渡りの本流!韓国の離島バードウォッチングツアー【前編】

Report by 大西敏一&五百澤日丸 / 2025年5月3日~7日

5月3日:初日 / Report by 五百澤日丸

今年も韓国離島ツアーがやってきました。このところのツアーは天候に恵まれないこともあり、不安な気持ちもありましたが、多くの鳥たちに会えることを期待しつつ仁川国際空港へ向かいました。

関空組は私一人なので参加者の皆さんとは仁川で顔合わせです。仁川に到着するとあいにく雨。午後からの回復予報を期待しつつ、中部からご参加の方々と合流し談笑していると、成田便が遅延との一報が。現地添乗の朴さんといつものドライバーさんとも合流し、ファストフード店でしばし待機。13時過ぎに成田組の方たちが到着する頃にはすっかり雨も上がっていました。これは幸先が良いぞ。皆さん機内食が出ていたので昼食はパスし、ホテルに向かい、荷物を置いて早々に探鳥に出かけました。

まずはいつものクロツラヘラサギの繁殖する場所へ。調整池のど真ん中の人工島でクロツラヘラサギとモンゴルセグロカモメが繁殖しています。例年ならこの時期は両種とも可愛いヒナの姿が見られるのですが、今年はまだ抱卵中のようです。気温の低い日が続いたからかもしれません。そこではアカツクシガモ、セイタカシギ、コガモに混じるシマアジなども観察。定番のダルマエナガはなかなか手ごわくて写真が難しそうです。

調整池に浮かぶ人工島
セイタカシギ(藤田正昭さま撮影)

その後、クロツラヘラサギが至近距離で見られる湿地公園へ移動。お約束どおり、本種が近い。散歩の人が通るすぐ横で採餌していて、スマホでも撮影できそうです。セイタカシギもすぐ近くにいます。1枚の田んぼにバンが10羽もいる場所があり、デイスプレイや争いなどいろいろな行動が見られて楽しめました。他にはアカハラツバメ、ヒバリシギ、タカブシギなどが見られました。

クロツラヘラサギ(C)五百澤日丸
アカハラツバメとツバメ(大林修文さま撮影)

初日最後の探鳥は干潟で。以前、ホウロクシギなどが数百いた場所ですが、干潮のタイミングだったようで、多くのシギチは遠くで蠢いていました。それでもダイゼン、オオソリハシシギ、ダイシャクシギ、ホウロクシギなどはそこそこの距離で観察ができ、特にズグロカモメの夏羽がひっきりなしに目の前を飛び回り、干潟でシャコの仲間などを捕って食べる場面もありました。気温が低いうえ、風が強く、寒くなってきたので長居はせず本日の探鳥を終了。

夕食はいつもの店でサムギョプサルです。明日は皆さんと渡島できることを願って美味しくいただきました。

ズグロカモメ成鳥夏羽(大林修文さま撮影)
サムギョプサル

この日確認した鳥:56種

 

5月4日:2日目 / Report by 大西敏一

朝起きて、真っ先に空と風を確認した。快晴でほぼ無風。これなら船は出そうです。ホッと胸をなで下ろしながら、ホテルの朝食会場へ行くと、皆さん、すでに朝食バイキングへと集まっておられました。出航が9時なので、朝食は6時30分からです。今日は離島に渡ることが最優先のため、早朝の探鳥はご遠慮いただきました。朝食後、専用車にてフェリーターミナルへと向かいます。

韓国も連休2日目となっているので、道路もやや混んでいます。ターミナルの駐車場も満車で入れません。外で下ろしてもらい荷物を持って乗り場へと向かいます。中に入るとものすごい混雑ぶりで、座る場所もありません。たくさんある離島の船乗り場なので、みんながみんな、同じ離島ではないので、心配はありませんが、それでも満席とのことでした。8時40分、乗船し指定席に座ります。9時に出港すると鏡のような海面を滑るように走ります。船酔い止めはいつも飲みますが、この日は飲まなくても大丈夫そうでした。黄海は海鳥がいつも少なく、ずっと探していてもほとんどいなくて疲れるだけで後悔します。モンゴルセグロカモメとウミネコ、カワウ(亜種が気になるところです)、ウミウ程度で、参加者の中でヒメウも確認されました。12時30分、目的の離島に無事に到着しました。これで一安心です。今回の宿は以前もお世話になってペンションで、そちらの迎えのバスに乗り込んで、まずは宿に入ります。荷物を置いたら昼食会場へ行って腹ごしらえです。

今回の離島のペンション
ウミネコ

 

13時30分、昼食後、宿に戻りひと休憩して観察機材を各自準備していよいよ探鳥の開始です。宿の周りには林、荒れ地、農耕地があり、集合中、宿の木にとまっているシベリアムクドリ、キマユムシクイ、バフマユムシクイ、ヤナギムシクイと次々と鳥たちが出てきます。始めから渡りパワー?全開で参加者もガイドもどうして良いのかわからなくなるような嬉しい悲鳴が続きました。

離島の環境(荒れ地)
シベリアアオジ(五百澤撮影)

 

まずは宿の前の荒れ地を見ながら舗装道路をゆっくりと進みます。足下から次々と小鳥たちが現れては藪に入ります。地面で草本の種子を一生懸命についばんでいます。シベリアアオジ、コホオアカが中心で、キマユホオジロ、シマノジコ、シマアオジなどなど。その数は日本の離島の比ではありません。シベリアアオジやコホオアカなど各1,000羽は楽にいる感じだし、シベリアムクドリも200羽程度の群れでいます。チョウセンメジロも20羽程度の群れが飛んできて目の前の桜の低木に入り、一気に盛り上がりました。空を見ると、ハチクマとサシバが結構な柱を作り、東から西へと渡っていきます。その中にアカハラダカやアカアシチョウゲンボウの姿も確認できました。大西さんがノゴマやアカモズを説明していると、こちらでアリスイやハリオシギなど出て、どこを見たら良いのかわからなくなるほどでした。

ノビタキ(五百澤撮影)
ハチクマ(五百澤撮影)

 

こうしてあまり歩く前に時間は過ぎていき、あっという間に夕方になってしまいました。終了間際、チャキンチョウが1羽飛んでいく姿を見ましたが、去った方向を探しても見つからず・・・。日没は日本より西にあるだけ(時差はない)、まだまだ明るかったのですが、18時30分に夕食の時間となり、本日はここで、終了です。

 

この日確認した鳥:106種

 

 

5月5日:3日目 / Report by 五百澤日丸

後述しますが本日は渡りが大爆発した一日でした。いつどこを見ても鳥がいる状況で長年韓国に来ていますがなかなかお目にかかれない、素晴らしい鳥見の一日でした。

今日は島に一日滞在して探鳥ができる日です。朝5時半に探鳥へ出発。空は昨日とうって変わり曇天で霧も出ています。このような天気の時は渡り鳥たちが島に降りてくる可能性が高く、ときに大当たりになることがあるのです。昨日のコースを逆に辿りながら回ってみることに。いきなり道端からハリオシギが飛び出し、コイカルやサンショウクイが群れで飛びます。ツツドリ、カラアカハラ、キマユムシクイなどがよく囀っています。オウチュウは複数で出現。昨日五百澤さんが見たチャキンチョウ目当てに定点観察をしているとマミジロキビタキの雄が現れ、端ではムジセッカが囀り始めました。上空を見上げるとマミチャジナイとカラアカハラの大群が何度も渡っていきます。明らかに小鳥類が増えてきている感じです。水田地帯に抜ける途中でシロハラクイナやシマノジコを確認。まだ水が張っていない田んぼでは、ツメナガセキレイ3亜種、アカガシラサギ、シマアオジなどをじっくりと観察しました。朝探だけで61種を観察。

コイカル・シベリアムクドリ・コムクドリ・シロガシラの水浴び(大林修文さま撮影)
オウチュウ(大林修文さま撮影)
マミジロツメナガセキレイ(大林修文さま撮影)

 

朝食のメインはカレイの煮つけ。ゆっくりと食事をしたあと9時半から探鳥を再開。宿前の電線にはシベリアムクドリが飛来し、桜にはアカマシコの群れも現れたので皆さんで観察。宿前の空き地を歩くとマミジロタヒバリやジシギが飛び出します。綺麗なノゴマの雄の姿も。ツメナガセキレイやホオジロハクセキレイを見ているとケリが1羽佇んでいます。本種は離島でたまに見られる珍鳥です。ムクドリ類の声がするので見ると数十羽の群れが飛んできて木に止まりました。なんとほとんどがシベリアムクドリ!カラムクドリも混ざっています。さながらシベリアムクドリがなる木には皆さん大興奮。遠くの電線にも群れが止まっています。

アカマシコ雄と雌(藤田正昭さま撮影)
シベリアムクドリのなる木(藤田正昭さま撮影)

その後、カラアカモズやマミジロキビタキなどを見たあと、海岸でしばしカモメウォッチング。ウミネコが多く、モンゴルセグロカモメの姿もちらほら。ひときわ背中の色が濃い個体がいたので見ると足の色が黄色い。ホイグリンカモメかと思いましたが、そこまで背中が濃くないのでtaimyrensisタイプでしょう。成鳥の初列風切はすべて換羽している点もモンゴルセグロカモメと違うポイントです。ここではミヤコドリやタイワンハクセキレイなども近くで観察しました。海岸横の小さな公園もポイントです。草地にはシマアオジやキマユホオジロ、コホオアカなどがいます。コイカルの声のする方を見ると数十羽木に群がっています。シベリアムクドリやシロガシラも羽繕いをしています。どうもそばに水たまりがあり、そこで水浴びしたものが木に移って休んでいるようでした。結局、午前中だけで103種を観察しました。

モンゴルセグロカモメ第1回冬羽(藤田正昭さま撮影)
シマアオジ雄(藤田正昭さま撮影)

 

昼食は豆腐チゲ。スープがとても美味しい。朴さんのコーディネイトで辛いのが苦手な方も安心して美味しい韓国料理が食べられるのもこのツアーの良いところです。食事を終えて店を出ると近く木にマミジロキビタキが止まっています。と、「クロウタドリ!」と五百澤さん。見ると目の前の畑に雄がいます。コウライウグイスも数羽飛んできます。少しも気が抜けないのが離島の渡りです。宿に戻り、バスから降りると今度はブッポウソウが10数羽飛来して木に止まりました。私は宿にカメラを置いて食事に出ましたが、私がカメラを持っていないと必ず何かが出るジンクスは健在で、皆さんに「今後はカメラ無しでお願いします」と言われ大爆笑でした。

マミジロキビタキ雄(藤田正昭さま撮影)

少しの休憩を挟み、14時から探鳥スタートです。オジロビタキが宿裏にいたようでお客さんが綺麗な雄を撮影されていました。宿前の電線には奇麗なシベリアムクドリの雄が止まっています。午後は少し遠出をして以前のツアーで色々と見られた島の南部の集落を目指すことに。しかし現地に着いて驚きました。ここ数年の間に風景が変貌しており、良かったポイントは軍施設のフェンスで仕切られていたり、農地には住宅がいくつも建っていて探鳥ポイントが無くなっていました。これは島だけのことではなく、本土側でも様々な理由で探鳥ポイントが失われているのはとても残念なことです。

オジロビタキ雄(大林修文さま撮影)

早々にその場を離れ、ある程度戻った位置から徒歩で水田地帯を進みながら宿まで戻るコースに変更。幸い今回は鳥影が濃いので歩きながらじっくり探す方が色々と見られそうです。途中、軍人さんから職務質問を受けるハプニングを挟みながら探鳥が進みます。キマユムシクイやマミジロキビタキが増えていて、後者を撮りたかった方も無事カメラに収められたようです。畑と隣接するブッシュにイワミセキレイが出現。皆さん色めき立ちます。独特の声も聴かれました。ここではオジロビタキやアムールムシクイ、シマノジコ、シロハラホオジロ、アカガシラサギなども見られました。

イワミセキレイ(大林修文さま撮影)

 

ふと空を見上げると断続的にブッポウソウの群れが飛んでいきます。一体、何羽通過して行くのでしょうか。水田地帯を歩くとアカガシラサギが何度か出現。田植え前の田んぼではシマアオジの雄やハリオシギ、ツメナガセキレイ3亜種などを観察。シベリアアオジやコホオアカはどこにでもいます。昨日のチャキンチョウポイントで定点観察をしているとブッポウソウとコウライウグイスの群れが飛来し、木に止まったのを皆さんとじっくり観察。宿には18時過ぎに戻りましたが、再びブッポウソウの群れが。数えると70羽以上。コウライウグイスもわらわら飛んでいきます。今日一日でブッポウソウはゆうに300羽以上は見られたし、シベリアムクドリに至っては一生分見たような感じでした。

シマノジコ雄(大林修文さま撮影)
コウライウグイスとブッポウソウ(大林修文さま撮影)

本日の夕食はペクスクという地鶏を使った鍋です。参鶏湯のようにナツメグなど漢方的なものやコウタケなどが入っていて美味しい。今日のような鳥だらけの島にはずっと居たいですねと皆さんと乾杯。食事が終わり店を出ると遠くコノハズクが鳴いていました。

ぺクスク

この日確認した鳥:116種

 

後編に続く………

この記事を書いた人

大西 敏一 おおにし としかず
1961年生まれ。大阪府在住。野鳥歴45年。フリーランスとして鳥類調査をメインに執筆、講演、ツアーガイドなどに携わる。離島の渡りに関心があり、韓国の島嶼にも長年通い続けている。シギ・チドリ類やムシクイ・ヨシキリ類などが好み。主な著書に「日本の野鳥590/650」(平凡社)、「世界のカワセミハンドブック」(文一総合出版)などがあり、協力図書も多い。

この記事を書いた人

五百澤 日丸 いおざわ ひまる
新潟県在住。(有)レイヴン・所属。鳥類調査を中心に、執筆、写真撮影、ツアーガイドを行う。一番の関心事は、ヒマラヤ山脈から台湾・南西諸島・朝鮮半島・日本にかけての鳥類の分類・分布。主な著書に「日本の鳥550 山野の鳥 増補改訂版」(共著/文一総合出版)、「日本の野鳥650」(共著/平凡社)など。他にも著書多数。

渡りの季節 天売島 バードウォッチング三昧

Report by 今堀魁人 / 2025年5月3日~6日

 

1日目

初日は15時頃に天売港で集合しツアースタート!、、、のはずが、まさかの船が欠航!いきなり翌日振替を余儀なくされ、波乱のツアースタートとなりました。

 

2日目

翌日は無事に船の運航が決まり、10時頃天売島に到着しました。到着後は1日分の遅れを取り戻すべく、早速島内を巡ります。島を回ると、あちこちでのゴマの囀りが聞こえ、天売島らしさ全開です。

ノゴマ

ウミネコの繁殖地である黒崎海岸では、卵を抱くのが下手な母カモメも。無事に成功することを祈りましょう。

母カモメ

そしてアリスイなどを見ていると、午後の最後にオオルリの大群が!ここまでのオオルリの群れは珍しく。その中には離島らしい亜種チョウセンオオルリの姿も!そして夜にはウトウの帰巣を見に出かけます。真横を掠める帰巣シーンは圧巻です。明日はどんな鳥に出会えるでしょう?

オオルリ

 

3日目

3日目の早朝はケイマフリを探しに赤岩展望台へ。目の前の岩でまったりとするケイマフリやこちらに向かって飛んでくる姿が見られました。

ケイマフリ
ケイマフリ

そしてこの天売島のみ国内で繁殖しているウミガラスも!午前中、そして夕方には再度森の中で小鳥探し。ムギマキが一気に入りましたが、昨日あんなにいたオオルリは消え、日毎に鳥たちが渡っているということを実感できましたね。

ムギマキ

そして夜は変わらずウトウの撮影に出かけましたね。前日の経験を生かし、いい写真やいい場面を見ることはできたでしょうか?

魚を運ぶウトウ

明日は最終日です。予報は良くないですが、なんとか海鳥クルーズに乗れますように!

 

4日目

あっという間の最終日ですが、今日も風が強く、残念ながら海鳥クルーズの乗船は叶わず。気を取り直して赤岩展望台で最後のケイマフリとウミガラス観察です。たくさんのウミガラスやまったりとしたケイマフリを観察できましたね。ツアー終了後に土橋様から連絡があり発覚しましたが、6時18分になんとカツオドリが飛んでいました!これは北海道初記録でかつ、かなり貴重な記録となるでしょう。赤丸の部分にカツオドリが飛んでおりましたので、ぜひ確認してみてください!

カツオドリが!

そして宿に帰ると最後の最後にヤツガシラ!の声が。

ヤツガシラ

本当に最後まで何が出るかわかりませんね。夕方にまた戻って来てくれ、姿を確認することができました。本当に毎日ドキドキワクワクできるのが離島の魅力です。

この記事を書いた人

今堀魁人 いまほり かいと
北海道紋別市出身。西遊旅行・バードガイド、ネイチャーガイド。幼い頃から野鳥や自然に魅了され、北海道を中心に野鳥・野生動物の撮影に没頭。まだまだ駆け出しの身ですが、生まれ育った北海道を拠点に、自然の中で暮らす野鳥の魅力をツアーを通して感じていただけるよう精進しております。ぜひ世界遺産「知床・羅臼」にも遊びに来てください!

仙台湾でたっぷり海鳥観察 1本目

Report by 田野井博之 / 2025年1月21日~23日

冬の仙台としてはとても珍しく、ツアー期間中は温かく海況も穏やかで、予定していた3日間全てで出船することができました。海況は日々異なるため、航行コースは状況に併せて選定し、海鳥を探しました。3日間の主な結果は以下のとおりです。

 

<ウミスズメ類>

本ツアーの中でも一番の目的となるマダラウミスズメは、1日目に計25羽、2日目に計16羽、3日目に計7羽を見ることができました!主に1~2羽で見られ、6羽の小群も確認しました。
本種の国内における渡来数は大きく減少しているものの、仙台湾では現在も継続して越冬しています。その個体数も、この10年ほどに限った中では減少している傾向はありません。仙台湾は間違いなく重要な越冬地の1つと言えるでしょう。一方で、ここ数年は黒潮の接近などによる海水温度の上昇とそれに伴う魚種の変化が確認されているため、今後の本種の生息状況の動向が気になるところです。

2羽のマダラウミスズメ
休息するウミスズメの群れ
ウトウ

ウミスズメは数羽~十数羽の小群が見られました。仙台湾では、海水温度の高い冬は個体数が少ない傾向にあり、平年比で4℃ほど海水温度が高い今冬は、例年より少ない結果となりました。

ウトウは1~3羽、時に5~6羽ほどの小群が見られました。ほとんどの個体は顔の白い飾り羽のある生殖羽になっていました。

 

<アビ類>

3日間を通じてアビ、シロエリオオハム、オオハムの3種類が見られました。
アビは主に岸沿いに多く、シロエリオオハムとオオハムは沖合側に多い傾向があります。餌場は日変化が大きく、観察される個体数は日によって大きく異なります。今回のツアーでは、1日目はシロエリオオハムが多く、2日目はオオハム、3日目はアビが多い結果となりました。

アビ

 

<カイツブリ類>
3日間を通じてアカエリカイツブリ、カンムリカイツブリ、ハジロカイツブリの3種類が見られました。また、ミミカイツブリが見られた日もありました。

 

<海ガモ類>
3日間を通じてスズガモ、ビロードキンクロ、クロガモ、ウミアイサが見られました。ウミスズメと同様に、仙台湾では海水温度の高い冬は海ガモ類が少ない傾向にあり、今冬も例年より少ない結果となりました。

飛び立つビロードキンクロ

 

<カモメ類>

ミツユビカモメ、ユリカモメ、ウミネコ、カモメ、オオセグロカモメの計5種類が見られました。ミツユビカモメは沖合を好むカモメ類ですが、海況や餌の状況によって仙台湾の奥部へ入ってくることがあります。今回は沖合がやや時化ていた1日目に、数十羽の群れを見ることができました。

 
ミツユビカモメ・ウミネコ(左から1羽目と2羽目)・カモメ(右から1羽目)
 

<トウゾクカモメ類>

1日目にトウゾクカモメ1羽が見られましたが、残念ながら遠くを飛翔したのみで、じっくりと観察することはできませんでした。

 

 

これほど海況の安定した3日間は私自身も初めての経験でした。
3日間、長時間の乗船・観察、大変お疲れ様でした。

 

この記事を書いた人

田野井博之 たのい ひろゆき
1985年生まれ。小学生の時に野鳥の観察を始める。東北地方を中心に鳥類調査に携わりつつ、関心のある海鳥やシギ・チドリ類、チュウヒなどを見るため全国各地へ。特に海鳥の識別や生態に強い興味を持ち、国内外を問わず観察を続けている。

夏の小笠原 ゆったり探鳥入門スペシャル

report by 吉成才丈 2023年9月1日~6日

 

1日目
おがさわら丸が定刻で竹芝桟橋を出港するとウミネコが舞い始め、アクアライン周辺からはオオミズナギドリも出現。他に東京湾内ではカルガモやアジサシ、アオサギ、ダイサギなども観察できました。

ウミネコ
ウミネコ

 

東京湾から外洋にでると、アナドリやアカエリヒレアシシギ、ハイイロヒレアシシギ、シロハラトウゾクカモメ、アカアシカツオドリなども出現し、初日にしてはまずまずの成果がありました。船上での探鳥が初めての方もいましたので初日から無理はせず、皆さんのペースでお楽しみ頂きました。

オオミズナギドリ
オオミズナギドリ

 

2日目
デッキは日の出の30分ほど前に解放されるため、まだ薄暗いうちからデッキにでて観察を開始。心配された台風は熱帯低気圧に変わり、さらに予想ルートからも遠ざかり、予想外に静かな海でした。
そんななか、オナガミズナギドリやアナドリがポツポツと出始め、いよいよ南の海域に入ってきた印象が強まります。

オナガミズナギドリ
オナガミズナギドリ

 

完全に明るくなる前にアカアシカツオドリが一瞬横切り、シロハラミズナギドリやクロトウゾクカモメなども出現。
カツオドリは船に付き、船の周囲を飛翔しながらトビウオを狙います。海に飛び込むカツオドリを狙う方でデッキの動きも活発になり、恒例のカツオドリ祭りも盛況でした。

父島の二見港で下船すると慌ただしくははじま丸に乗り換え、ははじま丸からの海鳥観察を開始。オナガミズナギドリやアナドリ、クロアジサシなどが出現しますが、船が小さいため、おがさわら丸からよりも近くで観察できました。
母島が近づくと船に付くカツオドリが増え、カツオドリ祭り再開。皆さん、手を伸ばせば届きそうなほど接近するカツオドリに大興奮していました。

母島の港に着くと、迎えに来ていた宿の車に荷物を預け、母島の中心部を散策しながら宿に向かいました。もうすぐ宿というところで、目の前をオガサワラノスリが横切りました。もしかしたら..と思って1ブロック先まで進んで覗き込むと、期待通りに電柱にとまっていてくれました。光線状態や背景も考えて周囲を見回すと、我々がとまる宿の玄関がベストポジションであることが判明。さらに、皆さんの部屋からなら更に条件がよくなることがわかり、部屋からも撮影して頂きました。

オガサワラノスリ
オガサワラノスリ

 

一息ついたのちに専用車に迎えに来てもらい、この日は観察ポイント数か所を軽く巡り、ハハジマメグロやアカガシラカラスバトなどを探索。
そう、この日のうちにハハジマメグロとアカガシラカラスバトが見られてしまうと気が楽になるのですが、ハハジマメグロは橋の上から目線でちょろちょろしているところをゲット。

皆さんでメグロを撮影していると、同じ木の枝に黒っぽい大き目の鳥がとまっているのを発見。なんと、アカガシラカラスバトが橋から見下ろす枝にとまっていました。アカガシラカラスバトはずいぶん見ましたが、地上で採餌しているところを除くと、5mも見下ろす枝にとまっているのを見たのは初めてで驚かされました。

ハハジマメグロ
ハハジマメグロ(ケンスケ様 撮影)

アカガシラカラスバト
アカガシラカラスバト(ケンスケ様 撮影)

3日目
夜明け前の薄暗い時間に宿の前に集合すると、オガサワラオオコウモリが上空を飛翔していきました。
この日も朝食前の早朝、午前、午後と専用車で島を巡り、森や耕作地、港周辺などをじっくり観察。ハハジマメグロやオガサワラノスリ、キョウジョシギ、ムナグロなども観察しましたが、アカガシラカラスバトには出会えませんでした。

また、港にはカツオドリが飛び回っていたり建物の屋根にとまっていたりするなど、本州ではあまり見られない光景もお楽しみいただきました。こんな光景が落ち着いてみられるのも、母島2泊というのんびりプランのおかげですね。

カツオドリ
カツオドリ

 

4日目
この日も朝食前の薄暗い時間、朝食後の午前中に専用車で島を巡り、ハハジマメグロを堪能していただきました。
そして、午後のははじま丸で父島に移動。船上からの観察では、またまたカツオドリ祭りが開催されました。

カツオドリ
カツオドリ

 

父島では、早めの夕食後にナイトウォッチングに出発。地元ガイドさんの案内でオガサワラオオコウモリを探すと、カラスのような大きな姿を何頭も確認できましたが、あの大きさは、初めてご覧になった方は驚きますよね。

オガサワラオオコウモリ
オガサワラオオコウモリ

 

コウモリ観察の後は、光るキノコ<グリーンペペ>を求めて山に移動しました。父島のガイドさんが環境を整備したという場所でライトを消すと、真っ暗闇の中に星空のような光景が浮かび上がりました。このきのこは、ある程度雨が降らないと光らないという事でしたが、幸運にも緑色に光る光景を見ることができました。

そして驚くことに、周囲は真っ暗闇なのに、わずかな光しか放たないグリーンペペがミラーレスカメラで撮影できてしまったのです。もちろん、ISOをかなり上げましたが、暗闇の中で小さな光るキノコが、それも手持ちで撮影できるとは思いませんでした。

グリーンペペ
グリーンペペ

 

5日目
今年は宿の周辺にアカガシラカラスバトが降りないとのことで、早朝の探鳥はやめ、予定より早めに南島に渡り、帰った後に集落近くを散策するプランに変更。しかし強風で予定していた南島の船が欠航になったため、急遽、専用車で島内を巡ることになりました。

まず、グラウンドでシギ・チドリを探すと、数羽のムナグロを発見。ムナグロをじっくり観察していると、端の方ででタカブシギも見つかりました。続いて向かった八瀬川河口ではカワセミやオガサワラノスリを観察。

ムナグロ
ムナグロ(YK様 撮影)

 

そして最後に、認定ガイドと一緒でないと入れないというアカガシラカラスバトのサンクチュアリーを訪ねました。残念ながらカラスバトには出会えませんでしたが、これまでの経緯やとりくみ、現在の状況、ハトの生態などの話を実際の現場で見聞きでき、意義深い訪問だったと思います。

眺望のよい展望台で景色を楽しんだ後に街に戻ると、周辺を少し散策して一旦解散。各自で昼食をとったのちに港で集合しておがさわら丸に乗船し、出港後の見送りを受けたあとに海鳥観察を開始。
カツオドリやアカアシカツオドリ、オナガミズナギドリ、アナドリなどを観察し、聟島列島が見えなくなるあたりまでデッキで過ごしました。

カツオドリ
カツオドリ(YK様 撮影)

アカアシカツオドリ
アカアシカツオドリ(YK様 撮影)

 

6日目
いよいよ最終日となりましたが、海鳥観察のチャンスはまだあります。この日も、日の出前の薄暗い時間帯からデッキで観察しました。早朝の時間帯にはまだオナガミズナギドリもでていましたが、次第にオオミズナギドリが姿を見せるようになり、いつの間にかオナガミズナギドリとオオミズナギドリが入れ替わっていました。
他にアナドリなども見ながら大島沖まで進むと、ほぼ昨年と同じ位置で潜水艦が出現。浮上しながら大島方面に進む潜水艦と交差して東京湾に入るあたりで一旦観察を終了し、東京湾内は自由行動とさせて頂きました。

今年は船上から観察されるミズナギドリの種類が少なめでしたが、ツアーのタイトル通り、小笠原の固有(亜)種を含めてゆっくりお楽しみ頂けたかと思います。

 

(確認種33種)

 

この記事を書いた人

吉成 才丈 よしなり としたけ
1962年生まれ、東京都在住。東京都千代田区で、バードウォッチング専門店<Hobby's World(ホビーズワールド)>および鳥類調査会社<(株)日本鳥類調査>経営。バードウォッチングのガイドで、全国各地も巡る。歳時記的に、毎年同じ時期に同じ探鳥地を訪ねることが多く、タカやシギチの渡り、ガン類の越冬、海鳥などを観察・撮影するのが楽しみ。バードウォッチングは、だれでも気軽に楽しめる趣味だと思っています。難しく考えることなく、皆さんのペースで楽しんで頂けるように心がけています。

渡り鳥の楽園・春の飛島

Report by 簗川堅治 / 2022年5月14日~16日

 

日本海側の離島は、渡りの時期は鳥、鳥、鳥…色々な鳥が所せましとあちこちで見られるのが特徴です。はてさて、今春は……?

 

1日目。一足早く島に入っていたガイドの簗川ですが、なんて言うことでしょう!島に鳥がいません。珍鳥どころか、普通種もいない有様。本当にほとんどいません。原因は晴天続きなことが考えられます。鳥が島に降りるのは、理屈上は天気が悪い時です。大海原を渡っている時に天気が崩れると、緊急避難的に島に降ります。逆に天気がいいと、島には降りませんし、島にいたものは飛び立っていきます。

 

そんな中でのスタートとなりました。何もいない島内をただただ歩くだけの時間が過ぎていきました。ようやく法木でミヤマホオジロ♂とキビタキ♀を見ました。

ミヤマホオジロ
ミヤマホオジロ(撮影・日下部様)

ヘリポートではチゴハヤブサがあっという間に通り過ぎ、サンショウクイが林縁に出てきました。

サンショウクイ
サンショウクイ

鼻戸崎では夕方恒例のアマツバメの乱舞が観察できました。

アマツバメ
アマツバメ(撮影・大林様)

校庭にも寄りました。ここも鳥がいませんでしたが、桜の木の下に鳥影がありました。アカハラです。

アカハラ
アカハラ(撮影・日下部様)

校庭での探鳥
校庭での探鳥

すると今度は冬鳥のジョウビタキ♂の登場です。

ジョウビタキ
ジョウビタキ(撮影・日下部様)

まだいるとは驚きです。帰り道では中村集落でムギマキのさえずりが聞こえてきましたが、姿は見えず。コシアカツバメの声がすると思ったら、上空を飛ぶ姿を確認しました。手前の電線にコシアカツバメがいて、ツバメと並んでいました。

コシアカツバメ
コシアカツバメ(撮影・大林様)

2日目。早朝、カラスバト狙いで定点です。いつもは30分も待っていれば現れて、そこそこじっくりと見られるのですが、ついてない時はついてないらしく、現れてくれませんでした。続いて校庭へと向かいました。今日もジョウビタキがいました。オオルリのさえずりが聞こえてきたので、辺りを見渡すと、いました。

オオルリ
オオルリ

緑に青がきれいです。続いて「ツィー」と小声で飛び出してきたのはマミチャジナイです。

マミチャジナイ
マミチャジナイ(撮影・日下部様)

さて、この日は1便欠航です。朝食後、ウミネコのコロニーを観察し、孵ったばかりのヒナを確認。

ウミネコのコロニー
ウミネコのコロニー(撮影・日下部様)

お隣の崖には、常連のハヤブサが登場。そのうがパンパンに膨れています。

ハヤブサ
ハヤブサ(撮影・日下部様)

鳥は相変わらずしないので、観光がてらに柏木山に登り、御積島を眺めました。

白瀬沢ダムでは、昼食をとりながらセンダイムシクイとオオルリなどが少し観察できました。マミジロのさえずりも聞こえました。

センダイムシクイ
センダイムシクイ(撮影・大林様)

四谷ダムも鳥影はなく、林道を進んで八幡崎へ。すると、2の畑でアカモズの亜種カラアカモズが出たとの情報が入り、戻って再び2の畑へ。島中のバードウォッチャーが集まったかのように人だかりが!探すことしばし、いました、いました、カラアカモズ!

やや遠いものの、いい所に止まっては地面に降りて、餌をとることを繰り返しています。ようやく鳥を見た感が出てきました(笑)

亜種カラアカモズ
亜種カラアカモズ(撮影・日下部様)

3日目、最終日です。今日も鳥はいません。昨日同様、ウミネコのコロニーとハヤブサを観察。

ウミネコの親子
ウミネコの親子(撮影・大林様)

ハヤブサ
ハヤブサ(撮影・大林様)

風もなく天気もいいので、一路、荒崎へ向かいました。御積島を眺めつつ、名物のカンムリウミスズメを探します。ベタ凪なので好都合です。すると、200m程度は離れているものの、6羽のカンムリウミスズメを確認!うち3羽は少し手前にいます。これはラッキーです。御積島とカンムリウミスズメを見ながら昼食をとり、今回のツアーを終えました。

カンムリウミスズメ
カンムリウミスズメ(撮影・大林様)

 

天気が良すぎて生憎、鳥はいませんでしたが、これも離島の宿命です。次回はきっといい鳥に出会えることを期待しながら、解散しました。

この記事を書いた人

簗川 堅治 やながわ けんじ
1967年生まれ。山形県在住。日本野鳥の会山形県前支部長。「何しったのやぁ?こだい寒いどごで(何してるんですか?こんなに寒い所で)」「鳥ば見っだのよぉ(バードウォッチングです)」「こだい寒いどぎ、ほだなどさ、鳥あて、いだんだがしたぁ?(こんなに寒い時にそんな所に鳥がいるんですか?)」私の地元では、こんな会話が日常茶飯事です。鳥はいつでもどこでも楽しめます!見て、聞いて、撮って楽しんでもらうのはもちろん、ほっこりとした温かい時間を過ごしてもらえるように山形弁でがんばります。おらいの(私の)島、飛島さもきてけらっしゃい(飛島にもきてください)!