デオサイ高原のオコジョ

10月、デオサイ高原で見たオコジョです。朝晩の気温は氷点下になるこの季節、オコジョもすっかり冬毛で真っ白。

オコジョはユーラシア大陸北部、北米大陸北部に広く分布しますが、パキスタンでは北部山岳地帯で見られます。

 

誰もいないデオサイ高原のバラパニでキャンプを設営。静かで、冷たい風が吹いていました。オコジョが現れて寒さが吹っ飛びました。

 

Photo & text :Mariko SAWADA

Observation : Oct 2015,  Deosai Plateau, Gilgit-Baltistan

カテゴリ:■ギルギット・バルティスタン州 > オコジョ > ◇ パキスタンの野生動物 > デオサイ高原
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北部パキスタン・秋の風物詩 秋のパスーで家畜の移動と出会う

秋の北部パキスタンの風物詩、家畜たちの大移動です。10月になると夏の間を標高の高い牧草地で過ごしたヤギ・羊・ヤクなどの家畜たちが一斉に村へ帰ってきます。

 

カラコルムハイウェイを北上していたら、パスーの山並みを背景に家畜たちを連れた村人が現れました。

 

夏を高地の放牧地で過ごした家畜たちを運ぶ村人たちです。

 

村中のいろんな家から集められたヤギ・羊たちがまとまめられ一緒に移動し、村に到着するとそれぞれの家へ分けられ、冬の準備です。

 

通り過ぎる家畜の群れ、元気な羊、ヤギの姿。

 

家畜たちを送り届ける村人たち、村はもう近くです。

 

Photo & text : Mariko SAWADA

Visit : Oct 2014, Passuパスー, Gilgit-Baltistan ギルギットバルチスタン州

カテゴリ:■ギルギット・バルティスタン州 > パスー > ◇ パキスタンの家畜、クッチ(移動)
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フーシェ谷から見る、K1マッシャーブルム

フーシェ谷から見る、K1マッシャーブルム(7,821 m)です。フーシェ谷の付近からも見ることができますが、少し奥、ブルンブルマのキャンプまで行ってみました。

 

6月、緑の美しいフーシェ村。「カラコルム」へのもうひとつのゲートウェイとなる村です。

 

標高4,050m、ブルンブルマのキャンプです。雪が多い年でした。

 

フーシェ谷からブルンブルマに向かう途中に見た「ユキヒョウの罠」。ユキヒョウは保護しなくてはならないのですが・・・。これは古いものだそうで、フーシェ谷ではユキヒョウの目撃情報がたくさんあります。村人からは「冬に来い、俺が見せてやる」と言われるのです。

 

マッシャーブルムの雄姿。

 

美しい氷壁が連なります。

 

ブルンブルマのキャンプから、夕日のマッシャーブルム。

 

Photo & Text : Mariko SAWADA

Visit : Jun 2010, Brumbruma Camp, Hushe Valley, Gilgit -Baltistan

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フーシェ側からゴンドゴロ・ラ、現れたK2

ずいぶん前の記録ですが、雪が多かった年の6月にフーシェ側からゴンドゴロ・ラへ登りました。フーシェ側の急斜面を雪が舞い散る中ひたすら登り続け、さらには「きっと上がっても景色は見えないのだろう」と、期待しないよう自分に言い聞かせていました。

上がったゴンドゴロ・ラの上、やはり雲の中でした。明るくなると下山時の雪崩が心配されるため、あまりゆっくりもできません。そして間もなく・・・

アリキャンプ側を見に行くスタッフの前方の雲が切れ、K2が現れました。

ゴンドゴロ・ラから見るK2。本当にわずかな時間、「宇宙」を感じる景色でした。

登山中にカメラの設定も狂っていて色のおかしな写真になってしまいましたが、この数分の景色にすべてが報われました。

ゴンドゴロ・ラから見たアリキャンプサイド。

こちらはフーシェ側の下りです。このあとは一気に下山してフスパンのキャンプを目指しました。キャンプではコックさんが「天ぷら」を用意してくれていました。疲れた体にはヘビーでした。

 

Photo & Text : Mariko SAWADA

Visit : Jun 2010, Gondogolo-la, Hushe Valley, Gilgit -Baltistan

 

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モルホン村のユキヒョウ-2

モルホン村で「ユキヒョウがアイベックスを仕留めて川の対岸に座っている」という連絡を受けギルギット付近にいた私たちは急いで北上し、モルホン村を目指しました。

雪道で危ないからゆっくり走行しなくてはいけないし、でも早くいかないとユキヒョウがいなくなるかも、いや、もういないのかも・・・。複雑な心境でモルホン村へと向かいました。

 

到着して最初に見たユキヒョウ。川の対岸にいて距離は近いのに最初は見つけられず、尻尾が動いてようやく見つけることができました。時間は15時を過ぎており、暗くなるまでにユキヒョウが動いてくれるか心配でした。

午前から観察しているモルホン村の人たちによると、アイベックスをハンティングして、食べて、残りを茂みに隠して、川に入って再び岩場に上り、そこにしばらく座っていたが寝てしまい、現在に至ると。村人が携帯で撮影した、川に入るユキヒョウ動画など見せてもらいながら、待ちました。

 

ユキヒョウが動き出しました!村人がワヒ語で「シャウバシ!」と口々に叫びます。「シャウバシ」は英語で言うとVery goodとかWell doneな感じで、伝統の踊り等のシーンで叫ばれています。この時、モルホン村の村人と周辺の村からやってきた人たち30人ほど。

 

ユキヒョウが飛び出してきました。村人が「シャウバシ!シャウバシ!」と喜んでいます。

 

野生のユキヒョウが目の前に。

 

村人たちはユキヒョウが仕留めたアイベックスのところへ行くのを期待していましたが、ユキヒョウは再び座り込んでしまいました。もう、写真撮影の限界の暗さです。見えなくなるまでユキヒョウの最後の姿を追い、その場を後にしました。

 

最後に・・・モルホン村で観察していた場所です(ドローン撮影)。

モルホン村の皆様、ありがとうございました。

 

Photo & Text : Mariko SAWADA

Observation : Jan 2019, Morkhun Village, Gojar, Gilgit-Baltistan

Special Thanks to Mr.Sultan Gohar (Khunjerab National Park)

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モルホン村のユキヒョウ -1

1月初旬、上部フンザのモルホン村で見たユキヒョウです。クンジュラブ国立公園では足跡を随分と見ましたが、ようやくユキヒョウと出会うことができました。

午前10時半ごろ村人が山の斜面を爆走しているアイベックスを見つけ、よく見たらユキヒョウに追いかけられていました。ユキヒョウはアイベックスを仕留めましたが、場所はなんとモルホン村の川の対岸。村から川を挟んで30mほどの距離でした。

 

モルホン村のゴハール氏から連絡を受け駆けつけたのは15時。ユキヒョウは木の枝に隠れるようにまるまっていましたが、夕刻時に動き始めました。

 

村人が言うには、アイベックスを仕留めた後に川に入ったため、毛がふわふわしていないのだと。カラコルムの高峰群に囲まれたモルホン村の日照時間は短く、あっという間に暗くなってしまいました。

 

Photo & Text : Mariko SAWADA

Observation : Jan 2019, Morkhun, Gojar, Gilit-Baltistan

Special Thanks : Mr.Sultan Gohar -KNP (Khunjerab National Park)

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秋のヒマラヤヒグマ(デオサイ高原)

デオサイを一番有名にしているのが、ヒマラヤヒグマ Himalayan Brown Bearの存在です。

ヒマラヤヒグマ Himalaya Brown Bear はヒグマの亜種でヒマラヤ山脈とその周辺に暮らすヒグマ。もともと、ネパール、チベット、北インド、北パキスタンに広く生息しましたが、トロフィー・ハンティングや毛皮・薬の材料目的として狩猟され、また生息地域を失い激減しました。ブータンではすでに絶滅したと考えられ、インド北部とパキスタン北部に数百頭が生息するのみとなりました。

10月、デオサイ国立公園のスタッフとともにヒマラヤヒグマを探しました。この季節は観光客も減るためヒマラヤヒグマが比較的道路近くまで現れることがあるといいます。それでも双眼鏡で「小さな点」のようなヒグマを見つけてから随分と歩きました。

 

もうだいぶ日が陰ってきました。標高4,000mを越える高原を急ぎ足で歩くのは大変でした。ようやく撮影できる距離まで近づけました。

 

ヒマラヤヒグマの後ろ姿です。国立公園のスタッフによると若いオスとのこと、冬眠前でまるまると太っていました。

 

ヒマラヤヒグマは11~12月に冬眠に入ります。

 

Photo & Text : Mariko SAWADA

Observation : Oct 2015, Deosai National Park, Gilgit-Baltistan

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ユキヒョウ、山へ帰る

2017年2月下旬、パキスタン北部の村ミズガルで家畜を襲ったユキヒョウが捕らえられました。家畜小屋に入り込みヤギ・ヒツジを殺した上、家畜小屋から出れなくなっていたところを捕獲したとのこと。

 

村人は、ユキヒョウを保護しなくてはならないことは理解するが、行政へ「殺された家畜の補償」をもとめた話し合いがもたれ、捕獲されてから3日目に山へ帰されることになりました。

このユキヒョウはミズガルの村近くで2頭の子どもを連れている姿が目撃されているメスのユキヒョウでした。ユキヒョウは捕獲されたミズガルではなく、クンジュラブ国立公園へ運んできて放すことになりました。

 

ユキヒョウがミズガルで捕獲された話はすぐにニュースになりましたが、ミズガルは中国との国境に近いため、外国人は許可証がないと行けないと言われあきらめていたら、偶然にもクジュラブ国立公園のデーにあるスタッフ小屋にいたところ、このユキヒョウが連れてこられました。

このユキヒョウを放す瞬間を見ようとテレビ局、政府関係者が集まり、車列を組んで移動です。デーから少しいった場所の山の斜面で放すことになりました。

 

檻が開けられても、ユキヒョウはすぐには出てきませんでした。出てこないので、その場にいたパキスタン人が「ローリー、ローリー」と呼びます。「ローリー」は2016年の秋までスストのチェックポストで飼われていたユキヒョウのこと。今はナルタルに行ってしまいましたが、クンジュラブ国立公園の人たちはユキヒョウを見ると「ローリー」と呼ばずにはいられないようです。

ユキヒョウが檻から顔を出して、最初にしたことは、雪を食べたこと。のどが渇ききっていたのでしょう。

 

ひとしきり雪を食べるとようやく前を見ました。

 

そしてあたりを見ます。

 

ゆっくりと檻から出てきました。この瞬間、関係者より拍手が起こりました。

 

自由になったミズガルのユキヒョウ

 

3日間の拘束で毛並みが乱れているし、家畜の血が体についたりして汚れていました。

 

立ち止まっては雪を食べます。

 

ひとしきり雪を食べると茂みの中へ入っていきました。まだこちらのほうを見ています。

 

しばらくすると、ふたたび山を登り始めました。そしてまた座りました。

 

開放されたものですが、野生のユキヒョウが歩いている姿を、私はパキスタンで初めて見ました。

その後、このユキヒョウはじっとしたままでした。私たちも、このユキヒョウが無事にミズガルの2頭の子どものもとに戻れることを願い、その場を後にしました。

翌日、スタッフが最後にユキヒョウがいた付近を見に行きましたがもうその姿はありませんでした。そして開放してから3日後、このユキヒョウが2頭の子どもと一緒にいるのがミズガルで目撃されたと、国立公園のスタッフからメッセージがありました。

 

Photo & Text : Mariko SAWADA

Observation : Feb 2017, Khunjerab National Park, Gilgit -Baltistan

Reference : Mr.Sultan Gohar -KNP(Khunjerab National Park), Mr.Falman Razah -KVO ( Khunjerab Villager Organization), Wildlife Department of Pakistan

※記事は2017年4月にupしたhttp://www.saiyu.co.jp/blog/wildlife/を書き直したものです。

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デオサイ高原から望むナンガ・パルバット (8,126m)

世界第9位峰、ナンガパルバットNanga Parbat。多くの遭難者を出していることから「人食い山」とも呼ばれている山です。

そのナンガパルバットの雄姿を展望できる場所としてフェアリーメドゥ、標高差4,500mのヒマラヤ最大の氷壁ルパール壁を望むヘルリヒコッファーベースキャンプが有名ですが、晴れた日のデオサイ高原からのナンガパルバットも見事なものです。

 

チラム Chilamのチェックポストから標高を上げ、デオサイ高原に到着した付近で見えるナンガパルバット。

 

車道から見えるナンガパルバットです。

 

そして、チラム側からデオサイ高原に入るとすぐに美しい水を湛えたシェオサル湖Sheosar Lake (標高4,140m)が。ここからは天空の湖を背景にナンガパルバットが聳えます。

 

シェオサル湖からさらにカラパニへ。川が流れるデオサイ高原から見たナンガパルバット。

訪れたのは10月上旬、氷点下まで気温が下がるキャンプ泊でしたが秋晴れの好天に恵まれ美しいナンガパルバットを望むことができました。

 

Photo & text : Mariko SAWADA

Visit  : Oct 2015,  Deosai Plateau, Gilgit-Baltistan

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ユキヒョウのローリー -3

ナルタル谷に移動したユキヒョウのローリー Lolly です。前日に引き続き、朝からローリーの施設で過ごしました。(この記事のユキヒョウの写真は野性の状態のものではありません)

スキー場付近でジープを止め、ここから歩きます。地元の人に、ローリーはどうしてクンジュラブ国立公園ではなくナルタルに来ることになったのか聞いてみました。「はっきりとはわからないけど、ナルタルには軍の施設があり、軍の高官たちが見るからじゃないの?」と。確かにローリーの柵のところには、観光客、そして軍人さんの姿も。

ローリーの施設に到着すると、ローリーは朝から歩いていました。柵のふちをくるくると歩いています。施設のスタッフが言うには、肉を食べた後はこうやって歩くんですよ・・と。

 

ずっと観察しているとローリーの通り道がわかり、そこで待っていると正面からやってきてくれます。

 

後姿も。

 

ローリーは本当にきれいな顔をしていると、思います。

 

・・・尻尾の模様!耳の後ろ側の模様!

 

今日はとてもアクティブで色んな姿を見せてくれたローリー。16時に肉をもらいました。気温が低いのでお肉はカチカチでしたが骨ごと噛み砕いていました。

そして食後のお手入れ・・・暗くなるまでローリーを見ていました。

 

Photo & Text : Mariko SAWADA

Observation : Feb 2017, Captive condition at Naltar Valley, Gilgit-Baltistan

Reference : Local staff of SLF

※記事は2017年4月にupしたhttp://www.saiyu.co.jp/blog/wildlife/を書き直したものです。

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