
インド北部、標高約3500メートルの地に広がるラダック・ザンスカール地方。「小チベット」とも呼ばれ、中国のチベット自治区よりも色濃くチベット文化を残す世界。青い空、荒涼とした山々に囲まれた大地と、恵みをもたらすインダス川…。そこには厳しい大自然と共に生きる人々が暮らしています。
■ラダックの基本情報
国名 |
: |
インド共和国 Republic of India |
人口 |
: |
約27万人(そのうちザンスカール地方は約1万人) ※正確な人口は不明 |
時差 |
: |
日本との時差 -3.5時間 |
主な宗教 |
: |
主に仏教 その他にイスラム教、ヒンドゥー教、シーク教など |
主な言語 |
: |
ラダック語、ザンスカール語、バルティ語など ※英語もある程度通じる |
|

ヘミス僧院のツェチュ祭
ラダック最大の祭り。開祖グル・リンポチェの再来を盛大に祝います。掛仏・タンカの開帳や数十の僧侶が仮面を被り舞う姿を見学できます。
|
カブギャット祭
大僧院ラマユルのお祭り。周辺各地で修行をしている行者や、ダー・ハヌーからの巡礼者で賑わいます。 |
サカダワ祭
チベット暦の四月に行われる仏陀の降誕、成道、涅槃に由縁した祭り。チベット文化圏全域に共通する行事です。 |
グストール祭
ラダック各地で行われる祭。ザンスカールのカルーシャ僧院や、ツォ・モリリ湖畔のコルゾック僧院などが代表的。悪魔を倒した勝利を象徴する祭りで、仮面舞踊で僧が被る仮面は神や女神、護法神などを表わしています。祭りは、黒い帽子をかぶった踊り手によりトルマが破壊され閉じられます。 |
ナロジャ祭(サニ僧院)
ザンスカールで最大の祭。ザンスカール中の人々が一張羅を纏って集まります。中庭に老若男女が押しかけ、真剣な眼差しでパドマサンバヴァの登場を待ちわびます。 |
|

インドヒマラヤに囲まれるラダック・ザンスカール地方の夏は短く、冬は長いです。10月~4月上旬は氷点下まで気温が下がり、時には-20℃を超える極寒の世界となります。寒さから開放される4月中旬~9月が観光シーズンとされ、気温も上がり晴天が続きます。荒涼とした大地と溢れる緑のコントラストはこの時期ならではの景色です。それでも標高が高いため朝晩の寒暖の差が大きい地方ですので、1年を通して防寒着は必要です。
また、右のグラフを見てわかるように、年間降水量が非常に少ないため乾燥しています。日差しも強いため、日よけ・乾燥対策も必須です。 |

■レーへ空路での行き方
ラダックの中心地レーへは、首都デリーからの路線が一般的です。毎日午前中に数社が運行しており、所要約1時間。観光シーズンはインド人旅行者で満席になるため、早めの予約が必要です。
■レーへ陸路での行き方
レーまでの陸路は5,000m級の峠をいくつか越えるため、積雪のない夏の間(例年6月中旬から10月頃)だけ通行可能です。インド北部、ヒマーチャル・プラデーシュ州のマナリからバスやジープが運行していますが、1泊2日山道を行く過酷な道程です。途中の宿泊地は運航するバスやジープにより異なりますが、標高が高いため高山病の影響が出ることも十分予想されます。しかし、道中の景色は素晴らしく、自転車やバイクでこの道を走るインド人旅行者もたくさんいます。西遊のツアーでは「インドヒマラヤ冒険行」でこのルートを通ります。
■ザンスカールへの行き方
基本的に陸路しか選択肢はありません。レーから向かう場合は、山脈を迂回するようにインダス川沿いを車で約9時間ほど西へ進んだカルギルで1泊。車両を乗り換えて、さらに約12時間ほどいくつもの峠を越えて走ると、ザンスカールの中心地パドゥムに到着します。
※所要時間はあくまで目安です。道路状況、車両、チェックポストの状況によって異なります。 |

伝統的な民族衣装を纏う人は近年減ってきていますが、村を歩けば年配の方を中心に着用している人々を目にします。特に寒くなってくると、ゴンチェというウールの暖かい民族衣装を着ている人をよくみかけます。その他、祭りや行事の際には、ペラク、ティビ、パブーといった特徴的な民族衣装で着飾った人々に出会うことができます。ペラクは高価なトルコ石がふんだんに使われた女性用の頭飾りで、母から娘へと受け継がれます。

「ゴンチェ」足元は「パブー」

ラダックの山高帽「ティビ」

トルコ石が美しい「ペラク」

「ペラク」と「ボク(マント)」
|

多くは仏教徒(ゲルク派、ドゥルク派が多い)ですが、地域によってはイスラム教徒もいます。花の民として有名なドクパ(ダルド)の人々が住む地域には、古くから伝わる民間信仰も根強く残っています。また、道路の整備などをする労働者や駐屯する軍隊には、ヒンドゥー教徒、シーク教徒が多いため、少ないですが寺院もあります。 |

チベット文化圏のラダック地方では、インドにありながらもチベット料理が主流です。ラーメンのようなトゥクパ、タントゥク(ワンタンメン)、モモ(餃子)などのチベット料理は、日本人にも食べやすいあっさりした味付けです。 また、インド料理もポピュラーで、野菜カレーやチャパティなどもよく食べられています。大きな町やムスリムの多い町では、チキンやマトンを使った料理も食べることができます。

主食「ツァンパ」

「ラダッキー・ブレッド」

チベット風の蒸し餃子「モモ」

麺料理「トゥクパ」
|