初夏の道東ワイルドライフフォトスペシャル<後編>

Report by 戸塚学 / 2025年6月21日~26日


4日目 羅臼 晴れ 

熊の船の船長からどうしても午後にしてほしいと要請があり、午前はゴジラ岩観光でシャチクルーズになりました。この日はシャチたちが同じ場所に集まり、他にばらけていないためすべての船がこのシャチの大集団の周りに集まりました。

シャチ
シャチ

シャチの軍団にウォッチング船の軍団が群がる形でしたが、天気も良く波穏やかでスパイホップをする個体が何頭も確認ができ撮影もしっかりできたと思います。残念なのはジャンプが無かったこと。

 

下船後はトイレに行き、そのままコンビニで買い物です。そして相泊港で待機して30分早いクマクルーズスタートとなりました。今年はクマたちがあまり海岸に出てこないという状況が続いておりちょっと心配しましたが、無事1頭のクマを船長が見つけてくれて撮影をすることができました。

ヒグマ

浜辺に腹ばいになって何かを食べています。アザラシか?と思いましたが海藻を掘り返しヨコエビなどを食べているようでした。歩く姿も撮影できましたが、他社の船が来たので岬先端部へ移動します。しかしここにはクマの姿はありません。帰路にもう一度先ほどのクマがいたあたりに戻りましたが山へ戻ってしまったようでした。途中カモメがたくさんとまっている場所にミツユビカモメはいないか探しますが見つかりません。それでもようやく成鳥で夏羽の特徴が残るヒメウがいたので船長にゆっくりと寄せてもらい美しい姿を撮影できました。

ヒメウ

下船後は昨日の動きから少し余裕をもって夕食を食べてからシマフクロウに挑戦です。この日も20時少し前、鳴き交わしの後メスが現れました。メスが去った後オスも来たのですが、生簀の奥にとまりその後横の木の枝にとまりますが、この木にライトが届かず暗い。生簀に降りるのを今か今かと待っていると・・・ぷぃっと海側へ飛び去りました。その後は姿を現さなかったので22時に終了です。昨年までは「出れば23時、出なければ24時まで粘る」と伝えていましたが私もジジィになったので1時間短縮させてもらう事にしました。(笑)

 

5日目 羅臼~斜里 晴れ

本日は滅多にないほどの凪の日。こういう日を油凪という。とにかく港で出航を待つ間の暑いこと暑い事。出航すると昨日と打って変わってシャチたちの大きな群れは見当たらない。しかしオス3頭、メス1頭がのんびりと泳いでいるので各社個々にターゲットを決めてシャチを狙います。私たちは愛想のいいオスを狙いましたが、他にも3頭いて順光の知床連山バックだと遠いけれども絵になるカットが狙えるし、逆光気味だが近い個体も狙えるのでどれを狙うかでみなさん右往左往(笑)。

シャチ
シャチと知床連山

とにかく波が無いので逆にカメラのAFがどこにピントを合わせていいのか迷ってしまうのは誤算だった。波もうねりもない、シャチがゆっくりだと船もゆっくりになるためもう船上は暑い!私も途中でレインウェアを上下脱いでしまった(笑)さすがに動きがないシャチばかり狙ってもいられないので沖の方へ移動しながらイシイルカを探します。このイルカ配色がシャチと似ているので初めての方はシャチと間違えるがほとんど姿を外に出すことが無く、なおかつ水しぶきだけを残して移動するため動画での撮影は可能だが静止画は極めて難しい。しかしあまりにも波が無いせいかこの時は背びれを出してゆっくりと泳いでくれてラッキーでした。

イシイルカ

さてまったりとした後はまた慌ただしくなります。下船後トイレに行きコンビニでお弁当を買い込みそのまま知床峠へ。狙いはギンザンマシコ。下見で確認した場所で待ちますが出ない。それでもアオジ、ウソ、ウグイス、ノビタキ!(私は初めてここで見た!)アマツバメ、声はルリビタキ、カッコウ、ツツドリが聞かれたが本命が出てこない。風があり、標高が高いこともあり涼しくも感じるが、炎天下なのでまさに修行だ。15分早めに切り上げようかなと思っていた時にメスのギンザンマシコが出てくれて撮影をすることができた!アンビリーバボーでした。

ギンザンマシコ

結局10分延長になってしまった。そのあとは斜里のホテルに移動して終了となりました。

 

26日 斜里~浜小清水~女満別 晴れ

朝は朝食の関係で8時に出発にしました。実際問題、草原の小鳥は夜明けから8時までが勝負なのでどうしても朝食時間がネックになるし、ドライバーさんの拘束時間の関係もあるのが悩ましい。まず小清水原生花園は国道を挟んで2か所になるので湯沸湖の木道側の説明をしたのち海側の説明をします。あとは個々に好きな場所で撮影をしてもらいます。小鳥は人数が多いと警戒をして寄ってこないためこれが最善の方法となります。今回スケジュールの関係で小鳥をほとんど狙う事ができず悩ましかったが、ここではコヨシキリ、ノビタキ、ホオアカ、オオジュリン、シマセンニュウなどを撮影ができたと思います。

コヨシキリ

高台へ涼みに出るとアオサギの群れに大きな白い鳥?タンチョウのペアです。

タンチョウ

しかし足元に茶色の塊?キタキツネが絡んでいるのかと思ったらヒナが1羽親鳥の間にいました。辺りを見回すと近くにいた一人を呼び撮影してもらいます。その姿を確認してみなさんが集まってきましたが親子はどんどん草丈が深い中に消えて行きます・・・結局最後の方には確認させてあげることができなかったのが悔しい。次が最後の場所となる空港近くの女満別湖畔キャンプ場。ここはキツツキ類がよく見られ、運が良ければクマゲラが出るかもというギャンブル性が対場所です。しかしすでに時間的には生き物が出ない時間。それでも予想外のエゾリスが出てくれました。エゾリスも暑いのでしょう、最後は木陰の木の枝に腹ばいになって休憩していました。

エゾリス

他にはベニマシコが撮れたことと、オシドリのヒナを見られたこと。

ベニマシコ

とにかくこの日は暑く北見が33度なのでここでも30度を超えていたはず!そして時間通りに空港へみなさまをお連れして無事解散となりました。

ご参加いただいたみなさまお疲れさまでした、そしてありがとうございました。

 

撮影できた生き物
スズガモ・シノリガモ・フルマカモメ・ハシボソミズナギドリ・ウミウ・ヒメウ・チシマウガラス・アオサギ・タンチョウ・アマツバメ・ウミネコ・オオセグロカモメ・ウトウ・ケイマフリ・オジロワシ・シマフクロウ・シマセンニュウ・コヨシキリ・コムクドリ・カワガラス・ノビタキ・ハクセキレイ・ベニマシコ・ウソ・ホオアカ・アオジ・オオジュリン・エゾシカ・キタキツネ・ラッコ・ゼニガタアザラシ・シャチ・イシイルカ・エゾリス・エゾヒグマ

見られた&声が聴かれた鳥
マガモ・キジバト・ドバト・アオバト・カワウ・カワウ・カッコウ・ツツドリ・オオジシギ・トビ・カワセミ・チゴハヤブサ・ハシブトガラス・ハシボソガラス・ヒガラ・シジュウカラ・ヒバリ・ウグイス・エゾムシクイ・ヒヨドリ・マキノセンニュウ・エゾセンニュウ・スズメ・ハクセキレイ・ミソサザイ・ムクドリ・ルリビタキ・キビタキ・スズメ・ウソ

この記事を書いた人

戸塚 学 とつか がく
高校3年生の時写真に興味を持ち、幼少の頃から好きだった自然風景や野生の生き物を被写体として撮影をする。20歳の時、アカゲラを偶然撮影できたことから、野鳥の撮影にのめり込み、「きれい、かわいい」だけでなく、“生きものの体温、ニオイ”を感じられる写真を撮ることが究極の目標。野鳥を中心としたネイチャー系フォトグラファーを目指す。作品は雑誌、機関紙、書籍、カレンダー、コマーシャルなどにに多数発表。
●日本野鳥の会会員 ●西三河野鳥の会会員 ●SSP 日本自然科学写真協会会員

初夏の道東ワイルドライフフォトスペシャル<前編>

Report by 戸塚学 / 2025年6月21日~26日

初日、2日目とあいにくの雨でしたが3日目からは天気にも海況にも恵まれました。とんでもない大当たりはなかった分、予定をしていた生き物たちにも合う事が出来、すべて撮影ができたことは及第点以上だったのではと思います。

1日目 中標津空港~霧多布岬~根室 曇り&濃霧

女満別から使用するジャンボタクシーで中標津空港に向かう途中は晴れていたのですが、だんだん風と雲が広がってきました。中標津空港では先入りをしているご夫婦と合流しました。残りの人たちは飛行機が大幅に遅れての到着となりました。いざ、霧多布を目指しますが、海に向かうに従い霧が濃くなります。・・・まずい、案の定岬は濃い霧に包まれ崖から海を見るのも大変な状況です。この時電話が!落石NCから明日は天候不良で欠航と連絡が入った。最悪を想定しての2本だが、1本でも出てくれれば精神衛生上ありがたい。本来なら海岸線を流しながらタンチョウを探すのですが視界がないのでパス。

宿に30分遅れで到着してすぐに予定をしていた居酒屋で食事です。じつはここ根室でも有名店でとても賑わっていました。もちろん味もボリュームもばっちりです。撮影ができない時は美味しいもので満足します。

2日目 根室 風雨&霧

本来なら同じ宿の予定が初日だけ取れなかったので、歩いて撮影する予定がタクシーで移動です。まずは東梅地区の森の中でクマゲラに期待をしますが霧雨の森の中は暗くて生き物を探すのも一苦労。ミソサザイの大きなさえずりが響き渡るのですが、姿を見つけられません。時々エゾムシクイやセンダイムシクイが囀りますがこちらも見つけてもすばしこくて撮影ができません。時々茂みが「がさり」と動きエゾシカが走り去ると「熊でなくてよかった」と胸をなでおろします。

結局なにも見つけられずトレッキングのみで終了しました。時間がまだあるので春国岱へ向かいますが、なんと木道が通行止め!これで万事休すかと思っていると風連湖の水辺にタンチョウのペアがいたので撮影をしてもらいました。タンチョウよ、ありがとう!

タンチョウ

ホテルに戻り各自朝食を食べてもらいましたが、これが予想以上に良くみなさん満足されていた。さて悩ましいのがこの後です。強風と霧では行く場所がないがホテルにいつまでもいられないので、まずは納沙布岬を目指します。やはり海側は霧に包まれていますが、向かう途中にある原生花園には馬が放牧されているのでそこで撮影をしてもらいます。

ウマ

その間に私は辺りを物色すると、ノビタキ・ベニマシコ・オオジュリン・シマセンニュウがいることがわかり撮影をしてもらいますが・・・遠い。約1時間ほど滞在して納沙布岬に到着。ハイドから観察するもウミウとオオセグロカモメとウミネコのみ。みなさんウミネコとオオセグロカモメの違いを知りたいという事でちょっぴりレクチャー。これよりまぎわらしいカモメ類の解説は無理なので簡単なので助かった(笑)。ヒメウがよくとまっている岩にはヒメウの姿が無くオオセグロカモメが抱卵をしていたので観察と撮影をしてもらいます。

オオセグロカモメ

その後は昼食のため「はなまる」へ。根室では有名な回転寿司で、すでに店内はいっぱい。こういう時は混んでいる店は時間調整ができてありがたい。

美味しいお鮨はあまり状況の良くない日には心をほぐしてくれるのでありがたい。次なる場所は明治公園。行き先を告げるとドライバーさんがびっくり!まさか市街地の公園とは思っていなかったようだが、じつはここコンパクトに鳥を楽しめるのだ。とはいえ時間的には野鳥撮影には厳しいが池にはよくカモメ類が水浴びをしているのでそれに期待すると上空をオジロワシが通過。

オジロワシ

一瞬だったので見られなかった方ががっかりするがいたしかたなし。池の周辺でノビタキ、ベニマシコが出るも遠い。カモメたちが水浴び後に風上に飛ぶので移動してそれを撮ってもらうが、なぜか全員でスタンバイをするとどこかに行ってしまった・・・イケずや!続いて花咲漁港。ここは冬なら必ず海ガモ狙いで行く場所だが、夏場はなぁ・・・。天気が良ければカモメ類の飛翔を練習がてらに撮ってもらうのだが曇っている。オジロワシが4~5個体いるようで飛翔する姿やペアどまりの姿を撮影来た。他に何かいないかなぁと探していると波打ち際の岩から何かが泳ぎ出した。初めはトドのこどもかと思ってみんなを呼び集めるが、1人足りないので探しに行くとようやく見つかった。いる場所に案内をするとすでに遠くまで泳いて行ってしまっていた。「トドのこども」と説明しているとみなさんから「ラッコだよ!」と言われて?どうやら私が参加者を探しに行っている間に背泳ぎで移動している姿からラッコと判明したようだ。

ラッコ

それにしてもここで出会うのは超久しぶりだった。最後は春国岱のネイチャーセンターへ行き時間調整をして宿へ。この日は西の空が若干色づいていたので軽い期待をしていたが、夕食後にまさかまさかの焼けっぷりに驚いた!残念なのはタンチョウとエゾシカ両方ともこの光の中、絡ませることができない事だった!

根室の夕焼け

 

3日目 根室~羅臼 晴れ

昨日の荒天がまるで嘘のような天気。風連湖はまるで鏡のように静まり返っています。しかしちょっぴり心配なことも。5時30分集合して撮影に出ました。外気温は暖かい。そして風がないと言事は奴らが襲って来る予感が?まずはコヨシキリの声を頼りに探しますが、結構遠い。続いてオオジュリン・ベニマシコ・シマセンニュウと出るのですが・・・撮影ができない!

ベニマシコ

その理由は「ヌカカ」の大群に交じった大きめの蚊の猛襲。参加者には彼らが襲って来ることは伝えておいたのですが、その数がハンパない!私が体験した過去最高の数。予定では1時間30分を予定していましたが30分で強制終了。朝食まで部屋待機となりました。朝食後は春国岱を散策予定でしたが、このヌカカ天国では撮影どころではないので一旦道の駅に移動して席決めのじゃんけんですが、ここもあっという間にヌカカに占領されて移動を余儀なくされます。続いてコンビニでも入り口はすでに無数のヌカカに覆われています。

 

ようやく太平洋側の海岸の草地へ来ると冷たい海風のおかげで彼らの攻撃を受けずに済みました。その後落石のクルーズに参加します。波はありませんが昨日までの荒れ模様でうねりがあります。鳥たちはウトウ・ケイマフリ・ハシボソミズナギドリ・ヒメウ・ウミウ・オオセグロカモメが出ますが、やはりうねりがあり撮影は難しい。

ハシボソミズナギドリ

ユルリ・モユルリの間でエトピリカを探しながらラッコやゼニガタアザラシを撮影します。

ラッコ
ゼニガタアザラシ

時折上空をオジロワシも飛びますが、結局エトピリカとの出会いはなかった、残念。

オジロワシ

このクルーズのもう一つも目玉がチシマウガラスの夏羽&繁殖羽。岩の一角で営巣をしているのでそれを観察します。頭にはとさか、目の周りが真っ赤でとても美しい。30年前には超レアな鳥がこうして観察できるのは感無量です。

チシマウガラス
チシマウガラス

下船後は羅臼に向かって移動です。その前に途中にある伊藤牧場でおいしいソフトクリームを堪能。そして尾岱沼ではショウドウツバメのコロニーと飛翔をちょっぴり撮影。

ショウドウツバメ

ゆっくりしたいのだが、夜はシマフクロウの撮影が控えており夕食の時間が早いので致し方がない。サライではまず荷物を部屋に入れ、夕食を食べてすぐ出発。最近は早い時間にシマフクロウが出るのでそれに期待。なんと予定通り20時少し前に鳴き交わした後メスが生簀へ。2尾食べたあと1尾をヒナの元へ運んで行った。オスは少し遅れて現れ、こちらも2尾食べたあと1尾をくわえてヒナの元へ。その後声はするが姿を現さなかったので22時に切り上げて終了となりました。

シマフクロウ

結局この後、午前2時まで出なかったそうで終了時間はばっちりでした。

この記事を書いた人

戸塚 学 とつか がく
高校3年生の時写真に興味を持ち、幼少の頃から好きだった自然風景や野生の生き物を被写体として撮影をする。20歳の時、アカゲラを偶然撮影できたことから、野鳥の撮影にのめり込み、「きれい、かわいい」だけでなく、“生きものの体温、ニオイ”を感じられる写真を撮ることが究極の目標。野鳥を中心としたネイチャー系フォトグラファーを目指す。作品は雑誌、機関紙、書籍、カレンダー、コマーシャルなどにに多数発表。
●日本野鳥の会会員 ●西三河野鳥の会会員 ●SSP 日本自然科学写真協会会員

大雪山・旭岳のギンザンマシコと海鳥の聖域・天売島
<後編>

Report by 戸塚学 / 2025年6月13日~17日

4日目 天売島 霧~曇り 

5時に起床してウォッチング船からの連絡を待ちます。参加者には5時30分に出航できる状態で待機を連絡してもらっています。20分に連絡があり出航が決定。今日は天売港からです。集合してから車で港に向かいます。今日は風が南なので反時計回りで赤岩を目指すとの事。早速出航をすると辺り一面ウトウが浮いています。霧がかかっていますが明るいので速いシャッターが切れるのはありがたい。

ウトウ

先に進むにしたがいケイマフリの姿が増えます。泳ぐ姿、波しぶきを上げて走り飛翔する姿も、岩で休む姿も撮れました。

ケイマフリ
ケイマフリ
ケイマフリ

それよりも明るい時間にケイマフリと一緒に岩の上でくつろぐウトウを間近で撮影ができるなんて!昨日の暗いライトアップの中とは大違いです。

ウトウとケイマフリ

その後もゼニガタアザラシや珍しいヒメウの営巣、ウミウ、オオセグロカモメの繁殖コロニーを観察しながら赤岩へ向かいますが霧が濃いのでここで引き返すことになりました。私たちも一旦船から戻り朝食を美味しく頂きました。

ゼニガタアザラシ

さてこの後どうするかです。ダメ元で霧の赤岩展望台に向かうと、霧の合間から岩の上にとまるケイマフリが!

ケイマフリ

撮影を楽しんでいるとだんだんと霧がはれて視界が広がります。そうなれば飛翔するケイマフリやこちらに向かって飛んで来る姿を撮影してもらいます。かなり難しいのですが、コツとカメラの設定を教えてここからはスパルタ撮影会です。チャンスが多いので何度も繰り返すうち、それなりのカットは撮れたようです!

ケイマフリ
ケイマフリ
ケイマフリ

10時を過ぎるとケイマフリの飛翔が減ります。そんな時ですハヤブサが岩棚にとまったのでしっかりと撮影してもらいます。ふと、下の海を見るとウミガラスが3~4羽海の上に浮かんでいます。これがもし太陽が出ていれば「天売ブルー」の海の上に浮かぶウミガラスだったのにとちょっと悔しかった。鳥たちの動きもなくなってきたので、島をゆっくりと一周しながら鳥たちを探しながら撮影します。ノゴマは多いのですがなかなか手強い。天売島では気を付けなければいけないことがある。それは昼食難民。お店が早い時間に閉まってしまうので食べられなくなる危険性が!最悪は宿の天売マフレでも食べられるができれば違うモノが食べたい。そこで港の食堂へ行くと・・・定休日。なお営業時間はAM10:30~PM13:30!あっぱれじゃ。結局宿の隣の番屋という店で食べる事になりました。その後は約2時間の休憩にしました。

 

今日も夕食時間が早いので車で移動して森の中を散策します。しかし時間が悪いのでさえずりは少なく、いるのはノゴマばかり。うまく撮れる場所にいればいいのですが、ともかく悩ましい。

ノゴマ

クロツグミの美声も聞こえますが姿は見つけられません。そのうち足元で鳥の鳴き声が凄くしますが見当たりません。約15分嘗めるように探すとようやく近くの枯れ枝が積み上げられている場所に巣立ったばかりのヒナ鳥がちょこんと乗っていました?頭にはまだ幼羽が残っています。アオジの巣立ちびなでした。

アオジ

その後アカゲラがけたたましく鳴くので近くに巣があるのがわかります。しばらくするとこちらを警戒して出てきた姿を撮影してその場を離れました。草原ではノゴマ祭り!声はしますがシマセンニュウは見当たりません。ようやくノビタキのペアを見つけましたが遠い!けれど撮ってもらいます。ノビタキの巣立ちびなもいましたがこちらは撮れませんでした。

 

早めの食事を済ませて帰巣するウトウを狙いに行きます。途中以前クロツグミがいた場所に来るとオスがミミズ獲りに必死になっていたので、ラッキーなことに撮影ができました。私は運転席のドアを開けると逃げられる可能性があるのでじっと我慢(笑)さて到着すると昨日よりもウトウが早く戻って来ます。その嘴にはびっしりと小魚が!次から次へと戻る個体のどれもが魚を持っています!

ウトウ

どうやら久しぶりに大漁だったようで皆早い時間に戻ってきたようです。曇り空ではあるが風向きもいい事でまさに次から次へとこちらに向かって来る姿は圧巻です!今日は年に1,2回のお祭りのようです!暗くなり撮影ができないなか3人でこの圧巻の光景を堪能しました。今日は最高の1日です。ライトアップはさすがにあまりみなさん興味が無いようで、時間になりガイドの車に着いて宿へ戻りました。

5日目 天売島~旭川空港 曇り~雨~晴れ

今日も電話待ち。雨が降っているので中止かなと思っていると出航との事。ただ今日は前浜港という小さな港から。集合をすると雨は止んでいます。ここから一気に赤岩へ向かいウミガラスを狙うとのことでした。到着するとウミガラスが増えていてびっくり!以前はデコイの方が多かったのに今は生きてる個体の方が多い。ただし海に浮かんでいる姿は確認できません。しかしコロニーから飛び立つ姿が見られるのでみなさんにそれを伝えて撮影してもらいます。しかしいい時代になった、こんな撮影が簡単にできてしまう!

ウミガラス

その後、昨日と同じコースを回りますが、今日はあまり明るくないので撮影がイマイチ。風向きが変わったという事で、天売港で降ろされてから業者の車で前浜漁港へ向かい、車を取りに行った後参加者をピックアップして宿へ。この日は時間的に廻っている余裕がないので朝食後はゆっくりと時間を取り、天売港でフェリーを待ちます。天気が悪いので外には出ず船内でまったりとしてもらいます。羽幌港に着くと雨足も強いのでとりあえず空港に向かい走らせました。途中道の駅で昼食を食べたのですが、ここが安い!少し離れただけでこんなにも値段が違うとは。しかし長時間ここにいたわけではないが、この時間が帰りの到着時間に影響してしまった。乗る飛行機が今回も遅れるという事もあるが、本来の到着時間よりも30分遅くなってしまったため、次回はコンビニで買っていただき車内で食べていただくのが良いと良い経験になった。

 

なかなか初めてのツアーで不手際もありましたが、もってる参加者のみなさん十分に楽しんでいただけたのではと思いました。ご参加ありがとうございました。

撮影できた鳥
ヒメウ・ウミウ・アマツバメ・ウミネコ・オオセグロカモメ・ウミガラス・ケイマフリ・ウトウ・ノスリ・アカゲラ・ハヤブサ・モズ・コムクドリ・ノゴマ・ノビタキ・ハクセキレイ・カワラヒワ・クロツグミ・ギンザンマシコ・ウソ・アオジ・カヤクグリ・ゼニガタアザラシ

見られた&声が聴かれた鳥
キジバト・ドバト・アオサギ・ツツドリ・ウミスズメ・トビ・ハシブトガラス・ハシボソガラス・シジュウカラ・ヒバリ・ヒヨドリ・ウグイス・エゾセンニュウ・シマセンニュウ・コヨシキリ・オオヨシキリ・ムクドリ・ルリビタキ・イソヒヨドリ・キビタキ・オオルリ・スズメ・ベニマシコ・アリスイ・キタキツネ

この記事を書いた人

戸塚 学 とつか がく
高校3年生の時写真に興味を持ち、幼少の頃から好きだった自然風景や野生の生き物を被写体として撮影をする。20歳の時、アカゲラを偶然撮影できたことから、野鳥の撮影にのめり込み、「きれい、かわいい」だけでなく、“生きものの体温、ニオイ”を感じられる写真を撮ることが究極の目標。野鳥を中心としたネイチャー系フォトグラファーを目指す。作品は雑誌、機関紙、書籍、カレンダー、コマーシャルなどにに多数発表。
●日本野鳥の会会員 ●西三河野鳥の会会員 ●SSP 日本自然科学写真協会会員

大雪山・旭岳のギンザンマシコと海鳥の聖域・天売島
<前編>

Report by 戸塚学 / 2025年6月13日~17日

個人的にはどちらも何度か足を運んでいる場所ですが、西遊のツアーでは初めてとなります。時期的に旭岳の宿が山開きに合わせてオープンさせるという事で、2日間宿が旭川市内という事になり本来予定をしていた山麓周辺の撮影ができなかったことが残念だった。天売島はピーカンの晴れとはいかなかったのですが2日目に奇跡的出来事が続き大変喜んでいただけたのではないかと思いました。

1日目 晴れ

旭川空港での集合に飛行機がかなり遅れた事と宿が旭川市内名なのでそのまま宿入りしました。

2日目 旭岳 晴れ

旭川市内からの出発のためロープウェイの始発に乗れず、8時30分の便で姿見駅へ。今年は少ないとはいえ残雪の残る斜面をおっちらえっちら歩いて行きます。第一展望台に向かう途中に鳥のさえずりが?ふと見上げるとオスのギンザンマシコがハイマツの上に!しかし撮影する前に飛ばれてしまった。まず第一展望台に上がり周囲の場所の説明をしたのちギンザンマシコ狙いのカメラマンで賑わう第三展望台へ向かいます。どうやら朝1番でこの場所の近い場所でゆっくりと撮影ができたらしい・・・悔しい。その後も何度か飛んだり、ハイマツの上にとまるもすぐに飛び去ったりなどしてなかなか撮影をさせてはくれない。途中でカヤクグリやノゴマが撮影はできたものの本命はさっぱり。

カヤクグリ

参加者の1人が、第二展望台に行ってみる!と歩き出した。彼女があと少しで到着という時です、なんと目の前の岩にギンザンマシコのメス2羽がとまったのです。こちらからは逆光&遠い!しかし彼女からは順光&近い!「「しっかり撮って!」と声をかけてしっかり撮ってもらいました。その後、持ってきた携行食を食べながら待ちますが・・・時計は14時を回ります。ダメかなと諦めかけた時とうとうその時は来ました。ハイマツのてっぺんに真赤なオスがとまりました。時間としては3分あったか無いかですが、動かないのでしっかりと撮影ができました!

ギンザンマシコ

15時45分のロープウェイで下山をしたのですが、あれっきりギンザンマシコは出なかったので超ラッキーでした。ホテルへ戻りサービスで付いてきたグラス生ビールで祝杯を挙げました!

3日目 旭川―羽幌―天売島 晴れ

旭川から予定よりも早く羽幌港に到着したので、周辺で撮影を試みますが天気がいい事と時間的に鳥たちが少なく撮影ができません。一旦ろうそく岩まで戻りウミウを撮影しようとしますが・・・陽炎がひどくてダメでした。それではと食事に向かいましたがどこも高い!特にお客様の所望のうに丼がどこも5000円!結局ホテルのレストランで普通の味と値段の食事となりました。天売航路では思ったほど海鳥たちには出会う事ができずウトウ、ケイマフリ、ウミウ、2度ほど出てくれたウミスズメを撮ることができなかったのが悔しい。

ウミウ

天売島に着いてそのまま西遊の宿、天売マフレへ。この日は18時から赤岩展望台で帰巣するウトウの撮影のため早めの食事をする予定。その前に宿周辺で鳥を撮影します。天売島にはノゴマとコムクドリが多いのでまずは撮影できてよかった。一番の収穫は巣立ち間もないアカゲラを撮れたことでしょう。

 

17時から食事をして出発します。天売島ではウミネコが繁殖する場所が海岸にあり道路周辺にも広がるため道路がウミネコで埋め尽くされてしまう。今年はまだヒナの数が少なくてよかったがここがヒナで溢れるとどかして車で通行するのが超大変!

ウミネコのヒナ
ウミネコ

そこを抜けると展望台までの上り坂を登り展望台です。今年はオオイタドリの丈が高く戻って来るウトウが見つけにくい。合わせて予定をしていた時間よりも1時間遅く戻ってきたので暗くなってしまい思ったような撮影ができませんでした。参加者からも「この撮影は私たちには難しい」と言われますが私自身も超苦戦しているのだから当然です。暗くなってからは色づく空をバックに帰巣するウトウを狙いますが・・・いつもより数が少ない。現地ガイドの話によると今年はエサの魚が少ないのでほとんどの親鳥たちがエサを持ち帰れない&時間が遅いとのことでした。そのあとはライトアップされたウトウを撮影するのですが一般観光客も多いので思うように撮影ができずみなさん結構ストレスを感じていらっしゃった。ここからの帰りは鳥たちを車で轢かないためにガイドの車に着いて帰路につきました。

ウトウ

 

この記事を書いた人

戸塚 学 とつか がく
高校3年生の時写真に興味を持ち、幼少の頃から好きだった自然風景や野生の生き物を被写体として撮影をする。20歳の時、アカゲラを偶然撮影できたことから、野鳥の撮影にのめり込み、「きれい、かわいい」だけでなく、“生きものの体温、ニオイ”を感じられる写真を撮ることが究極の目標。野鳥を中心としたネイチャー系フォトグラファーを目指す。作品は雑誌、機関紙、書籍、カレンダー、コマーシャルなどにに多数発表。
●日本野鳥の会会員 ●西三河野鳥の会会員 ●SSP 日本自然科学写真協会会員

ヤイロチョウの棲む島・巨済島(コジェド) 囀りの季節の撮影 4日間

Report by 戸塚学 / 2025年5月25日~28日

1日目 晴れ

釜山空港で合流して撮影ポイントの成る場所で地元の保護協会の方と合流して各ポイントを巡ることになりました。初めに「世界初」というヤイロチョウの保護区の案内をしていただき、特別に保護区の中にある、昨年ヤイロチョウが使った古巣を見せてもらいました。
ヤイロチョウは、毎年巣造りをするので問題はないとのことでした。ただし、周辺で今年も営巣する可能性が大きいので、環境的な撮影をすることができたのは良かったです。韓国での巣は岩の上が70%、木で20%、地面が10%で、地面の場合はほとんど失敗するとのことでした。理由は捕食者に襲われる確率が高く1番はイタチで、他にはカラスなどとのこと。 その後は各ポイントを廻り、ヤイロチョウのさえずりを確認すると、遠くでさえずりを確認することができました。

2日目 晴れ

朝6時に出発して車で移動をしながら保護協会の方と一緒に探します。さえずりが聞こえる場所で待つのですが、なかなかに厳しい。近くまで来ても手前の枝葉が邪魔をして見えない!声は超近くなのに見えない!
しばらくすると何かが飛ぶ姿が視線に入り視線の先を見ると?ヤイロチョウだ!!!何とか抜ける場所を見つけるがお客様に説明が難しい。それでも何とか確認をすることができました。

ヤイロチョウ
ヤマガラ

一旦朝食でホテルに戻ると、ホテル脇の山の上にタカが飛んでいるというので、見るとハチクマが10羽ほど旋回している?これは繁殖なのか?渡りなのか?気になるが、それよりも撮影できる距離ならと悔しい思いをする。

ハチクマ

朝食後はいったん休憩を30分ほど入れてから、何か所かを廻り同じような撮影を繰り返すことになるが、ほとんどが近くまで来ても姿を見ることさえできないのが悔しい。地元の方も「ヒナがいれば巣の近くで確実に見られるけど、さえずりの場合はやはり難しい」とのこと。それでも私たちの真上に来てお腹の赤い部分をしっかり見られ撮影もできたことはラッキーでした。

ヤイロチョウ
ヤイロチョウ


昼食後は休憩を入れて16時からスタートです。コウライウグイス、コウライキジ、ブッポウソウは見られたが本命のさえずりが聞こえない。ようやく声がするので待っていると同じ場所から動かない。必死に双眼鏡でさがすと、手前の青葉の奥にコバルトブルーが見えた?と思い、少しづつ動くとやはりそこにヤイロチョウがいた!

ヤイロチョウ

ただしお客様に教えることができない。私の位置以外見えないし、少しでも目を離すと再捕捉が難しい。そこで、みなさんのカメラを借りて私が撮影をすることにしました。その後は、夕食に合わせて18時終了となりました。

ブッポウソウ
キセキレイ

3日目 晴れ

珍しくこの日も晴れ。昨日同様6時スタートです。しかしこの日はさえずりが聞かれない。どういうことかわからないが、なぜか日によってまったく状況が変わることがあるのは経験的に分かっているが、まさしくそんな日でした。よくさえずるポイントを探すがまったくさえずりが聞かれず、ひたすら車で移動しながら声を探します。ようやくさえずりが聞かれる場所を見つけ探していると、なんと2羽いたが飛ばれてしまいました。喧嘩をしている様子は見られなかったのでペアだと思われます。悔しい・・・

一旦朝食を食べたあと、1時間ほど休憩を入れて再スタート。やはり探せど、探せど見つからない・・・結局、撮影どころか見つけることができませんでした。昼食に行く途中、小さな島がサギのコロニーになっていたので少し覗くと、ダイサギ、チュウサギ、アマサギ、アオサギの姿を確認。海岸でカラシラサギはいないか探すが見つかりませんでした。午前の部は終了となりました。

サギのコロニー
モズ

夕方は、一番確率が高そうな場所で探すことに。コウライキジを発見したお客様がチャレンジするも、まんまと逃げられてしまいました。これは私の想像だが、きっと狩猟鳥なので人間に対しての警戒心が強いんじゃないかなと思っています。赤松のてっぺんにとまるチゴモズとサンショウクイを撮れたのはラッキーでした。その後ヤイロチョウのさえずりが聞こえたので期待をしたが、結局探し当てることもできず終了となってしまいました。

チゴモズ
サンショウクイ

4日目 晴れ

最終日なので、早朝の2時間が実質ラスト!
昨日の夕方かなり近くでさえずっていた場所へまっすぐ向うが・・・声がしない。全くしない。少ない時間で粘るのは危険なので次の場所へ向かうがことごとく声が無い。これは困ったと焦っていると、声が!車を停めて外へ出る。さえずりを頼りに近づくと近い!しかしどうやっても見つけられない。ヤイロチョウのさえずりに触発されたのか、カラアカハラとマミジロキビタキも囀り出す。本命も狙いたいがこの2種も捨てがたい・・・!おまけにホオジロの声まで加わった?ホオジロと不審に思い声の方向を見ると鳥がいた。後ろ姿はホオジロだ。ふと横を向くと眉毛が黄色い!ミヤマホオジロだ。みなさんに撮影してもらおうと呼ぶと飛ばれてしまいました・・・悔しい。

カラアカハラ

結局ヤイロチョウは同じ場所でしばらくさえずった後、森の奥へ離れて行きました。最後の最後に期待をして向かった場所は、なぜかこんな早くから林道沿いで伐採作業をしていて、前に進めずやむなくUターンして、朝一で行った場所に戻るも結局声も聞くこともなく終了となってしまった。朝食後にそのまま釜山空港へ向かい無事終了となりました。

 

ヤイロチョウ=地面のイメージがあるが、さえずりは木の中間部から上層部にいることが多く、声を頼りに探しても見上げになることで手前の枝葉が邪魔で探すのに苦労しました。今回は手探りの部分もあったが、今後は早朝のみヤイロチョウ探しにして、他はブッポウソウ、コウライウグイス、チゴモズなどを探すのが良いかもしれない。ヤイロチョウの撮影は非常に難しいです。

ヤイロチョウ
ヤイロチョウ
 

撮影できた鳥
アオサギ・チュウサギ・ダイサギ・アマサギ・ハチクマ・ブッポウソウ・コゲラ・ヤイロチョウ・サンショウクイ・チゴモズ・モズ・ミヤマカケス・ヤマガラ・シジュウカラ・ヒガラ・カラアカハラ・キセキレイ・ミヤマホオジロ

見られた&声が聴かれた鳥(S=さえずり)
コウライキジ・カワウ・コサギ・ウミネコ・ドバト・キジバト・カッコウS・ホトトギスS・アカショウビンS・オオアカゲラ・ヤマゲラS・コウライウグイス・サンコウチョウS・カササギ・ハシボソガラス・ハシブトガラス・ツバメ・エナガ・ヒヨドリ・ウグイスS・マミジロキビタキS・イソヒヨドリ・シロハラS・ムクドリ・カワラヒワ・スズメ

この記事を書いた人

戸塚 学 とつか がく
高校3年生の時写真に興味を持ち、幼少の頃から好きだった自然風景や野生の生き物を被写体として撮影をする。20歳の時、アカゲラを偶然撮影できたことから、野鳥の撮影にのめり込み、「きれい、かわいい」だけでなく、“生きものの体温、ニオイ”を感じられる写真を撮ることが究極の目標。野鳥を中心としたネイチャー系フォトグラファーを目指す。作品は雑誌、機関紙、書籍、カレンダー、コマーシャルなどにに多数発表。
●日本野鳥の会会員 ●西三河野鳥の会会員 ●SSP 日本自然科学写真協会会員

立山のライチョウを撮る【2025年4月編その2】

Report by 戸塚学 / 2025年4月20日~22日

3日目 晴れ

天気予報は曇りのはずが、なんと晴れてる!予定通り5時30分からライチョウを探しに行くと、昨日2羽のオスがいた場所にオスはおらず、かわりにメスが目立つところにいたのでみなさんに撮ってもらいます。昨日までは雄ばかりだったので雌雄の違いをしっかり確認してもらいました。

ライチョウ(メス)
ライチョウ(メス)
ライチョウ(メス)

私は違う場所へライチョウを探しに行き、みなさんには撮影を続行してもらいます。1羽のオスを見つけましたが遠いしあまりいい場所ではないのでみなさんを呼ばずに戻りました。1人の女性が「こっちに2羽いますよ!」と教えてくれたので見に行くとオスが2羽いました。昨日の2羽かなと思ってみていると?1羽には足環がなさそうで?とすれば昨日とは別のオスのようです。もう1羽はみくりが池方面のハイマツに消えて行く時に昨日いた雄と同じ足環を確認。そんな時、山側を鳥の群れが通過しました。昨日は猛禽に追われ一瞬でしたが、今回は普通の飛翔スピードだったのでヒヨドリと確認できました。一旦食事に行き、次回は荷物をまとめ食堂にデポしてから撮影に出る事にします。

再びメスがいる場所へ向かうとなんと2羽でいます。メスが嫌がっていないという事はどうやらペアリングしているようです。考えてみれば昨日この場所にいた2羽のオスはこのなわばりのオスではなかったという事か。それで激しい喧嘩をしなかったのだ。今日は雄、雌、ペアとどれも白いライチョウを撮ることができました。

ライチョウ(ペア)

人が増えて来たことと太陽が光線が真上から降り注ぐのでペアはハイマツの中に入ってしまった。動きが無いので10時にみなさんに集まってもらい今後のスケジュールを伝えました。「このまま撮影を続ける」「状況的にこれからは良くならないので切り上げて帰る」を選択してもらい1名は残り、4名は帰るという事で、宿で解散となりました。結局残ると言っていた方も30分後「やっぱり帰る」と私たちが出発する前に戻ってこられました。

残雪の多さでライチョウの出現が心配されましたが、数は少ないものの白いライチョウをしっかり撮れたのは良かったと思いました。

奥大日岳
奥大日岳

 

撮影できた鳥
ライチョウ・カヤクグリ

 

見られた&声が聴かれた鳥(S=さえずり)
ウソ・ヒヨドリ・ハイタカ?・ハヤブサ

この記事を書いた人

戸塚 学 とつか がく
高校3年生の時写真に興味を持ち、幼少の頃から好きだった自然風景や野生の生き物を被写体として撮影をする。20歳の時、アカゲラを偶然撮影できたことから、野鳥の撮影にのめり込み、「きれい、かわいい」だけでなく、“生きものの体温、ニオイ”を感じられる写真を撮ることが究極の目標。野鳥を中心としたネイチャー系フォトグラファーを目指す。作品は雑誌、機関紙、書籍、カレンダー、コマーシャルなどにに多数発表。
●日本野鳥の会会員 ●西三河野鳥の会会員 ●SSP 日本自然科学写真協会会員

立山のライチョウを撮る【2025年4月編その1】

Report by 戸塚学 / 2025年4月20日~22日

今年の冬は日本海側で雪が多かったこともあり、室堂も数年ぶりの雪景色でした。あまりにも雪が多いとライチョウは朝のなわばりパトロール後、下に降りてしまう事が多く遭遇率の低さを心配遭いましたが、3日目には多くの白いライチョウに出会う事ができました。

1日目 曇りのち雨

さて当日、宿に向けて歩き出した時はまだ雪も雨も降っていなかったのですが、5分ほどで霙が雨に変わりました。本来ならこの道中もライチョウを探しながら撮影をするのですが、雨が結構強く振って来るのでひたすら歩くことに。何とか宿まで無事に到着することができました。その後も雨足は強くなるのでこの日は撮影をせず終わりました。

2日目 快晴

朝は5時30分からスタートです。天気は快晴=ライチョウが出にくいのが心配ですが、歩き出してすぐに真っ白なオスを発見してみなさんに撮ってもらいます。本来なら昨日ライチョウを探しながら各ポイントへ向かい説明をするのですが、大雨だったのでそれができなかったのでこの日にすることにしていました。しかし、すぐにライチョウが見つかったので撮影を優先させます。

ライチョウ(オス)
ライチョウ(オス)
ライチョウ(オス)
ライチョウ
ライチョウ(オス)

だんだん人が集まってきたので一旦切り上げ2か所目に向かい説明をしました。残念ながらこの場所にはライチョウはいなかったので先ほどの場所に戻り再び撮影をしてもらいます。途中、ハイマツ上でさえずるカヤクグリを狙う方もいました。

カヤクグリ

7時30分に一旦食事にして9時から撮影再開にしました。朝撮影したライチョウはまだいましたが、一旦別の場所へ向かいます。ここもライチョウがよく出る場所で説明をした後「私は歩いて別の場所へライチョウを探しに行きますが、いい場所にライチョウがいればストックを大きく振るので頑張って歩いてきてね」と伝え探しに行きましたが1ヶ所目には見当たりません。2か所目にはオスがいました。しかし天気がいいので枝が混みあった場所で眠っています。動きそうもないのでストックを振ることなく戻り、朝撮影した場所へ戻り再びライチョウを撮影してもらっていると、ハイマツの中のライチョウが急に首を伸ばして振っています?「警戒してる」と思ったら、小鳥よりも少し大きな鳥の群れが私たちの間を猛スピードで駆け抜けて行くとすぐ後ろを少し大きめなシャープの鳥が追いかけていました。一瞬ですが尾羽にバンドがあるのは確認できましたが、種の同定はできませんでした。しばらく飛び去った方向を見ると猛禽類らしい2羽が喧嘩しながら飛んでいますが雪の斜面から猛スピードで出たり入ったりするのでなんだかわかりません。そのうちの1羽を何とか撮影するとハヤブサでした!10時30分にすでにみなさん撮影に疲れたので切り上げたいという事で夕方まで休憩にすることにしました。

ハヤブサ

夕方は朝撮影した場所の近くにオスがいますが、様子が違う。よく見ると足環の色が違うので別個体です。撮影しながら動きを待っていると?朝の個体がハイマツから登場!しかしお互いの存在を認識しているのですが喧嘩にならずまったりとしていたのだが、いきなり朝の個体が飛び出し追いかけっこが勃発!ここでみなさん撮りたかった赤く張り出した肉冠の撮影ができたと喜んでいました。一旦夕食をとり、夕陽の撮影に出たのですが少し遅い感があり宿の前で夕陽を狙う派と夕日のポイントで狙う派に分かれました。夕日が沈んだ後の雲の焼けるシーンを待っていたがどうも焼けないなぁと思っているとハイマツの中から2羽のライチョウが出てきて走り回るのでどちらを狙うかで悩んでいると2羽とも私たちの前を駆け抜けて消えてしまいました。ここでもう暗くなったので終了しました。

夕焼け

夜は20時30分から星の撮影に出ました。その前にカメラの設定を明るい場所でしてもらいポイントへ行くとなぜか?私以外がOMユーザーで1名以外は撮影ができない!キヤノンなら教えてあげるのだがOMはわからない。撮影できる方に設定を見てもらったが「わからない」とのことでどうも何かが邪魔をしているようで残念な結果になってしまった。

 

この記事を書いた人

戸塚 学 とつか がく
高校3年生の時写真に興味を持ち、幼少の頃から好きだった自然風景や野生の生き物を被写体として撮影をする。20歳の時、アカゲラを偶然撮影できたことから、野鳥の撮影にのめり込み、「きれい、かわいい」だけでなく、“生きものの体温、ニオイ”を感じられる写真を撮ることが究極の目標。野鳥を中心としたネイチャー系フォトグラファーを目指す。作品は雑誌、機関紙、書籍、カレンダー、コマーシャルなどにに多数発表。
●日本野鳥の会会員 ●西三河野鳥の会会員 ●SSP 日本自然科学写真協会会員

奄美大島・固有種を狙う撮影三昧の4日間 2本目【後編】

Report by 戸塚学 / 2025年4月6日~9日

3日目 高曇り時々晴

昨夜が遅かったので今日はのんびりスタート。9時出発で森に向かいます。今日も各自狙いの鳥の場所で撮影してもらいました。撮影をしない参加者がまだしっかりとアカヒゲを観ていないという事で私は彼女についてアカヒゲを探しました。まったく鳴いてくれず約1時間経つとようやく鳴いてくれたのでそちらで探しますが、なかなかじっとしてくれず苦労をしましたが、ようやく最高な場所でそれも近くでゆっくりとさえずりと羽繕いをしてくれたことでスマホでも撮影ができたと喜んでもらいました。

アカヒゲ
アカヒゲ

その後はまた各自で楽しんでもらう事に。私は休憩室に食事をしに行くと?そこの近くでリュウキュウコノハズクの「ココッコッホ」の鳴き声?さえずりが?昼間鳴くのはこの森では初体験でした。午後はまたアカヒゲやルリカケスを狙っていただきました。14時終了で一部の参加者が田中一村美術館に行きたいとのことで、途中のバス停で降ろし残りのメンバーはホテルに戻りました。

21時30分再びナイトツアーに出発です。1名が体力的に休むという事でその方以外で出発です。途中国道でアマミノクロウサギとアマミヤマシギが出ていてびっくりしました。昨日すでに経験済みなので本日カメラ設定は無しでスタート。スタートしてすぐにのんびりとしたアマミノクロウサギに遭遇!昨日とは打って変わって撮りまくり野郎でした。

アマミノクロウサギ
アマミノクロウサギ
アマミノクロウサギ
アマミノクロウサギ

その後は次から次とアマミヤマシギで出まくるので、途中からパスして進みます。

アマミヤマシギ
アマミヤマシギ

突然ガイドさんが「あっ!」といってライトを木の枝にあてるとリュウキュウアオバズクです!私は森の中で鳴き声は聞いたことはありましたが、姿を見るのは初めてです。電線ではないところの姿をみなさんにしっかりと撮ってもらいました。

リュウキュウアオバズク
リュウキュウアオバズク

さて残るはリュウキュウコノハズクです。声を頼りに探しますがなかなか厳しい。途中にアマミノクロウサギやアマミヤマシギの撮りやすい個体だけをつまみ撮りしながら進み、昨日ケナガネズミのいた木を探しますがやはりそんなに甘くはありません。

アマミノクロウサギ
アマミノクロウサギ

ガードレール下でのんびりしているアマミノクロウサギを狙っているとガードレールの上の枝に飛んできたリュウキュウコノハズクがとまった!さぁどうする上か下かでバタついているうちにリュウキュウコノハズクは飛び去り、アマミノクロウサギも下に消えて行きました。これぞ二兎追うものは一兎も得ず!その後も順調にアマミノクロウサギとアマミヤマシギを撮影しながら下り、少し早いが超充実した時間を過ごし1時にホテルに到着して終了となりました。

リュウキュウコノハズク
リュウキュウコノハズク

4日目 晴れ

今日は9時にタクシーに荷物を積み込み、昼食は買わずに森へ向かいます。森に入ると西遊旅行のガイド梁川さんのGがちょうど出てきました。ここで梁川さんからすごい情報が!オオトラツグミがいてスマホでも撮影ができたと聞き、ポイントを詳しく聞きました。早速今回「どうしてもオオトラツグミが撮りたい」という方とその場所へ。「たぶんここだと思うんだけど」と道が分岐するところに来ると・・・いた!それも目の前。大慌てで撮影をしてもらうと森の奥へ消えて行きました。

オオトラツグミ
オオトラツグミ

しばらくすると他のメンバーも集まってきたのでみんなで待っていると、なんと私たちの後ろから現れたではないか!なんとか全員撮れたので「ワンモアチャンス」にかけるが動きが無いので池の方へ行くと男性が何かを撮っていた。「カケスですか?」と聞くと「オオトラツグミです。その草陰に入りました」と教えてくれたので道を迂回して進行方向に出ると歩道に出てくれました。開けた場所なのでばっちりです。その後も消えた周辺を迂回作戦で臨み、何度もチャンスに勝利しました。まさかあれほど苦労したオオトラツグミがこうも簡単に片付くとはアンビリーバボー!以外にありません。時間は11時30分あと30分で終わりです。みんなで放心状態で駐車場へ戻る途中またしてもズアカアオバトがのんびりサクランボを採餌していてしっかりと撮影ができました。

ズアカアオバト
ズアカアオバト

それにしても信じられない4日間でした。全員笑顔が戻らないまま空港に到着して無事解散終了となりました。ご参加いただいたみなさまありがとうございました。

 

観察できた生き物・聞かれた鳥

オオトラツグミ・アマミヤマガラ・アマミヤマシギ・アマミヒヨドリ・アマミシジュウカラ・アマミヤマガラ・アマミコゲラ・リュウキュウキジバト・サシバ・アカヒゲ・オーストンオオアカゲラ・ルリカケス・リュウキュウサンショウクイ・ズアカアオバト・リュウキュウハシブトガラス・リュウキュウコノハズク・リュウキュウメジロ・クロサギ・コチドリ・シロチドリ・オオメダイチドリ・ムナグロ・セイタカシギ・オジロトウネン・ウズラシギ・タカブシギ・アマミノクロウサギ・ケナガネズミ・アマミトゲネズミ・アマミイシカワガエル・ヒメハブ・シリケンイモリ

 

見られた&声が聴かれた鳥・生き物カラスバト・リュウキュウツバメ・ツバメ・スズメ・ダイサギ・アオサギ・コサギ・イソヒヨドリ・ヒドリガモ・コガモ・ハシビロガモ

この記事を書いた人

戸塚 学 とつか がく
高校3年生の時写真に興味を持ち、幼少の頃から好きだった自然風景や野生の生き物を被写体として撮影をする。20歳の時、アカゲラを偶然撮影できたことから、野鳥の撮影にのめり込み、「きれい、かわいい」だけでなく、“生きものの体温、ニオイ”を感じられる写真を撮ることが究極の目標。野鳥を中心としたネイチャー系フォトグラファーを目指す。作品は雑誌、機関紙、書籍、カレンダー、コマーシャルなどにに多数発表。
●日本野鳥の会会員 ●西三河野鳥の会会員 ●SSP 日本自然科学写真協会会員