冬の道東でバードウォッチング三昧!【前編】

Report by 吉成才丈 / 2022年2月8日~13日

 

厳冬期の道東に行ってきました。
冬鳥が少ない傾向は北海道でも例外ではありませんでしたが、たくさんの成果がありましたので、参加者の皆さんから寄せられた写真をもとに結果をレポートします。

 

1日目
釧路空港で集合後、小林牧場でタンチョウを観察。雪原には50羽以上のタンチョウがおり、幼鳥を交えた家族群れの姿もある一方、つがいが幼鳥を追い払いような行動もみられました。

タンチョウ
タンチョウ(大野一郎様 撮影)
タンチョウ
タンチョウ(大野一郎様 撮影)

そして夕暮れが近づくと、数羽から十数羽単位でねぐらに向かいはじめます。夕焼けのタンチョウは、とてもきれいでしたね。

タンチョウ
タンチョウ(大野一郎様 撮影)
タンチョウ
タンチョウ(奥田恵子様 撮影)

 

2日目
この日は日の出前後のツルのねぐらを観察するため、かなり早い時間に出発。現地では暗いうちにスタンバイして夜明けを待ちましたが、気温はマイナス18度と程よい寒さ..。少しずつ明るくなると、はるか先にツルの集団が見えてきました。毛嵐のなかにたたずむツルたちを、刻々と変わる光線状況で堪能できました。

タンチョウ
タンチョウ(大野一郎様 撮影)

そして午前は、2箇所のフクロウポイントを訪ねました。幸いにも両方とも在宅で、異なるシチュエーションで休息するフクロウが観察できました。フクロウは何度見てもいいですよね。

エゾフクロウ
エゾフクロウ(大野一郎様 撮影)
エゾフクロウ
エゾフクロウ(大野一郎様 撮影)

午後は火散布で、おもにカモを狙ってみました。ホオジロガモはディスプレイを行っており、ユーモラスな仕草が楽しめました。

ホオジロガモ
ホオジロガモ(森久美子様 撮影)

ウミアイサも結構近くで観察でき、虹彩の色までバッチリ確認されました。冬の北海道のカモは美しい種が多く、どれも見逃せませんね。

ホオジロガモ
ホオジロガモ(森久美子様 撮影)

水に入るタンチョウの姿も見られましたが、雪原にいるよりも寒そうに感じられました。

タンチョウ
タンチョウ(大野一郎様 撮影)

3日目
この日も朝は、火散布を訪ねました。見られた鳥自体は昨日と変わりませんが、陸で休むホオジロガモを発見。あまり見ない光景ですね。

ホオジロガモ
ホオジロガモ(大野一郎様 撮影)

岸辺では、オオハクチョウとエゾシカの姿も見られました。北海道らしい光景ですね。

オオハクチョウ
オオハクチョウ(大野一郎様 撮影)

火散布のあとには霧多布を訪ね、電線にとまっていたケアシノスリをゲット。獲物を狙ってとまり位置を変えたり、狩りを試みる様子も観察できました。また海上では、ラッコの姿も確認できました。

ケアシノスリ
ケアシノスリ(大野一郎様 撮影)
ケアシノスリ
ケアシノスリ(大野一郎様 撮影)

午後には一気に根室半島先端に移動し、温根元や納沙布岬で海鳥を観察。遠くて写真は難しかったですが、ケイマフリやウミバト、アカエリカイツブリなどが見られました。

温根元のハイド
温根元のハイド
美しい夕焼け
美しい夕焼け

この記事を書いた人

吉成 才丈 よしなり としたけ
1962年生まれ、東京都在住。東京都千代田区で、バードウォッチング専門店<Hobby's World(ホビーズワールド)>および鳥類調査会社<(株)日本鳥類調査>経営。バードウォッチングのガイドで、全国各地も巡る。歳時記的に、毎年同じ時期に同じ探鳥地を訪ねることが多く、タカやシギチの渡り、ガン類の越冬、海鳥などを観察・撮影するのが楽しみ。バードウォッチングは、だれでも気軽に楽しめる趣味だと思っています。難しく考えることなく、皆さんのペースで楽しんで頂けるように心がけています。

冬の道東でヒメクビワカモメとワタリガラスを探す旅

Report by 簗川堅治 / 2022年1月7日~10日

北海道には憧れの鳥たちがたくさんいます。ヒメクビワカモメは冬の筆頭かもしれませんし、ワタリガラスも上位に入るでしょう。その2種に的を絞ったツアーです。

 

1日目。天候が荒れていれば、ヒメクビワカモメの期待が高まりますが、残念ながら荒れてはくれませんでしたので、ヒメクビワカモメの可能性はほとんどなくなりました。この時期の北海道は、まだ日の入り時刻が早く、16:00です。集合後は一刻も早く移動して、鳥を見る時間に当てたいところです。しかし、こともあろうに飛行機の到着が30分遅れ、この日の観察時間は30分程度しかなくなりました。ワタリガラスのポイントで待つも、もうねぐら入りしてしまったのか、ワタリガラスも他のカラス類も見ることができませんでした。明日にお預けです。

 

2日目。今日も朝からいい天気ですので、ヒメクビワカモメは期待できません。それでも念のため、ポイントに行ってみました。案の定、ヒメクビワカモメどころか、他のカモメ類すらいません。それどころか、いつもたくさんいるオオワシ、オジロワシ、オオハクチョウすらいない有様です。今シーズンは、全国的に冬鳥が芳しくないのですが、北海道も同じようです。そんな状況下で、わずかなカワアイサやクロガモ、コオリガモなどを観察し、次のポイントへ向かいました。

 

ポイントで出迎えてくれたのは、ワタリガラス!……ではなく、なんとクマタカでした。若い個体が木に止まって探餌をしているようです。

クマタカ
クマタカ(撮影:山本尚佳様)

周りにはカラスが群れていたので、ワタリガラスが入ってないか期待するもいませんでした。その後も、ハシブトガラス、ハシボソガラスは出るものの、ワタリガラスは出ず、時間切れ。海上もシノリガモがいた程度でした。

シノリガモ(撮影:山本尚佳様)

次のポイントに移動です。移動途中、カラス群れをチェックするもハシボソガラスでした。ワシで有名な羅臼到着です。しかし、ここもワシがほとんどいません。一体、どうしたのでしょうか?異常事態な感じです。まずはたくさんのカモメ類の群れを観察。ほとんどはオオセグロカモメでしたが、ワシカモメ、シロカモメ、カモメ、ユリカモメが混じっていました。オオハクチョウやシノリガモなどもいました。

 

とある場所で定点観察をしました。

クナシリを望む(撮影:山本尚佳様)

ホオジロガモ、カワアイサ、ウミアイサ、シロエリオオハムなど見ながら、ワタリガラスが出るのをひたすら待ちます。

ホオジロガモ(撮影:山本尚佳様)

ワタリガラスっぽい個体も出ますが、どれも違いました。なかなか手強いです。ついにここでも時間切れ。移動しながら、カラス群れをチェックすましたが、ハシブトガラスのみ。

 

3日目。ワタリガラス探しは小休止し、根室半島を回って他の鳥を楽しむことにしました。ところが羅臼同様、いつもはたくさんいるワシがほとんどいません。港にも海鳥がいません。納沙布岬もヒメウばかりで、お馴染みのチシマウガラスが来ていないようです。がっかりです。それでも強風の中、がんばってハイドに入り、海鳥を探しました。数羽のアカエリカイツブリやシノリガモを見ることができました。

アカエリカイツブリ(撮影:大林修文様)

気を取り直し、仕切り直しの意味からも、道の駅で早めの昼食をとることとしました。ここはワシがたくさんいますので、まずはそれを見ることにした、ちょうどその時、「コロロロロ、コロロロロ…」と聞き覚えのある独特のカラスの声!そうです、ワタリガラスです!真上を鳴きながら旋回し、氷上に降り立ちました。周りにいるハシブトガラスよりも明らかに大きく、喉の羽毛ザクザクしているのがはっきりとわかります。全員でじっくりと観察撮影することができました。

ワタリガラス(撮影:大林修文様)
ワタリガラスとハシブトガラス、ハシボソガラス(撮影:大林修文様)

その後は、2ヶ所のワタリガラスのポイントを回りましたが、残念ながら現れず。それでも気分のいい思いで宿に向かいました。途中、ケアシノスリが目の前に現れ、思わぬ収穫となりました。

ケアシノスリ(撮影:簗川)

4日目。朝からいい天気です。まずは火散布沼でタンチョウ、オオハクチョウ、ヨシガモなどを観察しました。タンチョウとオオハクチョウの組み合わせもなかなかです。

オオハクチョウとタンチョウ(撮影:大塚敦雄様)

最後は昨日ワタリガラスが出た道の駅で、ワタリガラス狙いです。たくさんのオジロワシ、そしてオオワシを楽しみながら、ワタリガラスの登場を待ちました。

オジロワシとオオワシ(撮影:大塚敦雄様)
オジロワシ(撮影:大塚敦雄様)

しかし、残念!今日は出てくれませんでした。

 

ヒメクビワカモメにはかすりもしませんでしたが、ワタリガラスはじっくりと観察することができました。それにしても、今季の鳥の少なさには閉口です。4日間、大変お疲れ様でした。

この記事を書いた人

簗川 堅治 やながわ けんじ
1967年生まれ。山形県在住。日本野鳥の会山形県前支部長。「何しったのやぁ?こだい寒いどごで(何してるんですか?こんなに寒い所で)」「鳥ば見っだのよぉ(バードウォッチングです)」「こだい寒いどぎ、ほだなどさ、鳥あて、いだんだがしたぁ?(こんなに寒い時にそんな所に鳥がいるんですか?)」私の地元では、こんな会話が日常茶飯事です。鳥はいつでもどこでも楽しめます!見て、聞いて、撮って楽しんでもらうのはもちろん、ほっこりとした温かい時間を過ごしてもらえるように山形弁でがんばります。おらいの(私の)島、飛島さもきてけらっしゃい(飛島にもきてください)!