ガンジス源流へ! ヒンドゥー教の聖地、仙境シブリンベースキャンプ訪問③

ナマステ! 西遊インディアの橋本です。

 

ガンジス川の源流域と、その先にある仙境・シブリンベースキャンプを目指すトレッキングのご紹介、3回目。前回の記事②では、ガンゴートリーからシブリンベースキャンプを目指してトレッキングをスタートし、チルバサ、ボジバサを経るまでの行程を紹介しました。

 

いよいよ今回は、シブリン・ベースキャンプとガンジス源流点のゴウムクに到着です。

 

シブリンが間近に見えてきました!

2018年までは、チルバサを出発した後まずゴウムクへと向かい、氷河を横断してシブリンベースキャンプに行くルートが一般的でした。しかし2019年以降、大規模な土砂の崩落があり、右岸側からゴウムクに行くルートは閉鎖されたため、今はボジバサからすぐにバキラティ川を渡って左岸側から歩き、ベースキャンプを目指すルートが取られています。
超アナログ(人力)のロープウェイにて対岸へ移動します。

 

ロープウェイに乗って移動。4人乗りなのでぎゅうぎゅうです

 

■ガンジス川の「始まり」ゴウムク
ゴウムクとは・・・ガンジス川の最源流点と呼ばれる場所です。背後にそびえるバギラティの山肌に口以外の牛の顔を想定し、水を吐き出す氷河を牛の口にたとえて、そのように呼ばれています(ゴウ、Gau(牛)+ムクMukh(口)、「牛の口」という意味です)。少し遠くから眺めたほうが牛の顔をより実感できます。
このガンゴートリー氷河舌端部ですが、以前は、現在の位置より500mも手前にあったのだそうですが、地球温暖化やその他環境の変化により著しいスピードで氷河が後退しているとのことです。

 

バギラティ―山群とゴウムク

記事①にて、バラナシの街を流れるガンジス川を紹介しました。全長約2525kmの大河の最源流部となるガンゴートリー氷河の末端部から流れ出る一滴…、まさしくガンジス川の「始まり」を目の前にすると、とても感慨深いものがありました!
このゴウムクもヒンドゥー教徒のひとつの聖地です。ヒンドゥー教の巡礼者も多数訪れていました。

 

すれ違ったヒンドゥー教徒の巡礼者たち

 

■シブリンB.C(タポバン) 到着!!
人力のロープウェイで対岸に移動後、ゆるやかに標高を上げつつシブリンの方角へ歩みを進めます。ゴウムクを眼下に見下ろす急登が出現したら、そこが最後のチャレンジです! ここは一番危険とされる落石エリアでもあり、5月ですと雪解けの水が所々流れ、勢いよく流れ落ちる小川を踏ん張って横断する箇所もあり、注意が必要です。これまで割と平坦な道を来ていたこともあり、最後の急登はなかなか苦しかったです・・・が、ここを登り切ればいよいよシブリンベースキャンプに到着します!

 

雪解けの水が勢いよく川へと注いでいました(5月)
最後の急登です!!

そして・・・BC直下の最後の急登を登り切ると・・・それまで聞こえてきたバギラディ川の濁流の音がいきなり消え、突然の静寂と、目の前には平原が!! 中央にシブリン、そしてメルー、バキラティといったインド屈指の名峰がひしめくシブリン・ベースキャンプ(別名・タポバン)に到着です!

 

急な登りを終えるとシブリンが出迎えてくれました
キャンプ地に到着! まさにシブリンのおひざ元!

シブリンは、標高6,543m(覚えやすいですね)。その鋭角に聳える山の美しい姿は、インドのマッターホルンと呼ばれています。シブリン峰の真下に広がる草原地帯のタポバンは、アマルガンガーという名の小川が流れ、まるで別天地(時期によってはサクラソウのお花が咲くそうです)。まさに「仙境」と呼ぶにふさわしい場所です。自分の足で歩いたトレッカーと、サドゥーのみしか辿り着くことのできない、タポバン。ここでの滞在時間は、お天気が良かったこともあり、大変素晴らしい、特別な時間でした。

 

■シブリン B.C
ぜひともB.Cで2泊して、ゆっくり1日過ごせるようにしていただきたいです。2泊が叶う場合のB.Cでの過ごし方としては、ガンゴトリ氷河の奥、カラパタールというポイントまでの半日トレッキングや、メルーBC方面へ約2時間のトレッキングなども行うことができます。また特に長時間の移動はせず、B.Cでのんびり、絶景を味わうのも良いですね。

 

なお近くには、12年間言葉を発しない修行を行っているサドゥーのお宅もあり、おうちのなかを見学させてもらえます。気さくな方でいつでも快く迎えてくれますのでぜひ訪れてください。

 

マウンテンゴートなど、野生動物との出会いも楽しみのひとつです。

 

天気が良いとシブリンを目の前に食事!
マウンテンゴート
シブリン、メル―峰のうえで輝く天の川と空いっぱいの星

 

■下山、ガンゴートリーへ戻ります
さみしいですが下山の時です…。シブリンBCを後ろ髪を引かれる思いで後にしたあとは、気を付けながらボジバサ→チルバサ→ガンゴートリーと、戻ります。ガンゴートリーまで戻ると、夢から覚めたようでした。

 

シブリンBCは、エネルギーや空気感が他と全く違う…そんな気がしたのは私だけではないはずです。本当に(しつこいですが)、特別な場所であると思います。

 

シブリン

仙境シブリンベースキャンプへのトレッキングは、道のコンディションやルートが毎年変わる可能性があります。事前の情報収集は必須です。
行程全体を通しては、ほとんどはゆるやかな登りやアップダウンで、巡礼路として毎年歩かれている道ということもあり、トレッキングにおける特別な技術や心得は不要です。ただ、ガンゴートリーにて高所順応をし身体を慣らしておく必要があることと、急な登りや、場合によっては両手も使って登る必要がある箇所もありますので、ある程度高所トレッキング経験のある方、十分な基礎体力のあることがチャレンジの条件となります。

 

もちろん現地では、経験豊富な頼りになるガイドと、ポーターもおりますので、サポート体制は整っています。

 

 

まとまった日数が確保できるのであれば、ぜひとも! 挑戦していただきたいトレッキングです。

本当に、おすすめです!

 

Photo by SAIYU TRAVEL
(写真は、2017年、2019年に撮影されたものです)。

 

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ガンジス源流へ! ヒンドゥー教の聖地、仙境シブリンベースキャンプ訪問②

ナマステ!西遊インディアの橋本です。

 

ガンジス川の源流域と、その先にある仙境・シブリンベースキャンプを目指すトレッキングのご紹介、2回目です。前回の記事①では、デリーを出発し、トレッキングのスタート地点となるガンゴートリーまでの行程を紹介しました。

 

ガンゴートリーからいよいよトレッキング開始! なのですが、その前にガンジス川にまつわるヒンドゥー教の神話についてご紹介します。

 


■ガンガー降下

 

ガンゴートリーにある「ガンガー降下」の場面を表すモニュメント。中央がシヴァ神、左で祈りを捧げているのが、聖者バギラティ、右にはガンガー女神。

 

聖人アガスティアが海底に暮らす悪魔を退治するため地球のあらゆる水を飲み込んでしまったのが物語の始まりです。悪魔はいなくなりましたが、同時にすべての水が大地から消えてしまい、当然、地球上の生き物が生死の境をさまようこととなってしまいました。

 

そんな時に、時の王様・サガラ王の6万人の王子たちがカピラ仙に燃やされ殺されてしまうという事件が起きます。成仏できない先祖を救うために立ち上がったのが苦行者バギラティー。彼は神に祈り、水を地球に与えてくれるようにと苦行に励みました。それを見た神々は、当時、天の川だったガンガー(ガンジス川)を地球に下ろすことを計画します。しかしそこには問題がありました。ガンガーの豊富な水量が一気に地球に衝突することになったら、おそらく地球はその衝撃に耐え切れない…。その衝撃に対抗できる存在はシヴァしかいないだろう。

 

バギラティーはさらにヒマラヤにおもむき長年にわたって厳しい苦行を重ねました。やがてその苦行はシヴァ神の知るところとなり、シヴァはその熱意に打たれバギラティーからの願いを聞いてあげることにしたのです。

いよいよガンガー降下の日。圧倒的な水量で地球に落ちてきた天の川ガンガーを、シヴァは自分の長い髪の毛でいったん受け止め、それからゆっくりと地球に下ろすことに成功したのでした。

 


 

ではいよいよトレッキングスタートです!

 

■ガンゴートリーからトレッキングスタート!チルバサ、ボジバサを経てシブリン・ベースキャンプへ!

 

トレッキングスタート!

聖地ガンゴートリーで高所に身体を慣らし、ガンゴートリーからトレッキングスタートです。
まずはガンゴートリーナショナルパークにて簡単な手続きを済ませ、その後バギラティ川に沿って進みます。

 

ガンゴートリーナショナルパーク事務所

巡礼路のため道は出来上がっており勾配もきつくはないのですが、森のなかを歩くわけではないので、強烈な日射しを直接浴びながらの歩行です。日よけ対策は必須です。午後は、特に気温も上がりますのでご注意ください。

 

バギラティ川を渡ります
チルバサからボジバサ。落石注意の箇所
チルバサからボジバサの道中。正面にはバギラティ山群!

道中にはバギラティ山群、マトリ(6721m)やメルー(北峰6450m)、マンダⅠ(6510m)などの高峰が見えるポイントが多々あります。ナショナルパーク内の豊かな自然、時折姿を表す高峰群を満喫しながら足を進めます。

 

そして道中、サドゥーとの出会いも! サドゥーとは、ヒンドゥー教における修行僧のことで、ここではタポバンやゴウムクへ巡礼に出かけるサドゥー達と出会うことができます。鍛え抜かれたサドゥーのしなやかな身体に心底驚いたのを今でも覚えています。すれ違うサドゥー達は、みな大変気さくで、記念撮影やインタビューにも優しく応じてくれました。

 

こちらタポバン(シブリンベースキャンプ)にて瞑想修行を終えてガンゴートリーに戻る途中のヨガ修行者の2人。単なる戻りかと思いきや、なんと今6往復目とのこと。

 

トレッキング中に出会ったサドゥー。信じられないくらい身体が柔らかかった…
ばっちりのポージング
嬉しくてサドゥーと記念撮影

バラナシ等では商業サドゥーも多く存在し、サドゥーたる姿も様々となってきてはいますが、こちらで出会った真理を追い求めるサドゥーの姿は、その姿勢に心打たれるものがありました。

 

 


■サドゥー

 

道中出会ったサドゥー。纏っている雰囲気がすごい。

サンスクリット語もしくはパーリ語で、ヒンドゥー教におけるヨガの実践者や放浪する修行者の総称。日本語では「行者」「苦行僧」などの訳語があてられてきました。現在、インド全域とネパールに、400万人から500万人のサドゥーがいるといわれています。ヒンドゥー教の聖地を巡ったり、各地を放浪したりしながら、ヨガや様々な宗教的実践を積んでいます。

 


 

ここで宿営地となるチルバサ、ボジバサについてご紹介。それぞれ小さなテント場となっており、炊事用の小屋が建っています。標高が上がるにつれ朝夕の冷え込みも厳しくなりますので、防寒対策等はしっかりとしたものが必要です。

 

チルバサテント場(2019年の撮影)。天気が良いと屋外にダイニングセットを設置してお食事です

ちなみにスタッフが用意してくれる食事はこんな感じです。
ヒンドゥーの聖地でもあるこのエリアでは、肉食は禁じられています(卵もほとんどでてきません)。野菜と、パニール(インドのチーズ)のカレーがメインです。ライスとともにいただきます。

 

昼食の一例。パニール(チーズカレー)、野菜カレーとライス。美味しい!!
朝ごはんの一例です

 

次回は、いよいよガンジス源流地点のゴウムクと、シブリンベースキャンプ到着です!
続きます。

 

 

 

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ガンジス源流へ! ヒンドゥー教の聖地、仙境シブリンベースキャンプ訪問①

ナマステ! 西遊インディアの橋本です。

 

みなさまバラナシにはもう訪問されましたでしょうか。母なる大河・ガンジスが悠々と流れるこの街は、ヒンドゥー教の聖地としてたくさんの巡礼者が訪れています。ガートではガンジスで沐浴する方が多く集まり、一年中にぎやかです。

 

ガートで沐浴するヒンドゥー教徒の方々
ガンジス川の朝。昼間の喧騒が嘘に感じるほど、静かです
熱心に沐浴に勤しむ

このガンジス川、遠くで川を眺めるには問題ないのですが、川岸に近寄ったり、ボートの上から川を覗き込んだりしますと、その色に結構ぎょっとします(色は緑色で、…さらに水面には油膜が張っています…)。岸にはたくさんのゴミが打ち寄せられ、聖なる川というのは頭では分かっていても、なかなか川の水に直接触れることは躊躇われます。見たままの通り、ガンジス川は、長年生活排水や産業廃棄物などがそのまま流されたため、汚染が大問題となっています。

 

そんな汚染が深刻なガンジス川ですが、当然ながら上流に行けばいくほど、驚くほど水が綺麗です。

 

・・・前置きが長くなりましたが、今回は、そんなガンジス川の上流を最奥まで突き進んだ場所にあるガンジス源流地点のゴウムクと、そこから氷河を横切った奥にある仙境・シブリンベースキャンプ(タポバン)まで行くトレッキングルートを、実際にトレッキングした際の写真等も多数交え、ご紹介します。
(トレッキング中の写真は、2017年~2019年に撮影したものです)。

 

 

■ガンジス川
その全長は約2525km、流域面積は約173万km²、ガンジス川本流の最上流部はバギラティー川と呼ばれており、ヒマラヤ山脈の南麓ガンゴートリー氷河を水源としています。その後デーブプラヤングという町にてアラクナンダ川とバギラティー川が合流し、ガンジス川となります。ハリドワールにて大平原へと流れ出し、カーンプル、ラクナウ、バラナシなどへと注ぎ、下流域ではチベット高原からアッサム州を流れてきたブラフマプトラ川と合流。さらにメグナ川と合流後バングラデシュへ入り、ベンガル湾へ流れ込みます。まさにインド亜大陸の北部を大縦断する、大河です。

 

古来より人々の生活に寄り添い、篤い信仰の対象となってきたガンジス川。ガンジス流域に住んでいる方々にとってはまさに生活そのものであり、ヒンドゥー教においては、ガンガーと呼ばれ女神として神格化されています。

 

 

■デリーからガンゴートリーへ
まずはガンジス川源流部・ガンガー女神が降下した聖地ガンゴートリー(標高3,048m)の町へ。このガンゴートリーという町が、ゴウムク、シブリンベースキャンプ(タポバン)へのトレッキングの拠点となっています。デリーからだと、全て陸路移動で行く場合は、

 

① デリー⇒リシケシ
② リシケシ⇒ウッタルカシ
③ ウッタルカシ⇒ガンゴートリー

 

という具合に3日間で刻んで移動します(お急ぎの場合は、2日間に移動時間を縮めることも可能ですが、ウッタルカシからガンゴートリーの道は道幅が非常に狭く、またがけ崩れ等も起きやすいので、余裕を持って3日間で組まれると安心です)。

 

リシケシは、ご存知ヨガのふるさと。たくさんのヨガ関連の宿舎や道場があります。時間があれば、早朝や夕方、ヨガ道場での体験レッスンもおすすめです。また夕方、ガンジス川のガートでは、ヒンドゥー教の礼拝儀式プジャ(アールティー)が行われます。バラナシ等に比べると規模は小さいですが、ここでもやはりたくさんのヒンドゥー教徒、観光客が訪れており、かなりの熱気を感じることができます。

 

リシケシからウッタルカシリシケシへの移動は、これまで通り過ぎてきた平野部とはガラリと変わり、出発していきなり山道を走って行きます。リシケシ⇔ウッタルカシ間は標高差が800m程あり、少しづつ標高を上げながらの走行です。

 

ウッタルカシ付近の景色。だいぶ標高も上がり、山々を見下ろせるようになってきました

順調に行けば、3日目のお昼頃にはガンゴートリーに到着します。途中、「ガンガーの母」という意味のガンガ・ナーニという町があり、温泉が沸いていることで有名ですので、順調に到着しそうでしたら立ち寄ってみてください(なかなか良い湯加減です)。

 

奥には寺院がありました。足湯にちょうどよい湯加減

いよいよガンゴートリーに到着!

ガンゴートリー(標高3,048m)は、ヒマラヤの四大聖地のひとつで、ガンガー女神がシヴァ神の髪を伝いこの地に降臨したとされる場所です。狭いエリアのなかに、安宿と、ちょっとしたバザールが広がっており、その奥にはガンゴートリー寺院が建っています。そしてその横にはやがてガンジス川と名前を変える、バギラティー川が流れています。

 

ガンゴートリーの町の入り口
ガンゴートリーのバザールは大変賑わっていました
ガンゴートリー寺院
バギラティ―川
夜のガンゴートリー寺院。たくさんの巡礼者が並び、祈りを捧げていました。

ガンゴートリーでの夕方のプジャを見学しました。静かな町中に大きな鐘の音が響き渡りるなか、儀式の様子を見守る信者の方々の後ろ姿は、印象に残るものでした。

 

次回②に続きます。

 

 

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インドの地理②ヒンドゥスタン平原とモンスーン(季節風)

前回の「インドの地理①」ではインド亜大陸についてご紹介しました。今回はインドの地理に関係するもの②として、ヒンドゥスタン平原とインドを代表する河川、そしてモンスーンについて、ご紹介します。

■ヒンドゥスタン平原

ヒンドゥスタン平原はパキスタンのインダス川、バングラデシュに注ぐブラフマプトラ川、そしてインドのガンジス川という3つの大河によって形成された平野部を指し、地図上で見ると「へ」の字状に広がっているエリアです。

 

インド地理図
インド地理図

 

現代の主な都市では、上流部ではヨガの聖地として知られるリシケシュデリー・アグラ・ジャイプルのいわゆる「ゴールデン・トライアングル」、下流域ではヒンドゥー教の聖地バラナシ、仏陀が悟りを得たブッダガヤをはじめとする仏教聖地などがこの平野に含まれます。インドの観光地としては最も人気の高いエリアです。

 

母なる大河・ガンジスとバラナシのガート群
ブッダガヤのマハーボディ寺院
ブッダガヤのマハーボディ寺院
ビハール州での収穫の様子。ガンジス川が悠々と流れるこのエリアは、大変肥沃な土地のため農作業が盛んです

 

ガンジス川はヒマラヤ山中のガンゴードリー氷河がその水源とされ、上流部ではリシケシュやハリドワール、中流域でカーンプルの街を通り、バラナシの約120㎞上流側のアラーハーバードでヤムナー川と合流します。その後バラナシ、パトナーを通り、下流域はバングラデシュに入って、最終的にベンガル湾へと注ぎ、河口部で巨大なデルタ地帯を形成しています。

 

ガンジス川の源流となるガンゴトリ氷河の末端:ゴウムク
ガンジス川の源流となるガンゴトリ氷河の末端:ゴウムク
ガンゴトリ氷河末端部から仰ぎ見るメルー山(6660m)
ガンゴトリ氷河末端部から仰ぎ見るメルー山(6660m)

 

ヤムナー川はガンジス川の源流であるガンゴードリー氷河から西に約70㎞の地点に水源をもち、ガンジス川に並行するように流れたのちに合流します。ガンジス川―ヤムナー川の流域は二河地帯と呼ばれ、豊富な水源と肥沃な大地を基盤として、有史以来多くの国々が興亡を繰り返してきた地域です。

 

アグラ城よりヤムナー川を挟んで見るタージ・マハル
アグラ城よりヤムナー川を挟んで見るタージ・マハル

ブラフマプトラ川は、中国・チベット自治区の南部からインド北東部、バングラデシュを流れる大河川です。全長約 2900kmで、ヒマラヤ山脈北のカンティセ 山脈を源を発し、インドのアッサム州、そこからバングラデシュとの国境で南に向きを変え、ダッカ西方 60kmでガンジス川下流のパドマ川と合流、その後ベンガル湾に注ぎます。

 

ブラフマプトラ川でのクルーズ

 

 

■モンスーン(季節風)とは

インドの1年の季節は主に暑期/雨季/乾季に分けられます。4~5月は時に気温が45度まで上がるような猛暑が続き、6月からは徐々に湿度が上がって9月末までモンスーンの時期、つまり雨季となります。

観光のベストシーズンは9月末~3月までの乾季で、この期間は気温・湿度ともに下がり過ごしやすい気候が続きます。1~2月頃は冬の時期となりますが、厳寒期に南下してくる大陸性の寒気は急峻なヒマラヤ山脈に遮られるため冬の寒さは平野部では厳しくありません。

 

このような気候の変遷には、モンスーン(季節風)の働きが大きく影響しています。では、そのモンスーンとはいったいどのようなものでしょうか。

モンスーンとは、もともとアラビア語起源の単語です。ある地域で特定の季節に吹く決まった方向の風を指しており、世界各地にその土地の季節風が存在します。インドの場合、アフリカの東側の海洋からアラビア海とインド洋で水分を蓄えながら“暖かい湿った空気“へと成長し、6月頃に南東からインドへ上陸して大量の雨を降らせます。「モンスーン」のみで、雨季を指すこともあります。

 

インドのモンスーン期、大量の雨が降り注ぎ道路が川のようないなってしまうこともしばしば… (写真:The straits times.com )
雨期、激しい降雨により泥にはなった道路にはまる車両… (写真:CNN.com)

 

また、乾季となる9月末以降は逆に大陸側(北側)から“冷たく乾いた空気”の大陸性モンスーンがやってきます。しかしこの寒気は上述したようにヒマラヤ山脈に遮られ、あまり平野部の人々には影響はありません。そのためインドの冬は穏やかで雨の少ない観光のベストシーズンとなっています。

 

インドにおけるモンスーンは莫大な降雨で河川の氾濫を起こす災厄でありながら、同時に水資源と肥沃な氾濫原をもたらす恵みあるものでもあります。現代ヒンドゥー教の主神のひとつシヴァの原型はアーリヤ人のヴェーダ信仰にあるモンスーンをつかさどる魔人ルドラと考えられていることからもわかるように、古代よりモンスーンは人々の暮らしに直結するものでした。現代でも河川の氾濫による被害もあれば、水資源に乏しい地域では雨季の降雨量が少ないと乾季に深刻な水不足に見舞われるなど、生活を大きく左右する存在です。

 

夏のモンスーンはインド亜大陸を抜けてさらに北東へ進みます。中国南部・南シナ海を経由して日本にまで及んだモンスーンが日本近海で中国内陸からの揚子江気団とぶつかって沖縄から九州南部にかけての地域で停滞前線が生まれ、これが梅雨前線と呼ばれ日本に梅雨の始まりをもたらしています。

 

Text by Okada

 

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ホテルグレリア・コティ<バラナシ>紹介と路地裏散策

Namaste!!
バラナシの街の見どころ紹介が続きましたので、この流れでバラナシのお勧めホテルをご紹介します。

 

前回: バラナシ② ガンガーのガート群 / 仏教聖地サールナート

 

Guleria Kothi
グレリア・コティ

■Guleria Kothi Hotel

 

バラナシの旧市街にあるヘリテージタイプのホテルです。

皆様ご存知かとは存じますが、ガンジス川沿いには84ものガード(沐浴場)が存在しております。その中心的存在でいつも多くの人で賑わっているガートが、ダシャシュワメード・ガート(Dashashwamedh Ghat)。旧市街エリアで一番大きな交差点であるゴードリヤー(Godowlia)からガンジス川に向かって真っすぐ歩けば着くので、バラナシは初訪問という方にも行き着きやすく、散策の際の目印になるような場所です。そのダシャシュワメード・ガードより川沿いに徒歩15分程歩くと、ガネーシュマンディル・ガート(Ganesh Mandir Ghat)が出現しますが、その直ぐそばに建つヘリテージ風ホテルが今回紹介するグレリア・コティホテルです。
(他にもガンガー沿いに建つヘリテージホテルはございますが、このグレリア・コティは、最近リノベーションが完了しましたのでお部屋内はとても綺麗で近代的。また宿泊料金も他のヘリテージホテルに比べややリーズナブルと大変おすすめです)。

 

Guleria Kothi
夜はライトアップされます

このホテルは、もともと18世紀に地元の有力者の邸宅として建てられました。バラナシ旧市街には古めかしい建物が多いものの18世紀の建物はほとんど現存しておらず、大変貴重です。

外壁や柱にはウッタルプラデーシュ州チュナールから切り出した砂岩が使われていいます。このチュナールの砂岩は、赤みがった色をしておりきめが細かく、大変丈夫な石として、アショーカ王の石柱をはじめとするインドの古い文化遺産にも広く使われています。

 

Guleria Kothi
レセプション近く。中は広々、というわけではないですが選ばれた調度品がセンス良く配置されています
Guleria Kothi
お部屋の一例。グレリア・コティは全てのお部屋がダブルベッド仕様です

ホテルの内部は大変雰囲気が良く、内装や調度品も可愛くて素敵です。全室がガンガー・ビューというわけではないですが、ホテルの前庭のカフェ、屋上からはガンジス川がばっちりご覧いただけるばかりか、耳を澄ませば川が流れる音、波立った川の水が岸にやさしく打ち付ける音が聞こえてきます。

ガートの傍なのでホテルの前の通りなど、日中はそれなりに人通りはありますが、基本的にはとても静か。夜と朝は本当に、驚くほどの静寂です。

 

Guleria Kothi
ホテルの前庭のカフェ。川まではやや階段で高低差が設けられているものの、まさにガンジス川の傍! ここで飲むコーヒーは最高です。

ガード巡りのお散歩、旧市街巡り、また早朝のボート遊覧へのアクセスもこちらのホテルでしたらばっちり。時間いっぱいバラナシをお楽しみいただけます。

 

Varanasi
くつろぐ牛をよけながら散策

特に旧市街散策へはホテルの横の道を入っていけば、意図せずとも迷路のような裏路地の散策が楽しめます。バラナシの旧市街エリアは牛や猿、野犬がうろうろとしている他、狭い路地を無理やり走るオートリキシャ、走り回る地元の子供たち等、散策中は身の回り360度を確認しながら歩かないとなりませんが(特に所々に落ちている牛のフンには要注意です)、皆さまがイメージする「これぞインド!」という風景がここにあるのではないかと思います。

 

Varanasi
バラナシ旧市街を散策
Varanasi
歩き疲れたら路面にあるお茶屋さんにて休憩

グレリア・コティは全部で15室と限られており、シーズン中は大変混みあい満室ということも少なくありません。ご検討の際はお早めにご相談下さい。

 

インド支店・西遊インディアではバラナシツアーを取り扱っております。
バラナシ1泊2日

 

Text,Photo : Hashimoto

 

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バラナシ ①ガンガー神話とプジャ

ナマステ!!

 

西遊インディアの岡田です。インドと言えばヒンドゥー教、ヒンドゥー教と言えばガンジス川、ガンジス川と言えばバラナシ。本日はヒンドゥー教の一大聖地:バラナシの街をご紹介します。

 

ガンガー(ガンジス川)とガート群
ガンガー(ガンジス川)とガート群

日本人にとっても知名度が高く、いつかはバラナシに行ってみたい、という方も多いのではないでしょうか。今回は「バラナシ前編:ガンガー神話とプジャ」としてご紹介します。「ガンガー」はヒンドゥー語での名称、後に英語ではガンジス川と表現されていきます。

バラナシの都市としての歴史は非常に古く、紀元前6世紀頃にはカーシー王国が都をバラナシに置き、ガンジス川中流域の経済・文化的な中心地として発展していました。紀元後5世紀頃のグプタ朝の下では政治的な安定のもとヒンドゥー教・仏教ともに大きく文化的に発展し、その中でバラナシはシヴァ信仰の中心地としての地位を確立していきます。ヒンドゥー教の隆盛に従い以降多くの寺院やガートが整備されていきますが、11世紀以降のイスラム王朝の侵略の結果寺院は徹底的に破壊されてしまいます。

 

しかし16世紀以降、ムガル帝国の凋落期には南部のマラーター同盟による寄進などにより寺院の再建が進み、現代のバラナシのガート群の姿が形作られていきました。現在でも聖地として、インド国内外から多くの巡礼者が訪れます。

 

18世紀前半にバラナシを統治したバルクント・シンの居城:ラームナガル城
18世紀前半にバラナシを統治したバルクント・シンの居城:ラームナガル城

 

■プジャ(礼拝)へ

インド全国から巡礼者が集まるバラナシでは、ガート群の丁度中央にあるダシャーシュワメード・ガートにて毎日プジャ(又はアルティ)と呼ばれる礼拝儀式を行っており、ヒンドゥー教徒以外でも参加することができます。夕刻、ガートにたどり着くと階段にはびっしりと巡礼者が詰めかけて座っており、会場は静かな熱気に満ちています。

 

プジャの会場:ダシャーシュワメード・ガート
プジャの会場:ダシャーシュワメード・ガート

この礼拝ではまず「ガンガーの降下」の神話で知られる聖者バギーラタへの礼拝が捧げられます。バギーラタは祖先の霊を浄化するために天上の聖なる河であったガンジス川を地上へ流そうと苦行に励んだ聖者。苦行の結果、川の女神ガンガーにその願いを認められますが、もしガンガーがそのまま地上へ流れてしまえばその衝撃で世界が壊れてしまい、その衝撃を受け止められるのはシヴァ神のみであると告げられます。

 

シヴァはこれを了承し、自らの髪でガンガーの流れを受け止めることを承諾しました。ついに地上へガンガーが流れるかと思いきや、その衝撃でシヴァに自らの強さを見せつけようと目論んでいたガンガーはその野望をシヴァに見破られ、怒ったシヴァはその髪にガンガーを封じ込めてしまいます。

 

これに困ったバギーラタはさらに苦行を重ね、シヴァの心を開いてようやくガンガーは地上へ流れることとなりました。そのため、今でもシヴァ神の肖像では彼の髪の間からガンガーが流れ出ています。この神話に由来し、プジャではバギーラタ、ガンガー、そして最後にシヴァ神への礼拝が行われます。

 

プジャの儀式
プジャの儀式

プジャの儀式はガートの先端部、川辺の部分で行われます。参加者はガートの階段部に座りますが、川の上のボートから参加している人もいます。団体の観光客の場合はガートに面したテラスから椅子に座って儀式を見ることのできる有料席を利用できる場合もあります。

 

プジャはまず7人の僧の礼拝席にヒンドゥー教のシンボルであるサフラン色のマリーゴールドの花びらを撒くことから始まります。準備が整うと両面太鼓や手押しオルガン、鐘による演奏に合わせて礼拝の祝詞が歌われ、バギーラタ、ガンガー、シヴァの順に3神に対してランプ、香炉、燭台を掲げ、礼拝をおこないます。

 

合計で1時間ほど続くプジャの最中では、会場の参加者が僧侶に合わせて祝詞をあげたり、拍手をしたりという場面もあります。会場が一体となって礼拝に向かう光景はまさに聖地のイメージそのものであり、まさに旅のハイライトにふさわしいような荘厳さを感じさせます。

 

 

 

カテゴリ:ウッタル・プラデーシュ州 , バラナシ(ヴァーラーナシー) , ■インド北部
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