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落下の王国 4Kデジタルリマスター

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インド・イタリア・ナミビア など

落下の王国 4Kデジタルリマスター

 

The Fall

監督:ターセム
出演:リー・ペイス、カティアンカ・アンタルーほか
日本公開:2025年

2025.9.17

「旅映画」を語る上で絶対にはずせない1本―24カ国以上を空想で旅する

1915年、映画の撮影中に橋から落ちて大怪我を負ったスタントマンのロイは、病室のベッドで絶望の淵にあり、自暴自棄になっていた。そんな彼は、木から落ちて腕を骨折し入院していた5歳の無垢な少女アレクサンドリアと出会う。ロイは動けない自分の代わりに、アレクサンドリアに薬剤室から自殺用の薬を持ってこさせようと考え、彼女の気を引くために即興の冒険物語を語り始める。

それは、愛する者や誇りを失い、深い闇に沈んだ6人の勇者たちが力を合わせて悪に立ち向かう壮大な物語だった。

この映画を観て、西遊旅行が取り扱っているインド等の旅行の行先に「行きたい!」と思った方は、多いのではないでしょうか。驚愕の自主映画『落下の王国』(元々は2006年公開、日本では2008年)が4Kデジタル・リマスターで劇場公開されます。

世界24カ国以上でロケがなされていますが、特にインドのロケ地が印象的です。

北インド旅行でおなじみのタージマハルやファティプールシクリなども登場しますが、片っ端から有名なところで撮っているわけではもちろんありません。全て「落下」というコンセプトで一貫性が保たれています。

スタントマンのロイは、「落下」することが日常茶飯事ですが、仕事でもプライベートでもどん底の状態で病院で半身不随の状態にあります。でも、想像では浮遊することができ、5歳のアレクサンドリアがそれを手伝います。

こちらはラジャスタン州ジャイプール郊外の村にある階段井戸チャンド・バオリのショット。終盤で登場するのですが、落下と浮上のせめぎわいが最も強い場面のひとつです。

本作では、この場面写真のような遠めのショット(ロングショット)が印象的です。もちろん景観や建築をダイナミックに映し取る意図もあるかと思います。しかし、おそらく制作陣が言わずして強くこめている思いがあると、約15年ぶりに鑑賞して僕は改めて思いました。

遠めや俯瞰のショットは、映画文法では「神の目線」とも言われます。「落下」するようなこと、つまり絶望とか挫折とか敗北とか失敗とか、そういうことがあっても「浮上」することはかならずできる。そんなメッセージを、矛盾しているようですが、悲しく美しいストーリーから強く感じられる作品です。

ナミビアのナミブ砂漠、トルコのアヤソフィア、アルゼンチンのブエノスアイレス植物園など、名実ともに世界を旅する映画『落下の王国 4Kデジタルリマスター』は、11月21日(金)より新宿武蔵野館、ヒューマントラストシネマ有楽町、Bunkamura ル・シネマ渋谷宮下、グランドシネマサンシャイン池袋ほか、全国順次公開。その他詳細は公式HPをご確認ください。

天空のチベット ラダック

5,000m級の山々に囲まれた山岳地帯に位置するラダック地方。外界から隔絶されたこの地域は、チベット文化が今も深く根付いています。ツアーでは8日間で厳選した見どころを巡り、ラダックの文化と自然を堪能します。

天空の湖 パンゴン・ツォ

インドと中国にまたがり横たわる巨大な湖パンゴン・ツォ。レーからは、5,320mの峠チャン・ラを越えてゆきます。標高約4,250mに位置するこの高山湖は塩気を含み、藻が生えず、魚が生息しません。そのため、水は透き通り鮮烈な紺碧の輝きを放ちます。6,000m級のヒマラヤの山々に囲まれた湖の絶景をお楽しみください。

シアター・プノンペン

7b09bc5633d53445©2014 HANUMAN CO., LTD

HanumanFilms-Logo (2) パンドラ配給

カンボジア

シアター・プノンペン

 

The Last Reel

監督:ソト・クォーリーカー
出演:マー・リネット、ディ・サーベット、ソク・ソトゥン、トゥン・ソーピー、ルオ・モニーほか
日本公開:2016年

2016.6.29

映写機から放たれる未来への光
カンボジア人女性監督による決意の一作

映画の舞台は現代カンボジア。首都・プノンペンは、1970年代のクメール・ルージュ(ポル・ポト派)による恐怖政治の時代を経て、今ではグローバルなダンス音楽が街中に響くようになっています。一方、テレビでは大量虐殺を繰り広げたポル・ポト派の裁判がいまだに続く・・・そうした描写から映画は始まります。

主人公の女子大生・ソポンはふと入った映画館「シアター・プノンペン」で流れている作品に自分の母が出演していることを発見します。その作品『長い家路』はポル・ポト派による作品処分を切り抜けた貴重な作品で、母の美しい姿にソポンは魅了されますが、フィルムの最後の一巻が欠けていることを映写技師から聞きます。そして、ソポンは病床の母のために物語の結末を自分で完成させたいと思うようになります。

ソボンの熱意は徐々にまわりの人々の感情や人生を動かしていきますが、その原動力となっているのはカンボジアの過去をみつめる監督自身の眼差しの強さに他なりません。自国の目を背けたくなるような歴史をしっかりとみつめ、一体何が起きたのか、これからの世代に何を伝えられるのかということを必死で模索しているエネルギーが映画から伝わってきます。

私自身、クメール・ルージュによる惨劇を世界史の授業で学ぶ知識以外で実感した出来事があります。Dengue Feverという2000年代アメリカのカンボジアン・サイケデリック音楽バンドがきっかけで知った人気女性歌手パン・ロン(劇中でもうっすらと似たような曲が流れています)がポル・ポト時代に粛清されたと知ったことです。パン・ロンの曲を聞くと50・60年代当時のにぎやかな雰囲気がそのまま私の耳に響いてきましたが、何の罪もない彼女の身にあった悲劇を知った時、まるで曲が何か重要なものを置き去りにした状態で鳴っているように聞こえました。ソボンもきっと未完の映画から何か抜け落ちたイメージを受け取って、それを必死で埋めようとしているのだと終始共感しながら鑑賞しました。

プノンペン  メイン写真

監督のソト・クォーリーカーはこれから東京国際映画祭製作のオムニバス映画への参加も決まっている注目の新人女性監督です。映画の冒頭から「おそらくこの作品は女性が撮ったのだな」とわかる独特の瑞々しいタッチで物語が描かれます。期待の女性監督の情熱を体感したい方、カンボジアの今と過去を見つめてみたい方にオススメの作品です。

7月2日(土)より岩波ホールにて公開
以後、全国順次公開予定。

その他詳細は公式サイトからご確認ください。

ハノイからプノンペンへ陸路で繋ぐ
アジアハイウェイ1号線を行く

2015年1月に開通した橋を利用しベトナムからカンボジアへ。7つの世界遺産も訪問。

大クメール周遊

クメール王朝の歴史を紐解くゆとりある遺跡探訪の旅。シェムリアップに5連泊・こだわりのホテルに滞在。

プノンペン

カンボジアの首都。フランス植民地時代の美しい建物が残り、「東洋のパリ」とも称される。カンボジア国王の居住地・カンボジア王宮には、今も国王一家が暮らす。