冬の九州鹿児島カツオドリと出水の万羽鶴・撮影三昧

Report by 戸塚学 / 2025年12月15日~18日

今年は鳥インフルエンザの発生がまだだったので、現場での緊張感はさほどありませんでした。その分、入域証で入られる場所が決まっていて、東干拓と西干拓の観察ポイントを移動しながらの定点撮影でしたが、いろんな鳥たちの撮影ができました。

カツオドリは日によって数が増減する&風によっても飛び込む場所が変わるので、難しいものの、みなさん撮影を存分に楽しめたように感じました。

12月15日 1日目 鹿児島市 晴れ

空港で集合後、そのままカツオドリのポイントを目指します。その前に、近くにある物産館でお弁当を買ってもらいポイントへ向かいました。

下見の時は80羽ほどいたのですが、この日は30羽程度でした。残念だったのは、ダイビングをして魚をくわえて浮上するシーンが何度もあるのにほとんど失敗!あと風が悪く、飛び上がる方向が反対で80%が「ケツ撃ち」になってしまう事。それでも太陽が建物に隠れる16時30分まで粘りました。

カツオドリ浮上
カツオドリ浮上

12月16日 2日目 鹿児島市~出水市 晴れ

7時30分に出発をして出水に向かいます。今日は1日天気がいいのでこのチャンスを逃すわけにはいかない!

9時30分ごろ観察センターに到着、まずはレクチャーを受けてから2階に上がり撮影開始。ツルたちの動きを説明して撮影をしてもらいます。その間にコクマルガラス探しをしますが・・・見当たらない。水を張った田の周辺に白い塊を見つけたので確認をするとヘラシギとクロツラヘラサギだった。しかし遠い!
参加者が「サカツラガンがいる!」というのでツルの群れの中を見るといました!ただ距離があるので撮影にはちょっと厳しい。スコープを持ってきた方がいたのでみんなでスコープを覗き、拡大されたサカツラガンを堪能しました。ふと見上げると、ヘラサギたちの群れが青空バックで群れが飛んで行くのでしっかりと撮影ができました。

マナヅル鳴き交わし
マナヅル鳴き交わし
マナヅルディスプレイ訓練
マナヅルディスプレイ訓練

その後、何か白っぽい中型の鳥が横切ったので反射的に連写。よく見ると変なムクドリ?ギンムクドリかシベリアムクドリだが、とにかくみなさんに撮ってもらうと、隣にいた方が「すいません、あの上空の猛禽類は何ですか?」と。トビと絡んでいる白っぽいタカ?初列が黒く、灰色?全体的にコンパクト?・・・まさかのハイイロチュウヒのオスでした!

上空にハイイロチュウヒのオスが!
上空にハイイロチュウヒのオスが!

変なムクドリが飛び去り、ハイイロチュウヒもどこかに消えてしまうと「キャウ、キャウ」というかわいい声があちこちから聞こえる?電線にとまるミヤマガラスを見渡すと小ぶりなカラスがちらほら・・・。やはりコクマルガラスでした。かなりいるようだがその中から2羽の「パンダ」を見つけみんなで撮影。いやぁ~怒涛の撮影タイムとなりました。

コクマルガラス
コクマルガラス

一旦11時になったので、食堂が混む前に出発。みなさんをうどん屋さんに案内して肉ごぼ天うどんを堪能してもらいました。

午後は東干拓に移動。監視小屋へ向かう途中、ヒシクイを見つけたので撮影をしてもらいました。観察小屋の前に出るとクロヅルをゲット!しばらく同じ場所で粘っていると、ハイイロチュウヒやハイタカが何度も飛んでくれてしっかりと撮影ができました。
また、カモの群飛の中にツクシガモを見出すこともできました。カナダヅルは見つからなかったので、移動できる経路上で車を停めて撮影。その後、もう一度監視小屋の前に行くと少し離れた場所にカナダヅルが3羽。幼鳥は飛んで行ってしまいましたが、ペアはまったりしていたので、歩いて近づき無事こちらもゲット!

ハイタカ
ハイタカ
ヒシクイ
ヒシクイ
カナダヅル
カナダヅル

その後は夕日ポイントに移動して待ちます。
この日は暖かい事もあり、無数の蜘蛛が糸を伸ばし飛んでいたので、「これは」と期待。夕陽に草についた蜘蛛の糸が金色に輝くなかツルを入れたいのだが・・・主役がいない!それではと夕日にツルたちを入れる瞬間を待つがこれまたほとんど飛んでこない!それでも数回のチャンスを逃さないように撮ってもらい、空の色が抜けたところで終了となりました。

ナベヅル夕陽蜘蛛糸
ナベヅル夕陽蜘蛛糸

12月17日 3日目 出水市 快晴のち大雨のち晴れ

天気予報では1日雨予報だったが、朝から晴れている。予想外の展開に期待をしながら朝日ポイントへ移動して日の出を待つも、東の空にかかる雲が意外にも厚く、雲間から出る光を絡めた撮影をしてもらいます。

東干拓の観察小屋へ行くと、近くにカナダガンのペアがいたので、光もいいし、陽炎もないのでしっかりと撮影。その後、西干拓の観察センター屋上から、飛翔するツルたちを狙いますが・・・あまり飛ばない。ギンムクドリやコクマルガラスもいないかと探すも見つからない。そんな中、昨日サカツラガンを見つけた方がカリガネとマガンをまたしても発見!すごい。私がほとんど探す気がないのがばれてしまう(笑)とはいえやはり距離があり撮影は厳しかった。

サカツラガン
サカツラガン

10時30分まで晴れていたのに、あれよあれよと雲が広がり11時にはどん曇りになってしまった。食堂でちゃんぽんを食べていると、もの凄い大雨が!雨で撮影ができなかった場合は物産館でお買い物ののち、温泉を予定していたので、そうするかと店を出ると・・・晴れだして陽が射してきた。虹まで出ている。それならばと撮影に出ると、銀杏の木にたくさんの中型の鳥が鈴なりになっている?一旦Uターンして戻ると全部ホシムクドリだったので、車から降りて撮影してもらいました。

ホシムクドリ
ホシムクドリ

ここで、「キャウ、キャウ」というかわいい声があちこちから聞こえる?かなりの数のコクマルガラスの幼鳥。成鳥は見つからなかったが、成鳥に近い個体はいたので撮ってもらう。その時、何か白っぽい鳥が楠のてっぺんにとまったので、見るとギンムクドリだった!すぐに飛んで行ってしまい、向かった先を探していると再び雨が降り出したので終了。

ギンムクドリ
ギンムクドリ

全員が車内に入るともの凄い雨が!ギリギリセーフ。前が見えないような雨だったので撮影は中断して物産館へ。出水は柑橘類が名産なのでみなさんに楽しんでもらいます。さてこの後は温泉だなと思っていると・・・またしても雨が上がり、空が明るくなったので撮影続行です。

雨上がりのいい光なので車を停めつつ車内から撮影してもらいました。夕方は夕日がからめの撮影を期待しましたが、思った以上に雲が厚くなり夕日は雲の中に消えてしまい終了になりました。温泉は逃したものの、予想外の天気にみなさん満足されていました。

12月18日 最終日 鹿児島市 晴れ

雨上がりの朝、あたり一面に霧が立ち込めてはいるが、空全体を覆い隠すほどではなく程好い高さ。明るさを増す東の山並みをバックに、西から飛んで来る群れを狙っていると太陽が顔をのかせます。思った通り霞越しなので太陽が赤味を増し、眩しくない!そこに入るツルたちを狙いました。

太陽とナベヅル
太陽とナベヅル
太陽とナベヅル
太陽とナベヅル

太陽が高く昇りきってから監視小屋の前に行くと、クロヅルがいたので撮影することができました。ここで出水はおおむね終了なので観察センターにトイレに寄る途中、水路脇の田んぼに白い鳥が!クロツラヘラサギの若い個体でした。近くで撮影ができてみなさん喜んでました。

クロヅル
クロヅル

ここからは約2時間のドライブでカツオドリポイントへ向かいます。
天気がいいのですが、風が悪い。カツオドリ12~3羽が周辺を飛び回りダイブしますが、相変わらずどの個体が飛び込むかがわからず苦労。他にはカンムリカイツブリ、セグロカモメ、ミサゴなどが出るのでそれも撮ってもらいます。しかしほぼ手持ちで狙い続けるのはかなり疲れるので、2時間が限度でした。14時30分出発して空港に向かい、15時30分無事解散となりました。

カツオドリと桜島
カツオドリと桜島
カツオドリダイブ
カツオドリダイブ

天気が予想に反して、いい方に転がってくれたことでしっかりと撮影ができたと思います。出水ではどうしても移動制限があるため「定点」での撮影になる分、いろんな鳥との出会いがあり良かったです。

撮れた鳥

カンムリカイツブリ・カツオドリ・ヒドリガモ・マガモ・コガモ・ハシビロガモ・オナガガモ・カルガモ・アオサギ・ダイサギ・コサギ・オオバン・ヘラサギ・クロツラヘラサギ・カナダヅル・マナヅル・ナベヅル・クロヅル・タゲリ・イソシギ・タシギ・ハマシギ・ミサゴ・トビ・ハイイロチュウヒ・ハイタカ・チョウゲンボウ・コクマルガラス・ミヤマガラス・ホシムクドリ・ギンムクドリ・マガン・ヒシクイ・サカツラガン・カリガネ・ハクセキレイ

見られた&声を聞かれた鳥

カイツブリ・カワウ・キジバト・ドバト・ハヤブサ・セグロカモメ・ツクシガモ・ハシブトガラス・ハシボソガラス・ヒバリ・ヒヨドリ・スズメ・ハクセキレイ・キセキレイ・タヒバリ・カワラヒワ・スズメ・ムクドリ・カワセミ・ツグミ・シロハラ・イタチジョウビタキ・オオバン・モズ・トビ・ノスリ・モズ・ヒバリ・タヒバリ・ムクドリ・ジョウビタキ・スズメ・カワラヒワ

この記事を書いた人

戸塚 学 とつか がく
高校3年生の時写真に興味を持ち、幼少の頃から好きだった自然風景や野生の生き物を被写体として撮影をする。20歳の時、アカゲラを偶然撮影できたことから、野鳥の撮影にのめり込み、「きれい、かわいい」だけでなく、“生きものの体温、ニオイ”を感じられる写真を撮ることが究極の目標。野鳥を中心としたネイチャー系フォトグラファーを目指す。作品は雑誌、機関紙、書籍、カレンダー、コマーシャルなどにに多数発表。
●日本野鳥の会会員 ●西三河野鳥の会会員 ●SSP 日本自然科学写真協会会員

有明海から日本最大のツルの渡来地・出水へ
【2025年】後編

report by 吉成才丈 2025年12月1日~8日

まだ暗いうちにホテルで朝食を済ませ、日の出の少し前に干拓地に到着。ツルのエサを撒き始めるころにはツルにも動きがではじめ、皆さんは日の出前の「月とツルとのコラボ」、「朝焼けのツル」を撮影し始めます。

月とツル(竹村様 撮影)

ほぼ快晴で天気に恵まれた感じですが、朝焼けは少し雲があった方がアクセントがあってよいかもしれません。気温も高めだったので、焼け方は少し物足りない感じだったでしょうか..。日の出前後の撮影を終えると、つぎは電線に集まるカラス類をチェック。ミヤマガラスの大群に混じり、今年はコクマルガラスも多く見られました。コクマルガラスは全身が黒いタイプの方が多いですが、白い部分がある個体も数羽見られ、近くで撮影できたと思います。

コクマルガラス(通称・シロマルとクロマル)

カラスの次は、昨日も観察したホシムクドリを発見。昨日同様、電線にとまるムクドリの群れに、ホシムクドリ数羽が混じっていました。外観は違う印象ですが、お互いに近縁の仲間だとわかるのでしょうね。出水の鳥たちにとって電線はありがたい存在のようで、ニュウナイスズメの群れも電線にとまっていました。ニュウナイスズメはスズメと異なり、オス・メスで模様が異なるのが興味深いです。

ニュウナイスズメ

河川沿いを歩くと、カイツブリやキセキレイ、イソシギなどの水辺の種が出現。ヨシ原では、期待していたツリスガラの声が聞こえ始めましたが、ヨシ原が対岸で距離もあったため、運のよい方のみ姿を見られたようです。河川沿いをさらに進むと、ミサゴ数羽が飛翔したり電柱にとまっていたりしていました。ここも毎年ミサゴがよく出るところで、堰の周辺はエサも取りやすいようですね。昼食はコンビニで済ませ、昼前後は山のダムに行ってみました。ここのターゲットはヤマセミやオシドリ、クマタカなどですが、確実性の一番高いと思っていたカモ類が例年の1/5もいません。ちょっと焦って遠くを探すと、かろうじてオシドリも見られました。ダムは例年よりも水位が目立って少なく、水際に安心して過ごせる環境がないことがカモ類全般、そしてオシドリの少なさに影響しているような印象でした。ダムサイトではジョウビタキやミソサザイなどを確認し、ちょっと早めに干拓地に戻りました。戻ってきた干拓地ではクロヅルが何度か見られましたが、ソデグロヅルやアネハヅルには出会えませんでした。

クロヅル

5日目

この日はチェックアウトもあるため、朝食はとらずに早めに出発。昨日と同じ場所で夜明けを待ち、日の出前後の撮影を始めました。この日は少し雲があり、快晴の昨日と比較すると、背景に変化も出てきました。

朝日とツル(竹村様 撮影)

ある程度明るくなってツルが落ち着くのを待ち、ツルのねぐらをチェックしてみると、待望のソデグロヅルを発見。急いで皆さんを呼びに戻りましたが、タッチの差で間に合いませんでした(残念!)。一旦ホテルに戻り、朝食を済ませてからチェックアウト。残り時間は少なくとも、時間の許す限り干拓地で観察や撮影を行いました。まずは観察センター屋上でツルをチェックすると、近くの方からサカツラガンがいると教えてもらいました。サカツラガンはエサを食べるツルの陰に見え隠れしていましたが、おかげさまでバッチリ見ることができました。サカツラガンも日本に飛来する個体数は少ないので、ラッキーでした。

サカツラガン

そして、あたりを付けていたタゲリが撮れそうなところをゆっくり流してもらうと、期待通りの耕作地にタゲリを発見。静かに待つと近づいてきましたが、近くの2羽がけんかを始めました。一瞬のケンカは何度も見たことがありますが、頻繁に同じ個体同志でケンカを続ける光景は初めてだっため、皆さんにもたくさん撮影してもらいました。

タゲリのバトル(竹村様 撮影)

出発時間も迫り、さいごに観察センターでトイレを借りようと立ち寄ると、屋上の方々がアネハヅルを見ているとの情報をゲット。急いで皆さんと屋上に上がると、アネハヅルは比較的見やすいところにいてくれたので、最後の最後でようやく、全員で観察・撮影することができました。

アネハヅル

予定を10分ほど過ぎていましたが、おかげさまで最高の締めくくりとなりました。確認種をチェックすると、合計で109種(ドバト含む)となったようです。13時を少し過ぎたころに鹿児島空港に到着し、皆さんと解散しました。ご参加いただいた皆様、ありがとうございました。

この記事を書いた人

吉成 才丈 よしなり としたけ
1962年生まれ、東京都在住。東京都千代田区で、バードウォッチング専門店<Hobby's World(ホビーズワールド)>および鳥類調査会社<(株)日本鳥類調査>経営。バードウォッチングのガイドで、全国各地も巡る。歳時記的に、毎年同じ時期に同じ探鳥地を訪ねることが多く、タカやシギチの渡り、ガン類の越冬、海鳥などを観察・撮影するのが楽しみ。バードウォッチングは、だれでも気軽に楽しめる趣味だと思っています。難しく考えることなく、皆さんのペースで楽しんで頂けるように心がけています。