パキスタンからクンジュラブ峠を越えて中国へ  スストからタシクルガンへの国境越えレポート

パキスタンの国境の町スストから中国のタシクルガンまでの国境越えレポートです♪

 

この区間は両国の指定する「国境越えバス」を利用する必要があります。パキスタンから中国へは「パキスタンのバス会社」が運行。中国からパキスタンは「中国のバス会社」が運行します。

この区間はバス運行会社が税関やイミグレーションのみをストップし、あとはひたすら走り続けてランチ休憩もない「国境越え専門バス」なのです。

 

まず、朝9時前にスストの町にあるNATCOチケットオフィスへ。10,000パキスタンルピーで、パスポートとE-Visaを提出してチケットを購入します。NATCO以外にも何社かこの区間を運航している会社があります。

 

スストのNATCOオフィス

その後、スストの「税関」へ行きましたが、スタッフはだれもおらず乗客はスタッフの到着を待ちました。40分ほど待ってようやく税関の手続きがスタート。

乗客は「バスごと」に呼ばれて荷物検査を受けます。男女別に荷物検査を受け、終了すると荷物を自分の乗るバスへと積み込みます。そして、次にイミグレーションへ。

 

税関はバス単位で荷物検査
終わったら荷物を積みます

税関の横にあるイミグレーションの建物に移動し、入って右手の「検疫」で質問を受け、その後左手の「イミグレーション」で出国手続きをしました。終わってバスに戻り全員が終了するのを待ってようやく出発です。

 

イミグレーションの建物へ。
入って右が検疫、左がイミグレーション
全員の出国手続きが終わるのを待って出発
NATCO – 50 Years of Service(!)

私が移動した日は全部で6台の国境越えバス(すべてトヨタコースター)があり、基本的に早く出発したバスの順に中国の税関・入国が行われるので、早く出たバスが早くタシクルガンに到着します。

スストを出発すると次のストップはクンジュラブ国立公園事務所、ここで入域料を支払います(中国人60元、その他の外国人は30ドル、2025年5月現在)。ちなみにこの国立公園の事務所と峠への途中のコクサールというところしかトイレはありません(コクサールには止まらないこともあります)。中国側ではタシクルガンにつくまでトイレは使えないのでこのどちらかで済ますようにした方が良いですさそうです。

 

標高をどんどん上げてバスが約4,700mの峠を目指します。バルホンとコクサールの間では、ヒマラヤアイベックスの群れを見ることもできました。

 

チャフチンゴルピークとコクサールピーク
クンジュラブ峠

クンジュラブ峠の頂上に着いた時にはもうパキスタン時間の13時になっていました。国境ゲート付近はパキスタン・中国双方の観光客がたくさんいました。

 

国境の観光客の中、ゲートが開き、通過
ゲートを越えて中国側へ

国境のゲートを越えて少し走ると「中国の税関」があります。ここは前に出発した国境越えバスが2台ほど並んでいて、自分のバスの順番が来るまでずいぶん待つことになりました。

 

中国の税関。前のバスが並んでいます
ようやく私たちの番です

ようやく私たちのバスの順番が来て建物の中へ。バスからすべての荷物を降ろし、中国人、パキスタン人、それ以外の外人別にX線と荷物検査を受けました。全員の検査が終わるまで外で待ち、みんな揃うと荷物を載せ出発です。

 

税関を出て全員揃うのを待つ
再びバスに乗って出発

国境を通過すると、道は一気に下り始めました。カーブがいくつもあるのでパキスタン側も見え、ヤクの姿も点々と見えました。

 

中国の国境訪問観光客のバス
運転しながらランチをとるNATCOドライバー
山岳風景が美しい。キルギスのユルトも
キルギス族の放牧地

マザールスルタンの町を通過、この町の手前ではヤクの放牧の景色が見られ、ようやくバクトリアンキャメル(フタコブラクダ)も見ることができました。山の景色も綺麗な場所です。

 

Mazar Sultanの町
羊の放牧

パキスタン時間の16時ごろ、ようやくタシクルガンに到着です。バスはイミグレーションの建物へ。すべての荷物をおろし、ここで朝からお世話になった「国境越えバス」とお別れです。

 

タシクルガンが見えてきました
タシクルガンのイミグレーションに到着
外から見たイミグレーションの建物

建物に入ると、「検疫」「イミグレーション」そして再び荷物のX線検査を受け、ようやく外へ。

タシクルガンの町に到着しました!

 

この国境越えでは、途中に水やご飯を買ったりするところはありませんので、必ず水と食べ物をもってバスに乗り込みましょう。

 

夕方のタシクルガン、街には“ヤクの火鍋料理”の店がたくさんありました!Enjoy your stay!

 

Photo & text: Mariko SAWADA

Visit: May 2025

※実際の時間と撮影した写真を利用した記事です。時間・手続きはその時のもので、今後さまざまな変更が起こりることを予めご理解ください。

西遊旅行のパキスタンツアー一覧

※パキスタンでの旅行現地手配を承っております。国内線手配・送迎など、お問い合わせ・ご相談は、西遊旅行Indus Caravan へ!

*Please follow us on YoutubeInstagram & Facebook 

カテゴリ:■ギルギット・バルティスタン州 > カラコルム・ハイウェイ > ◇ パキスタン一般情報
タグ: , , , , , , , , , ,

イスラマバードからスカルドゥへの国内線フライトレポート

イスラマバードからスカルドゥへの国内線は晴れれば素晴らしい山岳風景を望むことで知られています。特に世界第9峰ナンガパルバット(8,126m)は、そのピークを目の前に望むことができることがあるのです(往路は右側(F)、復路は左側(A)の座席)。

 

>PK451便から見たナンガパルバット展望フライトの動画(この動画は記事を書いた時のフライトのものではありません)

 

 

一般的にはナンガパルバット側をお勧めしていますが、反対側の景色もなかなかのものです。

 

先日搭乗したPK451便の座席A側(ナンガパルバット側でない方)と座席F側(ナンガパルバット側)のレポートです。

同じ路線を飛ぶエアーブルーも同様の景色が見られますが、パキスタン航空もエアーブルーも、その時の天候・キャプテンの指示により、ナンガパルバットとの距離やルートなど、景色は毎回異なります。予めご理解の上、記事をお読みください。

 

<イスラマバード10時出発予定のフライトの実際のタイミングをレポートしています>

10:10イスラマバード空港を離陸
10:12旋回して進路を北へ
10:14 (A側)イスラマバード空港上空を通過

 

(A側)イスラマバード空港上空を通過

10:19-20 (A側)左手にタルベラダム、インダス川が見えます。夏季はインダスの川の色が氷河の溶けた水で濁っています。

 

(A側)左手にタルベラダム

10:20( A側)ヒンドゥークシュ最高峰ティリチミール(7,708m)が見え始めます。ヒンドゥークシュ高峰群の連なりの一番西にある高い山なのでわかりやすいです。その後しばらくティリチミールが見え続けます。アフガニスタン側のヒンドゥークシュ最高峰ノシャック(7,492m)はちょうどティリチミールの後ろ側にあたり見えないようです。

 

( A側)ヒンドゥークシュ最高峰ティリチミール(7,708m)

10:36( F側)ナンガパルバットの頂上8,126mが目の前です。ナンガパルバット自体はもう少し前から見えています。この日はナンガパルバットのピークに近い航路を飛びました。

 

(F側)ナンガパルバットの頂上8,126mが近づいてきました

10:37 (F側)ナンガパルバットのピークが本当に目の前。

 

(F側)ナンガパルバットの頂上8,126mが目の前
ナンガパルバットのピークが携帯でもバッチリ撮れる距離です♪

10:38 (A側)フンザの谷、ラカポシ(7,788m)が少し遠くに見えます。

 

(A側)ラカポシ(7,788m)

10:43 (A側) カラコルムの峻険な山々、ビアフォ氷河沿いのバインターブロックBaintha Brakk(7,285m)、オグレOgreⅡ、ラトック山群 (Latok Ⅰ,Ⅱ,Ⅲ)と思われる山が見えます。

 

(A側) カラコルムの峻険な山々

10:44 (A側)世界第2の高峰 K2(8,611m)とブロードピーク(8,051m)が見え始めます

このころには降下に関する機内アナウンスが入ります。飛行機が高度を下げると、手前の山でK2などの高峰群が見えなくなっていくので大変あせります。

 

(A側)世界第2の高峰 K2(8,611m)とブロードピーク(8,051m)

10:45 (A側) K2とブロードピーク、半分ぐらいしか見えなくなりました
10:46 (A側)降下開始。手前の山はシガール渓谷の山々、B12ピークの姿。
10:46 (A側)スカルドゥ渓谷が目の前に広がりました。F側はサトパラ湖が見えるはずです。
10:47( A側)インダス河畔の砂漠に作られたスカルドゥの空港の滑走路が見えました。

 

インダス河畔のスカルドゥ空港

10:50 スカルドゥの谷を旋回して最終着陸体制に。
10:52 ランディング。機体をおり、ターミナルへのバスに乗る前、ほとんどの観光客が記念撮影をする、山に囲まれたスカルドゥ空港。

 

スカルドゥ空港に到着

以前はイスラマバードから1日1便しかなかったスカルドゥへの路線は、夏季シーズンはラホール、カラチからも飛び国内線だけで1日6便以上飛ぶ日もあります。さらにドバイからの国際線も始まりスカルドゥは観光地・山岳リゾートとして急成長をしています。そして晴れた日のこのフライトも間違いなく「観光ハイライト」のひとつです。

 

よく「ナンガパルバット側」と「K2側」とどちらがいいかと聞かれますが、誰にでも見える(わかる)のは「ナンガパルバット側」です。A側の席から見える山は予習していないとわかりにくいのですが、パキスタンのトレッキング・登山のリピーターの方にとってはA側の景色は、フライト中ずっと山を探して楽しむことができるしょう。

 

そしてもうひとつよく質問があるのが、パキスタン航空とエアーブルーとどちらの方がスムーズに運行していますか?というもの。正直こればかりは本当に運です。

 

Image & Text: Mariko SAWADA

Flight Date: 27 April 2025

※記事は実際の搭乗時の時間と撮影した写真を利用しています。この路線のフライトは出発時間も様々で、天候・その時のルートにより山の見え方など異なります。予めご理解ください。

西遊旅行のパキスタンツアー一覧

※パキスタンでの旅行現地手配を承っております。国内線手配・送迎など、お問い合わせ・ご相談は、西遊旅行Indus Caravan へ!

*Please follow us on YoutubeInstagram & Facebook 

 

カテゴリ:■ギルギット・バルティスタン州 > ◇ パキスタンの山 > ◇ パキスタン一般情報
タグ: , , , , , , , , , , , , , , , , ,

ソルトレンジ Salt Range- ヒマラヤ岩塩を産出する塩の山脈

ヒマラヤ岩塩、ピンクソルトとして世界で流通している岩塩の多くがパキスタンの岩塩坑で産出されたものです。なかでも は有名で、観光客が中に入ってその採掘された後を見学したり、ピンク色の岩塩で作られた地下モスクを見学したりできる観光地にもなっています。

今回、パンジャーブウリアルという野生動物を探しにでかけたソルトレンジで、観光地ではない岩塩採掘所を見る機会がありました。

 

ソルトレンジ Salt Range はパキスタンのパンジャーブ州、ヒマラヤ山脈の南端に位置し、ポトハル高原 Pothohar Plateau の南からジェルム川  Jhelum River の北へと広がっています。

ヒマラヤ岩塩はこのソルトレンジにある褶曲衝上帯のエディアカラン期からカンブリア紀初期(6億年~5億4000万年前)に遡る厚い蒸発岩の層から産出されます。カンブリア紀から始新世にかけての堆積岩がより新しい時代の堆積岩の上に押され、浸食されソルトレンジSalt Rangeが現れました。

太古の海の化石がインド大陸とユーラシア大陸の衝突により地表に現れた、何とも壮大でロマンがある岩塩です。

 

ポトハル高原であちこちに見られる岩塩坑。

 

ソルトレンジの岩塩に関してもう一つロマンある話があります。この塩を発見したのはかのアレキサンダー大王の軍隊だという伝説です。紀元前326年、アレキサンダー大王のインド遠征の際に軍馬が地面をなめていたことから塩が発見されました。実際にアレキサンダー大王の軍とインド諸侯軍との対戦「ヒュダスペス河畔の戦い」はジェルム川河畔で、このソルトレンジを通過したことは間違いありません。

 

岩塩坑の入り口付近の地表は塩の結晶で覆われています。

 

トラックが採掘場へ入っていきます。トラックの運転手によると2キロ以上先で採掘がおこなわれおり、それを運び出してくると。

 

こちらは岩塩をのせて出てきたトラックです。相当の重量でしょう、オフロードの道をゆっくりゆっくり進んでいきます。

岩塩の採掘の歴史は、確認されるものは紀元後1200年ごろにはじまり、ムガール帝国時代には岩塩の交易も行われていました。イギリス植民地下の1872年にケウラ岩塩坑のメイントンネルが作られ本格的な採掘が始まりました。

 

岩塩坑のひとつに歩いて中に入ってみました。ソルトレンジの内部です。

 

これは岩塩ミル用に細かく砕いて商品化されたヒマラヤ岩塩。以前は「ミル」のようなおしゃれなものはなく、粉状か岩のブロックのまま販売されていましたが、最近はおしゃれなパッケージで岩塩ミルとセットで販売されたりしています。価格も安く、必ず使うものなので外国人観光客のお土産品としても人気です。

 

こちらは北部フンザでの伝統的なヒマラヤ岩塩の使用方法です。フンザ地方ではチャイに砂糖ではなく塩を入れます。熱いチャイをヒマラヤ岩塩のブロックでぐるぐるかき混ぜます。

 

パンジャーブ地方のソルトレンジからはるばるとカラコルム山脈の村まで運ばれ、今もチャイには欠かせない岩塩。

そういえば、漫画『ラーメン食いてぇ!』(2018年に映画化、キルギスで撮影されました)では、遊牧民の煮込み料理の隠し味としてこの岩塩が登場。作品の本当の舞台は新疆ウイグル自治区ですが、パミールを越えたヒマラヤ岩塩の味を大自然の中で堪能する描写が大変印象的でした。

 

Image & text : Mariko SAWADA

Visit  : Dec 2020, Potohar, Punjab

西遊旅行のパキスタンツアー一覧

※パキスタンでの旅行現地手配を承っております。お問い合わせ・ご相談は、西遊旅行/ Indus Caravan へ!

カテゴリ:■パンジャブ州 > ソルトレンジ > ◇ パキスタン一般情報
タグ: , , , , , , , , , , , , , , , , , , ,

パキスタンの e-VISA

パキスタンのVISAがオンラインで取得できるようになりました。
パキスタンのe-VISAの申請方法について、2019年10月に来られたお客様からレポートを頂きましたので申請方法と注意点をご紹介いたします。

 

必要なもの:パソコン、パスポート、クレジットカード、顔写真データ、ホテルの予約証明書
料金:8.18$(900円弱、2019年10月現在)
申請先:https://visa.nadra.gov.pk

まずは上記のサイトにパソコンからアクセスします。
※Google ChromeまたはFire fox以外のソフトではページが表示されません。

 

アクセスするとこの画面が出てきます。英語版が出たら「Visit Visa」を、日本語版が出た人は「ビザにアクセス」をクリックします。

 

次に「Tourist Visa」をクリックします。

 

「Apply Now」をクリックします。

 

まずは、アカウントを作る必要があります。
「CREATE A NEW ACCOUNT」をクリックします。

 

空白部分を全て埋め、チェックボックスにチェック。「SAVE AND CONTINUE」をクリックします。※パスワードは8文字以上で大文字、小文字、数字、記号を含む必要があります。

 


このような画面が表示されればOKです。
登録したメールアドレスに下記のようなのようなメールが来ます。

 


Continue Registration」をクリック。

 


メールで受け取った4桁のピンコードを打ち込みます。残りの空白を埋め、アカウントを有効化させます。「VERIFY」をクリック。

 


先ほど登録したメールアドレスとパスワードで再ログインします。

 


チェックを入れ「Accept and Continue」をクリック。

 

タブからJapanを選択します。「START E-VISA APPLICATION」をクリックしe-VISAの申請をスタートしましょう。後は流れに沿って赤い星マークを埋めて申請を進めましょう。

 

必要項目を全て入力した後、書類3点のアップロードが必要です。
1 パスポートコピー
2 顔写真
3 ホテルの予約証明書

(第三国に居住している場合は、その国のビザや就労証明書)

ファイルは350KBのものまでアップロード可能なのでサイズ調整のうえ、書類一点ずつアップロードします。

 

クレジットカードでの支払いまで終えれば申請は完了です。

 


申請から約10日後、上記のVisa承認のメールが届きました。メールのリンクからe-Visaをコピーし、必ず持っていきましょう。
※入国審査、ホテルやフライトのチェックイン時に提出を求められるのでパスポートと一緒に携帯しましょう。陸路で移動しているとチェックポストでも提示を求められます。

 

空港に到着すると、まずはe-Visaのカウンターに並び、上の画像のようにサインとハンコが押されます。その後、入国審査<Foreigner>の列に並びます。ワガ(印パ国境)など陸路の国境でもe-Visaは有効です。

 

パキスタンも個人旅行者がe-Visaを簡単に取得できるようになりました。これまで外国を旅行中の方や、海外在住の日本人はパキスタン査証の取得に苦労されていましたが、これで少しパキスタンが「近い国」になったのでないでしょうか。

 

<追記>2019年12月、西遊旅行のインド支店・西遊インディアのスタッフ(インドはEmployment Visa )がワガ国境よりe-visaで問題なく出入国できました。国境では空港のイミグレよりも質問項目の多い出入国書類の記入が必要です。

 

Text : Mariko SAWADA

※記事は2019年11月28日現在の情報をもとにしています。査証の取得を保証するものではありません。今後、e-VISA申請のサイト・取得条件などが変更されることがあります。必ず、最新の https://visa.nadra.gov.pk の情報をご確認ください。また、ご旅行出発まで日数に余裕をもって申請をなさってください。

※インド内で上記サイトが開かないと聞いています。インド在住・インド旅行中の方はご注意ください。

印パ国境越えとワガのフラッグセレモニーについてはこちら

 

カテゴリ:◇ パキスタン一般情報
タグ: , , , , , , , ,