あなたの名前を呼べたなら

ef5481c837a9cc75© 2017 Inkpot Films Private Limited,India / © Inkpot Films

インド

あなたの名前を呼べたなら

 

Sir

監督:ロヘナ・ゲラ
出演:ティロタマ・ショーム、ヴィヴェーク・ゴーンバルほか
日本公開:2019年

2019.7.31

大都会・ムンバイの片隅で―身分を越えた孤独の共鳴

南アジア最大級の国際都市・ムンバイ。農村出身のラトナはファッションデザイナーを夢見ながら、建設会社の御曹司・アシュヴィンが住む高層マンションの一室で、住み込みメイドとして働いている。

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アシュヴィンはまもなく結婚するはずだったが、婚約者の浮気が発覚して破談となる。落ち込むアシュヴィンを気遣いながら、ラトナは彼の身の回りの世話をする。

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19歳のときに夫を亡くしたラトナは、田舎に住む妹の学費を「自分とは違う人生を歩んでほしい」という想いでムンバイから仕送りしつつ、裁縫を学びはじめようとしてアシュヴィンに伺いをたてる。

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真摯に働き夢を叶えようとするラトナの姿は、心に空白を抱えたアシュヴィンにとって力強く映り、やがてアシュヴィンはラトナに心を寄せるようになる。しかし、インドに深く根付いた階級社会の壁が2人の間に立ちはだかる・・・

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日本の20倍もの国土を持つインドという国は、決して一言で語り切ることができない複雑さに満ちています。各地に根付いた文化・風習・言語もさることながら、植民地支配の名残、階級社会、カースト制度などは、旅するだけでは到底その全体像を掴むことはできません。

しかし本作では、廊下で度々すれ違い、ギフトを贈りあい、互いを励まし、思いを伝え合うラトナとアシュヴィンの「交換」から、現地人の感覚を追体験することができます。

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ユニークな点は、ラトナがムンバイという大都会にある種の希望を見出している点です。社会格差というトピックを描くために、ともすると、田舎から出てきた主人公が都会の荒波に翻弄されるという典型的なストーリーテリングになりがちなところを、本作は「未亡人になった時点で田舎では『人生終わり』だが、都会には人生を変えられるチャンスがある」という観点で物語が紡がれています。

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そのため、物語の源泉が「希望・夢」というポジティブなところから湧いていて、ムンバイという都市も「冷たさと無関心が渦巻く大都会」というイメージではなく、「ビーチがあって開放的でスタイリッシュな都市」という旅情が掻き立てられるような見え方がするはずです。

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アシュヴィン役のヴィヴェーク・ゴーンバルが出演した『裁き』(2017年公開作品)も、インドの複雑さ・多様さを垣間見れる作品なので、併せてぜひチェックしてみてください。

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シリアスさな問題を扱いながらも優美な世界観を持つ『あなたの名前を呼べたなら』は、8/2(金)よりBunkamuraル・シネマほかにてロードショー。その他詳細は公式ホームページをご覧ください。

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ムンバイ

現在のムンバイは7つの島々から構成され、インドの中でも商業の中心地として発展してきました。その歴史は古く、最初に確認されている歴史は紀元前2世紀頃よりこの辺りには漁民が住んでいたと言われています。