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落下の王国 4Kデジタルリマスター
監督:ターセム
出演:リー・ペイス、カティアンカ・アンタルーほか
日本公開:2025年
「旅映画」を語る上で絶対にはずせない1本―24カ国以上を空想で旅する
1915年、映画の撮影中に橋から落ちて大怪我を負ったスタントマンのロイは、病室のベッドで絶望の淵にあり、自暴自棄になっていた。そんな彼は、木から落ちて腕を骨折し入院していた5歳の無垢な少女アレクサンドリアと出会う。ロイは動けない自分の代わりに、アレクサンドリアに薬剤室から自殺用の薬を持ってこさせようと考え、彼女の気を引くために即興の冒険物語を語り始める。
それは、愛する者や誇りを失い、深い闇に沈んだ6人の勇者たちが力を合わせて悪に立ち向かう壮大な物語だった。
この映画を観て、西遊旅行が取り扱っているインド等の旅行の行先に「行きたい!」と思った方は、多いのではないでしょうか。驚愕の自主映画『落下の王国』(元々は2006年公開、日本では2008年)が4Kデジタル・リマスターで劇場公開されます。
世界24カ国以上でロケがなされていますが、特にインドのロケ地が印象的です。
北インド旅行でおなじみのタージマハルやファティプールシクリなども登場しますが、片っ端から有名なところで撮っているわけではもちろんありません。全て「落下」というコンセプトで一貫性が保たれています。
スタントマンのロイは、「落下」することが日常茶飯事ですが、仕事でもプライベートでもどん底の状態で病院で半身不随の状態にあります。でも、想像では浮遊することができ、5歳のアレクサンドリアがそれを手伝います。
こちらはラジャスタン州ジャイプール郊外の村にある階段井戸チャンド・バオリのショット。終盤で登場するのですが、落下と浮上のせめぎわいが最も強い場面のひとつです。
本作では、この場面写真のような遠めのショット(ロングショット)が印象的です。もちろん景観や建築をダイナミックに映し取る意図もあるかと思います。しかし、おそらく制作陣が言わずして強くこめている思いがあると、約15年ぶりに鑑賞して僕は改めて思いました。
遠めや俯瞰のショットは、映画文法では「神の目線」とも言われます。「落下」するようなこと、つまり絶望とか挫折とか敗北とか失敗とか、そういうことがあっても「浮上」することはかならずできる。そんなメッセージを、矛盾しているようですが、悲しく美しいストーリーから強く感じられる作品です。
ナミビアのナミブ砂漠、トルコのアヤソフィア、アルゼンチンのブエノスアイレス植物園など、名実ともに世界を旅する映画『落下の王国 4Kデジタルリマスター』は、11月21日(金)より新宿武蔵野館、ヒューマントラストシネマ有楽町、Bunkamura ル・シネマ渋谷宮下、グランドシネマサンシャイン池袋ほか、全国順次公開。その他詳細は公式HPをご確認ください。
天空の湖 パンゴン・ツォ
インドと中国にまたがり横たわる巨大な湖パンゴン・ツォ。レーからは、5,320mの峠チャン・ラを越えてゆきます。標高約4,250mに位置するこの高山湖は塩気を含み、藻が生えず、魚が生息しません。そのため、水は透き通り鮮烈な紺碧の輝きを放ちます。6,000m級のヒマラヤの山々に囲まれた湖の絶景をお楽しみください。