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添乗員ツアーレポート  アフリカ

アルジェリア探訪 後編:ムザブの谷の生活

2023.03.22 update

旅といえば遺跡観光ばかりではなく、現地の人々の生活を知ることもその楽しみの一つです。

アルジェリアの中でも特徴的な暮らしが残るのがサハラ砂漠北部に位置するムザブの谷。観光ツアーの中で訪れる場所としてはもっとも南に位置します。北部の緑豊かな地域から、途中でデーツ屋さんや果物屋さんに立ち寄ったりしつつ丸一日かけ南下していきます。やがて緑が少なくなり、乾燥した大地がひろがるようになります。

ムサブの谷に住むのはイバード派の人々で、彼らは迫害から逃れこの地に流れ着き、11世紀頃に最初の村エル・アーティフを築きました。それ以降、今に至るまで伝統的な生活を守り続けています。

丘の上のモスク(中央やや左)を中心に街が作られます。

ムサブの谷の街はどこも丘の上に作られており、頂上のモスクを中心としてその周りに居住区、市場が回りに広がっていきます。平等性を重視する彼らは、どの家からもモスクが見えるように家々を作っているのだそうです。

遠目に見ると、街の家々の壁は素材そのままの茶色の他、薄い水色やグリーン、淡いピンクに塗られています。これらのパステルカラーは蠅や蚊などの虫が嫌う色として信じられているそうです。また、この町の建築様式は近代建築の父、ル・コルビジェにインスピレーションを与えた場所としても名を知られています。

街に入るにはその街の出身のガイドさんと一緒に入らなくてはなりません。入り口には「カメラ禁止」「女性のスカートやショートパンツ禁止」などの看板が。

左から「人物撮影禁止」「常にガイドと一緒に」「女性の肌が大きく見える服禁止」

街に入ると、いたるところに暑さ対策の工夫が見られます。例えば建物の壁はでこぼことして無数の影ができるようになっています。この影により壁の温度が下がり、室内でも快適に過ごせるようになるそうです。

また、路地が極端に狭いのも影を作り、日中でも外を歩けるようにするためです。

狭い路地での運搬にはロバが活躍します。

路地で所々見かけるフックは、昔ここに山羊の革袋に水を入れて下げ、気化熱で周囲の温度が下がるようにしていた残りだそうです。

道の両脇に並ぶ家々の扉は決して向かい合わせにはならず、互い違いになるような位置に設置されています。邪視、といって「他人から向けられた妬み嫉みなどの悪意ある眼差しが災いをもたらす」とする民間信仰があり、その邪視を避けるために容易に家の中が見えないよう、扉の位置が決められているのです。

影ができて日中でも歩きやすいつくりの路地。家の入口は互い違いになっています。

ムサブ族の人々は、地下水源を掘りあて、それを井戸でつなぐことで水資源を確保してきました。そんな大切な水を無駄にしないための工夫が街の中の井戸にも見られます。井戸のすぐそばにはナツメヤシの木が植えられ、こぼれてしまった水しぶきさえその成長に役立つようにされているのです。

住宅地の中にある井戸とヤシの木

栄養源にも、建築材にもなるナツメヤシの木は大切に育てられます。暑い時期には人々はナツメヤシ畑の中で涼むこともあるとか。日陰があり、またナツメヤシの他にも様々な植物がその木陰には育つのでとても快適なのだそうです。

厳しい自然の中で生きるために生み出された知恵は、どれも合理的で思わず納得してしまうものばかりです。何よりムサブの谷で今も伝統的な生活続けている人々の姿が印象的です。写真に撮れないのでその姿をご紹介することはできませんが、ぜひ、実際にその目でご覧になって頂きたいものでした。

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