秋深まる野付半島から十勝平野へ
~ハクガン・コクガンの群れとナキウサギ~【後編】

Report by 今堀魁人 / 2021年10月26日~30日

3日目は日の出前からメインであるハクガンを探しに行きます。到着後何やら騒がしいと外を見ると、ガンが乱舞しています!

ハクガンとシジュウカラガンの飛翔

降りた沼を見に行くとハクガンとシジュウカラガンが見られました。その後何度も1000羽ほどのハクガンが上空を旋回してくれたり、車内から比較的近距離で観察できたりと、とても贅沢な時間を過ごすことができました。

ハクガンとシジュウカラガン
ハクガンの飛翔

午後は2日目とは別なエゾフクロウのポイントに行きましたが、残念ながら出会えませんでした。公園ではエゾリスがチョロチョロと姿を現し、可愛い姿が見られました。

エゾリス
エゾリス

夕方再度シジュウカラガンを探した時は、朝とは全く違うところにおり、夕方の光の中美しい光景が広がっていました。

シジュウカラガン
夕暮れの空を舞うハクガンとシジュウカラガン

4日目は山にナキウサギを探しに行きました。午前中静かに待っていると、鳴き声とともにちらっと姿を見せてくれました!途中ガサッという音とともに遠くにヒグマの姿を確認したため安全のため下山しました。帰り際車の近くで探すと、ここでも姿を現し皆さん大興奮です。

ナキウサギ
ナキウサギ

山から下山し、午後はエゾリス探しです。イチョウの黄葉の絨毯に佇む可愛らしいエゾリスの姿を見ることができました。

エゾリス

夕方はリクエストのあったエゾライチョウ探しです。写真には撮れませんでしたが、目の前をオスのエゾライチョウが飛んでいくシーンは格好良かったです。日高山脈に沈む夕日を展望台で眺め、この日は終了です。

日高山脈のシルエット

最終日は再度日の出前にハクガンを探しに出発しましたが、何やら沼が静かです。日が昇ると沼には1羽もガンがいません。どうやら一昨日の夕方を最後に、本州へ渡っていってしまったようです。見ることはできませんでしたが、静かになった沼を見て渡っていったハクガンの無事を祈りました。

沼の日の出

最後は帯広市内の公園で小鳥を探します。今回のツアーではまだ観察していなかったアカゲラやハシブトガラ、ゴジュウカラなどの定番の小鳥を間近で観察し、さらにエゾリスも観察できました。

アカゲラ
ハシブトガラ
ゴジュウカラ

今回のツアーでガン類を合計7種観察することができました。日本で見られるガン類の多くを一度のツアーで全て見られるのは渡りのシーズンと、その観察ポイントに簡単に移動できる北海道ならではではないでしょうか。春には残雪の残った風景とともにガンが帰ってきますので、ぜひお迎えをしにまたお越しください。皆様お疲れ様でした!

この記事を書いた人

今堀魁人 いまほり かいと
北海道紋別市出身。西遊旅行・バードガイド、ネイチャーガイド。幼い頃から野鳥や自然に魅了され、北海道を中心に野鳥・野生動物の撮影に没頭。まだまだ駆け出しの身ですが、生まれ育った北海道を拠点に、自然の中で暮らす野鳥の魅力をツアーを通して感じていただけるよう精進しております。ぜひ世界遺産「知床・羅臼」にも遊びに来てください!

クマゲラの棲む利尻の森と礼文島・サロベツ湿原【後編】

Report by 今堀魁人 / 2021年5月15日~19日

3日目は天気が回復し、午前中礼文島南部と高山植物の花畑となる桃岩展望台へ。桃岩展望台では、礼文島固有種のレブンコザクラ、そしてハクサンイチゲを観察しながら野鳥を探します。

レブンコザクラ
レブンコザクラ
利尻島をバックに、レブンコザクラとハクサンイチゲ
利尻島をバックに、レブンコザクラとハクサンイチゲ

道中、何度か上空をイスカの群れが飛び、そしてノビタキが道端で姿を見せ楽しませてくれます。ふと大きなシルエットが見え、双眼鏡で覗くとチュウヒでした。旋回し、上空高くどこかへ飛んでいきましたが、ここからサハリンまで渡っていくのでしょうか。桃岩展望台を見たあと、車で戻る際にハイタカ属の姿が。見ると北海道では珍鳥のサシバのオスです。本当に離島は何が出るのかわかりません。

ウトウ
利尻島へ向かう途中に出会ったウトウ

午後からは利尻島へ向かいます。利尻島到着後、早速ガイドさんとともに今回のツアー最大の目的であるクマゲラを探しに行きます。
森の中を歩いているとそばから「ゴッゴッ」と鈍器で殴っているような音が。見ると5mほどのところでクマゲラのメスが木をつついています。皆さん驚きです。

クマゲラ
クマゲラ(メス)

その後今年の営巣木に案内して頂き、静かに抱卵交代する瞬間を待ちます。抱卵していたオスがメスの帰宅が遅いため何度も外を見たり巣のなかで叩いて交代を催促したりとなかなか見ることのできないシーンを観察できました。

 

4日目は、日の出の時間から皆さんの宿のそばにある公園で散策です。「利尻コマ」と呼ばれるだけあって、周辺にはコマドリの声があちこちから響いています。
声の方向を見ているとオスが目線の高さにぴょんと上がり、目の前で囀りを披露してくれました。日本三大鳴鳥の囀りを目の前で聞くと格別です。

コマドリ
コマドリ
コマドリ
コマドリ

そして、そばの草原にはなんとキマユホオジロがいました。以外なところにいる珍鳥の姿に皆さん興奮です。かなり敏感で姿を捉える前にどこか飛んでいってしまうので観察は難しかったですが、ほとんどの方がその姿を見ることができたかなと思います。

キマユホオジロ
キマユホオジロ

朝食後は再度クマゲラ探し、そして利尻島を一周しながらバードウォッチングです。昨日とは違う巣穴に向かいます。ここでも姿を隠し声を出さずに静かに待ちます。
2時間ほど経ち、やっとメスの帰宅です。メスが交代のために巣穴を覗くとオスが飛び出し、目の前を飛んでいってくれました。とても貴重な瞬間でしたね。

クマゲラ(オス)
クマゲラ(オス)

その後は利尻島を巡ります。沓形岬公園では、ノゴマが利尻島背景にこちらを向いて囀りを披露してくれました。

ノゴマ
ノゴマ

オタトマリ沼では、綺麗なチュウサギやダイサギ、そして散策すると夏羽のアカガシラサギを発見し、観察することができました。北海道ではシラサギは基本的に珍鳥、繁殖もしていないのですが、離島では毎年多くのシラサギが見られます。これは離島の特徴の一つです。

チュウサギ
チュウサギ
アカガシラサギ
アカガシラサギ(夏羽)

帰り際、お土産を買うため売店に立ち寄ると、サバクヒタキとシラガホオジロのメスが!一瞬の出来事で見たのはほんの一瞬でしたが、どこにどんな鳥が出るのかは本当にわかりません。

 

最終日も早朝宿のそばの公園で散策です。コマドリは昨日とはうって変わり姿をなかなか現さず、森を歩くとクロジやイスカ、カシラダカが姿を見せてくれました。

クロジ
クロジ
クロジ
クロジ
カシラダカ
カシラダカ

宿へ戻る際には再度キマユホオジロが姿を見せてくれ、そしてマミチャジナイが目の前で採餌していたりと、最後まで楽しませてくれたツアーとなりました。

マミチャジナイ
マミチャジナイ

離島のツアーは本当に何がどこに出るかわからないというのも魅力です。そして利尻島はクマゲラ、コマドリが数多く生息し出会える可能性が高いというのも大きな魅力です。是非また訪れて頂き、今回とは違う魅力を再発見していただけると幸いです。ツアーにご参加された皆様お疲れさまでした!

この記事を書いた人

今堀魁人 いまほり かいと
北海道紋別市出身。西遊旅行・バードガイド、ネイチャーガイド。幼い頃から野鳥や自然に魅了され、北海道を中心に野鳥・野生動物の撮影に没頭。まだまだ駆け出しの身ですが、生まれ育った北海道を拠点に、自然の中で暮らす野鳥の魅力をツアーを通して感じていただけるよう精進しております。ぜひ世界遺産「知床・羅臼」にも遊びに来てください!