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タゴール・ソングス

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バングラデシュ・インド

タゴール・ソングス

Tagore Songs

監督:佐々木美佳
出演:オミテーシュ・ショルカール、プリタ・チャタルジー、オノンナ・ボッタチャルジー、ナイーム・イスラム・ノヨンほか
日本公開:2020年

2020.4.1

心に秘めた“黄金”を すすんで分け与える ― ベンガルの人々の素顔

イギリス植民地時代のインドを生きた詩聖・タゴールは、詩だけでなく2000曲以上の歌を作った。それらはタゴール・ソングと総称され、今でもベンガルの人々に愛されている。

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カメラはインド・西ベンガル州のコルカタ、バングラデシュ、日本を行き来し、人々の心の中で受け継がれているタゴール・ソングの世界へと入り込んでいく・・・

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タゴールは1861年、インドのコルカタにある裕福な家庭のもとに生まれ、8歳から詩作を始め、文学・音楽・教育・思想・農村改革といった様々な分野で後世に“ギフト”を残しました。

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1913年にアジア初のノーベル賞を授与された詩集『ギーターンジャリ』はその代表格ですが、本作ではタゴール・ソングという“ギフト”がどのように人々に分かち合われているかに焦点をあてています。

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1947年、以前ご紹介した『英国総督 最後の家』でも描かれているとおり、ヒンディー国家であるインドから東西パキスタンがイスラム国家として分離独立しました。さらに1971年、東パキスタンはバングラデシュ(「ベンガル人の国」の意)として、分離独立しました。

劇中ではインド・バングラデシュの両国でタゴールの歌が国歌として用いられていることが紹介されていますが、タゴール・ソングが持つ国境・時代を越える「自由さ」は、映像でこそ実感できます。

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タゴール・ソングのテーマはベンガルの自然・祈り・愛・感情・習俗など多岐にわたりますが、「自由」は本作のサブテーマとなっていて、政治運動の様子や女性の自由について問題提起がなされています。

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登場人物のうちの一人、近代化するダッカで生きるオノンナは、タゴールの自由さに憧れ、不確かさを抱えながらも強く生きていく覚悟を両親に語りますが、保守的な両親は許さず言い合いとなる様子が描かれています。タゴールは存命中からすでに国境を越える存在で1916年には来日して講演をしていましたが、オノンナは「タゴールが訪れた地に行ってみたい」と、日本に訪れることになります。

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そうしたストーリー展開の中で映し出される人々の素顔は、本作の最大の魅力です。素顔という言葉には「奥に隠れている」というような意味合いがありますが、タゴール・ソングスを口ずさむ人々の顔には、ほぼ自動的といってもいいほどに素顔がスッと現れてきます。

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私は西遊旅行に勤務していたときバングラデシュを訪れたことがありますが、人々の人懐っこさに驚きました。単純に外国人観光客が珍しいからかと思っていましたが、本作を観終わった後には違う可能性が思い当たります。それは、タゴール・ソングがベンガルの地に浸透していることが、ベンガル人の精神的豊かさにつながっているということです。それほど、本作で映し出されている人々の声や表情は豊かです。

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時空を越えて今なお生き続けるタゴールの姿に触れられる『タゴール・ソングス』は、「仮設の映画館」で2020年5月16日(土)10:00-2020年6月12日(金)24:00まで上映後、ポレポレ東中野ほか全国順次ロードショー。詳細は公式サイトからご確認ください。

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バングラデシュへの旅は、たくさんの人々との出会いも大きな魅力のひとつです。畑で働く人々、漁をする人々、雑踏のなか力一杯リキシャのペダルを踏む人や、エネルギッシュに逞しく生きるベンガルの人々はとても人懐っこく、たくさんの笑顔で迎えてくれます。