奄美大島・固有種を狙う撮影三昧の4日間 1本目【前編】

Report by 戸塚学 / 2025年4月2日~5日

下見の2日間は雨で森が暗く、霧も入り鳥たちを探すのも苦労したが偶然オオトラツグミに出会えてこれは幸先がいいぞ!と思いましたが・・・今回は夜を2回にしたことで大幅に時間設定を変えましたがまだ手直しが必要だなと感じました。

オオトラツグミ
オオトラツグミ

1日目 曇り

天気予報では雨のはずが・・・晴れた!晴れたというより雲間から時々日が差すといった感じか?みなさん時間通りに集合されていたのでそのまま専用車で移動します。現地に到着してからは各鳥たちが撮りやすいポイントを説明して行きますが、いきなり駐車場の桜にズアカアオバトが!大慌てで撮ってもらいますが、のんびりしていて全員がっつりと撮影ができました。昨年はサクランボが全くなかったのですが、今年はまだたわわになっているのでカラスバトやズアカアオバトがいる事を後付けで説明しました。各ポイントの説明後はみなさん狙いたい場所で粘ってもらい、私は歩きながら各ポイントを廻りみなさんの質問や撮影のアドバイスをしました。この日はアカヒゲ、ルリカケス、一部の方がオーストンオオアカゲラをしっかりと撮ることができたようです。17時に終了してホテルへ向かいました。この日は翌日から始まるハードスケジュールのためしっかりと骨休めをしてもらいました。

アカヒゲ
アカヒゲ

2日目 曇り時々晴れ

8時に出発して森に向かいます。絶景ポイントでサシバが飛ばないかを見ていると・・・北西の風なのに20羽ほどが飛んで行く!しかしコースが悪い。

サシバ
サシバ

ここの枯れ木にルリカケスがとまらないかなぁと待つと後ろから「コツコツ」と気をつつく音が聞こえてきたので振り返ると参加者の一人が何かを狙っているので奴がいるなと近づくとオーストンオオアカゲラのオスがいました。そしてがっつり撮れました!残念なのは他の参加者がいない事。

オーストンオオアカゲラ オス
オーストンオオアカゲラ オス

さて他の場所へ行くと別の参加者が何かを狙っている。行ってみると今度はオーストンオオアカゲラのメス!こ奴、よほどお腹が空いているのか?まったく飛んで行かないのでみんなを呼び集め無事全員撮影ができました。ちなみに超近くでゆっくり撮影できるとはまさにアンビリーバボー!でした。

オーストンオオアカゲラメス
オーストンオオアカゲラメス

オオトラツグミは粘りましたが残念ながら出なかったので、後半はまた各自で森を廻って撮影をしてもらいました。14時に終了予定だったので集まって駐車場に向かう途中、桜並木にズアカアオバトが!これものんびりとサクランボを食べているのでしっかりと撮影できました。さて夜があるので一旦ホテルでなが~い休憩(笑)ナイトツアーが21時40分にお迎えが来るのでそれまでゆっくりと休んでもらうのです。

21時30分にホテルのロビーに行くとナイトツアーが迎えに来てくれていて社長の一言「超、寒いっす!なので電熱ベストと手袋を持ってきました!」という事でみなさん電熱ベストと手袋をしてジープに乗って出発!風を切って走るジープが寒い寒い。私的には過去最低の寒さ。悩ましいのは乾燥して寒い夜は生き物が出にくい事です。まずは時間までトイレ休憩とジープの幌を外して撮影ができる状態にします。じゃんけんで席を決めます。そしてライトを照らしてもらいカメラの設定を完了してもらいます。時間になったのでゆっくりとジープを転がしながら生き物を探しに行きますが、道は乾燥しているので両性爬虫類は出ない予感がする。国立公園内に入るとさっそくアマミノクロウサギ(以下クロウサギ)が出るたびに撮影のために停まるのでなかなか進まない。

アマミノクロウサギ
アマミノクロウサギ

狙いのアマミヤマシギとリュウキュウコノハズクがなかなかに手強いが、クロウサギは出まくり!

アマミノクロウサギ
アマミノクロウサギ

ようやくアマミヤマシギが出たのでゆっくりと近づきしっかり撮影できました。

アマミヤマシギ
アマミヤマシギ

そうなると次々に出会えて撮影ができます。しかしリュウキュウコノハズクは厳しい。リュウキュウコノハズクを探しているとガイドさんが「ケナガネズミがいました!」とライトを当ててくれるが、手前の枝が邪魔で結局撮影はしっかりできなかった、残念!最後の方でようやくコノハズクが見つかったが手前に枝がかかっていて一部の方は撮れたが、全員が撮ることはできなかった。集落周辺にはリュウキュウアオバズクとアマミヤマシギがいるので探すもリュウキュウアオバズクは何とか見られたものの撮影はできなかった。結局この日はアマミノクロウサギ30頭以上に出会えたはず!まさにクロウサギ祭りでした。ホテルに戻ると1時50分!あっという間にこんな時間になってしまった!

この記事を書いた人

戸塚 学 とつか がく
高校3年生の時写真に興味を持ち、幼少の頃から好きだった自然風景や野生の生き物を被写体として撮影をする。20歳の時、アカゲラを偶然撮影できたことから、野鳥の撮影にのめり込み、「きれい、かわいい」だけでなく、“生きものの体温、ニオイ”を感じられる写真を撮ることが究極の目標。野鳥を中心としたネイチャー系フォトグラファーを目指す。作品は雑誌、機関紙、書籍、カレンダー、コマーシャルなどにに多数発表。
●日本野鳥の会会員 ●西三河野鳥の会会員 ●SSP 日本自然科学写真協会会員

秋の奄美大島 アカハラダカの渡りと奄美固有種

Report by 簗川堅治 / 2024年9月21日~24日

アカハラダカの渡り敵期に時期を設定し、奄美大島の固有種も楽しむツアーです。昨年、一昨日年も同じ時期に設定し、タイミングよくアカハラダカの群れを楽しむことができました。さて、今年は……?

 

1日目

直前の天気予報では、どうもずっと雨マークで並んでいたので不安な中スタートしました。まずは現地ガイドさんと合流し、ちょうど見易いオオトラツグミがいるとのこでその場所へ向かいました。雨の心配はなさそうです。到着早々、難なくオオトラツグミに出会えました!改訂されたばかりの日本鳥類目録第8版ではトラツグミの亜種から別種ミナミトラツグミの亜種に変更されたので、すでに見てる方もライファーの方も1種増えたことになります。

オオトラツグミ
オオトラツグミ

その後は小鳥類はイマイチだったので、ナイトウォッチングに備えて、早めにホテルへ入りました。夕食後、ナイトウォッチング・スタートです。早速、電線で眠るルリカケスを筆頭に、アマミノクロウサギ7頭、アマミヤマシギ1羽、ズアカアオバト2羽、リュウキュウコノハズク8羽などを次々と見て、この日を終えました。

ルリカケス
ルリカケス

アマミヤマシギ
アマミヤマシギ

 

2日目

天気も風向きもイマイチなようですが、まずはアカハラダカ狙いでポイントへ。ルリカケスが何羽も飛び交う中、アカハラダカが舞うのを待ちました。すると、はるか遠くにアカハラダカ1羽!その後も遠くに3羽飛ぶものの遠すぎます。結局、大きな群れもなければ、近くを飛ぶこともなく、残念な結果となりました。

続いて訪れた森も期待外れ。昼食をとろうとした店もいっぱいで入れず。なかなかうまくいきません。ちょうど干潮時だったので海岸へ行き、キョウジョシギ、チュウシャクシギ、メダイチドリ、そして白いクロサギなどを楽しみ、やっと鳥を見た感じになりました。

クロサギ白色型
クロサギ白色型

その後はまたオオトラツグミを見て、アカヒゲも何とか少し見ることができました。

夜はまたナイトウォッチングです。昨晩同様にたくさんの鳥に出会えた他、雨も少し降ったためアマミイシカワガエルやアマミハナサキガエルなどの奄美固有種にも出会えました。

アマミイシカワガエル
アマミイシカワガエル

アマミノクロウサギ
アマミノクロウサギ

 

3日目

今日も天気予報はイマイチ。アカハラダカはお預けです。まずは奄美唯一の田んぼで探鳥です。セイタカシギ、タカブシギ、クサシギ、リュウキュウツバメなどを楽しみ、森へと場所を変えました。

リュウキュウツバメ
リュウキュウツバメ

この日の森ではアカヒゲとズアカアオバトを比較的よく見れ、オオトラツグミもばっちりです。しかし、オーストンオオアカゲラは、ガイド簗川が見たに過ぎませんでした。

アカヒゲ
アカヒゲ

オーストンオオアカゲラ
オーストンオオアカゲラ

昼食後は畑です。ムナグロの群れを見ていたらツバメチドリが2羽混じっていて、さらに見ていくと、なんとコシャクシギが1羽混じっているではないですか!一気に盛り上がりました!気分良くホテルへ戻ることができました。

コシャクシギ
コシャクシギ

4日目

最終日です……が、残念ながら今日も天気が悪くアカハラダカはお預けです。森へ行き、まだ見ぬオーストンオオアカゲラを探すも、結局は声のみ。オオトラツグミは この日も見れ、しっかりときれいな歌声も披露してくれました。最後はコシャクシギ狙いで畑へ行くもムナグロ少しとツバメチドリがいただけでした。

ツバメチドリ
ツバメチドリ

残念ながら天気に恵まれず、アカハラダカの群れの渡りはお預けとなりましたが、それでも奄美固有の鳥や動植物園に出会えた4日間でした。参加者のみなさん、大変お疲れ様でした。ありがとうございました。

この記事を書いた人

簗川 堅治 やながわ けんじ
1967年生まれ。山形県在住。日本野鳥の会山形県前支部長。「何しったのやぁ?こだい寒いどごで(何してるんですか?こんなに寒い所で)」「鳥ば見っだのよぉ(バードウォッチングです)」「こだい寒いどぎ、ほだなどさ、鳥あて、いだんだがしたぁ?(こんなに寒い時にそんな所に鳥がいるんですか?)」私の地元では、こんな会話が日常茶飯事です。鳥はいつでもどこでも楽しめます!見て、聞いて、撮って楽しんでもらうのはもちろん、ほっこりとした温かい時間を過ごしてもらえるように山形弁でがんばります。おらいの(私の)島、飛島さもきてけらっしゃい(飛島にもきてください)!