初夏の道東ワイルドライフフォトスペシャル【前編】

Report by 戸塚学 / 2024年6月17日~22日

前半の根室地域では奇跡的な晴れが続き、後半も雨の予報が曇りになり結果的には1日中雨待機をすることなく、ほぼ予定通りに進めることができました。今年はシャチがものすごい当たり年で、2日ともたくさんの群れに当たり観察と撮影を楽しみました。昨年は繁殖をしていなかったシマフクロウも今年は繁殖をしてくれたおかげで2日とも観察と撮影ができました。

アマツバメ

 

初日 

中標津空港で飛行機の到着を待っていると突然の大雨が!すぐ止んではまた降るを数回繰り返しちょっぴり不安になる。時間通りみなさんが到着したので専用車に乗って霧多布岬を目指すと?どんどん空が明るくなり、到着をするとすでに青空が広がっています。下見の時はラッコたちが遠くて心配をしましたが、(以前ドローンで追いかけまわした輩がいて近くに来なくなってしまったとのことだった。)この日は南風が強かったせいもありラッコたちが崖下にいてくれて助かりました。子供も俯瞰なのでしっかりと確認できるし、撮影もできました!

ラッコ
オオセグロカモメ

根室の宿に向かう道中はタンチョウが見られる海岸沿いの牧場を流しながら探しますが、遠くに白い点で見られるペア以外には見つけることができませんでした、残念。宿に着いて周辺でオジロワシやタンチョウを探しますが見当たりません。それよりも困ったことが発生!あれほど霧多布岬では強風だったのにここは無風で温かい・・・となるとヌカカが大量にまとわりつきます。参加者のみなさんにはとにかく肌の露出を控えてもらうようにお願いしました。食後は美しい夕陽が沈むのを食堂の窓から眺めて終了となりました。そう、ヌカカがすごくて外に出られなかったのです。

 

2日目 

予定では有志だけで早朝5時から撮影を予定していましたが、宿のオーナーから「最近宿の近くにクマが出るから気をつけてね。」と言われたので急遽1時間遅くして6時からにしました。結構風が強く、今日のクルーズは中止にならないかを心配しながらの撮影になりました。電話がかかって来なければ催行なので胸の携帯が気になって仕方ありません。そんな私の思いと裏腹に意外と小鳥たちの出が良く、ノビタキ・カッコウ・ツツドリ・シマセンニュウ・コヨシキリが出てくれます。

ノビタキのペア

 

声はすれども姿の見えないエゾセンニュウとマキノセンニュウは相変わらず腹立たしい存在です。一つ悔しかったのがベニマシコのペアが出たのですが場所が悪い&遠かった!みなさんにはもっと近くで、もっとしっかり見ていただきたかったのだ。7時に食事をして8時45分の出発時間まで自由行動にしました。宿前でオジロワシのペアが近くを飛んでくれたり、エゾシカが風連湖を渡る姿も撮影ができました。

ベニマシコ
オジロワシ
エゾシカ

ドキドキだった落石クルーズは、風は強めですが予定通り満載での出航となりました。しかし波というか、うねりが結構あり撮影には厳しい状況です。できるだけ1/2000秒以上、AFフレームは中央+面で捉えるものに設定をしてもらいます。また波と波の間に鳥が入ってしまったら一旦AFを止めて再び姿が見えた時にAFでピントを合せて高速連写をするように伝えました。またシャッターを切る前から記録をできる機能があるカメラはその設定にしてもらいました。出航してすぐにウトウが出ますが、すぐ潜る!のが腹立たしい、もう少し波が穏やかならしっかりと撮れるのにとストレスが溜まります。

島に近づくとウトウと入れ替わるようにケイマフリが増えて来ます。波に翻弄されながらもみなさん必死に撮影します。赤い足が特徴なので飛び立つ時海面を走る姿を狙って~!叫ぶのが精いっぱい。あとはみなさんの腕に期待です。

ウトウ
ケイマフリ

 

そして後ろ姿で気がつかなかったが、波の上にぷかぷかと漂っている鳥がいた。ウトウとばかり思いこんでいたら・・・近づくとエトピリカの若鳥とわかり船上は大興奮!ミラーレス機ばかりなので音はしないのですが、みなさん相当シャッターを切ってるはずです。(笑)

エトピリカの若鳥

その後はエトピリカがよく見られるポイントで待っていますが見当たりません。そんな時遠くに白い物体が?双眼鏡で見ると見えない?揺れる船上でその周辺を双眼鏡でガン見していると再び波の上に白い物体!間違いなくエトピリカの成鳥です。船を向けようとすると飛び立ち、周囲を飛び回った後に着水しました。すぐにでも行きたい気持ちを抑えて、少し時間を置いてから向かうと、かなり近くまで寄ることができました。もう船上は静かなる炎が立ち上っているのが見えるくらいです(笑)

エトピリカ飛び立ち

そろそろみなさん十分撮影ができたでしょうと船長が船を方向転換させようとした時です。向こうから近づいてくれたのか?それとも引き波で寄せられたのか?かなり近くでまで寄ってきます。最後は水面を走り飛び立つところまで撮れました。いやぁ~良かった!その後はラッコの群れとアザラシを観察して、もう一つの目玉のチシマウガラスの繁殖場所へ。こちらは繁殖に影響が出るといけないので短時間だけでしたが、しっかりと撮影することができました!

ラッコ
チシマウガラス

下船後は食事に向かいましたが、意外にも私たちが来る前にお客さんが多く入ってしまったせいで注文から料理が出て来るまでに時間がかかってしまった。これは想定外でした。料理はおいしかったのですが、後のスケジュールを考えるとちょっとドキドキ。そのくせここは絶品のソフトクリームがあるのでそれは外せない。みなさんにも勧めると全員購入してしっかりと濃厚な味を堪能されていました。予定していた1ヵ所は下見ではあまり良くなかったので、時間をかけるのはどうかと考えパスしました。移動途中に途中タンチョウのペアがいい場所にいたので車から降りてしっかりと撮影してもらいました。

タンチョウのペア

野付半島に入る前にショウドウツバメのコロニーを見られるポイントで30分だけ撮影をしてもらいました。野付半島に入りますが時間的に小鳥はあまり姿が見られません。大型の生き物を探すことにします。野付半島のナラワラ近くでキタキツネの親子がいたので狙いましたが、手前の草が邪魔で難しい!時間も押してきたので先端部分に向けタンチョウを探しますが見当たりません・・・仕方がないのでエゾシカの群れを探しますが・・・これまた大きな群れが見当たらない。ふと海上方面から大きな鳥の群れが飛んできた?なんと7羽のタンチョウが私たちのいる場所の奥に降り立ちました。距離もあるので車から降りてセンダイハギの黄色のお花が入る場所へ移動して撮影をしてもらいました。そこから双眼鏡で見回してもやはりエゾシカの群れが確認できなかったため引き返すことにしました。途中コムクドリが水浴びや水飲みをするポイントで待つ事にしたのですが、電線にとまっていたコムクドリが水を飲まずに電線から林の中に消えて行ってしまった。ねぐら入りのようです。こうなったらもう一度キタキツネの親子のリベンジです。しかしなかなかいいシーンを撮ることができず終了となりました。

 

3日目 

5時にコンビニで朝食を買って野付半島へ向かいます。今回のメインは草原性の小鳥たち。下見では出まくりで簡単に撮れたコヨシキリが遠い!シマセンニュウとノビタキはしっかりと撮影もできた。カッコウは、声はすれども姿は見えず、こちらは残念。やはり早朝は定点をすると撮影がしやすい。

シマセンニュウ

その後、移動をしてキタキツネポイントに行きますが見つけられませんので先に向かいます。ナラワラに霧が出ているとアオサギがいるだけでも雰囲気のある写真が撮れるのに・・・見当たりません、残念。コムクドリの水場はやはり今年も漁師さんが網を洗うためにポンプ車を入れていて撮影ができなくなっていた、これまた残念。昨日タンチョウが7羽いた場所は1羽だけ。いつもはこの周辺のセンダイハギのお花畑にたむろしているエゾシカたちがいない。エゾシカたちを探しながら先端方向(竜神岬灯台)をゆっくりと生き物を探しながら進めると、エゾシカの親子がいたので車内から撮影をしてもらう。十分撮影ができたようなので竜神埼灯台の駐車場へ車を停める。ここのトイレが生きていればいいなぁと思って扉を開けると使えるようなのでトイレ休憩にしました。ここからは遊歩道を歩いて撮影です。まずここで見てもらいたかったのは10年以上使っていると思われるオジロワシの巣です。かなり遠いのにその存在感はハンパない!

その後少しずつ移動を繰り返しながら定点をすることにしました。タンチョウのペアやアオサギの群れを撮影しているとシマセンニュウ・ノビタキ・オオジュリン・オオジシギ・シマセンニュウも撮影できました。

エゾセンニュウ

移動をしてきたエゾシカの群れを撮っているとカッコウが3羽で喧嘩をしているのか?飛び回ってくれたおかげで飛翔姿を撮影することができました。その後はネイチャーセンターで30分休憩したのち生き物探しをして撮影を楽しみ、11時にコンビニでお弁当を買って尾岱沼へ向かいます。時間が早いので昨日のリベンジを兼ねてショウドウツバメを狙っていると?何かムシクイがいる?どうやら近くで巣を造っているようでヒナにエサをせっせと運んでいます。エゾムシクイかなぁと悩んでいる時にさえずってくれて一件落着。その後は案内所で各自お弁当を食べていただき13時からのクルーズを開始します。過去2回波が高くて中止になっていたため私自身も初体験です。期待はアビ類とカマイルカです。しかし天気はいいのですが、生き物が出ない。外洋に近づくとウトウやハシボソミズナギドリがちらほら出るくらい。どうにかこうにかミツユビカモメが飛翔しているのを見つけ撮影ができました。しかし外洋に出ても生き物が全然見つかりません。国後島近くまで(国境線)行きますが・・・ダメです。最後は野付半島に船をつけてお散歩時間を作ってくれましたが・・・。港に戻る時にようやく1頭のゴマフアザラシが出てくれたのが慰めか・・・。その後は羅臼を目指します。

ゴマフアザラシ

17時30分に食事をはじめ、19時にシマフクロウの撮影に出ます。参加者の2名は「今日はゆっくりしたい」という事でこの日は私を含め4名で現場に向かいました。20時過ぎにオスが鳴き出し期待が高まると30分後メスが来て3尾魚を食べてからヒナに与えるため1尾をくわえて飛び去りました。まだオスが来ていないので待っていると・・・来てくれたのですが、暗い場所に降りてオショロコマを捕らえると足に持って行ってしまいました。約30分後再びオスが来たのですがこれまた暗い場所でオショロコマを獲って飛び去ってしまいました。「参加者から撮れたから終わっていいよ」と言われたので1時間早い22時に終了となりました。

シマフクロウのメス

この記事を書いた人

戸塚 学 とつか がく
高校3年生の時写真に興味を持ち、幼少の頃から好きだった自然風景や野生の生き物を被写体として撮影をする。20歳の時、アカゲラを偶然撮影できたことから、野鳥の撮影にのめり込み、「きれい、かわいい」だけでなく、“生きものの体温、ニオイ”を感じられる写真を撮ることが究極の目標。野鳥を中心としたネイチャー系フォトグラファーを目指す。作品は雑誌、機関紙、書籍、カレンダー、コマーシャルなどにに多数発表。
●日本野鳥の会会員 ●西三河野鳥の会会員 ●SSP 日本自然科学写真協会会員

根室海峡のシャチ・ミズナギドリと大雪山のギンザンマシコ

Report by 今堀魁人 / 2024年6月14日~19日

1日目

14時半頃に中標津空港で集合しツアースタートです。初日は最初に野付半島へ行きました。野付半島まで行く道中ではすぐにタンチョウを発見!

タンチョウ
タンチョウ

その後は野付半島に入りすぐに綺麗なベニマシコを撮影。そして近距離でオジロワシが見られました。

オジロワシ
オジロワシ

野付半島の奥ではこの時期では珍しいまだツノを落とさず付けているエゾジカのオスを発見。センダイハギとのコラボレーションが美しかったです。あっという間に時間はタイムアップ。

エゾジカ
エゾジカ

夕食後はシマフクロウを狙います。出ないなーと待っているとタイムアップギリギリにメスが登場!良かったです!

シマフクロウ
シマフクロウ

2日目

翌日はシャチクルーズからスタートです。霧に包まれていましたが出て数分でシャチの群れに囲まれました。その後終始シャチを観察し、目の前に出たりと色々楽しませてくれました。

シャチ
シャチ

午後はウトロと知床峠の頂でギンザンマシコ探し。ウトロではクマゲラに出会えました。近距離で見ることは難しく、今回は本当にラッキーでした。そして頂上に行くとすぐに本命のギンザンマシコが!数度見ると今度は後ろから声が?なんと目の前!みなさん持っていますね!

ギンザンマシコ
ギンザンマシコ

3日目

早朝からギンザンマシコを探しに峠へ出発しましたが濃霧で何も見えず。早々に旭岳に賭け撤退。朝食後、ここからはバードウォッチャーのドライバー、佐藤さんと共に紋別方面へと出発です。風の強いオホーツクではアマツバメやノビタキ、ベニマシコなどを狙いながら観察していきますが、とにかく暑い。この時期では珍しい28℃まで気温が上がり、私と鳥たちはバテ気味。少し出が悪かったですが、ホオアカなども囀る姿を見せてくれました。色々と観察をしているとあっという間に時間は過ぎ、後半は少し巻き気味で宿にチェックインです。明日が草原性の小鳥観察の本番。楽しみましょう!

アマツバメ
アマツバメ

ホオアカ
ホオアカ

 

4日目

早朝シブノツナイ湖でバードウォッチングです。早朝は観察最難関のエゾセンニュウが霧の中ちらっと見えました。

エゾセンニュウ
エゾセンニュウ

午後はオムサロ原生花園に行きました。オムサロでは、ノゴマやノビタキが見られるも鳥の姿が少なく、日暮れは再度コムケ湖方面へ。この時期ならではのワタスゲや偶然出会ったミヤコドリを見ながら再度シブノツナイ湖へ。ツメナガセキレイがずっと長時間観察させてくれたりといい天気の中楽しませてくれました。

ツメナガセキレイ
ツメナガセキレイ

5日目

シブノツナイ湖からスタートです。早朝鳥を探すと、全員には姿を見せることができませんでしたが、マキノセンニュウの姿も!他にもアオバトやウグイスなど、さまざまな小鳥に会えました。

マキノセンニュウ
マキノセンニュウ

アオバト
アオバト

そして再度ギンザンマシコチャンスを手にするべく、一路北海道の最高峰・旭岳へ。到着後、展望台でずっと探すと、遠くにギンザンマシコの姿が!一度潜ったところで全員集合。もう一度出てくれーと思っているとさっきよりも近いところで出てくれました。他にもカヤクグリが出てくれましたが、雷雲が近づいており、危険と判断し下山。下山後は日本で最も遅い桜も見ることができました。

ギンザンマシコ
ギンザンマシコ

6日目

最終日もギリギリまでギンザンマシコを見るために旭岳に向かいます。

北海道の最高峰・旭岳へ
北海道の最高峰・旭岳へ

到着した時から天気は昨日と変わり山頂が見えます。これは見えるかも。と期待しましたが、待てど暮らせど姿は見えず。途中ルリビタキやカヤクグリは姿を見せてくれましたがギンザンマシコは姿を見せてはくれませんでした。

カヤクグリ
カヤクグリ

それでも今回6日間で合計63種を観察し、本当に多くのこの時期らしい鳥を観察することができました。この翌週には鳥はぱったりと姿を消し、子育てに奮闘していたので最高のタイミングでした。

この記事を書いた人

今堀魁人 いまほり かいと
北海道紋別市出身。西遊旅行・バードガイド、ネイチャーガイド。幼い頃から野鳥や自然に魅了され、北海道を中心に野鳥・野生動物の撮影に没頭。まだまだ駆け出しの身ですが、生まれ育った北海道を拠点に、自然の中で暮らす野鳥の魅力をツアーを通して感じていただけるよう精進しております。ぜひ世界遺産「知床・羅臼」にも遊びに来てください!

韓国最大のクロハゲワシ越冬地と越冬する鳥たち【後編】

Report by 戸塚学 / 2024年1月12日~16日

<4日目>

この日は2か所のワシミミズクポイントを巡ります。1ヶ所目は光が悪くなかなか厳しい状況のなか、昨日とは違う参加者がすぐにワシミミズクを発見!凄く見つけにくい場所なのに・・・ガイド失格や(笑)光がイマイチなので一応撮影してもらった後、もう1ヶ所へ一旦行く事にします。こちらはほぼ鉄板な場所なので軽い気持ちだったのに・・・探しても見当たりません。最近この場所はカメラマンがたくさん来て必要以上に近づくのでどこかへ行ってしまった可能性もあります。葦原ではカシラダカ、ミヤマホオジロ、ベニマシコ、ダルマエナガ、カササギを見ることができました。帰り際に参加者が「あの猛禽は?」と指をさすとそこにはクロハゲワシが飛んでいました。もう一度気を取り直してワシミミズクがいた場所へ行くとまだいました!今度は若干光が良くなっていたのでリベンジ撮影を楽しみました。それにしても北風が強くて寒いので北上してきたんだなぁと実感します。

ワシミミズク
ワシミミズク
ミヤマホオジロ
ミヤマホオジロ

この後は夕方に36万羽と言われるトモエガモが集結する場所へ向かいます。ただ時間が早いので干潟で観察と撮影です。ズグロカモメ、ユリカモメ、セグロカモメっぽいのはモンゴルか?ダイシャクシギかホウロクシギも遠く陽炎の中に揺らめいています。干潟の杭にオジロワシとハヤブサもいます。カモ類はマガモとツクシガモは何とか確認できるが他は遠くてわからない。この上流域でトモエガモが集まり乱舞するというので一番いい場所を探すのですが、どうやら対岸に来てしまったようで再び移動です。この時対岸には数名の人しかいなかったのですが現地に来ると道路わきに車がたくさん停まっています。堤防に上がると目の前に広がるトモエガモの大群!これだけでも圧巻なのにこれが頭上で乱舞するなんて想像すると鼻血が出そうだ(笑)。空腹なのか一部のトモエガモたちが河川敷に上がり草を貪り食っているのでそちらも撮影してもらいます。ふと周りを見るとずいぶんと人が集まっているなと思うと・・・パトカーが来て「車をどかせ」とサイレンを鳴らし拡声器で呼びかけるが誰も動きません。恐るべし韓国人(笑)17時まで粘ったのだが、飛ばないの切り上げて移動を始めるとパトカーが2台追加で来ていた!これは来年どうなる事やら。ここ数年の間に韓国でも野鳥カメラマンが爆発的に増えているようで、いずれ日本のようになるのかなと感じさせられました。

トモエガモの大群!
トモエガモの大群!
トモエガモの大群
トモエガモの大群
トモエガモ
トモエガモ

<5日目>

帰国までのギリギリまで撮影を楽しむためクロツラヘラサギの繁殖地へ行くと・・・池が凍結している!そのせいか繁殖用の人工島にクロツラヘラサギが1羽もいない!!!セグロカモメ系が飛んでいる以外、ツクシガモ、ホシハジロ、マガモ、カルガモが見られるだけ。さてどうしたものかと思っていても仕方ないので「ここの葦原にはダルマエナガが多いので探しましょう!」と伝えると小鳥の声がそこら中から近づいてきたと思ったら混群に取り囲まれているではありませんか!アトリ、シメ、コイカル、シロガシラ、キクイタダキ、スズメ、シジュウカラ、エナガ、シマエナガ、ヒガラ、ダルマエナガ!私はパニックになっていて見落としたがヒゲガラまでもいたようです。これがほぼ1時間私たちの周りから動かなかったのだから超ラッキーとしか言いようがない。日本では考えられないが、シマエナガとエナガを同時に見られるなんて!小鳥たちが去ってしまって静かになったので、少々時間は早いのですが心地よい放心状態のまま仁川空港に向かい帰国の途に就きました。

アトリ
アトリ
エナガ
エナガ
シマエナガまで!
シマエナガまで!

参加していただいたみなさまお疲れさまでした、超少人数でゆっくりとした日程と朴さん厳選の食事も堪能できて超ラッキーなツアーになったと思います。

【撮れた鳥&哺乳類】
クロハゲワシ・ワシミミズク・オジロワシ・ノスリ・オオノスリ・ハイイロチュウヒ・オオタカ・ハイタカ・チョウゲンボウ・ヒシクイ・オオヒシクイ・マガン・トモエガモ・ユリカモメ・ズグロカモメ・ドバト・コウライバト・カササギ・ヒガラ・シジュウカラ・エナガ・シマエナガ・シロガシラ・ダルマエナガ・ジョウビタキ・ギンムクドリ・カシラダカ・ミヤマホオジロ・アオジ・コイカル

【見られた鳥&哺乳類】
ハヤブサ・チュウヒ・ツクシガモ・マガモ・ホシハジロ・オナガガモ・カルガモ・カワアイサ・マガモ・カンムリカイツブリ・カワウ・アオサギ・ダイサギ・コサギ・クロツ

この記事を書いた人

戸塚 学 とつか がく
高校3年生の時写真に興味を持ち、幼少の頃から好きだった自然風景や野生の生き物を被写体として撮影をする。20歳の時、アカゲラを偶然撮影できたことから、野鳥の撮影にのめり込み、「きれい、かわいい」だけでなく、“生きものの体温、ニオイ”を感じられる写真を撮ることが究極の目標。野鳥を中心としたネイチャー系フォトグラファーを目指す。作品は雑誌、機関紙、書籍、カレンダー、コマーシャルなどにに多数発表。
●日本野鳥の会会員 ●西三河野鳥の会会員 ●SSP 日本自然科学写真協会会員

冬の鶴居村でタンチョウ撮影三昧【前編】

Report by 戸塚学 / 2024年1月7日~10日

 

好評のこのツアーも今年で3年目。今年は過去最高な出来だったと思います。全日晴れと予想以上に気温も下がり霧氷が朝陽に輝く情景はもちろんダイヤモンドダストまで撮影できるチャンスに恵まれました。

<1日目>

昨年も参加された方が2名、このツアー初参加が3名の5名での開催になりました。空港と先入りの方をホテルでピックアップして現地に向かいます。

天気は快晴でまだ道路わきの木々の枝に霧氷が残り、陽光に輝いています。今回泊まるホテルTAITOに不要な荷物を置いてすぐにタンチョウサンクチュアリーへ向かいます。コンビニで買ったお昼ご飯を食べながらしっかりと撮影をしていただきました。残念なのは風向きが悪くこちらに向かって飛んでくれないのが悔しい。ただし今年は珍しくマナヅルが1羽来ていてるのでこちらを撮れたのはラッキーでした。夕方は夕鶴を狙えるポイントへ向かってチャンスを待ちますが・・・残念ながら不発で終わってしまいましたが、まだ初日です。残りの日に期待をすることにしてホテルに戻りました。

タンチョウサンクチュアリー
タンチョウサンクチュアリー
タンチョウ
タンチョウ
一羽のマナヅルと出会えました
一羽のマナヅルと出会えました
一羽のマナヅルと出会えました
一羽のマナヅルと出会えました

<2日目>

TAITOのオーナー和田さんから「明日は天気がよさそうだから5時30分に出発しよう!」と提案をされていたのでまだ暗い中の出発です。さほど冷えてる感じはなかったのですが、晴れています。現場に到着するとまだ辺りは真っ暗です。私たち以外にほとんど人がいないのでいいポイントを確保できました。空には細い月が浮かび、川面には月の光の帯と星が映り込んでいましたのでそれらも撮っていただきました。徐々に明るくなるタイミングで撮影を楽しんでいただきながらアドバイスを伝えました。

タンチョウのねぐら
タンチョウのねぐら
タンチョウのねぐら
タンチョウのねぐら

本来は午後エゾフクロウポイントへ行く予定でしたが、和田さんの提案でそのままエゾフクロウの撮影を楽しみました。ペアが並んでいる姿を期待しましたが、今年も1羽だけ。それでもしっかりと楽しむことができました。

エゾフクロウ
エゾフクロウ

一旦ホテルに戻り、凍える身体で朝ご飯を食べると元気のいい参加者はすぐにホテルの庭に来るエゾリスを撮るために飛び出してゆきましたが、残念ながら撮影はできなかったようです。しかし日中は昨日と風が反対側から吹くのでこちらに向かって来るタンチョウを撮影するチャンスに恵まれたのですが、すぐ頭の上を飛ぶので望遠では撮れません!レンズの選択が難しく皆さんの歓喜と嘆きの声が交互に響きます。(笑)昨日同様今日も各自コンビニで買ったお弁当を食べながらの撮影を楽しみました。

真上を飛んでいったタンチョウ
真上を飛んでいったタンチョウ

夕方移動をして希望者だけタンチョウの飛翔を狙いつつ小鳥の撮影を楽しみます。ここではエサ台がありシマエナガ、シジュウカラ、ハシブトガラ、ミヤマカケス、アカゲラの撮影を楽しみました。太陽と飛翔を絡めた撮影はイマイチでしたが、十分楽しめた1日だと思います。

シマエナガ
シマエナガ
ハシブトガラ
ハシブトガラ
アカゲラ
アカゲラ

この記事を書いた人

戸塚 学 とつか がく
高校3年生の時写真に興味を持ち、幼少の頃から好きだった自然風景や野生の生き物を被写体として撮影をする。20歳の時、アカゲラを偶然撮影できたことから、野鳥の撮影にのめり込み、「きれい、かわいい」だけでなく、“生きものの体温、ニオイ”を感じられる写真を撮ることが究極の目標。野鳥を中心としたネイチャー系フォトグラファーを目指す。作品は雑誌、機関紙、書籍、カレンダー、コマーシャルなどにに多数発表。
●日本野鳥の会会員 ●西三河野鳥の会会員 ●SSP 日本自然科学写真協会会員

秋の奄美大島 アカハラダカの渡りと奄美固有種【後編】

Report by 簗川堅治 / 2023年9月21日~24日

3日目。
昨日に引き続きアカハラダカの渡り観察です。風が出てきました。期待できるか?すると遠くに20羽。次、20羽。さらに50羽旋回上昇しています!そして、群れの一部がついにこちらへ。近距離、そして頭上を次々と、あっという間に通り過ぎていきます。感動の瞬間!しばらくし、今度は200羽の鷹柱。さらに増え300羽、最終的には600羽の鷹柱になりました!圧巻!

アカハラダカの鷹柱(撮影:上山様)
アカハラダカの鷹柱(撮影:上山様)

アカハラダカ(撮影:簗川)
アカハラダカ(撮影:簗川)

アカハラダカ幼鳥(撮影:簗川)
アカハラダカ幼鳥(撮影:簗川)

結局、この朝は合計1,000羽の渡りを見ることができました。

気分が高揚した中、観察の森へ向かいました。またしても到着後に雨。どうにもうまくいきません。アマミイシカワガエルをまた確認し、雨が上がったところで探鳥スタートです。アカヒゲ待ちをするも、今日も出ず。ルリカケス数羽を見たにすぎませんでした。

 

昼食をとりに一旦、観察の森をあとにし、昼食後、再び観察の森へ。

観察の森到着後は自由時間とし、それぞれ過ごしてもらいました。ズアカアオバトとアカヒゲは声のみでしたが、みなさん、(オーストン)オオアカゲラ、(アマミ)ヤマガラ、(アマミ)シジュウカラの姿は見れたようでした。

オーストンオオアカゲラ(撮影:K.I様)
オーストンオオアカゲラ(撮影:K.I様)

 

4日目。
最終日です。この日は朝から観察の森へ行きました。未だよく観察していないアカヒゲやオーストンオオアカゲラ、オオトラツグミに最後の挑戦です。到着早々、何人かの方がアカヒゲを複数羽見れたようです。

アカヒゲ(撮影:K.I様)
アカヒゲ(撮影:K.I様)

やはり朝は出がいいですね。しかし残念ながら、オーストンオオアカゲラやオオトラツグミは見れませんでした。

続いて、別の場所でルリカケスを狙うもダメでした。海岸も回りましたが、いい鳥には出会えないまま時間となり、空港へ向かいました。

心配していた台風も来ず、予定通りアカハラダカの渡りはばっちり観察でき、鳥以外の奄美固有の動植物を満喫した旅になりました。参加者のみなさん、お疲れ様でした。

この記事を書いた人

簗川 堅治 やながわ けんじ
1967年生まれ。山形県在住。日本野鳥の会山形県前支部長。「何しったのやぁ?こだい寒いどごで(何してるんですか?こんなに寒い所で)」「鳥ば見っだのよぉ(バードウォッチングです)」「こだい寒いどぎ、ほだなどさ、鳥あて、いだんだがしたぁ?(こんなに寒い時にそんな所に鳥がいるんですか?)」私の地元では、こんな会話が日常茶飯事です。鳥はいつでもどこでも楽しめます!見て、聞いて、撮って楽しんでもらうのはもちろん、ほっこりとした温かい時間を過ごしてもらえるように山形弁でがんばります。おらいの(私の)島、飛島さもきてけらっしゃい(飛島にもきてください)!

秋の奄美大島 アカハラダカの渡りと奄美固有種【前編】

Report by 簗川堅治 / 2023年9月21日~24日

台風の時期なので毎年ハラハラドキドキしながらのツアーです。

1日目。台風の心配はなさそうなうで、安心してスタート。まずは空港近くの海岸で、シギチ類を観察しました。ムナグロやダイゼンなどのチドリ類とチュウシャクシギやキョウジョシギなどシギ類の他、ツバメチドリが複数いました。ミサゴも大きな魚を捕って食べていました。

ミサゴ(撮影:上山様)
ミサゴ(撮影:上山様)

白いクロサギは遠くにいて、ちょっとわかりづらかったですね。

続いて観察の森へ向かいました。途中、電線に止まるカラスバトやズアカアオバトを見ました。観察の森に到着時はあいにくの雨。しばらく待機し、まずは世界でここだけのカエル、アマミイシカワガエルの観察です。意外な所(?)にいました!

定点観察をしていたら、「コンコン、コンコン……」と(オーストン)オオアカゲラの木をつつく音がしました。しかし、どんな方向から探しても結局見れず。その後はアカヒゲを待つも、これも見れずに終わりました。

夜は恒例のナイトウォッチングです。ズアカアオバトが2羽寄り添って寝ていたのを皮切りに、まだ残っていた(リュウキュウ)アカショウビンや電線で眠るルリカケス、至近距離でみることができたリュウキュウコノハズクやアマミヤマシギもじっくりと見ることができました。

ズアカアオバト(撮影:上山様)
ズアカアオバト(撮影:上山様)

リュウキュウコノハズク(撮影:吉田様)
リュウキュウコノハズク(撮影:吉田様)

アマミヤマシギ(撮影:K.I様)
アマミヤマシギ(撮影:K.I様)

もちろん、アマミノクロウサギも複数見ることができましたし、奄美固有種のアマミトゲネズミの姿も肉眼のみではあったものの、数回、見ることができました。

 

2日目。アカハラダカの渡り観察に出発です。風がないのが気になります。やはり、風のせいか、なかなか現れず、あきらめかけた頃、遠くで2羽旋回上昇中!ちょっと盛り上がりましたが、遠すぎます。その後も複数羽が複数回飛んで行き、最終的には20羽程度確認できました。ただ、遠い!その他、(リュウキュウ)サンショウクイの姿も遠目ながら見ることができました。

続いて観察の森へ向かいましたが、雨が降ってきたので農耕地へ変更しました。降ったり止んだりを繰り返し、ツメナガセキレイ3羽を観察しました。

ツメナガセキレイ(撮影:上山様)
ツメナガセキレイ(撮影:上山様)

あとは特にいないようでしたので昼食をとりに行き、午前中は終了です。

昼食後、観察の森へ。アマミイシカワガエルは今日も同じ所にいました。

アマミイシカワガエル(撮影:簗川)
アマミイシカワガエル(撮影:簗川)

アカヒゲを待つものの、今日もダメでした。ただ、昨日よりはカシの実を食べるルリカケス数羽を比較的よく見ることができました。

ルリカケス(撮影:吉田様)
ルリカケス(撮影:吉田様)

(オーストン)オオアカゲラや(オオ)トラツグミもダメでした。なかなかうまくいきません。

ホテルへの帰りすがらにヒメアマツバメを見てホテルへ入り、夕食後のナイトウォッチングに備えました。

ナイトウォッチング2晩目です。アカハラダカとオオトラツグミに的を絞り、森を走ります。まずはリュウキュウアオヘビがお出迎えです。3匹が絡み合って交尾をしている光景にに出会いました。今日も(リュウキュウ)アカショウビンに会いました。

リュウキュウアカショウビン(撮影:上山様)
リュウキュウアカショウビン(撮影:上山様)

そしてついにアカハラダカ発見!一気に盛り上がりました。さらにオオトラツグミも!結果として、アカハラダカとオオトラツグミは2羽ずつ見ることができました。

アカハラダカ(撮影:K.I様)
アカハラダカ(撮影:K.I様)

オオトラツグミ(撮影:吉田様)
オオトラツグミ(撮影:吉田様)

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簗川 堅治 やながわ けんじ
1967年生まれ。山形県在住。日本野鳥の会山形県前支部長。「何しったのやぁ?こだい寒いどごで(何してるんですか?こんなに寒い所で)」「鳥ば見っだのよぉ(バードウォッチングです)」「こだい寒いどぎ、ほだなどさ、鳥あて、いだんだがしたぁ?(こんなに寒い時にそんな所に鳥がいるんですか?)」私の地元では、こんな会話が日常茶飯事です。鳥はいつでもどこでも楽しめます!見て、聞いて、撮って楽しんでもらうのはもちろん、ほっこりとした温かい時間を過ごしてもらえるように山形弁でがんばります。おらいの(私の)島、飛島さもきてけらっしゃい(飛島にもきてください)!

秋の石垣島でアカハラダカ・カンムリワシ・ムラサキサギを狙う【前編】

Report by 戸塚学 / 2023年9月24日~26日

今年は夏にあれほど来ていた台風が、ぱたりとなりを潜めて。おかげさまでこのツアー中は晴れの3日間でした。ただし暑すぎると鳥たちが日中出ないというのは・・・なんともつらい。また最近の沖縄はどこも田んぼで耕作をしてない場所が増えて、鳥が入っていない田が増えたのが困りもの。石垣島も二毛作が有名なのに、労力の割に米が安いので止める農家も多いとか。予定していた三種以外にもツアー中にハシブトアジサシ、ジャワアカガシラサギという珍鳥が出ていたのですがどうも今回は縁が無かったようで。

 

1日目

空港に時間通りみなさん集合されたので、専用車でまずは林道を流すことに。理由は日中暑すぎて鳥たちがなりを潜めてしまうので、林道で休んでいるカンムリワシは見つけやすいと考えたからです。しかし見当たりません。いつもいる場所にいないのです。ゆっくりと探しながら進むとリュウキュウアカショウビンが出ましたが、これまた枝被りでなんともならず。結局枝越しで見られただけでした。しばらく進むとドライバーさんが「いた!」というので見るとガードレールにとまるカンムリワシ。私的にはロケーションがイマイチだったのですが、みなさん初めてのカンムリワシなのでしっかりと撮ってもらいました。そのあとはいつも廻る田を廻りますが、昨日多くのシギ・チドリが抜けてしまったようでさみしい。違う田んぼで鳥を探すとムラサキサギがいたが稲に隠れている姿を何とか撮影できました。そのあとはたくさんいるがちっとも近くに来ないツメナガセキレイに翻弄されました。

ツメナガセキレイ
ヒバリシギ
アオアシシギ
アカアシシギ

ハシブトアジサシポイントへ向かう途中の田にムラサキサギがいたので車を撮影しやすい場所へ回してもらうと、車の横からリュウキュウヨシゴイが飛び出して消えていった!しかしムラサキサギはしっかりと撮影できてみなさま満足そうでした。しかしハシブトアジサシは・・・潮が満ちていて、いなくなっていた。残念!宿近くの田んぼで時間いっぱいまで撮影しましたが、残念ながらジャワアカガシラサギは見つけられませんでした。一旦ホテルに戻り、ナイトサファリに備えます。

ムラサキサギ
セイタカシギ
エリマキシギ

19時30分迎えに来たガイドさんと夜の森へ。リュウキュウアオバズクは出るのですがすぐ飛んでしまう。この日はリュウキュウコノハズクが良く鳴いているので何度か撮影チャンスに恵まれ撮影を楽しむことができました。そしてズグロミゾゴイも寝ている姿を撮影できました。さてリュウキュウアカショウビンですが、最後の最後に何とか撮影できました。私も撮影したのですが、残念ながらすべてブレていたので下見に撮ったものを載せておきます。ヤエヤマオオコウモリも撮影できました。みなさん満足してホテルに戻りました。

リュウキュウアオバズク
リュウキュウコノハズク
ズグロミゾゴイ
リュウキュウアカショウビン

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戸塚 学 とつか がく
高校3年生の時写真に興味を持ち、幼少の頃から好きだった自然風景や野生の生き物を被写体として撮影をする。20歳の時、アカゲラを偶然撮影できたことから、野鳥の撮影にのめり込み、「きれい、かわいい」だけでなく、“生きものの体温、ニオイ”を感じられる写真を撮ることが究極の目標。野鳥を中心としたネイチャー系フォトグラファーを目指す。作品は雑誌、機関紙、書籍、カレンダー、コマーシャルなどにに多数発表。
●日本野鳥の会会員 ●西三河野鳥の会会員 ●SSP 日本自然科学写真協会会員

やんばるの森に生きる固有種を撮る

Report by 戸塚学 / 2023年9月8日~10日

昨年ばっちりと撮影できた場所を下見で確認に行くと1か所は放棄地となって草が茂ってヤンバルクイナがいたとしても見られる状況ではなかった。周囲にはペアがいるが、場所が民家前なので使用を中止した。夕方のポイントも出現はするが、昨年に比べて出現が悪いのも悩ましかった。夕方のポイント周辺はヤンバルクイナの個体群が多いようで最低5ペアはいると思われる。

夜間は1日がヤンバルクイナ6羽、フクロウ類0、2日目はヤンバルクイナ0、フクロウ類0と厳しい状況で本番を迎えることになる。

ヤンバルクイナ下見

<1日目>

空港で皆さんをピックアップして喜如嘉へ。期待をしたがやはり少なく、シギやチドリが遠くすぐに引き上げて宿へ向かう。各自部屋へ荷物を置いてもらい、すぐに夕方のポイントへ移動します。とりあえずシートのブラインドを張るが、ブラインドの自重でうまく張れなかったせいか?人がたくさんいてオーラが出すぎたせいか、ヤンバルクイナは超速で道路を通過してしまい、薄暗くなるまで出現はなかった。そのまま夕食を食べてから夜間撮影の練習をしました。撮影は3段階での撮影をする練習をマスターしてもらったので、周囲になにか生き物はいないか探しに出ました。「以前ここにヤンバルクイナが眠っていたんだよね」とライトを当てると・・・いた!まさか本当にいるとは!この個体がまた逃げないし、すごく撮影がしやすい場所でがっつり撮影をしてもらいました。さて戻りましょうかと歩き出すとリュウキュウコノハズクが近くで鳴いているので探すと、これまた近くにとまっていたのでしっかり撮影をしてもらいました。予想外の撮影ができてみなさんルンルンで部屋に戻られました。

ヤンバルクイナ
コノハズク

<2日目>

5時半集合出発で夕方のポイントへ向かい、今回は2名が外でブラインド、4名は専用車の中からヤンバルクイナを待ちますが、残念ながら出ませんでした。本来回るコースを専用車で回ると道路上で1度だけ遭遇しましたが、撮影はできませんでした。Uターンする場所ではヤンバルクイナだけではなく、ホントウアカヒゲも近くで出るので20分待機しましたが近くまで声が近づきますが姿を現さなかった。一旦宿へ戻り、敷地内のトレッキングコースで鳥を探すと小鳥の混群が現れたのでリュウキュウメジロ・リュウキュウシジュウカラ・リュウキュウキビタキ、リュウキュウコゲラを撮影できました。

キビタキ
コゲラ

ノグチゲラの気配はするのですが、出会うことはできませんでした。カラスバトのうめき声を聞きながらトレッキングコースを歩いているとオキナワキノボリトカゲが出現したので撮影をしてもらいます。11時になったので一旦辺士名へランチを食べに行きます。下見の時にリュウキュウツバメがいたのでカメラは携帯してもらいます。食後は待っていたようにリュウキュウツバメが定位置にとまったところを撮影できました。

オキナワキノボリトカゲ
ツバメ

宿に戻る途中でリュウキュウイノシシのウリ坊が道路わきに出たので撮影してもらおうとしたのですが、さすがに6名も出てくると山へ逃げ込んでしまいました(笑)

お昼休みとしてる時間も皆さん活発に動いておられたようで、2名ほどが部屋のベランダからノグチゲラが撮れたようで報告を受けました。17時になったのでヤンバルクイナのポイントで待ちます。この日は道路の反対側をゆっくり歩いてきたのですが「これから」という時に車が来て叢へ入ってしまった。その後いつの間にか水路で水浴びをしていたようでちょっぴり出たがまたしても叢へ。そして最後は足早に通過してタイムアップ!いったん宿に戻り食事と準備をして夜間撮影を開始です。昨日ヤンバルクイナが眠っていた場所にはいませんでした。しばらく走ると道路を走る哺乳類が?なんとこちらに向かってくる?ケナガネズミです。車を止めて撮影してもらおうとしたのですが・・・茂みに消えてしまいました、残念。コース1/3でヤンバルクイナのペアを発見!しかし時間が早いせいか枝から降りてしまった・・・。

その後はオリイオオコウモリを撮影するために集落内の公民館で撮影をしていると鳥が???電線にアオバズクがとまったので撮影をしてもらいました。これはラッキーでした。その後も1羽を見つけるがこれまた逃げられてしまった!Uターン位置まで行ったので、そのまま引き返しながら探しますが見当たりません。諦めかけた時にライトが枝の上の塊を一瞬捉えました。車を止めてもらい探すが見当たらない?おかしいなぁとふと5歩ほど下がると枝に隠れていた塊をライトが照らします。なんとリュウキュウオだったのです。皆さんに撮影をしてもらっている間にまぶしかったのか横向きになってしまい、私は横姿しか撮れなかったが、皆さんは撮れたようで興奮をされていました。しばらく進むとまたしてもケナガネズミ!なんて日でしょう2頭も見られるとはアンビリーバボーです。まずまずの成果で事故もなく無事帰宅です。

オリイオオコウモリ
オオコノハズク

<3日目>

5時半集合出発で夕方のポイントへ向かい、今回は全員でブラインドからヤンバルクイナを待ちますが、なんと・・・家族連れのお父さんがヤンバルクイナの通り道でカメラを構えてうろうろする!参った・・・まさかこんな状況になるとは!30分ほどで切り上げてくれたが、陽が強く照りだしてきたので早めに切り上げて宿に戻ることに。敷地内に入り、駐車場に入ろうとしたら近くにヤンバルクイナのペアが!以前もここで出現したことがあったが・・・出るとは不覚だった。一度茂みに入ると出てこないので、皆さんには部屋に戻りパッキングをしてもらい車に積み込んでもらいます。皆さんを待っていると?ノグチゲラの声が近くで聞こえるので、荷物を積みに来た順番でそちらへ行ってもらいました。全員が荷物を積み込んだので私も行ってみると?誰もいない?反対側へ飛んで行ったそうで皆さんそちら側にいました。そのまま探しに行くと道路わきの地面からノグチゲラが飛び出すがとまった場所が竹や木の茂みで撮れそうで撮れない!トレッキングコースを途中まで歩き、ベンチがある場所で出発までの時間までフリーで行動をしてもらうことに。少人数とはいえ7名でぞろぞろと歩くだけで鳥との出現率は下がるので皆さん納得です。さて私はトイレに行きたいので施設に戻る途中、足元でガサゴソと何かが動く音が。すぐにノグチゲラと分かったので近くにいる人に伝えますが、またしても近いけれど撮れない!元来た道に戻り、皆さんに声を掛けました。そして私はトイレに(笑)戻って皆さんが何かを狙っているので聞くとホントウアカヒゲを狙っているようでした。時間になったので専用車に乗って喜如嘉へ。期待をしたのですが、パッとした結果は得られませんでしたがセイタカシギ・タカブシギは何とか撮ることができました。

ホントウアカヒゲ
タカブシギ

そして最後の時間調整地「三角池」へ。下見ではもう少し鳥たちがいたのですが、クロツラヘラサギ・ヘラサギ・アカアシシギ・アオアシシギ・キアシシギ・トウネン・ヒバリシギ・バン・コチドリを軽く撮影して空港へGo!怪我も事故もなく、皆さん無事帰路に就かれました。お疲れさまでした!

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戸塚 学 とつか がく
高校3年生の時写真に興味を持ち、幼少の頃から好きだった自然風景や野生の生き物を被写体として撮影をする。20歳の時、アカゲラを偶然撮影できたことから、野鳥の撮影にのめり込み、「きれい、かわいい」だけでなく、“生きものの体温、ニオイ”を感じられる写真を撮ることが究極の目標。野鳥を中心としたネイチャー系フォトグラファーを目指す。作品は雑誌、機関紙、書籍、カレンダー、コマーシャルなどにに多数発表。
●日本野鳥の会会員 ●西三河野鳥の会会員 ●SSP 日本自然科学写真協会会員