パキスタンのヌーリスタン、シェイハナンデのブズカシ

カラーシャの谷のさらに奥にあるシェイハナンデ村(Sheikhandehと綴られることがありますが、Sheikhanandehと発音される方が多いと思われます)。ここはカラーシャの谷にあるイスラム教徒の村。カラーシャの谷にはたくさんのイスラム教徒の村がありますが、このシェイハナンデは特別です。彼らはアフガニスタンのヌーリスタン(旧カフィリスタン)の人々の末裔なのです。

 

↓↓活気あふれるシェイハナンデのブズカシ Buzkashi of Sheikhanandeh

 

ヌーリスタンの人々の改宗

かつてこの地域は「カフィリスタン(カフィール=異教徒の土地)」と呼ばれ、独自の多神教やアニミズムが信仰されていました。1895年から1896年にかけて当時のアフガニスタン国王であったアブドゥル・ラフマーン・ハーンによる軍事侵攻と強制的な改宗を受けることになりました。征服と改宗の後、国王はこの地を「ヌーリスタン(光の土地、または啓蒙された土地)」と改名しました。

シェイハナンデのコミュニティは、この19世紀末の混乱や、その後の20世紀初頭にかけてアフガニスタン側から逃れてきたり、徐々に改宗を受け入れたりした人々の子孫にあたります。

言語もカラーシャ語ではなく、ヌーリスタン語群のカティ語(Kati)を話し、多くの住民がウルドゥ語を話さないため、地域の共通語であるコーワール語を他の民族とコミュニケーションに使っています。

 

シェイハナンデの村
シェイハナンデの伝統的な家屋
テラスで飼われているヤギはミルク用
カラーシャ族と違い、この村は保守的なイスラム教徒。子供たちは訪問する外国人を遠くから見ています

 

伝統競技「ブズカシ」の継承

アフガニスタンの国技として知られるブズカシ(Buzkashi)が、パキスタン国内で今も行われている稀有な場所です。荒々しい騎馬競技であるブズカシは、彼らの先祖がアフガニスタン側から持ち込んだ文化であり、過酷な山岳地帯で生きる彼らの強さを象徴しています。

ブズカシは、中央アジアを起源とする伝統的な騎馬競技です。アフガニスタンの国技として有名ですが、パキスタン北部の一部、キルギス、カザフスタン、ウズベキスタンなどの周辺国でも熱狂的に親しまれています。

 

川からヤギの死体を引き上げて競技がスタート

競技にはボールではなく、頭と手足を除去したヤギの死体が使われます。シェイハナンデのブズカシでは競技のスタートは川からスタートしました。準備されたヤギの死体は川で冷やされており、これを引き上げて競技がスタートです。

 

馬上でヤギを強く引き合う

ブズカシは2組の騎馬グループがヤギを奪い合います。ペルシャ語で「ヤギ=Buzを引っ張る、引きずる=kashi」と、そのままの意味です。

 

ヤギを奪い合う
競技は村の広場だけでなく、川原、村の道など馬が走れる全域を使って行われます

激しいブズカシの後、肉が無駄にされることはありません。競技者・村人に分配され食べられます。ブズカシのヤギは血が混ざり柔らかく、煮込み料理に向いているとされ、そしてこの肉は強さと幸運をもたらすと信じられています。

 

ブズカシの騎手はチャパンバズ(Chapanbaz)と呼ばれ、コミュニティの中で英雄として尊敬されます。

 

Photo & Text : Mariko SAWADA

 

ワハーン回廊キルギス族のブズカシ

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