大雪山・旭岳のギンザンマシコと海鳥の聖域・天売島
<後編>

Report by 戸塚学 / 2025年6月13日~17日

4日目 天売島 霧~曇り 

5時に起床してウォッチング船からの連絡を待ちます。参加者には5時30分に出航できる状態で待機を連絡してもらっています。20分に連絡があり出航が決定。今日は天売港からです。集合してから車で港に向かいます。今日は風が南なので反時計回りで赤岩を目指すとの事。早速出航をすると辺り一面ウトウが浮いています。霧がかかっていますが明るいので速いシャッターが切れるのはありがたい。

ウトウ

先に進むにしたがいケイマフリの姿が増えます。泳ぐ姿、波しぶきを上げて走り飛翔する姿も、岩で休む姿も撮れました。

ケイマフリ
ケイマフリ
ケイマフリ

それよりも明るい時間にケイマフリと一緒に岩の上でくつろぐウトウを間近で撮影ができるなんて!昨日の暗いライトアップの中とは大違いです。

ウトウとケイマフリ

その後もゼニガタアザラシや珍しいヒメウの営巣、ウミウ、オオセグロカモメの繁殖コロニーを観察しながら赤岩へ向かいますが霧が濃いのでここで引き返すことになりました。私たちも一旦船から戻り朝食を美味しく頂きました。

ゼニガタアザラシ

さてこの後どうするかです。ダメ元で霧の赤岩展望台に向かうと、霧の合間から岩の上にとまるケイマフリが!

ケイマフリ

撮影を楽しんでいるとだんだんと霧がはれて視界が広がります。そうなれば飛翔するケイマフリやこちらに向かって飛んで来る姿を撮影してもらいます。かなり難しいのですが、コツとカメラの設定を教えてここからはスパルタ撮影会です。チャンスが多いので何度も繰り返すうち、それなりのカットは撮れたようです!

ケイマフリ
ケイマフリ
ケイマフリ

10時を過ぎるとケイマフリの飛翔が減ります。そんな時ですハヤブサが岩棚にとまったのでしっかりと撮影してもらいます。ふと、下の海を見るとウミガラスが3~4羽海の上に浮かんでいます。これがもし太陽が出ていれば「天売ブルー」の海の上に浮かぶウミガラスだったのにとちょっと悔しかった。鳥たちの動きもなくなってきたので、島をゆっくりと一周しながら鳥たちを探しながら撮影します。ノゴマは多いのですがなかなか手強い。天売島では気を付けなければいけないことがある。それは昼食難民。お店が早い時間に閉まってしまうので食べられなくなる危険性が!最悪は宿の天売マフレでも食べられるができれば違うモノが食べたい。そこで港の食堂へ行くと・・・定休日。なお営業時間はAM10:30~PM13:30!あっぱれじゃ。結局宿の隣の番屋という店で食べる事になりました。その後は約2時間の休憩にしました。

 

今日も夕食時間が早いので車で移動して森の中を散策します。しかし時間が悪いのでさえずりは少なく、いるのはノゴマばかり。うまく撮れる場所にいればいいのですが、ともかく悩ましい。

ノゴマ

クロツグミの美声も聞こえますが姿は見つけられません。そのうち足元で鳥の鳴き声が凄くしますが見当たりません。約15分嘗めるように探すとようやく近くの枯れ枝が積み上げられている場所に巣立ったばかりのヒナ鳥がちょこんと乗っていました?頭にはまだ幼羽が残っています。アオジの巣立ちびなでした。

アオジ

その後アカゲラがけたたましく鳴くので近くに巣があるのがわかります。しばらくするとこちらを警戒して出てきた姿を撮影してその場を離れました。草原ではノゴマ祭り!声はしますがシマセンニュウは見当たりません。ようやくノビタキのペアを見つけましたが遠い!けれど撮ってもらいます。ノビタキの巣立ちびなもいましたがこちらは撮れませんでした。

 

早めの食事を済ませて帰巣するウトウを狙いに行きます。途中以前クロツグミがいた場所に来るとオスがミミズ獲りに必死になっていたので、ラッキーなことに撮影ができました。私は運転席のドアを開けると逃げられる可能性があるのでじっと我慢(笑)さて到着すると昨日よりもウトウが早く戻って来ます。その嘴にはびっしりと小魚が!次から次へと戻る個体のどれもが魚を持っています!

ウトウ

どうやら久しぶりに大漁だったようで皆早い時間に戻ってきたようです。曇り空ではあるが風向きもいい事でまさに次から次へとこちらに向かって来る姿は圧巻です!今日は年に1,2回のお祭りのようです!暗くなり撮影ができないなか3人でこの圧巻の光景を堪能しました。今日は最高の1日です。ライトアップはさすがにあまりみなさん興味が無いようで、時間になりガイドの車に着いて宿へ戻りました。

5日目 天売島~旭川空港 曇り~雨~晴れ

今日も電話待ち。雨が降っているので中止かなと思っていると出航との事。ただ今日は前浜港という小さな港から。集合をすると雨は止んでいます。ここから一気に赤岩へ向かいウミガラスを狙うとのことでした。到着するとウミガラスが増えていてびっくり!以前はデコイの方が多かったのに今は生きてる個体の方が多い。ただし海に浮かんでいる姿は確認できません。しかしコロニーから飛び立つ姿が見られるのでみなさんにそれを伝えて撮影してもらいます。しかしいい時代になった、こんな撮影が簡単にできてしまう!

ウミガラス

その後、昨日と同じコースを回りますが、今日はあまり明るくないので撮影がイマイチ。風向きが変わったという事で、天売港で降ろされてから業者の車で前浜漁港へ向かい、車を取りに行った後参加者をピックアップして宿へ。この日は時間的に廻っている余裕がないので朝食後はゆっくりと時間を取り、天売港でフェリーを待ちます。天気が悪いので外には出ず船内でまったりとしてもらいます。羽幌港に着くと雨足も強いのでとりあえず空港に向かい走らせました。途中道の駅で昼食を食べたのですが、ここが安い!少し離れただけでこんなにも値段が違うとは。しかし長時間ここにいたわけではないが、この時間が帰りの到着時間に影響してしまった。乗る飛行機が今回も遅れるという事もあるが、本来の到着時間よりも30分遅くなってしまったため、次回はコンビニで買っていただき車内で食べていただくのが良いと良い経験になった。

 

なかなか初めてのツアーで不手際もありましたが、もってる参加者のみなさん十分に楽しんでいただけたのではと思いました。ご参加ありがとうございました。

撮影できた鳥
ヒメウ・ウミウ・アマツバメ・ウミネコ・オオセグロカモメ・ウミガラス・ケイマフリ・ウトウ・ノスリ・アカゲラ・ハヤブサ・モズ・コムクドリ・ノゴマ・ノビタキ・ハクセキレイ・カワラヒワ・クロツグミ・ギンザンマシコ・ウソ・アオジ・カヤクグリ・ゼニガタアザラシ

見られた&声が聴かれた鳥
キジバト・ドバト・アオサギ・ツツドリ・ウミスズメ・トビ・ハシブトガラス・ハシボソガラス・シジュウカラ・ヒバリ・ヒヨドリ・ウグイス・エゾセンニュウ・シマセンニュウ・コヨシキリ・オオヨシキリ・ムクドリ・ルリビタキ・イソヒヨドリ・キビタキ・オオルリ・スズメ・ベニマシコ・アリスイ・キタキツネ

この記事を書いた人

戸塚 学 とつか がく
高校3年生の時写真に興味を持ち、幼少の頃から好きだった自然風景や野生の生き物を被写体として撮影をする。20歳の時、アカゲラを偶然撮影できたことから、野鳥の撮影にのめり込み、「きれい、かわいい」だけでなく、“生きものの体温、ニオイ”を感じられる写真を撮ることが究極の目標。野鳥を中心としたネイチャー系フォトグラファーを目指す。作品は雑誌、機関紙、書籍、カレンダー、コマーシャルなどにに多数発表。
●日本野鳥の会会員 ●西三河野鳥の会会員 ●SSP 日本自然科学写真協会会員

渡り鳥の楽園・秋の飛島

Report by 簗川堅治 / 2022年10月28日~30日

 

日本海側の離島は、渡りの時期は鳥、鳥、鳥…色々な鳥が所せましとあちこちで見られるのが特徴です。はてさて、今秋は……?

 

1日目。まずはとるものもとりあえず、26日から滞在中の珍鳥・オガワコマドリを見に学校方面へ向かいます。途中、雨が降り出し、雨宿りしながら現場到着。ところが、アオジやカシラダカ、ジョウビタキなどは出てくるものの、待てど暮らせど、オガワコマドリが出てきません。朝はいたので、まだいるはずです。それもそのはず、上空をトビやハイタカがちょくちょく飛んでいます。これでは警戒して出てきません。やっとこれらがいなくなり、またしばし待ったところに、ようやくオガワコマドリ登場!気の済むまでじっくりと観察撮影しました。

オガワコマドリ(撮影:平野様)
オガワコマドリ(撮影:平野様)

 

観察風景
観察風景

 

オガワコマドリを堪能したら、雨が降ってきたので雨宿りです。その間、ハイタカが現れ止まってくれました。

ハイタカ(撮影:簗川)
ハイタカ

 

移動し、道路際に出てくるルリビタキやクロジなどを見ながら、次のポイントで待機。

クロジ(撮影:簗川)
クロジ

カキにやってくる鳥待ちです。時間の都合であまり待機できませんでしたが、メジロとマミチャジナイを観察。最後は1の畑で珍鳥・オジロビタキを見るため移動中に珍鳥・ムジセッカを確認。動きが早く大変だったものの、無事見れました。そうこうしているうちに時間がなくなり、オジロビタキは少し待った程度では出会えませんでした。

 

2日目。朝食前にオガワコマドリに会いに行きました。果たして、まだ残っているか?途中の道では、昨日に比べて鳥が減っている感じです。現場到着後、ほどなくしてオガワコマドリ登場!まだいてくれました。しきりに餌をとっています。ミヤマホオジロやカシラダカ、アオジも数羽。

アオジとカシラダカ(撮影:平野様)
アオジとカシラダカ(撮影:平野様)

朝食後、スタート時間からまたしても雨が降ってきました。どうもすっきりしない天気です。少し雨宿りをし、出発。やはり鳥は減っています。オジロビタキのいる1の畑で、しばし待ちました。しかし、声もせず。抜けてしまったか?それでもオオムシクイが現れ、楽しむことができました。

オオムシクイ(撮影:簗川)
オオムシクイ

2の畑、マユミに来る鳥待ちです。ジョウビタキの他にルリビタキも来ました。

ルリビタキ(撮影:平野様)
ルリビタキ(撮影:平野様)

ごどいも畑ではコホオアカの声がします。3の畑へ移動し、お昼です。鳥待ちしながらでしたが、成果はイマイチ。土捨て場に移動するも、特に何もいなませんでした。中村の畑ではオオムシクイとキマユムシクイを見ました。どっちがどっちなのか、わからなくなる場面も。

キマユムシクイ(撮影:平野様)
キマユムシクイ(撮影:平野様)

オオムシクイ(撮影:平野様)
オオムシクイ(撮影:平野様)

山グラウンド、しばし休憩し、ドコモの畑の隣の畑に寄り、昨日、マミチャジナイなどが来たカキノキに行きましたが、今日は現れず。何もいない。最後はオガワコマドリに会いに行きましたが、これまたお留守で、この日を終えました。

 

3日目。今朝の朝食前の探鳥は自由行動としました。みなさん、それぞれ行動したようです。ガイド簗川は、とりあえず、オガワコマドリがまだいることを確認しました。

朝食後、出航までの4時間半は、昨日と同じように勝浦港から探鳥しました。昨日、そして一昨日と比べると、鳥は段々と減ってきているようです。アオジ、カシラダカ、ミヤマホオジロがパラパラと出てくる程度。

ミヤマホオジロ(撮影:平野様)
ミヤマホオジロ(撮影:平野様)

1の畑でオジロビタキを探すも現れず。昨日のオオムシクイはまだ同じように採餌していました。

2の畑では、昨日まで観察したはしたものの、遠かったりすぐいなくなったりしてよく観察できなかったコホオアカとムジセッカを中心に畑を回りました。ムジセッカはちょっと距離はあったものの、昨日よりはじっくり観察できました。

ムジセッカ(撮影:平野様)
ムジセッカ(撮影:平野様)

コホオアカは見つからなかったので、今度はマユミの実に来る鳥待ちをしました。ジョウビタキ、そしてルリビタキが時折やってきては、世話しなく動き回り、マユミの実を採餌していました。

ここでちょっと小休止。ベンチで休んでいると、何やら人だかりが。オジロビタキが出ているようです。早速行って、観察。杭に止まっては移動しながら、採餌するかわいい姿を見ることができました。

 

我々も食事をとることとし、ベンチで休憩しながら昼食の時間です。すると、今度は目の前にオジロビタキ!よほどお腹が空いているのか、採餌に余念がありません。じっくりと堪能できました。

オジロビタキ(撮影:平野様)
オジロビタキ(撮影:平野様)

時折小雨が降り、鳥の個体数こそ少なめでしたが、オガワコマドリをはじめ、オジロビタキやムジセッカなど、珍鳥はまずまずの成果の3日間でした。参加者の皆さん、お疲れ様でした。ありがとうございました。

この記事を書いた人

簗川 堅治 やながわ けんじ
1967年生まれ。山形県在住。日本野鳥の会山形県前支部長。「何しったのやぁ?こだい寒いどごで(何してるんですか?こんなに寒い所で)」「鳥ば見っだのよぉ(バードウォッチングです)」「こだい寒いどぎ、ほだなどさ、鳥あて、いだんだがしたぁ?(こんなに寒い時にそんな所に鳥がいるんですか?)」私の地元では、こんな会話が日常茶飯事です。鳥はいつでもどこでも楽しめます!見て、聞いて、撮って楽しんでもらうのはもちろん、ほっこりとした温かい時間を過ごしてもらえるように山形弁でがんばります。おらいの(私の)島、飛島さもきてけらっしゃい(飛島にもきてください)!