モアナ 南海の歓喜

c57b856f691f0ae0(C)2014 Bruce Posner-Sami van Ingen. Moana (C) 1980 Monica Flaherty-Sami van Ingen. Moana (C) (P)1926 Famous Players-Laski Corp. Renewed 1953 Paramount Pictures Corp.

サモア

モアナ 南海の歓喜

 

Moana

監督:ロバート・フラハティ
出演:サモアの人々
日本公開:2018年

2018.9.5

山彦のように響きを残す、
南海の孤島・サモアの安らかな一時

南太平洋の島国・サモア。畑で耕作をし、背の高いヤシの木に登って実をとり、森で狩りをし、海で漁をする・・・約100年前、人々は豊かな自然の中で、伝統を守って互いに助け合いながらのどかに暮らしていた。

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島に暮らす一家の長男・モアナには、ファアンガセという婚約者がいる。老若男女が集まり、盛大な挙式が行われる。

Date: 1926Location: Samoa In picture: Moana (Ta´avale) and Fa´angase (Fa´angase Su´a-Filo)

本作は1926年に製作された作品で、2014年に映像のデジタル化が行われました。「ドキュメンタリーの父」と呼ばれているロバート・フラハティが監督した作品で、本コラム「旅と映画」ではエスキモーの暮らしをとらえた1922年の作品『極北のナヌーク』を以前ご紹介しました。

ストリーミングの普及やモバイル機器の発達により、様々な映画を外出先などで手軽に見られるようになりました。そんな今だからこそ、一度映画の原点に立ち戻ることに価値が生まれています。

人間社会は約100年前と変わらず人間社会として存在し続けています。その中で、「変わったこと」もあれば「変わらないこと」もある。そのバランスをどう感じとるかによって、それぞれ違った物語を本作は観客の心の中に生み出します。

Date: 1926Location: SamoaIn picture: Fa´angase (Fa´angase Su´a-Filo)

また、本作の製作プロセス、そして被写体との関わり方は「旅」そのものです。監督の娘が1980年にサモアへ訪れて、現地の音・会話・民謡を録音して、もともと無声だった作品に音を加えました。

サモアの人々の人生という旅、フラハティ親子の2世代に渡るサモアへの旅、そして映画自体が今の私たちを目がけて旅をしてきている。時間と距離が複雑に絡み合い、3D・4D映画では再現できない立体感を感じることができます。

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『モアナ 南海の歓喜』は、9月15日(土)より岩波ホールにてロードショーほか全国順次公開(連日、1日1回『極北のナヌーク』も上映)。その他詳細は公式ホームページをご覧ください。