奄美大島・固有種を狙う撮影三昧の4日間 2本目【前編】

Report by 戸塚学 / 2025年4月6日~9日

奄美大島ツアー2本目ですが、初日が小雨以外毎日晴れ!おまけに夜は1本目がケナガネズミが3頭も出たり、2本目がのんびりしたアマミノクロウサギが出まくりのアマミヤマシギ祭りでみなさん大喜び。日中も無理だなと思っていたオオトラツグミが突然近くで出まくりでもう・・・アンビリーバボーな2時間でした。とにかく日中も夜も大当たりでした。

1日目 曇り時々雨

飛行機の到着がみなさん集合時間よりも早かったこともあり、早めに出発をすることができました。天気は雨が降りそうな感じですが、天気予報では最終日が雨なので先に海岸に向かうと良かった!シギ・チドリがいます。結構近いのでみなさんに鳥たちの説明をしながら撮ってもらいます。

ウズラシギ
ウズラシギ
タカブシギ
タカブシギ
オジロトウネン
オジロトウネン

やはりセイタカシギが目立つし大きいので人気でした。

セイタカシギ
セイタカシギ

クロサギの白と黒を見比べることもできました。

クロサギ
クロサギ

さて森に向かいます。まずは各ポイントを説明しながら廻ります。一通り廻り終えた後、各自で自分が狙いたい鳥たちのポイントに散ってもらいます。小雨が降り出しますが、サクランボを食べるズアカアオバトを全員で撮影ができました。その後もアカヒゲ、ルリカケスも無事撮れたようです。終了時間には雨も上がりホテルに向かい終了となりました。

アカヒゲ
アカヒゲ
ルリカケス
ルリカケス

 

2日目 快晴

ホテルから出たところに緑地帯があるので、土曜日の朝ヤツガシラが出たという情報を伝えたところみなさん朝食前に廻ったそうですが、いなかったようです。8時に出発して森に向かいます。昨日のポイントへ各自で向かってもらいます。ルリカケスの巣材運びもおおむね昨日終わってしまったようで、あまり出入りがない。歩きながらみなさんのところを廻るとそれなりに撮れているようでほっとする。

ルリカケス
ルリカケス

「コツコツ」という音がするのでふと上を見上げるとアマミコゲラが巣作りをしていたので、数人で撮影をしていると向かいで女性が何かを狙っている?双眼鏡で覗くと・・・オーストンオオアカゲラ!その場にいたメンバーで現地に急ぎ無事ゲット!しかしまったく採餌をやめないので残りのメンバーを探して声をかけ現地に行くと間に合った!これで奄美の3点セット、オーストンオオアカゲラ、ルリカケス、アカヒゲを無事撮ることができました~、肩の荷が下りる~(笑)

オーストンオオアカゲラ メス
オーストンオオアカゲラ メス

その後もアマミシジュウカラ、アマミヤマガラ、リュウキュウメジロ、リュウキュウハシブトガラスを次々と撮影することができました。

アマミシジュウカラ
アマミシジュウカラ
リュウキュウメジロ
リュウキュウメジロ

ついでに?ここの絶景をスマホで撮ってもらいました!晴れなので木漏れ日が激しく鳥たちを探すのに苦労しますが結果オーライ!でホテルに戻りナイトツアーまで休憩です。

21時30分に集合して出発します。トイレを済ませジープに乗って出発です。この組は初めてなのでまずはイルカンダの花にライトを当てて露出やカメラ設定をしてもらい、生き物が出た場合はISO感度での明るさ調整をしてもらいます。出発してしばらく行くとアマミノクロウサギが出るのですが、すぐに森に消えたり道路を通過してしまい、今日はゆっくりしてくれず、ストレスが溜まります。ここ数日雨がまともに降らないので乾燥している事と北向きの風が寒いこともあり両性爬虫類が出ないのでガイドさんが頑張って何とかヒメハブを探してくれます。

ヒメハブ
ヒメハブ

また法面の水抜き穴にいるアマミイシカワガエルを見つけてくれどちらも撮影ができました。

アマミイシカワガエル
アマミイシカワガエル

が・・・肝心のアマミノクロウサギは動きが速くいつものようにのんびりしてくれないし、アマミヤマシギはいきなりジープの横から飛び立つのでこれまた撮影に苦労します。リュウキュウコノハズクも手前の枝が邪魔で何とか抜けるところは無いかと探している間に飛ばれてしまう。残念!

その時、峠から降りる道でケナガネズミが!それも2頭もいて1頭はとても愛想がよくこちらを向いてじっとしてくれたのでみなさんしっかりと撮影ができました。

ケナガネズミ
ケナガネズミ

その後もなぜかアマミノクロウサギは出るものの撮影はできない状況が続きますが、またしてもケナガネズミが出て大興奮です。私も一晩に3頭は初体験でした。

ケナガネズミ
ケナガネズミ

集落ではリュウキュウアオバズクを見つけるも飛ばれてしまいました。前半は良くなかったのですが、後半それなりに生きものが出てくれたおかげでホテルに着いたのは2時20分!まさかの時間でした。

この記事を書いた人

戸塚 学 とつか がく
高校3年生の時写真に興味を持ち、幼少の頃から好きだった自然風景や野生の生き物を被写体として撮影をする。20歳の時、アカゲラを偶然撮影できたことから、野鳥の撮影にのめり込み、「きれい、かわいい」だけでなく、“生きものの体温、ニオイ”を感じられる写真を撮ることが究極の目標。野鳥を中心としたネイチャー系フォトグラファーを目指す。作品は雑誌、機関紙、書籍、カレンダー、コマーシャルなどにに多数発表。
●日本野鳥の会会員 ●西三河野鳥の会会員 ●SSP 日本自然科学写真協会会員

仙台湾でたっぷり海鳥観察 2本目

Report by 田野井博之 / 2025年1月28日~31日

●1日目

この日は西寄りの強風によりチャーター船は欠航となりました。そこで、南三陸町の志津川湾へコクガンを見に行くことにしました。志津川湾はコクガンの餌となる海草のアマモが豊富なため、毎年たくさんのコクガンが越冬しています。

ポイントに到着すると、すぐに40羽ほどのコクガンを見つけました。漁港のスロープでアマモを食べています。同じ場所にはイカルチドリとイソシギの姿もありました。漁港の堤防から海上を見ると、さらに100羽超のコクガンのほか、ハジロカイツブリやワシカモメなども見られました。

アマモを食べるコクガン
 

 

午後は県内北部のシジュウカラガンの群れが見られているエリアへ。なかなか群れが見つからず時間はかかりましたが、オオハクチョウやコハクチョウと共に採餌する160羽ほどの群れを見つけ観察することができました。

最後に仙台市近郊のカモ類が越冬する沼に立ち寄り、オナガガモやホシハジロなどのカモ類を観察しました。今冬はカモ類が少ないためちょっと寂しい様子でした。雨の止み間もなくなってきたため、この日の観察を早めに終えました。

 

 

●2日目

この日は朝のうちだけ強風が収まる予報となったため、船長と相談して早朝から出船することにしました。

夜明けとともに出港し、ウミスズメ類を探します。アカエリカイツブリやクロガモを観察しつつしばらく進んでいくと、風波の合間に見え隠れするマダラウミスズメを1羽見つけました!この個体はすぐに飛び立ってしまいましたが、降り立った先へ行ってみると別の1羽が一緒にいて、2羽の姿をじっくりと見ることができました。

マダラウミスズメはその後も1~2羽で海面に浮く姿があり、計7羽を見ることができました。複数のマダラウミスズメが見られた一方で、21日発のツアーと同様に、ウミスズメは例年よりもかなり少なめでした。

今回のツアーのメインターゲットの1つ、マダラウミスズメ
ビロードキンクロ

 

今回は強風を避けるため岸沿いを航行したため、アビ類はアビ1種のみが見られました。警戒心が強いため浮いている姿を近距離で観察する機会は少ないですが、飛翔するアビは船の近くを通過する様子を何度か見ることができました。

クロガモやビロードキンクロなどの海ガモ類は、21日発ツアーと同様に、例年よりも少ない結果となりました。両種とも警戒心が強いため浮いている姿を近距離で観察する機会は少ないですが、何度か小群に接近して比較的近くから観察することができました。

航海中は幸いにも風はそれほど強くならず、気づけば約7時間を船上で過ごしていました。14時前に帰港し、この日の観察を終えました。

 

 

●3日目

この日は再び西寄りの風が強まり、暴風警報が発令されました。残念ながらチャーター船は欠航のため、県北のガン類を見に行くことにしました。

まずはカリガネを探すことに。毎年越冬しているエリアを訪れ、採餌する30羽ほどの群れを観察することができました。このカリガネはマガンと一緒にいたため、体の大きさや嘴の形など、特徴を比較しながら見ることができました。

採餌するカリガネ
 

続いてはハクガンを探すことに。かなり遠方へ採餌に行く日もあり、また、最近は日中に見つけることが難しいと聞いていたものの、あっさりと70羽ほどの群れが見つかりました。そして、この群れにはアオハクガン(ハクガンの青色型)も1羽混じっていました!ハクガンの渡来数の増加とともにアオハクガンの記録も増えてきていますが、まだまだ個体数も少なく観察は容易ではないので、とても嬉しい発見でした。

ハクガンの群れ(中央やや右寄りにアオハクガンが混じる)

 

最後は蕪栗沼で1時間ほど探鳥しました。この冬はカモ類が少ないため沼の水鳥はやや寂しい状況でしたが、オオヒシクイやチュウヒ、そして毎年越冬しているヘラサギを見ることができました。特にヘラサギはその独特な採餌方法を見ることができました。

強風に悩まされた今回のツアーでしたが、無事にチャーター船を出して海鳥を観察することができ、また、駆け足ではありましたが宮城県の水鳥を見て頂くことができました。

3日間、大変お疲れさまでした!

この記事を書いた人

田野井博之 たのい ひろゆき
1985年生まれ。小学生の時に野鳥の観察を始める。東北地方を中心に鳥類調査に携わりつつ、関心のある海鳥やシギ・チドリ類、チュウヒなどを見るため全国各地へ。特に海鳥の識別や生態に強い興味を持ち、国内外を問わず観察を続けている。

仙台湾でたっぷり海鳥観察 1本目

Report by 田野井博之 / 2025年1月21日~23日

冬の仙台としてはとても珍しく、ツアー期間中は温かく海況も穏やかで、予定していた3日間全てで出船することができました。海況は日々異なるため、航行コースは状況に併せて選定し、海鳥を探しました。3日間の主な結果は以下のとおりです。

 

<ウミスズメ類>

本ツアーの中でも一番の目的となるマダラウミスズメは、1日目に計25羽、2日目に計16羽、3日目に計7羽を見ることができました!主に1~2羽で見られ、6羽の小群も確認しました。
本種の国内における渡来数は大きく減少しているものの、仙台湾では現在も継続して越冬しています。その個体数も、この10年ほどに限った中では減少している傾向はありません。仙台湾は間違いなく重要な越冬地の1つと言えるでしょう。一方で、ここ数年は黒潮の接近などによる海水温度の上昇とそれに伴う魚種の変化が確認されているため、今後の本種の生息状況の動向が気になるところです。

2羽のマダラウミスズメ
休息するウミスズメの群れ
ウトウ

ウミスズメは数羽~十数羽の小群が見られました。仙台湾では、海水温度の高い冬は個体数が少ない傾向にあり、平年比で4℃ほど海水温度が高い今冬は、例年より少ない結果となりました。

ウトウは1~3羽、時に5~6羽ほどの小群が見られました。ほとんどの個体は顔の白い飾り羽のある生殖羽になっていました。

 

<アビ類>

3日間を通じてアビ、シロエリオオハム、オオハムの3種類が見られました。
アビは主に岸沿いに多く、シロエリオオハムとオオハムは沖合側に多い傾向があります。餌場は日変化が大きく、観察される個体数は日によって大きく異なります。今回のツアーでは、1日目はシロエリオオハムが多く、2日目はオオハム、3日目はアビが多い結果となりました。

アビ

 

<カイツブリ類>
3日間を通じてアカエリカイツブリ、カンムリカイツブリ、ハジロカイツブリの3種類が見られました。また、ミミカイツブリが見られた日もありました。

 

<海ガモ類>
3日間を通じてスズガモ、ビロードキンクロ、クロガモ、ウミアイサが見られました。ウミスズメと同様に、仙台湾では海水温度の高い冬は海ガモ類が少ない傾向にあり、今冬も例年より少ない結果となりました。

飛び立つビロードキンクロ

 

<カモメ類>

ミツユビカモメ、ユリカモメ、ウミネコ、カモメ、オオセグロカモメの計5種類が見られました。ミツユビカモメは沖合を好むカモメ類ですが、海況や餌の状況によって仙台湾の奥部へ入ってくることがあります。今回は沖合がやや時化ていた1日目に、数十羽の群れを見ることができました。

 
ミツユビカモメ・ウミネコ(左から1羽目と2羽目)・カモメ(右から1羽目)
 

<トウゾクカモメ類>

1日目にトウゾクカモメ1羽が見られましたが、残念ながら遠くを飛翔したのみで、じっくりと観察することはできませんでした。

 

 

これほど海況の安定した3日間は私自身も初めての経験でした。
3日間、長時間の乗船・観察、大変お疲れ様でした。

 

この記事を書いた人

田野井博之 たのい ひろゆき
1985年生まれ。小学生の時に野鳥の観察を始める。東北地方を中心に鳥類調査に携わりつつ、関心のある海鳥やシギ・チドリ類、チュウヒなどを見るため全国各地へ。特に海鳥の識別や生態に強い興味を持ち、国内外を問わず観察を続けている。

奄美大島・固有種を狙う撮影三昧の4日間 1本目【後編】

Report by 戸塚学 / 2025年4月2日~5日

3日目 晴れ

昨夜が遅かったので9時出発で森へ向かいます。本日も自分が狙いたい鳥のポイントで各自自由に撮影してもらいます。昨日はあれほどいたズアカアオバトがあまり出てこないのは天気のせいか?絶景ポイントでは朝一のサシバが渡ってしまったのか、全然飛ばないがアマツバメの群れは飛び回っているので期待はできる。みなさんそれなりに撮影ができているようでニコニコ顔です。管理棟で昼食を食べているとサシバが渡るので慌ててスタンバイをする。しかしなぜ、スタンバイをすると飛ばなくなる???その後、森の中を歩きながら参加者にアドバイスや質問に答える。この日は早めに切り上げるため駐車場に向かうとサシバが20羽以上川になって飛んで行く・・・しかし高い!ここで切り上げてホテルに向かい、ナイトツアーまでの間休憩にします。

アカヒゲ メス
アカヒゲ メス

21時30分ナイトツアースタートです。昨日はクロウサギ祭りだったのでみなさん「クロウサギはいいから、リュウキュウコノハズクとケナガネズミをお願いします」とリクエスト。

そのせいか?なんとクロウサギが全然出ない!斜面からは「ぴぃー」とあちこちから声がするので、いるはずなのに道路に出てこない・・・これは「クロウサギはもういい」という声が聞こえたか?と車内で笑っていたのですが本当に出ない。リュウキュウコノハズクもあちこちで鳴いているが姿が見つからないのが悔しい!昨日に比べて生き物との出会いがあまりにも少なく困惑するとなんとかアマミヤマシギが出てくれ、電線にとまろうとしてあたふたする姿を撮影できた。

アマミヤマシギ電線とまり
アマミヤマシギ

ダート道に入ると水溜まりがあり車がとまる。ガイドさんが「ほら、ヒメハブ!」とライトを照らすといました。今回初のヒメハブです!今回の参加者が男性ばかりなのでみんな撮影に夢中。女性がいると嫌がるんですけどね(笑)その「キュー」という鳴き声で頭上の枝を照らすとリュウキュウコノハズクのメスがとまっていたのですが、すぐに飛ばれてしまった!残念。結局ケナガネズミもオオトラツグミも声だけで見られずさみしい状態で終点に近づくと道路わきに親子のクロウサギがいてまったく動かなかったのでがっつりと撮ることができました。結局この日クロウサギは10頭見られていたのですが、撮影ができたのはこの2頭の他1頭で計3頭になりました。最後のチャレンジでリュウキュウアオバズクを狙い何とか撮影ができました。

リュウキュウアオバズク
リュウキュウアオバズク

ペアどまりが撮影できないのがちと悔しかったですね!ホテルに到着したのが1時。やはり生き物との遭遇率が少ないと早く終わってしまう。やはり奄美の醍醐味は夜なので2日間は正解です。

 

4日目曇り時々晴れ

最終日なので今日も自由に撮影してもらう予定でしたが、昨日参加者がルリカケスが巣材を運び込んでいる場所を見つけたというのでそこを観に行く途中に別の巣材運び現場を見つけてしまったのでそこで撮影をすることに。しかし手前の枝が邪魔なのが悔しい。一旦当初の目的の巣へ向かいますがしばらくすると2羽で飛び去ってしまったので、新しく見つけた巣とこの巣と別に狙いたい場所に自由に行ってもらい撮影を楽しんでもらいました。私はブラブラしながら水路でルリカケスか、アカヒゲが水浴びをしないかなと待っていると2羽のルリカケスが池の近くに来て餌を探してゆっくりしてくれたので、参加者たちを呼びに行き何とかみんなで撮影ができました。

ルリカケス
ルリカケス
ルリカケス
ルリカケス

11時45分に出発予定だったので駐車場に向って桜並木を歩くとズアカアオバトがいたので撮影をしてもらい、森を後に今度はシギ・チドリを狙いに海岸へ向かうと結構いろんな種類と数が入っていて撮影を楽しみ、13時に空港で解散となりました。

タカブシギ

タカブシギ

オバシギ
オバシギ
オジロトウネン
オジロトウネン
ムナグロ
ムナグロ
オオメダイチドリ
オオメダイチドリ

オオトラツグミには出会えませんでしたがかなりいい内容だったと思います。みなさまお疲れさまでした!

観察できた生き物・聞かれた鳥
クロサギ・サシバ・コチドリ・メダイチドリ・オオメダイチドリ・ムナグロ・オジロトウネン・コアオアシシギ・アオアシシギ・タカブシギ・イソシギ・ウズラシギ・アマミヤマシギ・セイタカシギ・リュウキュウキジバト・ズアカアオバト・リュウキュウコノハズク・アマミコゲラ・オーストンオオアカゲラ・リュウキュウサンショウクイ・アマミヒヨドリ・アカヒゲ・イソヒヨドリ・シロハラ・ウグイス・アマミヤマガラ・アマミシジュウカラ・リュウキュウメジロ・ルリカケス・ヒドリガモ・オナガガモ・コガモ・アマミノクロウサギ・ケナガネズミ・ヒメハブ・アマミアオガエル

 

見られた&声が聴かれた鳥・生き物
アマツバメ・ダイサギ・チュウサギ・コサギ・アオサギ・カルガモ・オオバン・カラスバト・ヤツガシラ・リュウキュウツバメ・アマツバメ・ノビタキ・オオトラツグミ・セッカ・コムクドリ・ムクドリ・チョウゲンボウ・クマネズミ・アマミイシカワガエル

この記事を書いた人

戸塚 学 とつか がく
高校3年生の時写真に興味を持ち、幼少の頃から好きだった自然風景や野生の生き物を被写体として撮影をする。20歳の時、アカゲラを偶然撮影できたことから、野鳥の撮影にのめり込み、「きれい、かわいい」だけでなく、“生きものの体温、ニオイ”を感じられる写真を撮ることが究極の目標。野鳥を中心としたネイチャー系フォトグラファーを目指す。作品は雑誌、機関紙、書籍、カレンダー、コマーシャルなどにに多数発表。
●日本野鳥の会会員 ●西三河野鳥の会会員 ●SSP 日本自然科学写真協会会員

奄美大島・固有種を狙う撮影三昧の4日間 1本目【前編】

Report by 戸塚学 / 2025年4月2日~5日

下見の2日間は雨で森が暗く、霧も入り鳥たちを探すのも苦労したが偶然オオトラツグミに出会えてこれは幸先がいいぞ!と思いましたが・・・今回は夜を2回にしたことで大幅に時間設定を変えましたがまだ手直しが必要だなと感じました。

オオトラツグミ
オオトラツグミ

1日目 曇り

天気予報では雨のはずが・・・晴れた!晴れたというより雲間から時々日が差すといった感じか?みなさん時間通りに集合されていたのでそのまま専用車で移動します。現地に到着してからは各鳥たちが撮りやすいポイントを説明して行きますが、いきなり駐車場の桜にズアカアオバトが!大慌てで撮ってもらいますが、のんびりしていて全員がっつりと撮影ができました。昨年はサクランボが全くなかったのですが、今年はまだたわわになっているのでカラスバトやズアカアオバトがいる事を後付けで説明しました。各ポイントの説明後はみなさん狙いたい場所で粘ってもらい、私は歩きながら各ポイントを廻りみなさんの質問や撮影のアドバイスをしました。この日はアカヒゲ、ルリカケス、一部の方がオーストンオオアカゲラをしっかりと撮ることができたようです。17時に終了してホテルへ向かいました。この日は翌日から始まるハードスケジュールのためしっかりと骨休めをしてもらいました。

アカヒゲ
アカヒゲ

2日目 曇り時々晴れ

8時に出発して森に向かいます。絶景ポイントでサシバが飛ばないかを見ていると・・・北西の風なのに20羽ほどが飛んで行く!しかしコースが悪い。

サシバ
サシバ

ここの枯れ木にルリカケスがとまらないかなぁと待つと後ろから「コツコツ」と気をつつく音が聞こえてきたので振り返ると参加者の一人が何かを狙っているので奴がいるなと近づくとオーストンオオアカゲラのオスがいました。そしてがっつり撮れました!残念なのは他の参加者がいない事。

オーストンオオアカゲラ オス
オーストンオオアカゲラ オス

さて他の場所へ行くと別の参加者が何かを狙っている。行ってみると今度はオーストンオオアカゲラのメス!こ奴、よほどお腹が空いているのか?まったく飛んで行かないのでみんなを呼び集め無事全員撮影ができました。ちなみに超近くでゆっくり撮影できるとはまさにアンビリーバボー!でした。

オーストンオオアカゲラメス
オーストンオオアカゲラメス

オオトラツグミは粘りましたが残念ながら出なかったので、後半はまた各自で森を廻って撮影をしてもらいました。14時に終了予定だったので集まって駐車場に向かう途中、桜並木にズアカアオバトが!これものんびりとサクランボを食べているのでしっかりと撮影できました。さて夜があるので一旦ホテルでなが~い休憩(笑)ナイトツアーが21時40分にお迎えが来るのでそれまでゆっくりと休んでもらうのです。

21時30分にホテルのロビーに行くとナイトツアーが迎えに来てくれていて社長の一言「超、寒いっす!なので電熱ベストと手袋を持ってきました!」という事でみなさん電熱ベストと手袋をしてジープに乗って出発!風を切って走るジープが寒い寒い。私的には過去最低の寒さ。悩ましいのは乾燥して寒い夜は生き物が出にくい事です。まずは時間までトイレ休憩とジープの幌を外して撮影ができる状態にします。じゃんけんで席を決めます。そしてライトを照らしてもらいカメラの設定を完了してもらいます。時間になったのでゆっくりとジープを転がしながら生き物を探しに行きますが、道は乾燥しているので両性爬虫類は出ない予感がする。国立公園内に入るとさっそくアマミノクロウサギ(以下クロウサギ)が出るたびに撮影のために停まるのでなかなか進まない。

アマミノクロウサギ
アマミノクロウサギ

狙いのアマミヤマシギとリュウキュウコノハズクがなかなかに手強いが、クロウサギは出まくり!

アマミノクロウサギ
アマミノクロウサギ

ようやくアマミヤマシギが出たのでゆっくりと近づきしっかり撮影できました。

アマミヤマシギ
アマミヤマシギ

そうなると次々に出会えて撮影ができます。しかしリュウキュウコノハズクは厳しい。リュウキュウコノハズクを探しているとガイドさんが「ケナガネズミがいました!」とライトを当ててくれるが、手前の枝が邪魔で結局撮影はしっかりできなかった、残念!最後の方でようやくコノハズクが見つかったが手前に枝がかかっていて一部の方は撮れたが、全員が撮ることはできなかった。集落周辺にはリュウキュウアオバズクとアマミヤマシギがいるので探すもリュウキュウアオバズクは何とか見られたものの撮影はできなかった。結局この日はアマミノクロウサギ30頭以上に出会えたはず!まさにクロウサギ祭りでした。ホテルに戻ると1時50分!あっという間にこんな時間になってしまった!

この記事を書いた人

戸塚 学 とつか がく
高校3年生の時写真に興味を持ち、幼少の頃から好きだった自然風景や野生の生き物を被写体として撮影をする。20歳の時、アカゲラを偶然撮影できたことから、野鳥の撮影にのめり込み、「きれい、かわいい」だけでなく、“生きものの体温、ニオイ”を感じられる写真を撮ることが究極の目標。野鳥を中心としたネイチャー系フォトグラファーを目指す。作品は雑誌、機関紙、書籍、カレンダー、コマーシャルなどにに多数発表。
●日本野鳥の会会員 ●西三河野鳥の会会員 ●SSP 日本自然科学写真協会会員

冬の道東を撮る【後編】

Report by 戸塚学 / 2025年2月16日~21日

4日目 

風連湖が結氷していないので、宿前での撮影ができない&バードテーブルにシマエナガも来ないという事で朝食後から港周りです。まずはチシマシギが見られるポイントへ行きますが、ゴマフアザラシが出ただけで見つかりませんでした。それにしてもチシマシギのポイントは遠くて撮影は不可能でしょう。

切り上げて移動を始めると、オオワシとオジロワシが行ったり来たりする海岸があり、ここに車を停めて撮影を始めると雲間から太陽が出て青空バックで撮れました。これはラッキーでした!移動をすると小さな港の奥の池にカワアイサとヨシガモがいたので撮影のためにUターンをすると、見えないところにオジロワシがいて池上空を低く飛ぶと・・・みんな飛ばされてしまった。残念。納沙布岬はハイドが工事中で入れないのでヒメウの集まる岩でヒメウを撮影しました。

ヒメウ
ヒメウ

ここからは海ガモを探して港巡りです。まずは歯舞漁港へ行くと・・・カモが少ない!いつもなら港が凍っていてカモたちがぎゅっと集まっているのですが開放水面なので散らばっています。港の一角にホシハジロの群れを見つけると、ドライバーさんが「オオホシハジロのメスがいる!」と教えてくれましたがみんな首を背に突っ込んで寝ているので顔が見えない!約30分粘りようやく顔を出してくれた時にその姿を確認できました。しかしシノリガモ、クロガモ、ウミアイサは見られたのですが遠くて歯が立ちません。

オオホシハジロ
オオホシハジロ
シノリガモ
シノリガモ
クロガモ
クロガモ

引き続きいつもはコオリガモが90%の確率で近くで撮れる花咲漁港へ行くが・・・ダメだ、数が少ないし遠い。それでもコオリガモは何とかゲット。これは決して成功と呼ぶには悔しい結果だ。

コオリガモ
コオリガモ

この後は屈斜路湖に向かい宿に入る前にオオハクチョウを狙うのですが、強風のため寒い寒い。それでも高い波に立ち向かい波しぶきを上げるオオハクチョウを撮影することができました。

波しぶきを上げるオオハクチョウ
波しぶきを上げるオオハクチョウ

ここから養老牛温泉へ移動。養老牛「湯宿だいいち」は食事も温泉も施設もゴージャスなのですが、インバウンドの人でごった返し。シマフクロウが出れば近いが、場所が狭くて厳しい。参加者のみなさんには自由参加にしてもらい、私は0時まで付き合いましたが出現はありませんでした。結局1名だけ4時まで粘ったようですが、1時に1度出ただけとのことでした。

5日目

朝食前と朝食後に宿の中からエサ台の小鳥を狙ってもらいます。ここでアオシギに期待をしたのですが、残念ながら出現はありませんでした。それでもミヤマカケス、アカゲラ、シメ、カワガラス、シロハラゴジュウカラは撮れたと思います。

ミヤマカケス
ミヤマカケス
カワガラス
カワガラス

その後は走古丹へ向かう途中、別海の1本松にとまるオジロワシのペアを撮ることもできました。走古丹を進むとコクガンの群れがいて飛ぶ姿を撮れました、晴れていたらよかったのに悔しい!先端部でユキホオジロとハギマシコの情報があったので向かうとユキホオジロの群れがいました!しかし近づけず一部の方が何とか飛翔する姿を撮ることができました。

コクガン
コクガン

そのポイント近くにやたらとワシたちが集まっていたので一番近いワシに寄ってもらうとなんと!成鳥と若いオオワシがフレッシュなゴマフアザラシを一心不乱に食べていてしっかりと撮影することができました!こんなシーンは滅多にないので超ラッキーでした。

ゴマフアザラシを食べる成鳥と若いオオワシ
ゴマフアザラシを食べる成鳥と若いオオワシ

戻る途中にもユキホオジロがいましたが近づけずに撮影はできませんでした。野付半島でナラワラを過ぎたあたりで車から異音が・・・パンクをしたのでタイヤ交換をしましたが、夜はは羅臼でシマフクロウの撮影なので、先に進むことを断念してゆっくりと羅臼に向かいました。宿で早めに食事を摂り17時出発でワシの宿の小屋へ向かいますが、ここもすごい人。それでもシマフクロウは18時30分から出てくれ撮影ができました。合計3回出てくれましたが、3回目は車の上の電柱にとまったままで私たちが下を歩いても逃げないのには驚きました。

シマフクロウ
シマフクロウ
シマフクロウ
シマフクロウ

6日目 

流氷は来てませんが5時40分の早朝便で出航します。船は沖には行かず周辺で待機します。これは港の近くだと波の影響が出にくいからです。紅くなる空と絡めて飛翔したり、魚を掴む姿を撮影します。また月も出ていたので月を絡めての撮影ができました。日があがり明るくなると今度は順光側でワシたちの飛翔を撮影してもらいました。また山側の大木にとまる「ワシのなる樹」も撮影してもらいました。

月とオオワシ
月とオオワシ
オジロワシ
オジロワシ
「ワシのなる樹」
「ワシのなる樹」

本来なら流氷の上の姿を狙えるのですが、氷が無いので仕方がない。しかし岸壁に積もった雪の上にワシたちがとまっているので「疑似流氷」撮影を楽しんでもらいます。これのいいところは二階席に上がるとワシたちを目線で撮影ができるところです!

雪の上にワシの群れ
雪の上にワシの群れ

時間になったので港に戻り、宿に戻って朝食です。朝飯前の仕事をしたことと、思った以上にいい撮影ができたことでみなさんおいしく食べられたようです。朝食後はワシの宿も前でカワガラスを撮影しながらヤマセミに期待をしましたがこちらは出ませんでした。港でカモ類が撮れないかと探しますが、やはり数が少ない&遠い!しかし岸壁でワシたちにエサを与えていたことでこちらに向かって来る姿を堪能することができました。

向かってくるオオワシ
向かってくるオオワシ
オオワシ
オオワシ

帰路、中標津町でラーメンを食べてから空港に向かい無事終了となりました。
みなさまご参加ありがとうございました。そしてお疲れさまでした。

撮れた生き物
オオハクチョウ・オオホシハジロ・シノリガモ・クロガモ・コオリガモ・ホオジロガモ・カワアイサ・ヒメウ・アカエリカイツブリ・タンチョウ・マナヅル・オオセグロカモメ・シロカモメ・ワシカモメ・コクガン・オジロワシ・オオワシ・エゾフクロウ・シマフクロウ・コゲラ・アカゲラ・シジュウカラ・ハシブトガラ・モズ・シロハラゴジュウカラ・シマエナガ・カワガラス・セグロセキレイ・ホオジロ・ハギマシコ・ベニマシコ・シメ・ミヤマカケス・キタキツネ・ゴマフアザラシ・エゾシカ

観察できた生き物・聞かれた鳥
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この記事を書いた人

戸塚 学 とつか がく
高校3年生の時写真に興味を持ち、幼少の頃から好きだった自然風景や野生の生き物を被写体として撮影をする。20歳の時、アカゲラを偶然撮影できたことから、野鳥の撮影にのめり込み、「きれい、かわいい」だけでなく、“生きものの体温、ニオイ”を感じられる写真を撮ることが究極の目標。野鳥を中心としたネイチャー系フォトグラファーを目指す。作品は雑誌、機関紙、書籍、カレンダー、コマーシャルなどにに多数発表。
●日本野鳥の会会員 ●西三河野鳥の会会員 ●SSP 日本自然科学写真協会会員

冬の道東を撮る【前編】

Report by 戸塚学 / 2025年2月16日~21日

今年の鶴居村はインバウンドでごった返し撮影場所に入れない、気温が下がらず霧氷が付かない、根室では風連湖が結氷せずワシの撮影ができない&シマエナガも来ない、港にはカモが少ないというトリプル難。さらに羅臼では流氷がまだ来ていないというさんざんな状況ではあったものの、それなりに収穫のあった内容になったのではないかと感じました。ただしあまりにも短い期間に内容が盛りだくさんなスケジュールだったため、みなさまかなり疲れたと思われたのが少し残念でした。

1日目 

釧路空港で集合し、すぐに車に乗って夕陽のポイントへ向かいました。空は曇り予報でしたが、若干日の光が届く高曇りで「上手く行けば空が焼けるかも?」と期待をしたがやはりどん曇りになってしまった。現場に着いて小鳥が撮れる場所を見ると人でごった返していて「今日は入れないから、外から撮る分はお金はいらないよ」と言われ、ポイントの外から何とかシマエナガやアカゲラを撮っていると、隣にいた女性から「さっきエゾフクロウが2羽いて撮影ができた!」と聞き、立ち入り禁止だったのでは?と思ったが、ここで待っているのも時間の無駄なので、急遽エゾフクロウの場所へ移動をすることにしました。

シマエナガ
シマエナガ
アカゲラ
アカゲラ

入り口にロープがしてあったのは車両の進入禁止と駐車禁止のロープだった。ここで降ろしてもらい、歩いて撮影に向かいました。すでに外国人のカメラマンがたくさんいたので、その隙間から何とか撮影ができました。何度もツアーで来ているが本当に久しぶりに2羽の姿を撮れたのはラッキーでした。みなさんしっかりと撮影ができ、歩いて駐車場まで戻る途中、木の枝に小鳥?が。双眼鏡で覗くとハギマシコだったので撮影をしてもらいました。ラッキー!

2羽のエゾフクロウ
2羽のエゾフクロウ
ハギマシコ
枝の上にハギマシコ

さて、この天気で夕陽のポイントへ戻っても小鳥も撮れないし夕陽も望めないので伊藤サンクチュアリーに行くと、時間的にインバウンドのお客さんが帰り出していて、空いた場所でゆっくりと撮影をすることができました。運がいいことに雪が降り出し、雪絡めの撮影もすることができました。

2日目

予定では早朝4時30分から音羽橋に撮影に出る予定でしたが、冷え込まず朝陽が出ない予想から中止し、かわりに7時に食事を摂り終わり次第音羽橋へ向かい、給仕場に向かう姿を狙う事に。その前に伊藤サンクチュアリを覗きに行くと・・・すでに撮影ポイントは人でごった返していてどうやっても撮影ができる状況ではない。そのまま音羽橋へ。たぶんここもさっきまでは人でごった返していたに違いないが、全員移動していたので私たち以外は3名!天気は曇りだが、こちらに向って来るタンチョウを撮影することができました。

タンチョウ
タンチョウ
タンチョウ
こちらに向かってくるタンチョウ

9時過ぎには給仕場に移動をするので、本当なら伊藤サンクチュアリに行く予定でしたが、入れるスペースはなさそうなので鶴見台へ移動しました。今年はここにマナヅルが入っているという事でしたが見当たりません。時期的に求愛ダンスをよくするのでそれを狙ってもらうのですが、ごちゃついたところで撮影に苦労するも2回交尾のシーンを撮影できました。途中マナヅルも飛んできたので撮影をしましたが、近くに来てくれない事とアクションが少ないのが残念でした。

鶴見台
鶴見台
タンチョウの交尾シーン
タンチョウの交尾シーン
マナヅル
マナヅル

ランチをした後、夕陽のポイントへ向かいました。夕陽には時間があるのですが、小鳥を撮影するには仕方がないと判断しました。気合を入れたのですがこの日はガラガラでした。その分、余裕で撮影をすることができましたが、途中からハイタカが出たのかまったく来なくなってしまった!やはり夕陽が狙える天気ではなかったのでこの日も伊藤サンクチュアリへ向かい昨日のような状況を期待しましたが・・・この日はイマイチでした。。

ハシブトガラ
ハシブトガラ

鶴居村では2日間、宿の温泉とおいしい食事を堪能していただきました。

3日目 

この日は晴れたのですが、冷えて霧氷が付くとは思えないので昨日と同じ工程にしました。しかし、タンチョウの動きが昨日とは違っています。どうもこちらに飛んで来てくれません。思うようにはゆきませんね。ヤマセミに期待をしましたが、カワアイサが出ただけでした。その後鶴見台へ移動しますが、こちらも昨日よりも動きが悪く残念な結果でしたが、思わぬサプライズでまさかのベニマシコが撮れたのは意外でした!またホオジロも見ることができました。北海道ではこの時期この2種を見られるのはレア体験です。

ベニマシコ
ベニマシコ

次は根室へ移動です。その前に厚岸でランチをして火散布でカモ類を探しますが・・・パッとしません。オオワシ&オジロワシもいますが、やはり外に出ているので近くでは撮れませんでした。サプライズだったのはゴマフアザラシが出たことぐらい。そして霧多布岬ではラッコを探しますが見つけることができませんでした。根室の宿では夕陽とタンチョウやオオハクチョウを夕食の時間まで撮っていただきました。

オオハクチョウ
オオハクチョウ
タンチョウ
夕陽とタンチョウ

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戸塚 学 とつか がく
高校3年生の時写真に興味を持ち、幼少の頃から好きだった自然風景や野生の生き物を被写体として撮影をする。20歳の時、アカゲラを偶然撮影できたことから、野鳥の撮影にのめり込み、「きれい、かわいい」だけでなく、“生きものの体温、ニオイ”を感じられる写真を撮ることが究極の目標。野鳥を中心としたネイチャー系フォトグラファーを目指す。作品は雑誌、機関紙、書籍、カレンダー、コマーシャルなどにに多数発表。
●日本野鳥の会会員 ●西三河野鳥の会会員 ●SSP 日本自然科学写真協会会員

冬の九州鹿児島カツオドリと出水の万羽鶴・撮影三昧

Report by 戸塚学 / 2024年12月10日~14日

今年も鳥インフルエンザの緊急事態で、出水では過去最高の規制が厳しく敷かれ撮影が心配になりました。しかし一昨年よりも被害が少ないが、これ以上被害を拡大させないため動ける場所が少なくなってしまったが、撮影ができる場所で撮影することで定点の良さを実感できたのは良かったと思います。

 

鹿児島では初日は快晴でカツオドリの飛び込みの撮影を楽しむことができました。天気予報では最終日も晴れの予報が曇りから雨になってしまい1時間早めの終了になりましたが、その代わりドライバーさんのプチ鹿児島市内観光を楽しむことができました。

12月10日 1日目 鹿児島市 晴れ

空港で集合後、そのままカツオドリのポイントを目指します。その前に近くにある物産館で食事を各自でしてもらいました。時間があったので物産館に入ると・・・お弁当やお持ち帰りのお寿司の品ぞろえがハンパなく驚いた!これは最終日は食堂ではなく、ここで買ってもらって撮影することを決意(笑)。現場は平日なので釣り客の車が少ない分?カツオドリも少ない?昨年はカンムリカイツブリとハジロカイツブリもいたのですが、この日は見つけられなかった。ミサゴは飛んできますが飛び込んでくれません。14時30分ごろ貨物船が入港してくるとなぜか?アオサギとカツオドリが船にまとわりつくように飛翔しながら港へ入ってきた!ここからカツオドリが20羽以上になったので16時までカツオドリの飛び込みと飛び出しを撮影してもらいました。夕食は駅ビルの飲食街に行ったのですが、どの店も美味しかったので来年もここで各自食べてもらうのが良さそうだと思いました。

カツオドリ
カツオドリ
カツオドリの飛び込み
カツオドリの飛び込み
カツオドリの飛び出し
カツオドリの飛び出し

 

12月11日 2日目 鹿児島市~出水市 曇りのち晴れ

朝は曇り。出水は晴れ予報なので期待をして出発します。出水に近づくと徐々に空は明るくなり到着時には晴れてくれた!まずは観察センターで簡単なレクチャーを受けたのち、建物の2階の展望所で飛翔を狙ってもらいますが・・・時間が遅いのでツルが飛んでくれないのが悩ましい。天気も曇りなのでここで「流し撮り」の撮影練習をしてもらいます。晴れているとNDフィルターを付けないとできないので、これは曇りの天気だからこそできる撮影方法です。みなさん「難しい」と言いながらも真剣に飛翔するツルたちを狙っていました。一旦、お昼になったので切り上げ定食屋に行くが満席で断念。翌日行く予定のうどん屋さんへ行くと何とか入れました!お客様が皆「安くておいしいので明日もここがいい!」というので翌日もここに決定してしまった(笑)。昼食後は東干拓に移動してまず、翌朝撮影する場所で説明をしました。ツル監視所に行くと、監視所前にカナダヅルのペアがいたのでがっつりと撮影をしてもらいました。このカナダヅルのペアが強気で、ナベヅルの家族に対して威嚇や追廻を撮ることができてよかった。

カナダヅル

このポイントでは水路にヘラサギ類がいないか探しますが見当たらない。遠くに見えるツルのねぐらを双眼鏡で見ますが見当たらない・・・いつもなら探しに行けるのに規制で探しに行けないのがつらい。再び観察センター前で夕陽を狙っていると、それまで曇っていた空から夕陽が雲間から光を放ち太陽の姿を拝むことはできないものの、夕焼雲の中を飛翔するツルたちを撮影することができました!

夕焼雲の中を飛翔するナベヅル

12月12日 3日目 出水市 晴れ

6時30分にホテルを出て朝陽狙いのポイントへ移動します。気温が低いので霧が出ているのですが薄っすらなのがさみしい。東の空には雲が無いので朝陽は期待できそうです。それまでは色づいた空を飛翔するツルたちの飛翔をシルエットで狙ってもらいます。朝陽が山から顔を出すとみなさんに「太陽に入るツル」の撮影方法を説明して狙ってもらいます。しかし・・・一番いい時間にツルたちが飛ばない!!!残念。ここで一旦ホテルに戻り朝食にします。ただこの時間がもったいないので来年はポイントにより近いホテルにした方がいいと感じた(規制があるのでホテルからポイントまでのルートがかなり遠回りになるため)。

太陽とナベヅル

9時30分から周囲を探しながら車内から撮影をして観察センターへ。昨日に比べて時間が早いのでツルたちの飛翔がよく見られ青空での撮影を楽しんでもらいます。「きゅ~」とかわいい声が聞こえたので、声のする方を探すとミヤマガラスの群れの端にいました!今回の目玉の一つ、かわいいコクマルガラスです。成鳥は白黒の配色で「パンダガラス」とも呼ばれています。みなさんにしっかりと撮ってもらいました。

コクマルガラス

11時を過ぎるとツルたちも個々に餌場に向かいさみしくなったので、東干拓へ移動します。到着すると水路脇の土手に白い鳥が休んでいます?双眼鏡で覗くとクロツラヘラサギです。車を停めてからしっかりと撮影をすることができましたが、水路の奥を見るとクロツラヘラサギとヘラサギの群れが10羽ほど水中に嘴を突っ込み左右に振って魚を探しています。ただし遠いので一旦カナダヅルを狙ってもらいます。私は時々水路を覗きながらヘラサギ類の動きをチェックします。30分ほどすると採餌をしながらどんどんこちらに向かってきているので、みなさんを呼んで撮影を楽しんでもらいました。ふと時計を見ると13時です!うどん屋さんは14時で閉まってしまうので食事にすることにしました。食事後再び東干拓に戻りますが、ヘラサギたちはねぐらに移動して、カナダヅルのペアも遠くに行ってしまいました。さてどうしようかな?と思っているとヘラサギ類の群れがこちらに向かって飛んできました!青空バックに白い鳥は何と美しい事か!

ヘラサギの飛翔

完全に遠くに飛び去ったので、観察センターへ移動する途中にタゲリを撮影しますが、逆光で厳しい!この日は西の空に雲が無いので夕焼雲は望めませんが、かわりに逆光に輝く2番穂の中のツルたちを狙っても対ます。途中である事に気がつきました!昨日はなかった蜘蛛の糸が逆光で輝いているのが見られたのでできるだけ蜘蛛の樹とナベヅルが絡むシーンを狙ってもらいます。そして最後の最後、この逆光の中ナベヅルのペアが鳴き交わしとディスプレイをしてくれた!まさにアンビリーバボーでした!まさにみなさん持っています!

ナベヅルの鳴き交わし

 

12月13日 4日目 出水市―鹿児島市 晴れのち曇り~雨

天気予報では朝が曇りだったので悩みに悩んだ末、出発を1時間遅らせ、朝食を摂ってからの出発にしたのですが・・・晴れてる!やっちまったが仕方ない。まだ太陽は低い位置なので朝露のついた草を絡めた撮影をしてもらいます。また昨日逆光で苦しんだタゲリもリベンジで撮ることもできました。途中の川の中にセイタカシギがいたのでそちらもしっかり撮ってもらいました。

セイタカシギ

観察センター前の給仕場へ行くとわっさりとツルたちが集まっていたので群れから顔を出す姿を狙ってもらいます。

マナヅルの群れ

群れがばらけ出すと時計はちょうど9時です。ここで終了をして鹿児島へ移動です。カツオドリの撮影前に物産館でお弁当を買ってもらったのですが、全員「お鮨」!味も良く安くて最高でした。みなさん車内で食べている時が天気も良くカツオドリも近くに飛び込んでいたのに、撮影を始めるとだんだんと黒い雲に覆われ・・・13時過ぎには雨が降り出したので少し早いのですが切り上げて、空港に向かいました。途中下道で移動したのでタクシーのドライバーさんが市内の名所などの説明をしてくれて「プチ観光」も楽しむことができました。

 

鳥インフルエンザの影響で出水ではとても厳しい規制でどうしたものかと悩みましたが、ツルたちはいるので、今までとは違う狙い方で楽しむことができる事を再確認しました。カツオドリも相変わらずたくさん見られたことでみなさんとても楽しんでいたと思います。

あとはもう少しプラスアルファを考えたいと思いました。規制によるルートが決まっているために遠回りをすることでホテルとポイントの移動に時間がかかってしまうためホテルをポイント近くにすることで温泉を楽しむことができればと思いました。

撮れた鳥

カンムリカイツブリ・カツオドリ・ヒドリガモ・マガモ・コガモ・ハシビロガモ・オナガガモ・カルガモ・アオサギ・ダイサギ・コサギ・オオバン・ヘラサギ・クロツラヘラサギ・カナダヅル・マナヅル・ナベヅル・クロヅル・タゲリ・イソシギ・タシギ・セイタカシギ・ミサゴ・トビ・コクマルガラス・ミヤマガラス・モズ・ジョウビタキ・

見られた&声を聞かれた鳥

カワウ・キジバト・ドバト・セグロカモメ・ミヤマガラス・ハシブトガラス・ハシボソガラス・ヒバリ・ヒヨドリ・スズメ・ハクセキレイ・キセキレイ・タヒバリ・カワラヒワ・スズメ・ムクドリ・カワセミ・ツグミ・シロハラ・イタチ

 

月とナベヅル

この記事を書いた人

戸塚 学 とつか がく
高校3年生の時写真に興味を持ち、幼少の頃から好きだった自然風景や野生の生き物を被写体として撮影をする。20歳の時、アカゲラを偶然撮影できたことから、野鳥の撮影にのめり込み、「きれい、かわいい」だけでなく、“生きものの体温、ニオイ”を感じられる写真を撮ることが究極の目標。野鳥を中心としたネイチャー系フォトグラファーを目指す。作品は雑誌、機関紙、書籍、カレンダー、コマーシャルなどにに多数発表。
●日本野鳥の会会員 ●西三河野鳥の会会員 ●SSP 日本自然科学写真協会会員