インダス河沿いに残る失われゆく岩絵③シャティアール

今回の岩絵は、シャティアール(Shatial)の岩絵です。一般のフンザを訪れるツアーでも訪問する場所で、巨大な仏塔の岩絵があることから「仏教サイト」として知られるシャティアール。時間をかけてゆっくり見学したところ、仏塔以外にも様々な珍しい絵が描かれているのがわかりました。

 

シャティアールの仏塔の岩絵

この場所もまた、古来からインダス川を渡るポイントだったため、仏教徒以外も、商人、巡礼者、旅人がここを通過し、色々なものを刻んでいきました。珍しい岩絵の数々をご紹介いたします。

 

右手を上げた人物

この右手を上げた人物は、一見すると怒って手を上げているように見えますが、顔の後ろに丸い光背が描かれていることから、仏陀なのかもしれません。

 

これは卍を表しています。法輪と共に仏教のシンボルです。

 

三又

これは三又です。武具として使われたのか、宗教的なシンボルなのか、農業用なのか想像を搔立てられますが、いずれにしても古来から使われていたものです。

 

刻まれた文字

絵だけではなく、様々な文字も刻まれています。カロシュティ文字、ソグド文字、アラム文字等が見つかっているとのことです。

何であるか判別できないものもありました。

 

謎の物体

これは爪のある三本の指のように見ますが、植物かもしれません。

 

ナーガもしくは拝火壇

これはナーガのように見えますが、炎が燃えている姿のようにも見えるので、拝火壇という説もあるそうです。

 

仮面を被った人

これは角が付いた丸い仮面を被った人です。スカートのような衣装も印象的でした。

動物も沢山描かれていました。

 

ラクダの顔

駱駝はやはり、シルクロードを行き来した旅人の重要な動物だったのでしょう。

 

インドの象も、ここまで来ていたんでしょうか。

 

 

小さな絵でしたが、レイヨウのような動物も描かれていました。シャティアールには、古来の人々が使ったもの、見たもの、そして信仰したもの、様々なものが岩絵に刻まれて残されていました。岩絵を見ているだけで、古き時代のシルクロードの喧噪に触れた気持ちになりました。

 

Photo & text : Koji YAMADA

Visit : Nov 2021, Shatial, Khyber Pakhtunkhwa

カテゴリ:■カイバル・パクトゥンクワ州 > カラコルム・ハイウェイ > 岩絵・岩刻画
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カラーシャの谷・ランブールへ

久しぶりにカラーシャ族の暮らすランブール谷を訪問。あまりにも美しい少女たちとの出会いにドキドキした訪問でした。

 

夕暮れ前の時間の村。谷の斜面を利用したテラスのある住居は活気にあふれていました。

 

街角ではお皿を売りに来たパシュトゥーンの商人とカラーシャの少女が交渉中です。彼女はお金の代わりに、買いたい器にいっぱいのクルミを入れて渡しました。物々交換が行われているんですね!商人の後ろにある袋の中はクルミでいっぱいです。

 

さらに村の奥へ行ってみました。水路のごみが気になります。

 

テラスでミシンかけをする女性。足ふみミシンでした。カラーシャの谷の美しい光景のひとつです。

 

石けりをして遊ぶ少女たちに出会いました。日本の昔の子供の遊びと同じでびっくりです。

 

カメラを向けても変わらず遊び続ける少女たち。「外国人は自分たちの写真を撮って、写真集を出したりするのよ」と話す子も。妖精のように美しい少女たちとの時間を楽しみ、谷を後にしました。

 

アユンの村の奥にそびえる、夕陽を浴びたヒンドゥークシュ最高峰ティリチミール(7,708m)。アユンとカラーシャの谷を移動する途中に見えるティリチミールの景色は旅のボーナスです。

 

Photo & text : Mariko SAWADA

Visit : Nov 2021, Rambur, Kalash Valley, Khyber-Pakhtunkhwa

カテゴリ:■カイバル・パクトゥンクワ州 > カラーシャの谷
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カラーシャの谷 11月のボンボレット村へ

11月上旬、カラーシャの谷・ボンボレット村を訪問しました。もう少し早く行くことができれば”とうもろこしの収穫”をするカラーシャ族の美しい光景を見ることができたのですが、代わりに冬支度をする村の様子を見ることができました。

この季節になると観光客の姿もほとんどなく、村の様子も落ち着いていました。

 

アユンの町を通り抜け、カラーシャの谷へと向かいます。その途中に見られるのがこの景色。アユンの丘の向こうにそびえる、ヒンドゥークシュ最高峰ティリチミール(7,708m)の雄姿です。朝の光を受け、巨大な山塊が輝いていました。

 

つり橋を渡ると、ボンボレット谷とランブール谷の分岐点につきます。ここから西側のボンボレット谷へ。

 

カラーシャ族の家屋が見えてきました。山の斜面に建てられた木造の家でテラス、屋根が効率よく利用されています。

 

民家の庭で羊を可愛がるカラーシャの少女を見つけました。その美しい光景にうっとりします。

 

木をくり抜いた階段を上がり、シャーマンの女性の家へ行ってみました。

 

シャーマンの女性の家のテラスです。話によると、彼女は未来を予知したり、失くしたものを探す力があったため、みんなの希望を受けシャーマンになったとのことでした。

 

シャーマンのお宅。灯は入り口だけで、伝統的なカラーシャ族のシンプルな暮らしでした。さらに村を散策。

 

村の葬儀場にある木像。

 

カラーシャの手作りワイン。

 

屋根の上で脱穀作業をする女性。収穫後ならではの景色。

 

うれしかったのは、以前よく訪問していたアニッシュ村の学校の先生のお宅のお嬢さんが、お母さんになっていたことです。

2年ぶりに訪れたボンボレット村。ムスリム人口が増え、カラーシャの少女たちも以前に比べヴェールを被る姿が増えています。民族衣装の刺繍の色見にも流行があり、だいぶ派手になっていました。

 

近代化、より楽な暮らしへの変化は求められるものです。しかし、急激に古来より培われてきた伝統が失われるのを見るのは残念でありません。パキスタン・イスラム共和国で生きる、貴重な信仰を持つ民族カラーシャの文化と伝統の存続を強く祈ります。

 

Photo & text : Mariko SAWADA

Visit : Nov 2021, Bumburet, Kalash Valley, Khyber-Pakhtunkhwa

カテゴリ:■カイバル・パクトゥンクワ州 > カラーシャの谷
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カラーシャの谷、ボンボレットとランブール

10月に訪れたカラーシャの谷の様子をまとめたビデオです。以前訪れたボンボレット村はずいぶんパキスタン国内旅行客で賑わっていましたが、10月の半ばともなると訪問者も少なく、静かな村を訪問することができました。

 

KALASH VALLEY Bumburet & Rambur|カラーシャの谷(ボンボレット&ランブール)

 

Image : Mariko SAWADA

Visit : Oct 2021, Bomboret & Rambur, Kalash valley, Khyber Pakhtunkhwa

カテゴリ:■ vlog / 動画 - 絶景パキスタン > ◆カイバル・パクトゥンクワ州の動画 > ■カイバル・パクトゥンクワ州 > カラーシャの谷
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秋のシャンドゥール峠越え

10月下旬のパキスタン北部はポプラが黄金に色づき、一年で最も美しい季節を迎えます。ギルギットからシャンドゥール峠にかけてのギザール地区(Ghizer District)も例外ではありません。交通量の多くない渓谷のドライブの景色は最高です。

 

この日、私たちはグピス Gupisを出発しチトラルChitralを目指しました。秋晴れの日差しの中、黄金のポプラ並木が輝きます。写真ストップを繰り返し、なかなか先に進めません。

 

パンダール Phandar への登り道の途中でヤクがたくさん集められていました。雪が降ったときに下山させてきたヤクを再び集めて放牧地へと連れて行く途中でした。

 

パンダールPhandar 付近の橋の景色です。かつてはこのような石と木とワイヤーで出来たつり橋が多く見られましたが、中国によるコンクリートの橋に置き換えが進んでいます。写真を撮るものとしてはとても残念です。

 

いよいよシャンドゥール峠への登りに入りました。冬の間の燃料を運ぶロバのキャラバンとすれ違います。大きな荷物の中には乾燥した牛・ヤク糞やマキが入っていました。

 

標高3,700mのシャンドゥール峠 Shandur Passです。ギルギット・バルティスタン州とカイバル・パクトゥンクワ州の州境でもあります。外国人はこのチェックポストで書類確認を受けます。

シャンドゥール峠と言えば、夏に「世界最高所のポロ競技」、シャンドゥール・ポロ・フェスティバルが行われることで知られています。その競技場も雪に覆われていました。

 

氷の張ったシャンドゥール峠の湖。峠への道は、夏に土砂が流れた場所が雪の解けた水でぬかるみ、困難を極めました。

 

そんな悪路を忍耐強く進むのが、現地で「トヨタジープ」と呼ばれる、この乗り物。1970年代、80年代のトヨタランドクルーザーが内装・外装を「北部パキスタン風」にして活躍しています。

アフガニスタンからギルギット・バルティスタン州とカイバル・パクトゥンクア州に入ってくるNCP車(Non Custom Paid Car)の新しいモデルのランドクルーザーに押されて、最近はこのジープタイプの車も減ってきました。それでもいざ「積雪」となると信頼がおけるのはこの車です。こんなに古い日本車がパキスタンの山奥で今も活躍して、僻地の村を繫いでいることをうれしく思うのです。

 

シャンドゥール峠を下り、麓のラスプール Laspurの村で遅いランチです。ダルに採れたてのジャガイモカレー、チキンカレー、ピラフにナン。

 

素敵なラスプールのチャイハナを営む親子。お嬢さんの笑顔にうっとりしました。このあと、引き続き悪路をマスツージへ、そしてチトラールへ。チトラールにつくころにはすっかり暗くなっていました。

 

Image & text : Mariko SAWADA

Visit  :Oct 2021, Gupis, Phandar, Shandur Pass – Gilgit-Baltistan & Khyber pakhtunkhwa

カテゴリ:ギザール渓谷 > シャンドゥール峠
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(動画)パキスタン鉄道、ペシャワールからラワルピンディへ!

パキスタン鉄道のペシャワールからラワルピンディの風景をまとめた動画です。

 

以前に「インダス川越え」鉄橋のハイライトのみのブログをあげましたが、今回はペシャワールの町から道中のトンネル、風景を含めラワルピンディという都市に到着するまでをまとめた2分43秒の動画です。

パキスタンの鉄道は大英帝国の植民地インド帝国時代に植民地経営の一環として建設され、アフガニスタンとの国境トルハムからカラチまで7,791キロに及ぶ線路が敷かれました。独立後から今日まで、植民地時代の建築物・運行システムを保持しており、とてもレトロで古き良き時代の鉄道の旅を味わえる「パキスタン鉄道」です。

 

パキスタン鉄道・ペシャワールからラワルピンディ Railway journey, Peshawal to Rawal Pindi

 

Videography : Mariko SAWADA

Ride : Feb 2020, Pakistan railway between Peshawar(Khyber Pakhtunkhwa) to Rohri (Sindh)

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カワビタキ Plumbeous water redstart (チトラル)

カイバル・パクトゥンクワ州のチトラルに近いトゥーシ・シャシャ保護区(Tooshi-Shasha conservancy)の河原で見つけたカワビタキのオスです。

 

この日はあいにくの雨。その雨も雪に変わろうとしていました。マーコール Markhor の観察のために訪れ、午後に河原に来ることが多いよ、と言われ待機。その間に、カワビタキ Plumbeous water reed startとシロボウシカワビタキ White-capped water redstartを観察することができました。

 

尾羽を広げたカワビタキのオス。

カワビタキは南アジア、東南アジア、中国の標高2,000m~4,000m付近で繁殖し、冬は少し低いところへ降りてきて越冬します。パキスタンでは北部の標高があまり高くない山岳地帯で見られ、チトラル付近やマリーでは多いようです。

 

川の上の山の斜面を見ると、カシミール・マーコールの群れが。しかも立派な角のオスがいます!

 

Photo & Text : Mariko SAWADA

Observation :Dec 2020, Tooshi-Shasha conservancy, Chitral, Khyber Pakhtunkhwa

Reference : Helm field guides “Birds of Pakistan”

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セアカジョウビタキ Eversmann’s redstart(チトラル・ゴル国立公園)

セアカジョウビタキ Rufous-backed Redtart (Eversmann’s Redstart) はパキスタン北部の山岳地帯、標高1,500~2,500mほどの場所で見られる冬鳥。ギルギット・バルティスタン州からカイバル・パクトウンクワ州のチトラル周辺の山の斜面などで見られます。写真はオスのセアカジョウビタキ。

 

夏に中央アジアや南シベリアの標高の高い山岳地帯で繁殖しますし、冬はイラン・イラク南部、アラビア半島、パキスタン北西部、インド北西部で越冬します。

 

観察したのはチトラルの北にある、チトラル・ゴル国立公園 Chitral Gol National park。マーコールの観察のために訪れていましたが、山の斜面で待っている間にセアカジョウビタキを観察することができました。

 

Photo & text : Mariko SAWADA

Observation : Dec 2020, Chitral Gol National Park, Chitral, Khyber-Pakhtunkhwa

Reference : Helm Field Guide “Birds of Pakistan”

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ヒマラヤハゲワシ Himalayan griffon vulture (チトラル・ゴル国立公園)

パキスタン北部、カイバル・パクトゥンクワ州チトラル・ゴル国立公園のヒマラヤハゲワシです。

7,750ヘクタールのチトラル・ゴル国立公園には3つの深い谷があり、ハゲワシ類の観察には絶好の場所。マーコールの観察のために訪れたのですが、「崖から落ちて死んだマーコールにハゲワシたちが集まっているので見に行かないか」と誘われ、道なき山の斜面を歩き谷を見渡す断崖へ向かいました。

死んだマーコールは見えませんでしたが、谷を飛翔するヒマラヤハゲワシ、クロハゲワシ、そしてヒゲワシやイヌワシの姿が。しかもアイレベルでの飛翔もあり、たまらない光景でした。

 

ヒマラヤハゲワシ Himalayan griffon vulture ( Himalayan vulture) です。大ヒマラヤ山脈と隣接するチベット高原、パミール高原に生息するハゲワシで、パキスタンでは北部山岳地帯で見ることができます。

翼を広げると3mにもなる大きなハゲワシで、かつてはパキスタン北部で広く見られたそうですが、パキスタン中南部に生息するベンガルハゲワシと同様で、獣医薬ジクロフェナクに汚染された家畜の死肉を食べたことにより、その数が減ったと言われています。(※2006年にジクロフェナクは南アジアの国全域で使用禁止され、個体数の回復が期待されています)

 

ヒマラヤハゲワシの成鳥です。若鳥は首毛も含め全体が黒っぽい茶色です。

 

断崖のヒマラヤハゲワシとクロハゲワシ Cinereous Vulture。

 

この日、少なくとも4羽のヒマラヤハゲワシ、1羽のクロハゲワシ、複数のカラス(おそらくワタリガラス)が1頭のマーコールに集まっていました。この死んだマーコール、国立公園のレンジャーの話によるとユキヒョウやオオカミに襲われたのではなく、野犬の群れに追いこまれて崖から落ちて死んだといいます。

確かに、マーコールが一斉に走っているとその向こうに野犬の姿がありました。もしそれがユキヒョウだったら、夢のような光景なのですが。

 

Photo & text : Mariko SAWADA

Observation : Dec 2020, Chitral Gol National Park, Chitral, Khyber Pakhtunkhwa

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クロハゲワシ Cinereous Vulture (チトラル・ゴル国立公園)

カイバル・パクトゥンホア州のチトラル・ゴル国立公園で観察したクロハゲワシ Cinereous Vultureです。Cinereousとはラテン語で「灰色の」の意味があり、別の英名では Eurasian Black Vulture とも呼ばれています。

 

クロハゲワシ Cinereous Vulture はユーラシア―大陸中央の山岳地帯に生息する、大型のハゲワシ。ユーラシア大陸のハゲワシとしてはヒマラヤハゲワシ Himalyan Griffon Vulture と並んで大きなハゲワシで、開翼長も2.5~3m近く、羽の幅も広く、ずっしりと重いハゲワシです。

 

クロハゲワシは遠目には、頭の一部とくちばし以外黒く、成鳥は頭の一部と首毛が薄いブラウンで若鳥はより全体に黒くなります。この写真の個体は若い鳥のようですね。

一般的に、クロハゲワシは冬の間は平野部や砂漠に降りてきて、断崖をねぐらとして過ごしますが、この冬の時期に標高3,000mを越える山岳地帯にいるのは、若鳥だからでしょうか。

 

ヒマラヤハゲワシに混じって旋回していましたが、クロハゲワシ、獲物に着陸のようです!

 

Photo & text : Mariko SAWADA

Observation : Dec 2020, Chitral Gol National Park, Chitral, Khyber Pakhtun Khwa

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