秘境ツアーのパイオニア 西遊旅行 / SINCE 1973

9月末、西遊旅行初となる、両生類・爬虫類を観察するハーピングツアーを催行いたしました。

 

ハーピングとは、両生類・爬虫類学を意味する「Herpetology」から派生してできた言葉で、両生類・爬虫類を観察に行くことを意味します。日本では、まだまだあまりなじみのない言葉ですが、日本にも多くの固有種がいて、じっくり観察するととてもかわいい生き物が沢山いることに気づかされます。今回は、世界自然遺産に登録されて間もない沖縄本島北部のやんばるの森でハーピングをしてまいりました。本来はやんばるの森と渡嘉敷島での観察の予定でしたが、台風の影響で渡嘉敷島へのフェリーが欠航となってしまい、沖縄本島北部でで2日間にわたり観察してきました。滞在中に観察した生き物たちを紹介します。長靴にヘッドライトを付けて夜のジャングルに出発です。

 


 
まず初めに現れたのは、日本で一番美しいカエルと名高いオキナワイシカワガエルです。絶滅危惧ⅠB類、沖縄県指定天然記念物、国内希少野生動植物種などに指定されていて、世界でも沖縄本島の北部にしか生息していないカエルです。今回我々が観察したのは黄色の色素が欠乏した青色の珍しい個体でした。青色の個体は時々生まれるのですが自然界では外敵から目立ちやすいため生存率がとても低く、観察できたのはとても幸運でした。


 
ノーマルの個体はこのような緑色をしています。この一見すると派手な模様も苔の生えたジャングルの石の上ではカモフラージュになっています。


 
次に現れたのは、リュウキュウアカガエルです。個体によって茶色から鮮やかな赤色・黄色をしています。口の周りが白くなっているのが特徴で、そのおかげか他のアカガエルよりもキリっとした顔立ちでイケメンです。


 
我々が今回一番のメインにしていたクロイワトカゲモドキです。ヤモリの仲間なのですが、指の裏に鱗は無く壁に張り付くことができないうえに、瞼を持っているため瞬きができるなど、原始的なヤモリの特徴を持っています。赤い目にバンド模様が特徴的ですが、住む地域や島によって様々な種や亜種の色や模様が存在しています。


 
自切して間もない個体も観察できました。一度尾を自切するともう骨は生えてこないため、姿や形は全く違う尻尾が生えてきます。


 
先ほどの個体とは車で1時間ほど離れた場所で見た個体ですが、模様が全く違います。移動能力が低く、生息できる環境が限られるため細分化が進んでいるのでしょう。垂直な壁に必死にしがみついて、エサを待つ姿はとてもかわいいです(写真の縦横は間違ったいません)。


 
また、日本で一番大きな毒ヘビ・ホンハブも現れました。とても危険なイメージですが毒はニホンマムシの15%ほどの強さしかありませんが、体が大きいのでその分毒の量も多く、勿論細心の注意が必要です。
金色のボティに真っ赤に輝く目がとてもきれいなヘビです。実は、ヘビは手足だけでなく耳や瞼もありません。そこで身を守るために取る行動が、逃げるか噛むかくらいしかないのです。危険なイメージを持たれている方がいらっしゃるかも知れませんが、彼らは身を守ろうとしているだけなのです。実際に、このホンハブもとても臆病な性格をしていました。


 
運よく木の上で寝ているヤンバルクイナも観察することができました。外敵に襲われないように登りにくい木を選んで寝るそう。真っ黒なジャングルに綺麗なオレンジ色がとても映えていました。


 
その他にも、夜のジャングルでは様々な生き物が活動していました。

ジャンプ力の非常に高いハナサキガエル


 
ひし形の目が特徴的なナミエガエル


 
ハブをも食べるアカマタ。マダラヘビ科最大になるヘビで、今回は沢山の個体を観察できました。中でも、小さくて若い個体の方が色が鮮やかで、大きな個体ほど黒っぽくなるなど、個体による変化を愉しむことができました。


 
シリケンイモリの幼生です。ウーパールーパーのようにまだ鰓が生えています。


 
ヤンバルカタマイマイ


 
オキナワキノボリトカゲ。日本に生息する唯一のアガマの仲間。ニホンのトカゲというよりもどちらかと言うとイグアナやカメレオンに近い仲間です。


 
沖縄には5種のサワガニが生息していて今回はそのうち4種の観察に成功しました。

こちらは、オキナワオオサワガニです。同じ種でもいろいろな色をしているので見ていて飽きません。


 
オキナワミナミサワガニ


 
ハーピングと言いながらも、昆虫や甲殻類まで様々な生き物の観察を行いました。

オキナワマルバネクワガタ。大型の個体でした。成虫になってから飛ばずに歩いてパートナーを探すというとても不思議な生態をしています。


 
子供のゲジを食べるオオゲジ


 
夜のジャングルは、カラフルな生き物に囲まれてとても楽しいです。西遊旅行として新たな領域にチャレンジとなりますが、第一回は大成功に終わり、今後のツアーにも期待が高まります。1月には繁殖期のカエルをメインに観察するコースを設定しております。皆様のご参加をお待ちしております。

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