オルジャスの白い馬

c4b72493f4f34f32(C)「オルジャスの白い馬」製作委員会

カザフスタン

オルジャスの白い馬

 

Horse Thieves

監督: 竹葉リサ、エルラン・ヌルムハンベトフ
出演: 森山未來、サマル・イェスリャーモワほか
日本公開:2020年

2019.12.25

同じ「アジア」としてのカザフスタン ― 森山未來、カザフ人になりきる

雄大な天山山脈を臨む、カザフスタンの大草原に少年オルジャスは暮らしている。ある日、オルジャスの父は市場に行った帰り道で、何者かに殺されてしまう。

「オルジャスの白い馬」サブ7

ちょうどその頃、カイラートという謎の男がオルジャスの家を訪ねてくる。カイラートはアイグリの昔の恋人であり、オルジャスの父であるものの8年間刑務所に入っていて連絡が途絶えていた。

「オルジャスの白い馬」サブ2

オルジャスには父であるということを黙りながら、カイラートは一家の引っ越しを手伝う。そして、カイラートとオルジャスはしだいに心を通わせていく・・・・・・

「オルジャスの白い馬」サブ3

本作は日本とカザフスタンの国際共同合作であるとともに、日本人監督とカザフスタン人監督の共同監督作品です。ロケはすべてカザフスタン。雄大な景観も見どころですが、最も際立っているのは、人気俳優の森山未來がカザフスタン人役として出演しているという点です。

「オルジャスの白い馬」サブ6

「カザフ語が話せる日本人」という役ではなく、純粋にカザフスタン人の役。この大胆なキャスティングに、日本人の観客は驚かずにはいられないでしょう。私はカザフ語がわかるわけではありませんが、カイラートのセリフはなんとも現地人っぽい響きがして、どのシーンにも怯みがなく、その演技力に圧倒されます。

「オルジャスの白い馬」サブ1

カザフスタンなど中央アジアの国々も含め、アジアの国々を旅していると、まるで日本人のような顔つきの人たちに出会うことがあります。また、逆に現地の人から「私の知り合いにそっくりな顔をしていますね」と親近感をもって声がけられることもあるでしょう(実際私はインドのラダック、ブータン、イタリアのナポリ、モロッコのフェズなどでそのように声をかけられ、自分の出自を不思議に思いました)。

「オルジャスの白い馬」サブ5

旅をしているときは世界をものすごく広く大きく感じるときもあれば、ものすごく小さく濃密に感じるときもあります。日本人の観客にとって本作は、どちらかというと後者の感覚をもたらしてくれます。今年10月に行われた東京国際映画祭で本作が上映された際、カザフスタン側の監督エルラン・ヌルムハンベトフ氏はこの映画と「距離」の関わりについて、このように語っています。

「オルジャスの白い馬」メイン

「現代は、世界中の距離だけでなく人の距離も縮まってきている時代です。カザフスタン人達の中にひとり森山さんが入ってくることは、異質であるかもしれないけれど、彼という存在が時間や距離を超越し、思ってもみなかった新しいものをもたらしてくれるのではないかと期待していました。彼がこの映画で表現したかったこと、できなかったかもしれないものも含めてです」(プレス資料より)

「オルジャスの白い馬」サブ8

なかなか慣れ親しむ機会のないカザフスタンの文化・風土との距離をぐっと引き寄せることができる『オルジャスの白い馬』は、1/18(土)より新宿シネマカリテほか全国順次ロードショー。そのほか詳細は公式ホームページをご確認ください。