有明海から日本最大のツルの渡来地・出水へ
【2025年】前編

report by 吉成才丈 2025年12月1日~8日

1日目

福岡空港に集合し、まずは佐賀県に向かいました。途中、高速道のサービスエリアで昼食をとり、まずは調整池で鳥見を開始。下見の際には7,000羽ほどいたトモエガモが少なめでしたが、ノスリやオオタカなどの猛禽類が出現すると群れが飛び立ち、さっそくシャッターチャンスがやってきました。今回は撮影される方ばかりでしたが、おそらくどなたかは、追いかけるオオタカとすぐ前を逃げ惑うカモ類の臨場感あふれるカットをとらえたことでしょう。

トモエガモ

調整池の後は、翌日の下見も兼ねて東よか干潟に行きました。翌日の午前中は満潮で鳥が近づくのですが、この日の夕方は干潮で潮が引いています。広大な干潟自体をご覧頂き、点在するシギ・チドリやツクシガモ、ズグロカモメなどを遠くから眺めました。オオジュリンやツリスガラを狙って干潟の近くのヨシ原を覗いてみましたが、風が強くて断念。かわりに住宅地近くでカササギを狙いましたが、移動中に少し見られただけで終了。日暮れが近づいたので、ホテルに向かいました。

カササギ(竹村様 撮影)

2日目

朝食後にホテルを出発し、満潮が近づく東よか干潟に向かいました。本当は一刻も早く干潟に行きたかったのですが、途中、建物のアンテナにとまっているカササギを発見。カササギは集落にいることが多いので、民家にカメラを向けないように注意しながら撮影して頂きました。干潟につくと、シギやチドリ類が接近してきていました。万一離れた時のために集合時間を決めて自由行動も可能とし、銘々に撮りたいカットを狙っていただきました。少しずつ移動しながら探すと、たくさんのハマシギの中にツルシギやアカアシシギ、オオハシシギ、ダイシャクシギ、チュウシャクシギ、シロチドリ、ダイゼンなどを発見。さらに、この干潟に着いて間もないというソリハシセイタカシギやミヤコドリも見つかりましたが、潮位が高くなって居場所がなくなり、すぐに飛んで行ってしまいました。潮が満ちてくる時間の早さに驚きつつも、ツクシガモやズグロカモメ、ヘラサギの仲間なども観察できました。

ダイシャクシギ
オオハシシギ

ハヤブサの幼鳥がハマシギの群れに突っ込むと、逃げ惑うハマシギの群れは動きをシンクロさせながら逃げ惑います。塊の形を変えながら、また上面と下面で色や色彩のパターンを変えながら飛翔する様子も堪能いただけたかと思います。

ハマシギ

東よか干潟観察の後は、長崎県の諫早の干拓地に向かいました。広大な干拓地のヨシ原では、ハイイロチュウヒのメスが飛翔するも、例年より個体数が少ない印象。水路でセイタカシギを撮影していると、近くのバーダーがコミミズクを撮影していると教えてもらい、一緒にコミミズクを撮影させてもらいました。コミミズクは、数メートルから十数メートル移動しながら狩りを行う行動を繰り返したため比較的近くで撮影できたものの、飛翔を狙うことは難しかったですね。

コミミズク(竹村様 撮影)

少し奥の土手に移動して再びハイイロチュウヒなどを狙うと、参加者のお1人が、灌木にとまっているトラフズクを見つけてくれました。とまっていた灌木がヨシ原の少し奥にあったのでトラフズクは安心しきって微動だにせず、終始同じ姿勢で寝ている姿のみの観察でした。それにしても、わずかな時間内に、フクロウ類が2種も観察できるのはラッキーでしたね。

トラフズク

3日目

朝食後にホテルを出て、再び諫早の干拓地に向かいました。干拓地の耕作地では、電線にとまるムクドリの群れの中にホシムクドリを発見。ほどよい距離で車を停められたので、ゆっくり観察・撮影できました。

ホシムクドリ

他に耕作地では、タゲリやツルを観察。ツルは出水のみと思っている方も多いようですが、実は諫早干拓などの九州各地で小さな群れを観察できます。干拓地の締めに、入り組んだ水辺が見られる場所を覗くと、定番のオオハクチョウやヘラサギ類などのほかに、ハイイロチュウヒやコチョウゲンボウのオス成鳥なども観察されました。午前中に島原まで移動し、フェリーで熊本へ。ここの航路は所要時間1時間しかないのですが、毎年ユリカモメの群れが船に付き、堤防にはカツオドリの大群が見られています。今年も、スマホ距離のユリカモメ、海上を飛翔するカンムリカイツブリ、カツオドリなどをお撮りいただきました。

カツオドリ

熊本港到着後は、ツルの待つ出水まで一気に走りました。今年は一番個体数の多いナベヅル、ひと回り委大きなマナヅルのほかに、カナダヅルが3羽、クロヅルが10羽、ソデグロヅルとアネハヅルが各1羽飛来しているとのこと。タイミングが悪いと、個体数の少ないツルは出会えない可能性もあるので、夕方のわずかな時間でもトライ。この日はカナダヅルを近くで見ることができました。

カナダヅル

 

この記事を書いた人

吉成 才丈 よしなり としたけ
1962年生まれ、東京都在住。東京都千代田区で、バードウォッチング専門店<Hobby's World(ホビーズワールド)>および鳥類調査会社<(株)日本鳥類調査>経営。バードウォッチングのガイドで、全国各地も巡る。歳時記的に、毎年同じ時期に同じ探鳥地を訪ねることが多く、タカやシギチの渡り、ガン類の越冬、海鳥などを観察・撮影するのが楽しみ。バードウォッチングは、だれでも気軽に楽しめる趣味だと思っています。難しく考えることなく、皆さんのペースで楽しんで頂けるように心がけています。

有明海から日本最大のツルの渡来地・出水へ
【2022年12月・1本目】

report by 吉成才丈 2022年12月7日~11日

 

1日目
福岡空港に集合し、専用車で有明海方面に向かいました。

途中、高速道のサービスエリアで昼食をとり、まずは調整池で鳥見を開始。昨年は数羽しかいなかったのに、今年はトモエガモが5,000羽以上も滞在しており、その数の多さに圧倒されました。

トモエガモの大群
トモエガモの大群

 

これだけカモがいるのですから、ハイイロチュウヒやオオタカなどの猛禽類も出現して楽しめたのですが、車に戻る際には、もっと嬉しいカササギの鳴き声を確認。
カササギは福岡や佐賀、長崎あたりに生息しているのですが、とくに佐賀周辺では個体数が減少傾向にあって出会えないときもあるので、慎重に近づいて観察しました。地上や樹上でエサを獲る様子もじっくり撮影でき、見られてホッとするとともに、その美しさを満喫できました。

採餌中のカササギ
採餌中のカササギ

その後は東与賀干潟へ行きましたが、干潮の時間帯であったため、広大な干潟をご覧いただいてホテルに向かいました。

 

2日目
午前中は、満潮の東与賀干潟でシギ・チドリ類などの水鳥を観察しました。昨日と違って鳥も近く、ハマシギの群れやダイシャクシギ、アカアシシギ、ツクシガモ、ズグロカモメなどの水鳥を見ていると、ハマシギの群れが一斉に飛び立ちました。ハマシギの群れは動きもシンクロしており、一斉に向きを変えたりする様子を楽しみました。やはり、日本を代表する東与賀の干潟は広大で素晴らしい環境ですね。

一斉に飛び立ったハマシギ
一斉に飛び立ったハマシギ

 

ダイシャクシギやツクシガモ
ダイシャクシギやツクシガモ

この日も高速道で昼食をとり、午後は諫早の干拓地へ向かいました。干拓地のヨシ原ではハイイロチュウヒやチュウヒ、コチョウゲンボウが飛び回り、耕作地ではタゲリやホシムクドリ、ホオアカ、水路ではクサシギなどを観察しました。またヨシ原ではタヌキを、耕作地ではイノシシも確認し、哺乳類も楽しめました。

チュウヒ
チュウヒ

 

ミヤマガラスとホシムクドリ
ミヤマガラスとホシムクドリ

3日目
朝方は再び干拓地を訪ね、セイタカシギやカワセミ、チョウゲンボウなどを観察。そして昨日に続き、耕作地ではイノシシを発見。昨日は走り去る後ろ姿でしたが、この日は近くでじっくり観察できました。

耕作地に現れたイノシシ
耕作地に現れたイノシシ

その後は島原からフェリーに乗り、船上でも鳥見を行いました。船が出ると、乗船客が与える餌を目当てに集まったユリカモメの群れがすぐ目の前に出現し、美しい雲仙岳をバックに飛び回る姿を楽しみました。

ユリカモメと雲仙岳
ユリカモメと雲仙岳

 

そして入港直前には、堤防の上で休む約600羽のカツオドリも観察できました。これだけの数が集まるのはすごいことだと思います。

堤防で休むカツオドリの一部
堤防で休むカツオドリの一部

 

フェリーを降りると一気に出水まで移動し、夕方のわずかな時間でしたが、干拓地のツルを観察しました。ナベヅルやマナヅルを見逃すことはないのですが、この日のうちに他のツルを見られると気が楽になるので探すと、カナダヅル2羽を発見できました。

カナダヅル
カナダヅル

 

4日目
ツルは早朝に給餌されるため、朝方にもっとも活発に動きます。この日は薄暗いうちに到着し、朝焼けや月をバックに飛翔するツルを狙いました。天気にも恵まれ、ほぼ満月という絶好の条件であったため、朝日の方向を狙ったり、反対側に出ている月の周辺を狙ったりという嬉しい忙しさを体験できました。まだ薄暗いうちには、カラスに突っかかられてコミミズクも出現しました。

月とツル
月とツル

 

 

朝焼けのツル
朝焼けのツル

ツルの動きが落ち着くと、つぎはコクマルガラスを狙いました。ちょうどこのタイミングでミヤマガラスの群れが電線に集まるのですが、その中にコクマルガラスも混じります。遠くからでもコクマルガラスの白いタイプ(通称シロマル)が見えていたので、苦労することなく全身が見えている状態で撮影できました。

コクマルガラス(左)とミヤマガラス
コクマルガラス(左)とミヤマガラス

電線の役割は電気を流すだけではないようで、同じ並びの電線にはニュウナイスズメの群れもとまっていました。雌雄同じ模様のスズメとは違い、ニュウナイスズメはオスとメスとで模様が異なり、とてもかわいい鳥です。

電線関連の鳥を観察後には、ツリスガラやホオアカを狙って河川沿いを散策しました。鳴き声は聞こえるものの、なかなか姿を現さなかったツリスガラでしたが、車に戻る寸前にようやく姿を確認できました。他に川沿いでは、ハマシギやミサゴ、ノスリ、オオジュリンなども出現しました。

ニュウナイスズメ
ニュウナイスズメ

 

午後には山間部のダムに向かい、ヤマセミやクマタカなどを狙いました。解放水面にはマガモやヒドリガモ、ホシハジロなどが休んでいました。水際の薄暗いところが好きなオシドリはもっとも警戒心が強く、かなり遠くても人間の姿が見えただけで飛ぶこともありました。残念ながら、クマタカやヤマセミには出会えませんでしたが、カケスやイカルなどの声も確認しました。夕方には再び干拓地に戻り、マナヅルやナベヅルもじっくり観察しました。

ミサゴ
ミサゴ
マナヅル
マナヅル
ナベヅル
ナベヅル

5日目
この朝も夜明け前に干拓地に到着し、朝のツルを観察しました。この日は月は雲に隠れ、朝焼けの状況も昨日とは異なり、日々の変化も体験できました。今年はツルが少ないのですが、朝の採餌の密集度は迫力があります。遠いところに撒かれたエサから食べ始め、徐々に人間に近づいてきます。

朝の採餌の様子
朝の採餌の様子

 

一旦ホテルに帰って朝食後にチェックアウトし、再び干拓地でツルやヘラサギ類などを観察しました。出水といえばツルの越冬地として有名ですが、他の鳥も多く、ヘラサギ類は道路のすぐ近くで休んだり、三面張りの水路で採餌したりしていて驚かされます。

ヘラサギ
ヘラサギ

時間いっぱいまで出水の鳥たちを堪能し、解散地の鹿児島空港に向かいました。今年は鳥インフルエンザの影響でツルは少なかったですが、ツル以外の小鳥や猛禽類も楽しめました。撮影主体のツアーではありませんでしたが、冬の九州は被写体が多く、参加された皆さんも、たくさん撮影されたことと思います。

 

(確認種99種)

 

この記事を書いた人

吉成 才丈 よしなり としたけ
1962年生まれ、東京都在住。東京都千代田区で、バードウォッチング専門店<Hobby's World(ホビーズワールド)>および鳥類調査会社<(株)日本鳥類調査>経営。バードウォッチングのガイドで、全国各地も巡る。歳時記的に、毎年同じ時期に同じ探鳥地を訪ねることが多く、タカやシギチの渡り、ガン類の越冬、海鳥などを観察・撮影するのが楽しみ。バードウォッチングは、だれでも気軽に楽しめる趣味だと思っています。難しく考えることなく、皆さんのペースで楽しんで頂けるように心がけています。