沖縄・やんばるの森に生きる固有種を撮る

Report by 戸塚学 / 2025年8月31日~9月3日

基本的にはヤンバルクイナがよく出る場所で待機をして撮影を楽しみました。夜間撮影は最後までヤンバルクイナもフクロウ類も出ないという状況にドキドキしましたが、リュウキュウオオコノハズクを皮切りに、ヤンバルクイナが樹上での寝姿が見られた後畑のフェンス上に4羽がいる姿まで見られて逆転満塁ホームランとなりました。

1日目 

今回私がドライバーを兼務するにあたり立体駐車場に車を停めなければならず、出発に少々手こずりました。道中はスムーズに移動をして途中コンビニで翌日の朝食を各自購入していただきました。一旦宿にチェックインと荷物を降ろした後すぐに出発です。予定していた場所に他のカメラマンがいたので少し早いのですが水場で待機すると時間通り同じコースでヤンバルクイナが出てくれました。みなさん初ヤンバルクイナなので大興奮でした。その後日没まで待つとペアでの出現があり超ラッキーでした。

川を渡るヤンバルクイナのペア

夕食後は翌日のナイトツアーの準備体操としてライトを使った撮影時のレクチャーをしました。レクチャー後は宿の周辺をちょっぴり探しますが、生き物との出会いはありませんでした。解散後大浴場から部屋に戻るとやたら何かの鳴き声がするのでライトを照らすとリュウキュウコノハズクです!慌ててみなさんにお知らせしようとするも大浴場での入浴中で私以外は見られませんでした・・・残念!

 

2日目

5時15分、星の煌めく中に出発です。ポイントまで山道で約30分かかるので結構大変です。ポイントに着くと夜も明け、薄明るくなった中で車のスライドドア前とリアハッチを上げた前にシートを張り、車内と車外で静かにヤンバルクイナの出るのを待ちます。だいたい5時50分から6時に出るはずと伝えるとほぼ指定した時間通りに出てくれました。エサを探し、食べながらゆっくりと歩いてくれます。

採餌するヤンバルクイナ

ここのポイントは比較的人に慣れているので近い時は3m以内で観察と撮影ができるのです。餌付けはしていないので彼らのペースで採餌と探餌を繰り返しながら移動をします。その後も2度出てくれました。この場所じつはノグチゲラもよく出る場所でこの日も出てくれたのですが・・・茂みの中ばかりで、ほんのちょっぴり姿を撮影できた人もいました。ホントウアカヒゲも囀ってはいますが姿を見せてくれないのが悔しい!アカショウビンも飛んで来て近くでさえずっているが姿は見られず、一旦8時に切り上げて宿に戻り、休憩後に宿のトレッキングコースを廻る事にしました。今年は何やら森が静かでセミがやかましくないのがさみしい。森のトンネルに入るとすぐ、リュウキュウメジロとオキナワシジュウカラが出迎えてくれました。そんな中、何やら茶色っぽいヒタキ?心当たりはホントウアカヒゲではないのでリュウキュウキビタキだと決めつけ(笑)みなさんに撮ってもらいました。あとで調べると結果は超ラッキーなリュウキュウキビタキの幼鳥でした!

リュウキュウキビタキ幼鳥

その後も進みながらオキナワキノボリトカゲ、ヤンバルヤマナメクジ、リュウキュウハグロトンボなどを撮りながら進みます。

オキナワキノボリトカゲ
リュウキュウハグロトンボ(オス)

そして出口近くの茂みからホントウアカヒゲのメスが!ゆっくりと近づきながら彼女の後について撮影を繰り返します。おかげでかなりアップ目に開けた場所でみなさん撮影をすることができました。素晴らしい!

ホントウアカヒゲ(メス)

その後はカメラを持ったまま昼食に向かいます。道の駅近くの田んぼにシギやチドリがいるはずですが・・・いない。いれば食事前と食事後で2回撮影を試みる予定だったのですが食事後は中止にしました。お昼はフードコートで各自好きなお店で好きな物を食べていただきました。その後は宿に戻り約2時間の休憩でお昼寝をしてもらいます。

15時15分に夕方の撮影に出発です。ポイントに着いたらすぐ準備してヤンバルクイナを待つと、これまた時間通りに出てくれましたが、その後があまり出てくれません。

走るヤンバルクイナ

そうこうしているとノグチゲラが出ますが、枝が邪魔で撮れない!悔しい。参加者の方から猛禽類は何がいますか?と聞かれたので、基本ミサゴとリュウキュウツミだけどリュウキュウツミはかなり厳しいね。と話していると前方の木の枝に何かがとまりました。ヒヨドリかな?と思ったがシルエットがなんか不自然?双眼鏡で覗くと・・・リュウキュウツミのオス!真赤な目が熱い!みなさんに伝え、撮ってもらいました。これは超ラッキーでした。

リュウキュウツミ(オス)

その後水場でヤンバルクイナを待ちますが結局出ませんでした。夕食を食べてすぐ夜間撮影に出発です。しかし・・・長い夜だった。いつもなら簡単に見つかるヤンバルクイナが0!折り返し地点から結構進んだ場所まで来ても0!私の焦りもピーク!そんななかでオリイオオコウモリが撮りたいというリクエストがあったので集落の公民館の近くで車から降りて探してみると・・・いた!リュウキュウオオコノハズクです!みなさんを呼び集めて「今からライトにリュウキュウオオコノハズクを入れるから、すぐ撮影をして!」伝えライトアップ。暗闇に浮かぶ茶色の塊、みなさん奇跡のリュウキュウオオコノハズクをゲットできました。

リュウキュウオオコノハズク

その後はオリイオオコウモリも撮影することができました。以前はリュウキュウオオコノハズクが繁殖をしていて比較的簡単に見られる場所でしたが営巣木が折れてからは確率が低かったのですがまさか当たるとは!その後はすぐに樹上で眠るヤンバルクイナを発見撮影することができました。

樹上で眠るヤンバルクイナ

すごいのはこれからで約100m進んだ畑のフェンスにヤンバルクイナが眠っています。これも撮ってもらい「よかったね」と話しているとフエンス上で眠っているヤンバルクイナが次々見つかり合計4羽各50~100m間隔に停まっていました。

フェンスで眠るヤンバルクイナ

私も20年以上ヤンバルクイナに関わっていますが、これは初体験でした。場所が場所だけに初めの1羽以外は撮影せず通過しました。予定よりも1時間早い終了でしたがみなさん大満足をされていました。

 

3日目

この日も5時15分に出発してポイント近くで車のスライドドアを開けて、目隠し用のシートを張り一時的に「動くブラインド」にしてポイントで待ちます。待つ事10分、まだ暗い中さっそく1羽が出現します。しかしすぐにいなくなってしまいました。ポイントでアカヒゲが出てくれることを期待しましたが、声のみ。その後待ちくたびれていると、ヤンバルクイナは音もなく現れ撮影ができました。しかしあろうことかノグチゲラも同時出現でどちらを狙うかで車内はプチパニックでしたが、結局ノグチゲラが2羽で追いかけっこをしている事と逆光側にとまるので撮影には厳しかった。アカヒゲもさえずっているのですが出てくれないのが悔しい。

ノグチゲラ・オス

8時に切り上げ宿に戻り休憩を入れたのち、この日は沢沿いの遊歩道を歩きながらノグチゲラとアカヒゲを探します。以前ここでノグチゲラが30分毎に食べに来ていたハゼノキは周りの木々に隠されただけでなく、今年は裏年で実が成っていません。その後は川に向って歩きますが、河原に着くとアカヒゲのぐぜりとさえずりが。静かに近づくとオスがいました!振り向くと誰もいません、みなさん川を眺めたり写真を撮ってる!!!何とか声をかけて呼び寄せるも時すでに遅し・・・ブッシュの奥に消えて行った後でした。悔しい。その後は来た道を戻りながら探しますが何もいません、せめてリュウキュウヤマガメは見たかったな。一旦食事に向かいますが、その前に昨日の田んぼへ。車を停めてスライドドアを開けた瞬間、レンガ色の鳥が飛び去ります・・・リュウキュウヨシゴイのオスです・・・やられた。田んぼにはセイタカシギ、ウズラシギ、タカブシギ、ヒバリシギが見えますが遠い。一旦食事に向かいあとからリベンジすることに。しかし食後は鳥たちがもっと遠く、セイタカシギ以外は見つからず断念。ゆっくりしている余裕はないのです、翌日の朝食を買って宿に戻りお昼寝タイムをとらなければ。

15時15分に夕方の部へ出発です。ヤンバルクイナは時間通りに出てくれるのですが、今年は地域のお祭りと旧盆が重なっているため人が多く、そのせいかヤンバルクイナも落ち着かないようですが、合計3回の出現でみなさん余裕をぶっこいた撮影をされていました(笑)

本日、夕食後は何もないのでみなさん、ゆっくりと休んでいただきました。

 

4日目 最終日

この日も星の煌めく5時15分に出発してポイント近くで車のスライドドアを開けて、目隠し用のシートを張り一時的に「動くブラインド」にしてポイントで待ちます。道路を通過するペアや鳴き交わすヤンバルクイナの声は響き渡るが出ない!ちょっと心配になって来ると出てきました!驚いたのはずっとエサを探し、食べながらゆっくり移動をしてくれる。なんとなんと10分以上姿を出したままだった。毎回行動が変わるのには驚かされるし、この1回の出現でしっかりと撮れたようでよかった!その後はまた何も出ない時間が過ぎて行く・・・。と参加者から出た!という声と「キョッ!」という声と黒っぽい鳥が目の前の樹に飛び込んできた、ノグチゲラだ!どうして一緒に出るのか!!!もう車内はプチパニック。ほとんど方がノグチゲラにシフトすると何とか枝が被らない場所へ移動してくれたことで撮影ができたと興奮をされていましたが、ヤンバルクイナはまだいます。いるからには撮らねばならない。この時も10分以上私たちの視界にいてくれたのでしっかりと撮影ができました。時計を見ると7時30分。8時までやる予定でしたが最終日で荷物のパッキングもあるので15分早く切り上げる事にしました。さて空港近くの三角池で最終決戦のはずが・・・潮が引きすぎていてクロツラヘラサギは不在。しかし反対の水路側にはアカアシシギ、アオアシシギ、キアシシギ、コチドリ、チュウシャクシギがいたので、それらを撮影して空港に向かい解散となりました。ご参加していただいたみなさまお疲れさまでした!

アカアシシギ(オス)

 

今回もヤンバルクイナとの遭遇&撮影ができただけでなく、リュウキュウツミ、ノグチゲラとオオコノハズクのサービスもありとても良かったのではないかと感じました。アカヒゲはメスでしたが、しっかりと撮れたし、リュウキュウキビタキの幼鳥というレアな撮影もできたので120点と言っていいでしょう!残念だったのがリュウキュウコノハズクしたがそれはまたの機会に!

 

 

撮影できた

ミサゴ・リュウキュウツミ・ヤンバルクイナ・コチドリ・アカアシシギ・アオアシシギ・タカブシギ・イソシギ・セイタカシギ・リュウキュウオオコノハズク・ノグチゲラ・リュウキュウツバメ・リュウキュウヒヨドリ・ホントウアカヒゲ・ヤマガラ・オキナワシジュウカラ・リュウキュウメジロ・オキナワキノボリトカゲ・ヤンバルヤマナメクジ・オリイオオコウモリ

 

見られた&声が聞かれた

リュウキュウヨシゴイ・ダイサギ・クロサギ・アオサギ・バン・ヒバリシギ・チュウシャクシギ・カラスバト・リュウキュウキジバト・ズアカアオバト・リュウキュウコノハズク・リュウキュウアカショウビン・カワセミ・リュウキュウコゲラ・ツバメ・リュウキュウサンショウクイ・リュウキュウヒヨドリ・イソヒヨドリ・ウグイス・リュウキュウサンコウチョウ・スズメ・リュウキュウハシブトガラス

この記事を書いた人

戸塚 学 とつか がく
高校3年生の時写真に興味を持ち、幼少の頃から好きだった自然風景や野生の生き物を被写体として撮影をする。20歳の時、アカゲラを偶然撮影できたことから、野鳥の撮影にのめり込み、「きれい、かわいい」だけでなく、“生きものの体温、ニオイ”を感じられる写真を撮ることが究極の目標。野鳥を中心としたネイチャー系フォトグラファーを目指す。作品は雑誌、機関紙、書籍、カレンダー、コマーシャルなどにに多数発表。
●日本野鳥の会会員 ●西三河野鳥の会会員 ●SSP 日本自然科学写真協会会員

奄美大島・固有種を狙う撮影三昧の4日間 2本目【前編】

Report by 戸塚学 / 2025年4月6日~9日

奄美大島ツアー2本目ですが、初日が小雨以外毎日晴れ!おまけに夜は1本目がケナガネズミが3頭も出たり、2本目がのんびりしたアマミノクロウサギが出まくりのアマミヤマシギ祭りでみなさん大喜び。日中も無理だなと思っていたオオトラツグミが突然近くで出まくりでもう・・・アンビリーバボーな2時間でした。とにかく日中も夜も大当たりでした。

1日目 曇り時々雨

飛行機の到着がみなさん集合時間よりも早かったこともあり、早めに出発をすることができました。天気は雨が降りそうな感じですが、天気予報では最終日が雨なので先に海岸に向かうと良かった!シギ・チドリがいます。結構近いのでみなさんに鳥たちの説明をしながら撮ってもらいます。

ウズラシギ
ウズラシギ
タカブシギ
タカブシギ
オジロトウネン
オジロトウネン

やはりセイタカシギが目立つし大きいので人気でした。

セイタカシギ
セイタカシギ

クロサギの白と黒を見比べることもできました。

クロサギ
クロサギ

さて森に向かいます。まずは各ポイントを説明しながら廻ります。一通り廻り終えた後、各自で自分が狙いたい鳥たちのポイントに散ってもらいます。小雨が降り出しますが、サクランボを食べるズアカアオバトを全員で撮影ができました。その後もアカヒゲ、ルリカケスも無事撮れたようです。終了時間には雨も上がりホテルに向かい終了となりました。

アカヒゲ
アカヒゲ
ルリカケス
ルリカケス

 

2日目 快晴

ホテルから出たところに緑地帯があるので、土曜日の朝ヤツガシラが出たという情報を伝えたところみなさん朝食前に廻ったそうですが、いなかったようです。8時に出発して森に向かいます。昨日のポイントへ各自で向かってもらいます。ルリカケスの巣材運びもおおむね昨日終わってしまったようで、あまり出入りがない。歩きながらみなさんのところを廻るとそれなりに撮れているようでほっとする。

ルリカケス
ルリカケス

「コツコツ」という音がするのでふと上を見上げるとアマミコゲラが巣作りをしていたので、数人で撮影をしていると向かいで女性が何かを狙っている?双眼鏡で覗くと・・・オーストンオオアカゲラ!その場にいたメンバーで現地に急ぎ無事ゲット!しかしまったく採餌をやめないので残りのメンバーを探して声をかけ現地に行くと間に合った!これで奄美の3点セット、オーストンオオアカゲラ、ルリカケス、アカヒゲを無事撮ることができました~、肩の荷が下りる~(笑)

オーストンオオアカゲラ メス
オーストンオオアカゲラ メス

その後もアマミシジュウカラ、アマミヤマガラ、リュウキュウメジロ、リュウキュウハシブトガラスを次々と撮影することができました。

アマミシジュウカラ
アマミシジュウカラ
リュウキュウメジロ
リュウキュウメジロ

ついでに?ここの絶景をスマホで撮ってもらいました!晴れなので木漏れ日が激しく鳥たちを探すのに苦労しますが結果オーライ!でホテルに戻りナイトツアーまで休憩です。

21時30分に集合して出発します。トイレを済ませジープに乗って出発です。この組は初めてなのでまずはイルカンダの花にライトを当てて露出やカメラ設定をしてもらい、生き物が出た場合はISO感度での明るさ調整をしてもらいます。出発してしばらく行くとアマミノクロウサギが出るのですが、すぐに森に消えたり道路を通過してしまい、今日はゆっくりしてくれず、ストレスが溜まります。ここ数日雨がまともに降らないので乾燥している事と北向きの風が寒いこともあり両性爬虫類が出ないのでガイドさんが頑張って何とかヒメハブを探してくれます。

ヒメハブ
ヒメハブ

また法面の水抜き穴にいるアマミイシカワガエルを見つけてくれどちらも撮影ができました。

アマミイシカワガエル
アマミイシカワガエル

が・・・肝心のアマミノクロウサギは動きが速くいつものようにのんびりしてくれないし、アマミヤマシギはいきなりジープの横から飛び立つのでこれまた撮影に苦労します。リュウキュウコノハズクも手前の枝が邪魔で何とか抜けるところは無いかと探している間に飛ばれてしまう。残念!

その時、峠から降りる道でケナガネズミが!それも2頭もいて1頭はとても愛想がよくこちらを向いてじっとしてくれたのでみなさんしっかりと撮影ができました。

ケナガネズミ
ケナガネズミ

その後もなぜかアマミノクロウサギは出るものの撮影はできない状況が続きますが、またしてもケナガネズミが出て大興奮です。私も一晩に3頭は初体験でした。

ケナガネズミ
ケナガネズミ

集落ではリュウキュウアオバズクを見つけるも飛ばれてしまいました。前半は良くなかったのですが、後半それなりに生きものが出てくれたおかげでホテルに着いたのは2時20分!まさかの時間でした。

この記事を書いた人

戸塚 学 とつか がく
高校3年生の時写真に興味を持ち、幼少の頃から好きだった自然風景や野生の生き物を被写体として撮影をする。20歳の時、アカゲラを偶然撮影できたことから、野鳥の撮影にのめり込み、「きれい、かわいい」だけでなく、“生きものの体温、ニオイ”を感じられる写真を撮ることが究極の目標。野鳥を中心としたネイチャー系フォトグラファーを目指す。作品は雑誌、機関紙、書籍、カレンダー、コマーシャルなどにに多数発表。
●日本野鳥の会会員 ●西三河野鳥の会会員 ●SSP 日本自然科学写真協会会員

奄美大島・固有種を狙う撮影三昧の4日間 1本目【前編】

Report by 戸塚学 / 2025年4月2日~5日

下見の2日間は雨で森が暗く、霧も入り鳥たちを探すのも苦労したが偶然オオトラツグミに出会えてこれは幸先がいいぞ!と思いましたが・・・今回は夜を2回にしたことで大幅に時間設定を変えましたがまだ手直しが必要だなと感じました。

オオトラツグミ
オオトラツグミ

1日目 曇り

天気予報では雨のはずが・・・晴れた!晴れたというより雲間から時々日が差すといった感じか?みなさん時間通りに集合されていたのでそのまま専用車で移動します。現地に到着してからは各鳥たちが撮りやすいポイントを説明して行きますが、いきなり駐車場の桜にズアカアオバトが!大慌てで撮ってもらいますが、のんびりしていて全員がっつりと撮影ができました。昨年はサクランボが全くなかったのですが、今年はまだたわわになっているのでカラスバトやズアカアオバトがいる事を後付けで説明しました。各ポイントの説明後はみなさん狙いたい場所で粘ってもらい、私は歩きながら各ポイントを廻りみなさんの質問や撮影のアドバイスをしました。この日はアカヒゲ、ルリカケス、一部の方がオーストンオオアカゲラをしっかりと撮ることができたようです。17時に終了してホテルへ向かいました。この日は翌日から始まるハードスケジュールのためしっかりと骨休めをしてもらいました。

アカヒゲ
アカヒゲ

2日目 曇り時々晴れ

8時に出発して森に向かいます。絶景ポイントでサシバが飛ばないかを見ていると・・・北西の風なのに20羽ほどが飛んで行く!しかしコースが悪い。

サシバ
サシバ

ここの枯れ木にルリカケスがとまらないかなぁと待つと後ろから「コツコツ」と気をつつく音が聞こえてきたので振り返ると参加者の一人が何かを狙っているので奴がいるなと近づくとオーストンオオアカゲラのオスがいました。そしてがっつり撮れました!残念なのは他の参加者がいない事。

オーストンオオアカゲラ オス
オーストンオオアカゲラ オス

さて他の場所へ行くと別の参加者が何かを狙っている。行ってみると今度はオーストンオオアカゲラのメス!こ奴、よほどお腹が空いているのか?まったく飛んで行かないのでみんなを呼び集め無事全員撮影ができました。ちなみに超近くでゆっくり撮影できるとはまさにアンビリーバボー!でした。

オーストンオオアカゲラメス
オーストンオオアカゲラメス

オオトラツグミは粘りましたが残念ながら出なかったので、後半はまた各自で森を廻って撮影をしてもらいました。14時に終了予定だったので集まって駐車場に向かう途中、桜並木にズアカアオバトが!これものんびりとサクランボを食べているのでしっかりと撮影できました。さて夜があるので一旦ホテルでなが~い休憩(笑)ナイトツアーが21時40分にお迎えが来るのでそれまでゆっくりと休んでもらうのです。

21時30分にホテルのロビーに行くとナイトツアーが迎えに来てくれていて社長の一言「超、寒いっす!なので電熱ベストと手袋を持ってきました!」という事でみなさん電熱ベストと手袋をしてジープに乗って出発!風を切って走るジープが寒い寒い。私的には過去最低の寒さ。悩ましいのは乾燥して寒い夜は生き物が出にくい事です。まずは時間までトイレ休憩とジープの幌を外して撮影ができる状態にします。じゃんけんで席を決めます。そしてライトを照らしてもらいカメラの設定を完了してもらいます。時間になったのでゆっくりとジープを転がしながら生き物を探しに行きますが、道は乾燥しているので両性爬虫類は出ない予感がする。国立公園内に入るとさっそくアマミノクロウサギ(以下クロウサギ)が出るたびに撮影のために停まるのでなかなか進まない。

アマミノクロウサギ
アマミノクロウサギ

狙いのアマミヤマシギとリュウキュウコノハズクがなかなかに手強いが、クロウサギは出まくり!

アマミノクロウサギ
アマミノクロウサギ

ようやくアマミヤマシギが出たのでゆっくりと近づきしっかり撮影できました。

アマミヤマシギ
アマミヤマシギ

そうなると次々に出会えて撮影ができます。しかしリュウキュウコノハズクは厳しい。リュウキュウコノハズクを探しているとガイドさんが「ケナガネズミがいました!」とライトを当ててくれるが、手前の枝が邪魔で結局撮影はしっかりできなかった、残念!最後の方でようやくコノハズクが見つかったが手前に枝がかかっていて一部の方は撮れたが、全員が撮ることはできなかった。集落周辺にはリュウキュウアオバズクとアマミヤマシギがいるので探すもリュウキュウアオバズクは何とか見られたものの撮影はできなかった。結局この日はアマミノクロウサギ30頭以上に出会えたはず!まさにクロウサギ祭りでした。ホテルに戻ると1時50分!あっという間にこんな時間になってしまった!

この記事を書いた人

戸塚 学 とつか がく
高校3年生の時写真に興味を持ち、幼少の頃から好きだった自然風景や野生の生き物を被写体として撮影をする。20歳の時、アカゲラを偶然撮影できたことから、野鳥の撮影にのめり込み、「きれい、かわいい」だけでなく、“生きものの体温、ニオイ”を感じられる写真を撮ることが究極の目標。野鳥を中心としたネイチャー系フォトグラファーを目指す。作品は雑誌、機関紙、書籍、カレンダー、コマーシャルなどにに多数発表。
●日本野鳥の会会員 ●西三河野鳥の会会員 ●SSP 日本自然科学写真協会会員

やんばるの森に生きる固有種を撮る

Report by 戸塚学 / 2024年9月8日~11日

下見中に熱帯低気圧が発生してツアー期間中すべて雨予報でしたが、不思議と撮影時間には雨が止みヤンバルクイナに関しては昼夜を問わずしっかりと撮影ができてみなさまとても満足をされていました。残念なのは天気のせいか、アカヒゲの出現が極めて少なく結局撮影ができませんでした。ノグチゲラも同様でしたが、最終日の朝ヤンバルクイナを待っているポイントで偶然撮影ができたのはラッキーでした。時間調整用のシギ・チドリのポイントは水が無くなり壊滅状態、干潟は悪天候で行く事ができなかったのは残念でしたが全体的にはメインのヤンバルクイナがしっかりと撮れたことで昨年よりは1日増やしたことで大成功だと言っていいでしょう。

<1日目>

13時に無事みなさん集合されたので、専用車で宿へ向かいました。本来なら喜如嘉へシギ・チドリを狙いに行くのですが今年の喜如嘉は耕作放棄地が目立ち、鳥たちがさっぱりなのでパスしました。宿へ荷物を降ろしてすぐにヤンバルクイナのポイントへ向かいます。30分ほど待っていると出てくれました。時間的に違う場所へすぐ移動して待つ事10分、予想通り川をゆっくり渡る姿を撮影することができました。

川を渡るヤンバルクイナ
川を渡るヤンバルクイナ

宿へ戻りすぐに食事を食べていただき、20時からは夜の撮影レクチャーです。昨年はここでヤンバルクイナとリュウキュウコノハズクが撮れたので期待をしましたが、残念ながら撮影はできませんでしたが撮影の方法は習得していただけたようです。

<2日目>

5時30分に出発してポイント近くで車のスライドドアを開けて、目隠し用のシートを張り一時的に「動くブラインド」にしてポイントで待ちます。待つ事10分、まだ暗い中さっそく1羽が出現します。しかしすぐにいなくなってしまいました。ポイントでアカヒゲが出てくれることを期待しましたが、声のみ。その後待ちくたびれていると、ヤンバルクイナは音もなく現れ撮影ができました。

ヤンバルクイナ
音もなく現れたヤンバルクイナ

雨風が激しいので一旦宿に戻り建物の庇からヤンバルクイナを待ちますが出ないまま11時になったので町に昼食と明日の朝食の買い出しを出かけました。その時参加者から「天気が悪いのでヤンバルクイナ生態展示館クイナの森」へ行きたいとリクエストが出たので食後はそちらでヤンバルクイナの「クー太」君を見に行きましたが、眠っていてこちらに出てくれません。ようやく出てくれても今度はアクリル板の前でまた寝てしまう(笑)手強い!ほかにも資料展示があるのを見て宿に向かい、休憩に入りましたが風雨がまったく収まる気配がないので夕方と夜を中止にいたしました。

 

<3日目>

5時30分に出発。昨日より早い準備を完了。風が強いのでシートは張らずにそのまま静かに待ちます。シートが無いのでちょっと警戒をしないかと不安を感じましたが、3回ポイントでのんびりする姿を撮影することができました。ダメ元で時間まで川沿いのポイントへ移動しますがヤンバルクイナは出ませんでしたが、みなさんトビハゼやコメツキガニやシオマネキを撮って楽しんでおられました。

雨の止み間を活かして宿に併設されている観察路で生き物を探します。昨年はアカヒゲもノグチゲラもよく出てくれたのですが、この日は風が強いせいか出が悪いです。鳥はさっぱりでしたが、オキナワキノボリトカゲ・シリケンイモリ・ヤンバルヤマナメクジ・リュウキュウアオヘビを観察撮影ができました。11時に食事に向かう途中いつもリュウキュウツバメとツバメがとまっている電線にとまっていれば撮影をする予定でしたが、1羽もいません。風が強すぎたせいでしょう。

リュウキュウアオヘビ
リュウキュウアオヘビ
オキナワキノボリトカゲ
オキナワキノボリトカゲ

食事後は近くの田んぼでセイタカシギとタカブシギを撮った後、夜もあるのでお昼寝タイムです。15時45分にヤンバルクイナを探しに行きますが、今日はいつもと違いなかなかポイントへ出てくれません。それでも17時30分近くに2回出てくれ、道路を渡る姿も確認できました。最後は川へ移動します。すぐに出たので期待をするとすぐに草むらに隠れてしまいました。15分過ぎた時でしょうか1名の方が高速連写で何かを撮っています?他の方もカメラを構えています。私の位置からは何も見えないので車の影に隠れてドライバーさんに「出てる?」と聞くと出てないよの答え。よく見るとレンズはかなりの下?後で聞くとカニを撮っていたようです「騙された!爆」

もう一度いつもの場所へ戻るとすぐにヤンバルクイナが出てくれました。みなさんに場所を小声で伝え、狙ってもらいます。ヤンバルクイナは採餌しながら川の中に移動してあちこち歩き廻った後、水浴びをゆっくりとしてくれました!

川を渡るヤンバルクイナ
川を渡るヤンバルクイナ
水浴びをするヤンバルクイナ
水浴びをするヤンバルクイナ

夕食時間もあるのでヤンバルクイナが草むらに入ると同時に宿へ向かいました。夕食後は20時に夜の生き物探しに出発です。走り出してすぐに1羽のヤンバルクイナを見つけたのですが時間が早い事と近すぎたことで逃げられてしまった。その後はさっぱりでちょっと焦りが出ます。それでもオリイオオコウモリのいるポイントへ向かい撮影をしてもらいました。下見ではここにリュウキュウオオコノハズクがいたので期待をしましたが見つかりません、残念!集落内からはリュウキュウアオバズクの鳴き声が聞こえますが集落内なので探しに行くのはやめました。

リュウキュウオオコノハズク
下見では観察できたリュウキュウオオコノハズク

さて再び移動しながら生き物を探すと森の奥からリュウキュウコノハズクの「コホッコホッ」の鳴き声が!鳴きまねをして近くまで来てくれることを期待しましたが来てくれませんでした。さてここからがえらいことになります。もう眠っているヤンバルクイナだらけ!いた!ここにもいた!と6羽までは確認して撮影をしていましたが、その後は角度が悪い、止まり位置が悪いと撮影をせず移動という贅沢すぎる状況です。ペアのとまりも確認できた時だけは撮影に熱が入りました。その後も3羽ほどは見つけたと思いますが全部で10羽以上発見しました。下見の2日は1羽しか見られなかったのに信じられない夜です。

ヤンバルクイナ!いた!
ヤンバルクイナ!いた!
ペアのヤンバルクイナ
ペアのヤンバルクイナ

*ヤンバルクイナの夜間撮影は10分以内で通常5分を目安にストレスを極力かけないようにしています。その後はフクロウ類の発見はないまま終了となり11時過ぎには宿に戻りました。

 

<4日目>

5時30分に出発してルーティーンで鳥たちを待ちます。ヤンバルクイナはなぜか出ません。ポイントの奥からはノグチゲラやアカヒゲの声は聞こえますが姿は見えず。ヤンバルクイナはその後出てくれましたのでほっと一息。1名の方が「カニが撮りたいから行っていいか?」と言われたのでヤンバルクイナも今までしっかり撮れているのでOKを出しました。彼女が出ていて10分もしたでしょうか?参加者の男性が上にカメラを向けています。そのあたりを見ていると黒い鳥が木の幹にとまっています・・・ノグチゲラです!めっちゃ近いのでみなさんに「ノグチゲラだから撮って!」と伝えました。結構長く出ていてくれみなさん撮れたと喜んでいます。最初に狙っていた方が「これノグチゲラだよね?」とモニターに映っている鳥はイソヒヨドリのメス?どうやら2羽出ていて私はイソヒヨドリに気がついていなかったようで、彼は本命ではないものをずって撮ってしまっていたようでした。

ノグチゲラ
ノグチゲラ
イソヒヨドリ
イソヒヨドリ

その後はシギ・チドリを狙う予定が2か所とも激しい雨風で外に出られそうもないのでそのまま空港に向かい終了となりました。

今回は過去最高というか私もびっくりするくらいのヤンバルクイナとの遭遇&撮影ができただけでなく最後はノグチゲラのサービスもありフクロウ類やアカヒゲは残念でしたが120点の内容だったと思います。


撮れた鳥
ヤンバルクイナ・セイタカシギ・タカブシギ・ノグチゲラ・リュウキュウヒヨドリ・リュウキュウメジロ・リュウキュウコゲラ・リュウキュウシジュウカラ・スズメ・イソヒヨドリ・オキナワキノボリトカゲ・シリケンイモリ・リュウキュウアオヘビ・ヤンバルヤマナメクジ
オリイオオコウモリ

見れた鳥・さえずりが聞けた鳥
ミサゴ・カラスバト・ズアカアオバト・リュウキュウコノハズク・リュウキュウアオバズク・リュウキュウアカショウビン・カワセミ・ツバメ・リュウキュウツバメ・リュウキュウサンショウクイ・ホントウアカヒゲ・ウグイス・リュウキュウハシブトガラス・クマネズミ・リュウキュウヤマガメ

この記事を書いた人

戸塚 学 とつか がく
高校3年生の時写真に興味を持ち、幼少の頃から好きだった自然風景や野生の生き物を被写体として撮影をする。20歳の時、アカゲラを偶然撮影できたことから、野鳥の撮影にのめり込み、「きれい、かわいい」だけでなく、“生きものの体温、ニオイ”を感じられる写真を撮ることが究極の目標。野鳥を中心としたネイチャー系フォトグラファーを目指す。作品は雑誌、機関紙、書籍、カレンダー、コマーシャルなどにに多数発表。
●日本野鳥の会会員 ●西三河野鳥の会会員 ●SSP 日本自然科学写真協会会員

秋の奄美大島 アカハラダカの渡りと奄美固有種

Report by 簗川堅治 / 2024年9月21日~24日

アカハラダカの渡り敵期に時期を設定し、奄美大島の固有種も楽しむツアーです。昨年、一昨日年も同じ時期に設定し、タイミングよくアカハラダカの群れを楽しむことができました。さて、今年は……?

 

1日目

直前の天気予報では、どうもずっと雨マークで並んでいたので不安な中スタートしました。まずは現地ガイドさんと合流し、ちょうど見易いオオトラツグミがいるとのこでその場所へ向かいました。雨の心配はなさそうです。到着早々、難なくオオトラツグミに出会えました!改訂されたばかりの日本鳥類目録第8版ではトラツグミの亜種から別種ミナミトラツグミの亜種に変更されたので、すでに見てる方もライファーの方も1種増えたことになります。

オオトラツグミ
オオトラツグミ

その後は小鳥類はイマイチだったので、ナイトウォッチングに備えて、早めにホテルへ入りました。夕食後、ナイトウォッチング・スタートです。早速、電線で眠るルリカケスを筆頭に、アマミノクロウサギ7頭、アマミヤマシギ1羽、ズアカアオバト2羽、リュウキュウコノハズク8羽などを次々と見て、この日を終えました。

ルリカケス
ルリカケス

アマミヤマシギ
アマミヤマシギ

 

2日目

天気も風向きもイマイチなようですが、まずはアカハラダカ狙いでポイントへ。ルリカケスが何羽も飛び交う中、アカハラダカが舞うのを待ちました。すると、はるか遠くにアカハラダカ1羽!その後も遠くに3羽飛ぶものの遠すぎます。結局、大きな群れもなければ、近くを飛ぶこともなく、残念な結果となりました。

続いて訪れた森も期待外れ。昼食をとろうとした店もいっぱいで入れず。なかなかうまくいきません。ちょうど干潮時だったので海岸へ行き、キョウジョシギ、チュウシャクシギ、メダイチドリ、そして白いクロサギなどを楽しみ、やっと鳥を見た感じになりました。

クロサギ白色型
クロサギ白色型

その後はまたオオトラツグミを見て、アカヒゲも何とか少し見ることができました。

夜はまたナイトウォッチングです。昨晩同様にたくさんの鳥に出会えた他、雨も少し降ったためアマミイシカワガエルやアマミハナサキガエルなどの奄美固有種にも出会えました。

アマミイシカワガエル
アマミイシカワガエル

アマミノクロウサギ
アマミノクロウサギ

 

3日目

今日も天気予報はイマイチ。アカハラダカはお預けです。まずは奄美唯一の田んぼで探鳥です。セイタカシギ、タカブシギ、クサシギ、リュウキュウツバメなどを楽しみ、森へと場所を変えました。

リュウキュウツバメ
リュウキュウツバメ

この日の森ではアカヒゲとズアカアオバトを比較的よく見れ、オオトラツグミもばっちりです。しかし、オーストンオオアカゲラは、ガイド簗川が見たに過ぎませんでした。

アカヒゲ
アカヒゲ

オーストンオオアカゲラ
オーストンオオアカゲラ

昼食後は畑です。ムナグロの群れを見ていたらツバメチドリが2羽混じっていて、さらに見ていくと、なんとコシャクシギが1羽混じっているではないですか!一気に盛り上がりました!気分良くホテルへ戻ることができました。

コシャクシギ
コシャクシギ

4日目

最終日です……が、残念ながら今日も天気が悪くアカハラダカはお預けです。森へ行き、まだ見ぬオーストンオオアカゲラを探すも、結局は声のみ。オオトラツグミは この日も見れ、しっかりときれいな歌声も披露してくれました。最後はコシャクシギ狙いで畑へ行くもムナグロ少しとツバメチドリがいただけでした。

ツバメチドリ
ツバメチドリ

残念ながら天気に恵まれず、アカハラダカの群れの渡りはお預けとなりましたが、それでも奄美固有の鳥や動植物園に出会えた4日間でした。参加者のみなさん、大変お疲れ様でした。ありがとうございました。

この記事を書いた人

簗川 堅治 やながわ けんじ
1967年生まれ。山形県在住。日本野鳥の会山形県前支部長。「何しったのやぁ?こだい寒いどごで(何してるんですか?こんなに寒い所で)」「鳥ば見っだのよぉ(バードウォッチングです)」「こだい寒いどぎ、ほだなどさ、鳥あて、いだんだがしたぁ?(こんなに寒い時にそんな所に鳥がいるんですか?)」私の地元では、こんな会話が日常茶飯事です。鳥はいつでもどこでも楽しめます!見て、聞いて、撮って楽しんでもらうのはもちろん、ほっこりとした温かい時間を過ごしてもらえるように山形弁でがんばります。おらいの(私の)島、飛島さもきてけらっしゃい(飛島にもきてください)!

クマゲラの棲む利尻の森と礼文島・サロベツ湿原

Report by 今堀魁人 / 2024年5月18日~22日

1日目

初日13時に稚内空港を出発しツアースタートです!
最初は空港すぐそばのメグマ沼へ。風が強く、なかなか鳥が出てきてくれない中、到着直後にはオジロワシが目の前を飛んでくれました。風に逆らい、ゆっくりと止まっているかのように飛んでくれたのでじっくり見ることができました。ノビタキも一瞬出てきてくれました。

オジロワシ
オジロワシ

ノビタキ
ノビタキ

その後はサロベツ湿原に移動です。木道を歩いてもなかなか鳥が見られませんでしたが、道中ちらっとだけツメナガセキレイの姿が!この道北を代表する夏鳥の一種です。次の兜沼へ行く道すがらアカエリカイツブリの繁殖地へ。遠かったですが、近年激減しているこの鳥を見ることができ一安心しました。

アカエリカイツブリ
アカエリカイツブリ

兜沼では最初から最後までツツドリが遊んでくれました。なかなか見えないところに止まるので右に行ったり左に行ったりと隙間を探しての観察でした。

ツツドリ
ツツドリ

 

2日目

翌日は航路探鳥からスタートです。航路ではウトウがパラパラとあまり多くの鳥は飛びませんでしたが、序盤にはトドが泳いでいたり、後半には上空をチュウシャクシギの群れが渡っていきました!シギチドリが海を超えロシアへ渡る姿を見られるのは稚内航路ならではですので、ここから数千キロ離れた繁殖地へ向かう貴重な姿だったかと思います。

チュウシャクシギの群れ
チュウシャクシギの群れ

到着後はお昼を食べ、ガイドの渡辺さんと共にメインのクマゲラを見にいきます。ポイントに到着し、じっと待っていると、巣穴からメスの顔が!そろそろ来るかな?と期待して待ちますが、そこから1時間半が経過。まだか?と足のしびれの限界を感じながら待っていると遠くからクマゲラの声が! 近くまで帰ってきてくれましたが、警戒したのか巣のある木にはオスは止まらず、痺れを切らして先にメスが飛んで行ってしまいました。

巣穴から顔を出したクマゲラのメス
巣穴から顔を出したクマゲラのメス

帰りはコマドリ探し。藪の中にちらっと見えましたね。

コマドリ
コマドリ

3日目

早朝の公園観察からスタートです。鳥を探しましたが寒さのせいか動きがあまりなく、なかなか多くの鳥は見られませんでした。午前中には再度別の巣でクマゲラを観察です。到着早々クマゲラの声が聞こえ、見ていると20分で抱卵交代に来てくれました。しかし抱卵中のオスが出ず、入っているにも関わらず巣に潜るというハプニングもありました。

クマゲラ
クマゲラ

その後は雨模様の中利尻島を一周。近距離でアカエリヒレアシシギやイスカに出会うことができました。特にイスカは本当に逃げず、貴重な瞬間でした。

アカエリヒレアシシギ
アカエリヒレアシシギ

イスカ
イスカ

夕方には再度コマドリの撮影チャレンジ。あそこ!ここ!一瞬でなかなか難しいですね。

コマドリ
コマドリ

4日目

再度利尻の森のバードウォッチングからスタートです。まずはコマドリ再チャレンジ!2時間ほど待っていると、ここに出るよーと伝えていたソングスポットに出てきてくれ、ほっと一安心しました。

コマドリ
コマドリ

午前はクマゲラ再チャレンジ。今回はやっと放卵交代の2ショットを見ることができました。そして森を回るとガイドの渡辺さんと友達のクマゲラが登場!近距離でその姿を見せてくれました。

クマゲラのツーショット
クマゲラのツーショット

午後にはフェリーで利尻島から礼文島へ。礼文島ではさまざまな小鳥を狙いますが、草刈り中だったりと中々姿が見えません。久種湖ではアカモズを撮影できました。そして森の中のポイントへ行くとなんとコウライウグイスが!全員にしっかり見せることができず悔しいですが、こんな鳥が見られるのが離島の魅力です。明日は最終日です!

コウライウグイス
コウライウグイス

5日目

ついに最終日です。早朝は希望者のみでコウライウグイスを再チャレンジ!見つけたい!と頑張りましたが、強風のせいもあり見つけることは叶わず。なかなか難しいですね。
帰りの船はこの強風のせいで道中大きく揺れる可能性が高い上、波が高すぎて鳥が見られないため船内で寝ながらの移動。私は潮風でビシャビシャ、鼻血で鼻を赤くしながら外で観察しましたが、観察できたのは遥か遠くを飛ぶ合計4羽のハシボソミズナギドリと思われるミズナギドリ類、ウトウが3羽、そして爆風にゴミのように飛ばされながら必死に短時間船へ退避したカラフトムシクイのみでした。こんな人も恐れる天気の中たった数グラムの小さな鳥が海を渡っていると考えるとロマンがあります。

強風に煽られるカラフトムシクイ
強風に煽られるカラフトムシクイ

カラフトムシクイ
退避中のカラフトムシクイ

今回は少し渡りの鳥は少なかったかもしれませんが、一発逆転の鳥がいつ現れるか分からないという離島のポテンシャルは少し感じていただけたかなと思います。ぜひまた来年お越しください!

この記事を書いた人

今堀魁人 いまほり かいと
北海道紋別市出身。西遊旅行・バードガイド、ネイチャーガイド。幼い頃から野鳥や自然に魅了され、北海道を中心に野鳥・野生動物の撮影に没頭。まだまだ駆け出しの身ですが、生まれ育った北海道を拠点に、自然の中で暮らす野鳥の魅力をツアーを通して感じていただけるよう精進しております。ぜひ世界遺産「知床・羅臼」にも遊びに来てください!

沖縄本島と奄美大島で2つのアカヒゲを見る旅【奄美編】

Report by 簗川堅治 / 2024年4月3日~7日

<4日目>
空模様が気になる中、アカヒゲやルリカケス、オーストンオオアカゲラなどを求めて出発しました。現地は時折、小雨が降るあいにくの天候です。まずはオーストンオオアカゲラです。巣作り中のようで、待っていれば見られそうだったので、粘って待った方は撮影ができました。

オーストンオオアカゲラ(撮影:K.I様)
オーストンオオアカゲラ(撮影:K.I様)

続いてアカヒゲです。複数が間近でさえずってはいるものの、高い所ばかり。苦戦を強いられます。さらにこれまた巣作り中のルリカケスを見て、その後は自由時間とし、各自お目当ての鳥で楽しんでもらいました。

 

昼食後は、またアカヒゲ、オーストンオオアカゲラ、ルリカケスを始め、固有亜種アマミシジュウカラやアマミヤマガラなどにも挑戦しまし、みなさん、それなりの成果があったようです。

 

アカヒゲ(撮影:高橋浩様)
アカヒゲ(撮影:高橋浩様)

ルリカケス(撮影:K.I様)
ルリカケス(撮影:K.I様)

最後はズアカアオバトの出るポイントへ。シマグワを食べに来る複数のズアカアオバトを難なく見ることができました。

 

<5日目>
最終日です。また森へ行き、残された時間を各々過ごしました。

アマミコゲラ(撮影:高橋浩様)
アマミコゲラ(撮影:高橋浩様)

ズアカアオバト(撮影:高橋浩様)
ズアカアオバト(撮影:高橋浩様)

今回のツアー、飛行機の遅延はありましたが、沖縄本島では亜種ホントウアカヒゲを、奄美大島では亜種アカヒゲを見ることができました。参加者のみなさん、5日間にわたり、朝早くから夜遅くまで大変お疲れ様でした。

この記事を書いた人

簗川 堅治 やながわ けんじ
1967年生まれ。山形県在住。日本野鳥の会山形県前支部長。「何しったのやぁ?こだい寒いどごで(何してるんですか?こんなに寒い所で)」「鳥ば見っだのよぉ(バードウォッチングです)」「こだい寒いどぎ、ほだなどさ、鳥あて、いだんだがしたぁ?(こんなに寒い時にそんな所に鳥がいるんですか?)」私の地元では、こんな会話が日常茶飯事です。鳥はいつでもどこでも楽しめます!見て、聞いて、撮って楽しんでもらうのはもちろん、ほっこりとした温かい時間を過ごしてもらえるように山形弁でがんばります。おらいの(私の)島、飛島さもきてけらっしゃい(飛島にもきてください)!

沖縄本島と奄美大島で2つのアカヒゲを見る旅【沖縄編】

Report by 簗川堅治 / 2024年4月3日~7日

昨年も行ったツアー第2弾です。アカヒゲは奄美大島などに生息する亜種アカヒゲと沖縄本島などに生息する亜種ホントウアカヒゲの2つの亜種があります。現在は亜種ですが、近いうちに別種になる見込みとのことで企画したツアーです。

 

<1日目>
沖縄本島からスタート。まずは順調な滑り出しです……と言いたいところでしたが、この日に起きた台湾の地震で沖縄地方に津波警報などが出て、沖縄発着の飛行機が大幅に乱れました!ツアー参加のみなさんも遅れに遅れながらも、那覇に着きました。しかし、無事集合し空港を出発したのは20時過ぎ。この日はホテル入りで終わりました。

 

<2日目>
早朝からアカヒゲ狙いです。ノグチゲラの巣作り、越冬した?ササゴイなどを見ながら、無事アカヒゲの♂♀を見ることができました。

ノグチゲラ(撮影:K.I様)
ノグチゲラ(撮影:K.I様)

ホントウアカヒゲ(撮影:高橋浩様)
ホントウアカヒゲ(撮影:高橋浩様)

午後は金武町です。シギチは少なく、お目当てのリュウキュウヨシゴイも出なかったものの、アマサギ、シロハラクイナ、ツバメチドリ、そしてシマキンパラなど沖縄らしい鳥たちを見ることができました。

アマサギ(撮影:K.I様)
アマサギ(撮影:K.I様)

シマキンパラ(撮影:K.I様)
シマキンパラ(撮影:K.I様)

この日の夜は、宿のナイトハイクで樹上で寝る2羽のヤンバルクイナを見られた方々もいました。

ヤンバルクイナ(撮影:高橋浩様)
ヤンバルクイナ(撮影:高橋浩様)

<3日目>
沖縄本島最終日です。でも、時間があまりありませんので、夜明け前から行動し、アカヒゲとヤンバルクイナ探しに。実績のあるポイントで待つも現れず。ただし、道路に出てくるヤンバルクイナは見ることができました。

朝食後は奄美大島に向かうために那覇空港へ車を走らせます。やんばるは、やや肌寒かったものの、那覇は暑い!三角池にちょっと寄り道し、アオアシシギ、コアオアシシギ、リュウキュウツバメなどを見て、空港で昼食を済ませ、奄美大島へ。しかし、ここでも飛行機問題!使用飛行機の到着が遅れ、結局、奄美大島に着いた頃には探鳥時間がなくなり、すぐに宿入りでした。ついていません。

夕食後はナイトウォッチングです。地元ガイドさんの同行の元、林道を走らせます。霧が立ち込め、なかなか苦戦しながらも結果的にはたくさんのアマミヤマシギ、アマミノクロウサギに出会えました。また、イシカワガエルやヒメハブ、アマミトゲネズミなど、たくさんの奄美の生き物にも出会え、とてもいい夜になりました。

この記事を書いた人

簗川 堅治 やながわ けんじ
1967年生まれ。山形県在住。日本野鳥の会山形県前支部長。「何しったのやぁ?こだい寒いどごで(何してるんですか?こんなに寒い所で)」「鳥ば見っだのよぉ(バードウォッチングです)」「こだい寒いどぎ、ほだなどさ、鳥あて、いだんだがしたぁ?(こんなに寒い時にそんな所に鳥がいるんですか?)」私の地元では、こんな会話が日常茶飯事です。鳥はいつでもどこでも楽しめます!見て、聞いて、撮って楽しんでもらうのはもちろん、ほっこりとした温かい時間を過ごしてもらえるように山形弁でがんばります。おらいの(私の)島、飛島さもきてけらっしゃい(飛島にもきてください)!