渡りの本流!韓国・春の離島【2本目・前編】

Report by 五百澤日丸 / 2023年5月2日~7日

 

ツアー1日目

韓国の離島に大西敏一さんの誘いのお陰で渡ってから、早13年が経ちました。コロナ禍のため4年ぶりのツアーとなりました。4月25日の1本目のツアーについで、2本目のツアー開始です。
現状では成田発、仁川着の飛行機が15:50着という夕方になるため、初日はホテルへの移動のみとなりました。1本目のツアー後は、大西さんと仁川にて1日の休日を挟んでホテル待機でした。成田から8名様を空港でお出迎え、無事に合流しました。今回は、来年のために下見で参加する写真家の戸塚学さんも一緒です。総勢、11名は一路、ホテルに向かいます。車中から見掛けた鳥や、高速道路のサービスエリアに隣接するちょっとした林を覗いた程度でしたが、この日は29種ほどを確認しました。だいぶ暗くなっていたとはいえ、時差は無いものの日本よりやや西側になるのでまだ多少明るかったのは救いでした。夕食は参鶏湯を食べてからホテル入りしました。明日の船に向けてゆっくり休みます。

参鶏湯

 

ツアー2日目

朝起きると、晴れていて風も微風。これは文句なしの出航日和です。期待を胸に朝食会場まで歩いて行きます。気持ちの良い朝です。潮の関係で、船は午後便となってしまったが、韓国本土も見どころはいっぱい、余裕の気持ちで朝食をとりました。ところが、その期待の午後便も欠航する、との連絡が入ってしまいました。過去に潮の関係で欠航になったことはありませんでした。聞くところによるとかなりの大潮で、港に船が入れないから、というところのようです。しかたが無いので朝食後、今回の旅の目玉のひとつである、ワシミミズクのポイントに向かいます。1本目のツアーで行った場所と同じところです。1本目のツアーレポートの中で大西さんが書いておられるように、マナーの悪い一部の地元カメラマンのせいで?すぐに逃げてしまう場所になってしまいましたが、遠くから何とか成鳥とヒナを全員で見ることが出来ました。

ワシミミズクの幼鳥

早々に移動して、昼食を食べに移動します。昼食後、今度はちょうど満潮になる、河口干潟に向かいます。思惑通り、だいぶ満ちてきていてシギ・チドリ類は結構近いところに集まってきています。ホウロクシギが多い。ダイシャクシギもいる。チュウシャクシギ、キアシシギ、ソリハシシギ、オオソリハシシギ、オグロシギ、ウズラシギ、トウネン、ハマシギ、エリマキシギ、アカアシシギ、シマアジ・・・などなど2,000羽くらいはいただろうか。十分に観察でき満喫することができました。明日はきっと大丈夫だろうと期待しながらホテル近くで夕食をとり、各自、部屋に戻りました。この日は84種確認しました。

河口干潟とシギ・チドリ類
オグロシギ群飛

 

ツアー3日目

朝起きると、空気は冷たく風が出始めている。これまでこの程度の楓は問題なく出航してきたので、大西さんも現地の人も安心していました。朝食を取っていると、なにやら現地ガイドさんの携帯に電話がなった。ガイドの朴さんの顔が曇る・・・。まさか・・・。電話を切った朴さんの話では、船会社からの連絡で午前便は欠航とのお知らせだったとこのと・・。何と言うことでしょう・・・。午後便が出航になることが決まるのは11時頃だと言うので、今度はすぐ戻れる岬へと出向く。ここは本土でも渡りの鳥が多少見られる場所です。落ち込んでいても始まらないし、今後、どうやって鳥を多く楽しめるかを考えながら進めていくしかありません。しかし、岬へ行っても鳥が少ない・・・。今、ここで少ないと言うことは、離島も同様に少ないことが予想されます。それでも離島の方が、当然、何かしらいるのは間違いないでしょう。考えてもしかたが無いので、とにかく必死に鳥を探します。地つきのダルマエナガが多少見られたのと、あとはせいぜいシベリアアオジやムジセッカの声がする程度でした。

シベリアジュリン

11時頃、朴さんの携帯に連絡が入る。固唾を飲んで遠くから見守っていると、朴さんの手が「ばってん」と、示しました・・・。午後便も欠航となったのです。ショックが大きすぎて、しばらく思考停止・・・するも、この後どうするかを考えなくてはなりません。大西さんは現地の友人とやりとりし、朴さんも知り合いの研究者からポイントを訪ね、五百澤もかつて韓国で10年ほど調査していた友人に連絡してポイントを教えて貰うなどしました。昼食後は、これらの3つのポイントを巡りましたが、やはり天候のせいでしょうか、どこも鳥が少なくて、全体的には非常に物足りないものでした。しかし、本当にどうしようもありません。それでも、カラアカハラ、シベリアジュリン、シギ・チドリ類を堪能して、宿に戻りました。旅程変更のため、本土の宿もいよいよ明日からほぼとれない状況です。不安の中、部屋に戻り、この日も終わりました。

ハシブトガラ
昼食の海鮮カルグクス

 

この日は71種確認しました。多くの情報を教えてくださった、現地のバーダーや研究者、友人に心から深く感謝致します。ありがとうございました。

この記事を書いた人

五百澤 日丸 いおざわ ひまる
新潟県在住。(有)レイヴン・所属。鳥類調査を中心に、執筆、写真撮影、ツアーガイドを行う。一番の関心事は、ヒマラヤ山脈から台湾・南西諸島・朝鮮半島・日本にかけての鳥類の分類・分布。主な著書に「日本の鳥550 山野の鳥 増補改訂版」(共著/文一総合出版)、「日本の野鳥650」(共著/平凡社)など。他にも著書多数。