初夏の道東ワイルドライフフォトスペシャル<後編>

Report by 戸塚学 / 2025年6月21日~26日


4日目 羅臼 晴れ 

熊の船の船長からどうしても午後にしてほしいと要請があり、午前はゴジラ岩観光でシャチクルーズになりました。この日はシャチたちが同じ場所に集まり、他にばらけていないためすべての船がこのシャチの大集団の周りに集まりました。

シャチ
シャチ

シャチの軍団にウォッチング船の軍団が群がる形でしたが、天気も良く波穏やかでスパイホップをする個体が何頭も確認ができ撮影もしっかりできたと思います。残念なのはジャンプが無かったこと。

 

下船後はトイレに行き、そのままコンビニで買い物です。そして相泊港で待機して30分早いクマクルーズスタートとなりました。今年はクマたちがあまり海岸に出てこないという状況が続いておりちょっと心配しましたが、無事1頭のクマを船長が見つけてくれて撮影をすることができました。

ヒグマ

浜辺に腹ばいになって何かを食べています。アザラシか?と思いましたが海藻を掘り返しヨコエビなどを食べているようでした。歩く姿も撮影できましたが、他社の船が来たので岬先端部へ移動します。しかしここにはクマの姿はありません。帰路にもう一度先ほどのクマがいたあたりに戻りましたが山へ戻ってしまったようでした。途中カモメがたくさんとまっている場所にミツユビカモメはいないか探しますが見つかりません。それでもようやく成鳥で夏羽の特徴が残るヒメウがいたので船長にゆっくりと寄せてもらい美しい姿を撮影できました。

ヒメウ

下船後は昨日の動きから少し余裕をもって夕食を食べてからシマフクロウに挑戦です。この日も20時少し前、鳴き交わしの後メスが現れました。メスが去った後オスも来たのですが、生簀の奥にとまりその後横の木の枝にとまりますが、この木にライトが届かず暗い。生簀に降りるのを今か今かと待っていると・・・ぷぃっと海側へ飛び去りました。その後は姿を現さなかったので22時に終了です。昨年までは「出れば23時、出なければ24時まで粘る」と伝えていましたが私もジジィになったので1時間短縮させてもらう事にしました。(笑)

 

5日目 羅臼~斜里 晴れ

本日は滅多にないほどの凪の日。こういう日を油凪という。とにかく港で出航を待つ間の暑いこと暑い事。出航すると昨日と打って変わってシャチたちの大きな群れは見当たらない。しかしオス3頭、メス1頭がのんびりと泳いでいるので各社個々にターゲットを決めてシャチを狙います。私たちは愛想のいいオスを狙いましたが、他にも3頭いて順光の知床連山バックだと遠いけれども絵になるカットが狙えるし、逆光気味だが近い個体も狙えるのでどれを狙うかでみなさん右往左往(笑)。

シャチ
シャチと知床連山

とにかく波が無いので逆にカメラのAFがどこにピントを合わせていいのか迷ってしまうのは誤算だった。波もうねりもない、シャチがゆっくりだと船もゆっくりになるためもう船上は暑い!私も途中でレインウェアを上下脱いでしまった(笑)さすがに動きがないシャチばかり狙ってもいられないので沖の方へ移動しながらイシイルカを探します。このイルカ配色がシャチと似ているので初めての方はシャチと間違えるがほとんど姿を外に出すことが無く、なおかつ水しぶきだけを残して移動するため動画での撮影は可能だが静止画は極めて難しい。しかしあまりにも波が無いせいかこの時は背びれを出してゆっくりと泳いでくれてラッキーでした。

イシイルカ

さてまったりとした後はまた慌ただしくなります。下船後トイレに行きコンビニでお弁当を買い込みそのまま知床峠へ。狙いはギンザンマシコ。下見で確認した場所で待ちますが出ない。それでもアオジ、ウソ、ウグイス、ノビタキ!(私は初めてここで見た!)アマツバメ、声はルリビタキ、カッコウ、ツツドリが聞かれたが本命が出てこない。風があり、標高が高いこともあり涼しくも感じるが、炎天下なのでまさに修行だ。15分早めに切り上げようかなと思っていた時にメスのギンザンマシコが出てくれて撮影をすることができた!アンビリーバボーでした。

ギンザンマシコ

結局10分延長になってしまった。そのあとは斜里のホテルに移動して終了となりました。

 

26日 斜里~浜小清水~女満別 晴れ

朝は朝食の関係で8時に出発にしました。実際問題、草原の小鳥は夜明けから8時までが勝負なのでどうしても朝食時間がネックになるし、ドライバーさんの拘束時間の関係もあるのが悩ましい。まず小清水原生花園は国道を挟んで2か所になるので湯沸湖の木道側の説明をしたのち海側の説明をします。あとは個々に好きな場所で撮影をしてもらいます。小鳥は人数が多いと警戒をして寄ってこないためこれが最善の方法となります。今回スケジュールの関係で小鳥をほとんど狙う事ができず悩ましかったが、ここではコヨシキリ、ノビタキ、ホオアカ、オオジュリン、シマセンニュウなどを撮影ができたと思います。

コヨシキリ

高台へ涼みに出るとアオサギの群れに大きな白い鳥?タンチョウのペアです。

タンチョウ

しかし足元に茶色の塊?キタキツネが絡んでいるのかと思ったらヒナが1羽親鳥の間にいました。辺りを見回すと近くにいた一人を呼び撮影してもらいます。その姿を確認してみなさんが集まってきましたが親子はどんどん草丈が深い中に消えて行きます・・・結局最後の方には確認させてあげることができなかったのが悔しい。次が最後の場所となる空港近くの女満別湖畔キャンプ場。ここはキツツキ類がよく見られ、運が良ければクマゲラが出るかもというギャンブル性が対場所です。しかしすでに時間的には生き物が出ない時間。それでも予想外のエゾリスが出てくれました。エゾリスも暑いのでしょう、最後は木陰の木の枝に腹ばいになって休憩していました。

エゾリス

他にはベニマシコが撮れたことと、オシドリのヒナを見られたこと。

ベニマシコ

とにかくこの日は暑く北見が33度なのでここでも30度を超えていたはず!そして時間通りに空港へみなさまをお連れして無事解散となりました。

ご参加いただいたみなさまお疲れさまでした、そしてありがとうございました。

 

撮影できた生き物
スズガモ・シノリガモ・フルマカモメ・ハシボソミズナギドリ・ウミウ・ヒメウ・チシマウガラス・アオサギ・タンチョウ・アマツバメ・ウミネコ・オオセグロカモメ・ウトウ・ケイマフリ・オジロワシ・シマフクロウ・シマセンニュウ・コヨシキリ・コムクドリ・カワガラス・ノビタキ・ハクセキレイ・ベニマシコ・ウソ・ホオアカ・アオジ・オオジュリン・エゾシカ・キタキツネ・ラッコ・ゼニガタアザラシ・シャチ・イシイルカ・エゾリス・エゾヒグマ

見られた&声が聴かれた鳥
マガモ・キジバト・ドバト・アオバト・カワウ・カワウ・カッコウ・ツツドリ・オオジシギ・トビ・カワセミ・チゴハヤブサ・ハシブトガラス・ハシボソガラス・ヒガラ・シジュウカラ・ヒバリ・ウグイス・エゾムシクイ・ヒヨドリ・マキノセンニュウ・エゾセンニュウ・スズメ・ハクセキレイ・ミソサザイ・ムクドリ・ルリビタキ・キビタキ・スズメ・ウソ

この記事を書いた人

戸塚 学 とつか がく
高校3年生の時写真に興味を持ち、幼少の頃から好きだった自然風景や野生の生き物を被写体として撮影をする。20歳の時、アカゲラを偶然撮影できたことから、野鳥の撮影にのめり込み、「きれい、かわいい」だけでなく、“生きものの体温、ニオイ”を感じられる写真を撮ることが究極の目標。野鳥を中心としたネイチャー系フォトグラファーを目指す。作品は雑誌、機関紙、書籍、カレンダー、コマーシャルなどにに多数発表。
●日本野鳥の会会員 ●西三河野鳥の会会員 ●SSP 日本自然科学写真協会会員

大雪山・旭岳のギンザンマシコと海鳥の聖域・天売島
<前編>

Report by 戸塚学 / 2025年6月13日~17日

個人的にはどちらも何度か足を運んでいる場所ですが、西遊のツアーでは初めてとなります。時期的に旭岳の宿が山開きに合わせてオープンさせるという事で、2日間宿が旭川市内という事になり本来予定をしていた山麓周辺の撮影ができなかったことが残念だった。天売島はピーカンの晴れとはいかなかったのですが2日目に奇跡的出来事が続き大変喜んでいただけたのではないかと思いました。

1日目 晴れ

旭川空港での集合に飛行機がかなり遅れた事と宿が旭川市内名なのでそのまま宿入りしました。

2日目 旭岳 晴れ

旭川市内からの出発のためロープウェイの始発に乗れず、8時30分の便で姿見駅へ。今年は少ないとはいえ残雪の残る斜面をおっちらえっちら歩いて行きます。第一展望台に向かう途中に鳥のさえずりが?ふと見上げるとオスのギンザンマシコがハイマツの上に!しかし撮影する前に飛ばれてしまった。まず第一展望台に上がり周囲の場所の説明をしたのちギンザンマシコ狙いのカメラマンで賑わう第三展望台へ向かいます。どうやら朝1番でこの場所の近い場所でゆっくりと撮影ができたらしい・・・悔しい。その後も何度か飛んだり、ハイマツの上にとまるもすぐに飛び去ったりなどしてなかなか撮影をさせてはくれない。途中でカヤクグリやノゴマが撮影はできたものの本命はさっぱり。

カヤクグリ

参加者の1人が、第二展望台に行ってみる!と歩き出した。彼女があと少しで到着という時です、なんと目の前の岩にギンザンマシコのメス2羽がとまったのです。こちらからは逆光&遠い!しかし彼女からは順光&近い!「「しっかり撮って!」と声をかけてしっかり撮ってもらいました。その後、持ってきた携行食を食べながら待ちますが・・・時計は14時を回ります。ダメかなと諦めかけた時とうとうその時は来ました。ハイマツのてっぺんに真赤なオスがとまりました。時間としては3分あったか無いかですが、動かないのでしっかりと撮影ができました!

ギンザンマシコ

15時45分のロープウェイで下山をしたのですが、あれっきりギンザンマシコは出なかったので超ラッキーでした。ホテルへ戻りサービスで付いてきたグラス生ビールで祝杯を挙げました!

3日目 旭川―羽幌―天売島 晴れ

旭川から予定よりも早く羽幌港に到着したので、周辺で撮影を試みますが天気がいい事と時間的に鳥たちが少なく撮影ができません。一旦ろうそく岩まで戻りウミウを撮影しようとしますが・・・陽炎がひどくてダメでした。それではと食事に向かいましたがどこも高い!特にお客様の所望のうに丼がどこも5000円!結局ホテルのレストランで普通の味と値段の食事となりました。天売航路では思ったほど海鳥たちには出会う事ができずウトウ、ケイマフリ、ウミウ、2度ほど出てくれたウミスズメを撮ることができなかったのが悔しい。

ウミウ

天売島に着いてそのまま西遊の宿、天売マフレへ。この日は18時から赤岩展望台で帰巣するウトウの撮影のため早めの食事をする予定。その前に宿周辺で鳥を撮影します。天売島にはノゴマとコムクドリが多いのでまずは撮影できてよかった。一番の収穫は巣立ち間もないアカゲラを撮れたことでしょう。

 

17時から食事をして出発します。天売島ではウミネコが繁殖する場所が海岸にあり道路周辺にも広がるため道路がウミネコで埋め尽くされてしまう。今年はまだヒナの数が少なくてよかったがここがヒナで溢れるとどかして車で通行するのが超大変!

ウミネコのヒナ
ウミネコ

そこを抜けると展望台までの上り坂を登り展望台です。今年はオオイタドリの丈が高く戻って来るウトウが見つけにくい。合わせて予定をしていた時間よりも1時間遅く戻ってきたので暗くなってしまい思ったような撮影ができませんでした。参加者からも「この撮影は私たちには難しい」と言われますが私自身も超苦戦しているのだから当然です。暗くなってからは色づく空をバックに帰巣するウトウを狙いますが・・・いつもより数が少ない。現地ガイドの話によると今年はエサの魚が少ないのでほとんどの親鳥たちがエサを持ち帰れない&時間が遅いとのことでした。そのあとはライトアップされたウトウを撮影するのですが一般観光客も多いので思うように撮影ができずみなさん結構ストレスを感じていらっしゃった。ここからの帰りは鳥たちを車で轢かないためにガイドの車に着いて帰路につきました。

ウトウ

 

この記事を書いた人

戸塚 学 とつか がく
高校3年生の時写真に興味を持ち、幼少の頃から好きだった自然風景や野生の生き物を被写体として撮影をする。20歳の時、アカゲラを偶然撮影できたことから、野鳥の撮影にのめり込み、「きれい、かわいい」だけでなく、“生きものの体温、ニオイ”を感じられる写真を撮ることが究極の目標。野鳥を中心としたネイチャー系フォトグラファーを目指す。作品は雑誌、機関紙、書籍、カレンダー、コマーシャルなどにに多数発表。
●日本野鳥の会会員 ●西三河野鳥の会会員 ●SSP 日本自然科学写真協会会員

根室海峡のシャチ・ミズナギドリと大雪山のギンザンマシコ

Report by 今堀魁人 / 2024年6月14日~19日

1日目

14時半頃に中標津空港で集合しツアースタートです。初日は最初に野付半島へ行きました。野付半島まで行く道中ではすぐにタンチョウを発見!

タンチョウ
タンチョウ

その後は野付半島に入りすぐに綺麗なベニマシコを撮影。そして近距離でオジロワシが見られました。

オジロワシ
オジロワシ

野付半島の奥ではこの時期では珍しいまだツノを落とさず付けているエゾジカのオスを発見。センダイハギとのコラボレーションが美しかったです。あっという間に時間はタイムアップ。

エゾジカ
エゾジカ

夕食後はシマフクロウを狙います。出ないなーと待っているとタイムアップギリギリにメスが登場!良かったです!

シマフクロウ
シマフクロウ

2日目

翌日はシャチクルーズからスタートです。霧に包まれていましたが出て数分でシャチの群れに囲まれました。その後終始シャチを観察し、目の前に出たりと色々楽しませてくれました。

シャチ
シャチ

午後はウトロと知床峠の頂でギンザンマシコ探し。ウトロではクマゲラに出会えました。近距離で見ることは難しく、今回は本当にラッキーでした。そして頂上に行くとすぐに本命のギンザンマシコが!数度見ると今度は後ろから声が?なんと目の前!みなさん持っていますね!

ギンザンマシコ
ギンザンマシコ

3日目

早朝からギンザンマシコを探しに峠へ出発しましたが濃霧で何も見えず。早々に旭岳に賭け撤退。朝食後、ここからはバードウォッチャーのドライバー、佐藤さんと共に紋別方面へと出発です。風の強いオホーツクではアマツバメやノビタキ、ベニマシコなどを狙いながら観察していきますが、とにかく暑い。この時期では珍しい28℃まで気温が上がり、私と鳥たちはバテ気味。少し出が悪かったですが、ホオアカなども囀る姿を見せてくれました。色々と観察をしているとあっという間に時間は過ぎ、後半は少し巻き気味で宿にチェックインです。明日が草原性の小鳥観察の本番。楽しみましょう!

アマツバメ
アマツバメ

ホオアカ
ホオアカ

 

4日目

早朝シブノツナイ湖でバードウォッチングです。早朝は観察最難関のエゾセンニュウが霧の中ちらっと見えました。

エゾセンニュウ
エゾセンニュウ

午後はオムサロ原生花園に行きました。オムサロでは、ノゴマやノビタキが見られるも鳥の姿が少なく、日暮れは再度コムケ湖方面へ。この時期ならではのワタスゲや偶然出会ったミヤコドリを見ながら再度シブノツナイ湖へ。ツメナガセキレイがずっと長時間観察させてくれたりといい天気の中楽しませてくれました。

ツメナガセキレイ
ツメナガセキレイ

5日目

シブノツナイ湖からスタートです。早朝鳥を探すと、全員には姿を見せることができませんでしたが、マキノセンニュウの姿も!他にもアオバトやウグイスなど、さまざまな小鳥に会えました。

マキノセンニュウ
マキノセンニュウ

アオバト
アオバト

そして再度ギンザンマシコチャンスを手にするべく、一路北海道の最高峰・旭岳へ。到着後、展望台でずっと探すと、遠くにギンザンマシコの姿が!一度潜ったところで全員集合。もう一度出てくれーと思っているとさっきよりも近いところで出てくれました。他にもカヤクグリが出てくれましたが、雷雲が近づいており、危険と判断し下山。下山後は日本で最も遅い桜も見ることができました。

ギンザンマシコ
ギンザンマシコ

6日目

最終日もギリギリまでギンザンマシコを見るために旭岳に向かいます。

北海道の最高峰・旭岳へ
北海道の最高峰・旭岳へ

到着した時から天気は昨日と変わり山頂が見えます。これは見えるかも。と期待しましたが、待てど暮らせど姿は見えず。途中ルリビタキやカヤクグリは姿を見せてくれましたがギンザンマシコは姿を見せてはくれませんでした。

カヤクグリ
カヤクグリ

それでも今回6日間で合計63種を観察し、本当に多くのこの時期らしい鳥を観察することができました。この翌週には鳥はぱったりと姿を消し、子育てに奮闘していたので最高のタイミングでした。

この記事を書いた人

今堀魁人 いまほり かいと
北海道紋別市出身。西遊旅行・バードガイド、ネイチャーガイド。幼い頃から野鳥や自然に魅了され、北海道を中心に野鳥・野生動物の撮影に没頭。まだまだ駆け出しの身ですが、生まれ育った北海道を拠点に、自然の中で暮らす野鳥の魅力をツアーを通して感じていただけるよう精進しております。ぜひ世界遺産「知床・羅臼」にも遊びに来てください!