どっちがどっちなのか、わからなくなる場面も。

キマユムシクイ(撮影:平野様)
キマユムシクイ(撮影:平野様)

オオムシクイ(撮影:平野様)
オオムシクイ(撮影:平野様)

山グラウンド、しばし休憩し、ドコモの畑の隣の畑に寄り、昨日、マミチャジナイなどが来たカキノキに行きましたが、今日は現れず。何もいない。最後はオガワコマドリに会いに行きましたが、これまたお留守で、この日を終えました。

 

3日目。今朝の朝食前の探鳥は自由行動としました。みなさん、それぞれ行動したようです。ガイド簗川は、とりあえず、オガワコマドリがまだいることを確認しました。

朝食後、出航までの4時間半は、昨日と同じように勝浦港から探鳥しました。昨日、そして一昨日と比べると、鳥は段々と減ってきているようです。アオジ、カシラダカ、ミヤマホオジロがパラパラと出てくる程度。

ミヤマホオジロ(撮影:平野様)
ミヤマホオジロ(撮影:平野様)

1の畑でオジロビタキを探すも現れず。昨日のオオムシクイはまだ同じように採餌していました。

2の畑では、昨日まで観察したはしたものの、遠かったりすぐいなくなったりしてよく観察できなかったコホオアカとムジセッカを中心に畑を回りました。ムジセッカはちょっと距離はあったものの、昨日よりはじっくり観察できました。

ムジセッカ(撮影:平野様)
ムジセッカ(撮影:平野様)

コホオアカは見つからなかったので、今度はマユミの実に来る鳥待ちをしました。ジョウビタキ、そしてルリビタキが時折やってきては、世話しなく動き回り、マユミの実を採餌していました。

ここでちょっと小休止。ベンチで休んでいると、何やら人だかりが。オジロビタキが出ているようです。早速行って、観察。杭に止まっては移動しながら、採餌するかわいい姿を見ることができました。

 

我々も食事をとることとし、ベンチで休憩しながら昼食の時間です。すると、今度は目の前にオジロビタキ!よほどお腹が空いているのか、採餌に余念がありません。じっくりと堪能できました。

オジロビタキ(撮影:平野様)
オジロビタキ(撮影:平野様)

時折小雨が降り、鳥の個体数こそ少なめでしたが、オガワコマドリをはじめ、オジロビタキやムジセッカなど、珍鳥はまずまずの成果の3日間でした。参加者の皆さん、お疲れ様でした。ありがとうございました。

この記事を書いた人

簗川 堅治 やながわ けんじ
1967年生まれ。山形県在住。日本野鳥の会山形県前支部長。「何しったのやぁ?こだい寒いどごで(何してるんですか?こんなに寒い所で)」「鳥ば見っだのよぉ(バードウォッチングです)」「こだい寒いどぎ、ほだなどさ、鳥あて、いだんだがしたぁ?(こんなに寒い時にそんな所に鳥がいるんですか?)」私の地元では、こんな会話が日常茶飯事です。鳥はいつでもどこでも楽しめます!見て、聞いて、撮って楽しんでもらうのはもちろん、ほっこりとした温かい時間を過ごしてもらえるように山形弁でがんばります。おらいの(私の)島、飛島さもきてけらっしゃい(飛島にもきてください)!