私が女になった日

イラン

私が女になった日

 

THE DAY I BECAME A WOMAN

監督:マルズィエ・メシュキニ
出演:ファテメ・チェラゲ・アザル
日本公開:2002年

2016.3.9

イランの青い海、そして黒いチャドル

「カンダハール」などの作品で有名なイランの巨匠モフセン・マフマルバフ監督の妻であるマルズィエ・メシュキニ監督の作品。イスラーム社会の女性をテーマに、少女・女性・老女を主人公とした三つのエピソードで物語が構成されています。映画の舞台はペルシャ湾に浮かぶキシュ島という青い海と白い砂浜がとても綺麗な島です。この場所を映像でみるというだけでも、イランという国のイメージが一新されるような風景です。そうしたイスラームらしさがない風景の中で、自然現象や人々のセリフ・行動などを通じて、イラン社会に根付く伝統が示されます。第一部では、少女が9歳の誕生日を迎えて、チャドルをかぶらなければいけない瞬間が近づくのが日時計で表現されます。第二部は夫が自転車レースに参加している妻を追いかけてくる話で、夫は自転車を「悪魔の乗り物」と呼んでいます。第三部は、老婆が有り余った遺産を手にして、今までの人生の抑圧を解放するかのように現代的なショッピングモールで花嫁道具を買う話です。セリフも最小限で静かなタッチの映画ですが、終始映画で響いているキシュ島の波の音のように、「なぜ慣習に従わなければいけないのか」という思いが力強く映画から流れてきます。