インドの祝日③ 選択制の祝日

ナマステ!西遊インディアです。

 

インドの祝日をご紹介する第3回目。前回まで、インドの祝日のシステムと、「全国共通の祝日(Gazetted Holidays)」について紹介してきました。今回は、「選択制の祝日(Restricted Holidays)」についてご紹介します。

 

■選択制の祝日(Restricted Holidays)

 

「選択制の祝日」は、「全国共通の祝日」とは異なり、各州の政府が自由に設定できる祝日です。インド社会の多様性に配慮し、土地ごとに違う文化を尊重できるシステムです。

 

そして、これは州政府が設定した日が全て休みになるわけではなく、実際には州政府が「祝日の候補となる日付のリスト」を作成し、各人がそのリストの中から自分が取得したい祝日を選んで取得するというシステムになっています。同じ州の中であっても様々な人が生活するインド社会に対応するものです。

 

この「祝日の候補となる日付のリスト」として、州政府は12日間を設定することができます。その中から、祝日を取る人は3日間を自分の祝日として取得します。中央政府に限ってはこのリストの候補日として34日間を設定することができます。これは以前の記事でもご紹介しましたが、中央政府の職員や、デリー在住者には他州と比べて様々な出身地・宗教の人がいるということが背景にあり、また行政担当者の休日をある程度分散させるというものです。中央政府の管轄にある人は、この34日間の中から2日間を取得します。

 

以下では、この「選択制の祝日(Restricted Holidays)」について、2021年中央政府の設定によるリストをご紹介します。

 

 

日付 祝日名と概要
1/1 New Year’s Day
グレゴリオ暦の新年。一般的に休日となる場合が多い。
1/13 Lohri ローリー
主にパンジャブ州のシク教徒による、冬至のお祭り。冬のピークの終わりや豊穣を祝います。
1/14 Makar Sankranti マカー・サンクラーンティ
主にインド北東部で祝われる冬至のお祭り。焚火や凧揚げなどの催しが開かれます。


Pongal ポンガル
南インドで祝われる冬至のお祭り。太陽神スーリヤの祭りでもあります。祭りは3日間続き、ミルクと砂糖で甘く炊いたポンガルというミルク粥を食べ、コーラムと呼ばれる吉祥文で玄関を飾ります。

 

タミル・ナードゥ州のケーブルテレビ局:KSRによる、2020年のポンガル祭りのレポート。(出典:KSR – Youtube

1/20 Guru Gobind Singh’s Birthday グル・ゴービンド・シン生誕祭
シク教の指導者のひとり、グル・ゴービンド・シンの誕生日を記念して行われる祭り。詩の朗読や行列等が催されます。
2/16 Basant Panchami ヴァサント・パンチャミ
春の訪れを祝う、立春にあたる祝日。伝統的な凧挙げが行われます。
2/19 Shivaji Jayanti シヴァージー生誕祭
マハーラーシュトラ州の祝日。マラーター帝国の創設者であるチャトラパティ・シヴァージー生誕記念日を祝います。
2/26 Hazrat Ali’s Birthday アリー生誕祭
イスラム教の第4代正統カリフで、シーア派の初代イマームであるアリーの生誕祭。 預言者ムハンマドの父方の従弟にあたる。
2/27 Guru Ravidas’s Birthday ラヴィダース生誕祭
15~16世紀にかけてのインドのバクティ運動の活動家:ラヴィダースの生誕祭。ウッタルプラデーシュ州、ラジャスタン州、マハーラーシュトラ州、マディヤプラデーシュ州、パンジャブ州で主に祝われる。
3/8 Swami Dayananda Saraswati Jayanti スワミ・サラスワティ生誕日
後にインド独立の鍵となる「スワラージ(自治)」を唱えた哲学者・社会家のスワミ・サラスワティの生誕祭。
3/11 Maha Shivaratri マハー・シヴァラトリ
シヴァ神を讃えるヒンドゥー教の祭日。年に12回催されるシヴァラトリのうちで最も神聖な日。

 

 

バラナシのニュースサイト:Live VNSによる、2019年のバラナシでのマハー・シヴァラトリの様子。バラナシでは毎日プジャ(礼拝)を行い、また毎月のシヴァラトリも開催されますが、マハー・シヴァラトリの際にはさらに多くのヒンドゥー教徒が訪れ、盛大なお祭りになります。(出典:Live VNS – Youtube)

3/28 Holika Dahan ホ-リカ・ダーハ
インドの年末であるホーリー祭りの前日。ホーリカという女性型の人形を燃やし悪気払いをする。
4/4 Easter Sunday イースター(復活祭)
十字架にかけられて死んだイエス・キリストが三日目に復活したことを記念する祭り。インドではこの2日前のグッド・フライデー(受難日)の方が重視されます。
4/13 Chaitra Sukladi / Gudi Padava / Ugadi / Cheti Chand / Vaisakhi / Vishu
ウガディ(アーンドラプラデーシュ州、テランガーナ州、カルナータカ州)、グディ・パドワ(マハシュトラ州・ゴア州)、チェティ・チャンド(シンドヒンズー教徒)、等、各地の新年の祭り。
4/14 Mesadi Tamil New Year’s Day
主にタミル州で祝われる、タミル暦の新年の祭り。
4/15 Vaisakhadi (Bengal) /  Bahag Bihu (Assam)
アッサムの先住民族によって北東インドのアッサム州およびその他の地域で祝われる新年祭。
5/7 Jamat-Ul-Vida
ラマダンの月の最後の金曜日を祝うイスラム教の祭り。
5/9 Guru Rabindranath’s Birthday タゴール生誕祭
ベンガルの偉大な詩人、ノーベル賞受賞者として知られるラビンドラナート・タゴールの生誕記念日。
7/12 Rath Yatra ラタ・ヤトラ
オリッサ州・プリーで行われる山車祭り。3台の巨大な山車が街を練り歩き、100万人以上が集まる大祭。

 

 

 

オリッサ州のテレビ局:Odhissa TVによる2019年のラタ・ヤトラ祭のレポート。巨大な山車のサイズ感や、おびただしい量の観客の様子がよくわかります。(出典:OTV – Youtube

8/16 Parsi New Year’s day / Nauraj
パールシー(ゾロアスター教)における新年祭。ゾロアスター教でも春分の日を元旦とするシャヘンシャヒ暦を使っていますが、この暦ではうるう年を考慮しないため、もともとの春分の日から大きなずれが生まれています。
8/21 Onam オーナム
インド神話のアスラ(魔族)の王 マハーバリがケララに戻ってくることを祈願する、ケララ州最大の祭。ケララ州観光局による、オーナム祭の紹介動画。最大のハイライトとなるボートレースを始め、様々な催しの様子がわかります。 

 

 

(出典:Kerala Tourism - youtube)

8/22 Raksha Bandhan ラクシャー・バンダン
ヒンドゥー教神話を基にする、兄弟・姉妹の愛と絆を祈願する祭り。兄弟姉妹に関わらず女性が男性の右手首にラーキー(吉祥の紐)を結びつけ、男性はお返しの品を女性に贈る風習があります。
8/30 Janmashtami  ジャンマシャタミ
クリシュナ神の誕生を祝うのヒンズー教のお祭り。「ジャンマ」はクリシュナの誕生を、「アシュタミ」は「第8」の意味。クリシュナがヴィシュヌの8番目の化身であること、母デヴァーキーの8番目の子どもであることを意味します。
9/10 Ganesh Chaturthi ガネーシャ・チャトゥルティー
ヒンドゥー教の象頭の神:ガネーシャを讃える祭り。11日間行われ、マハーラーシュトラ州・プネー市の大規模な祭りが有名です。

ガネーシャ・チャトゥルティーのガネーシャ像(画像出典:Unsplash)
ガネーシャ・チャトゥルティーのガネーシャ像(画像出典:Unsplash)
10/12 Dussehra (Maha Saptami)
ダシェラー祭の7日目。ナヴラトリと呼ばれる断食や、女神サラスヴァティーへの祈りが捧げられます。
10/13 Dussehra (Maha Ashtami)
ダシェラー祭の8日目。ナヴラトリと呼ばれる断食や、女神サラスヴァティーへの祈りが捧げられます。
10/14 Dussehra (Maha Navmi)
ダシェラー祭の9日目。ナヴラトリと呼ばれる断食や、女神サラスヴァティーへの祈りが捧げられます。翌日の10/15がダシェラー祭のクライマックスとなり、この日は全州共通の祝日となっています。
10/20 Maharishi Valmiki’s Birthday ヴァールミキ生誕日
古代インド(紀元前500年頃)の詩人で、叙事詩『ラーマーヤナ』の編纂者とされる哲学者ヴァールミキの生誕祭。
10/24 Karaka Chaturthi (Karva Chouth)
主に北インドで行われるヒンドゥー教の祭日。妻が夫の安全と長壽を祈願して日の出から月の出まで断食を行います。
11/4 Naraka Chaturdasi
ディワリ祭の2日目。クリシュナがアスラ(魔族)のナラカシュラを倒し、誘拐された16,000人の王女たちを解放した日とされています。
11/5 Govardhan Puja ゴーヴァルダナ・プジャ
ディワリ祭の3日目。クリシュナが豪雨から村人を守るためにゴーヴァルダナ山を持ち上げた事件を記念し、山盛りの食べ物をクリシュナに供えます。親族が集まって宴会を開く、ヒンドゥー教暦の年末(大晦日)にあたります。爆竹や花火で賑やかな夜となります。
11/6 Bhai Duj 
ディワリ祭の4日目、ヒンドゥー教の元旦。新年を祝い、親族や友人同士で贈り物をします。

ランプを灯す女性ガネーシュ・チャトゥルティー(ムンバイ)(画像出典 沖 守弘「沖 守弘写真集「インド・祭り」」1988 学習研究社出版)
ランプを灯す女性ガネーシュ・チャトゥルティー(ムンバイ)(画像出典 沖 守弘「沖 守弘写真集「インド・祭り」」1988 学習研究社出版)
11/10 Chhath Puja チャート・プジャ(Pratihar Sashthi Surya Sashthi)
ビハール州発祥とされる、ヒンドゥー教の太陽神スーリヤを崇拝する祭り。ビハール州最大の祭りです。

チャート・プジャ(ナーランダ)(画像出典 沖 守弘「沖 守弘写真集「インド・祭り」」1988 学習研究社出版)
チャート・プジャ(ナーランダ)(画像出典 沖 守弘「沖 守弘写真集「インド・祭り」」1988 学習研究社出版)
11/24 Guru Teg Bahadur’s Martyrdom Day
17世紀のシク教の指導者のひとりグル・テグ・バハドゥールの殉教を記念する祭り。
12/24 Christmas Eve
クリスマス・イブ。翌日のクリスマスは全国共通の祝日となっています。

 

 

それぞれ祝日をかなりざっくりと説明させていただきましたが、1年を通してインド全国でどんなお祭りや伝統行事があるのか、イメージできるかと思います。