至福のレストラン 三つ星トロワグロ

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フランス

至福のレストラン 三つ星トロワグロ

 

Menus Plaisirs – Les Troisgros

監督: フレデリック・ワイズマン
日本公開:2024年

2026.3.18

ガストロノミーは映画の如し―観察ドキュメンタリーの名匠の遺作

樹々と湖に囲まれたフランスの村ウーシュにあるレストラン、トロワグロ。

建築家パトリック・ブシャンの手による、周囲の自然と解け合うモダンなレストランでは、オーナーシェフ3代目のミッシェルと4代目のセザール、そしてスタッフたちのあくなき食への追求が日々つづいている。

メニューが創造される瞬間、厨房での調理、食事風景をはじめ、市場や、オーガニックの農園、牧場、チーズ工場へ赴き、人と自然が共存するパーマーカルチャーに取り組む姿などを通して、創業以来94年間、家族で始めたレストランがなぜ変わることなく愛されつづけてきたのか、その秘密をカメラがとらえていく⋯

2026年2月に96歳で本作の監督であるフレデリック・ワイズマンが亡くなりましたので、追悼も兼ねてご紹介したいと思います。僕は最近ドキュメンタリー方向にシフトしつつありますが、ワイズマン監督のスタイルを一番参考にしています。

ワイズマン監督の作品は「観察映画」というスタイルで、インタビュー・説明テロップ・音楽等を使用しないミニマムなアプローチで、撮影現場には3人(監督ご自身で録音を担当)しかいかないそうです。

こういうレストランのドキュメンタリーとなると、大抵ドキュメンタリーの内容は「裏側」と表現されるかと思いますが、ワイズマン監督の作品は先述したアプローチの結果「ありのまま」がカメラにおさめられています。

もちろん「裏側」的なシーン描写もおおいに楽しめる作品です。「こんな充実した環境で、こんな真剣議論の末、こんな紆余曲折の上、ひとつひとつのお皿がお客さんのもとに運ばれてくるのか!」という驚きの瞬間は、4時間の中に数多くあります。

でも、僕が本当に面白いなとワイズマン監督の作品をいつも観て思うのは「やりとり」とその「響き」です。トロワグロの皆さんは店内でも店外でも色んなやりとりをしていきます。特に僕が好きなのはシェフ・ソムリエとお客さんのやりとりです。フランス料理店でシェフが机を尋ねてくるというのはさほど珍しくないかもしれませんが、この映画ではカメラがしっかり立ち会った状態で料理を通じた人生談義が交わされます(ここにカメラを同席させてくれるのがフランス人らしい!)。

ワイズマン監督はプライベートでトロワグロを訪れて、あまりに美味しすぎたのでその場で映画監督という素性を明かしたうえでトロワグロ側に交渉したといいます。そのとき、シェフの方はフレデリック・ワイズマンというのは誰なのか調べて驚き、即OKしたそうです。

常々思うのですがガストロノミーと映画というのはどこか通じるものがあります。料理を通して物語・シーンを見せるのがガストロノミーだとすると、ほとんど映画と同じだと思うほどです。ワイズマン監督がご自身の人生の集大成を、映画とガストロノミーのかけあわせで体現した一作。ぜひご覧になってみてください。

ガストロノミー・ウォーキング
【スペイン&フレンチバスク&アンドラ公国編】

スペイン、フランス、アンドラ公国・3ヶ国をハイキングで楽しみ、お腹を空かして美味しいものを食べる!秋の恵み「旬」を楽しむコースです。美味しいレストランにも行きますが、それ以外に、美食の街としても名高いバスク州のビルバオとサン・セバスティアンの旧市街でのバル巡りや、地元ガイドとベルゲダの森を散策し、きのこ狩りも楽しみます。また、スペイン産スパークリングワイン「CAVA」の老舗ワイナリーにも訪れます。食文化を楽しむガストロノミーというテーマに加えて、歩いて自然の恵みを享受する「ガストロノミー・ウォーキング」を考えてみました。スペイン再訪にもおすすめのコースです。