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インドみどころガイド

シッキム

Sikkim

中国、チベット、ネパールに囲まれるシッキム州は、かつてチベット系王家が統治する王国でした。15世紀に中央チベットでチベット仏教のゲルク派の勢いが増したため、各派の勢力紛争から逃れて、ニンマ派の高僧たちがシッキムやブータンに地盤を移すようになりました。その中から1642年にプンツォク・ナムギャルが初代チョギャル(法王)となり、シッキム王国を興したのが始まりです。しかし18世紀以降、次第にネパールやブータンに領土を侵されていきました。19世紀には、イギリスがインドを植民地としたことに続いてイギリスの保護領となり、1947年のインド独立後、シッキム王国の支配権はインドへ引き継がれました。その後、シッキム王国で政治的に大きな動きがあり、1975年の国民投票では97%の有権者がインドへの併合に賛成。約3世紀続いたシッキム王国は消滅し、インドの第22番目の州「シッキム州」が誕生しました。

ガントク/ Gangtok

シッキムの州都で、標高1,547m、人口約5万人。ガントクという地名は「丘の頂上」という意味の現地語から名づけられたそうです。みどころは、ニンマ派の僧院エンチェイ・ゴンパや、多くの仏教経典や写本の蔵書を誇り様々な仏具やタンカなどを展示したチベット学研究所などがあります。また、シッキムは454種の蘭が見られる蘭の宝庫として知られており、ヒマラヤにしか咲かないという珍しい蘭を展示した蘭栽培園もあります。天気がよければ、市内の至る所からカンチェンジュンガが見られるそう。山々が赤く染まる早朝に、ヒマラヤの展望台(タシ・ビューポイントなど)を訪れてみてはいかがでしょうか。

タシ・ビューポイントからカンチェンジュンガを望む
エンチェイ・ゴンパ

ルムテク僧院/ Rumtek

ガントクから24km、ラニプル川が流れる谷間を隔てた反対側にシッキム最大のルムテク僧院があります。チベット仏教カルマ・カギュー派の総本山であるこの僧院は「ダルマ・チャクラ・センター」とも呼ばれています。 ダライ・ラマと共にチベットから亡命してきたカルマパ16世は、この僧院を建て、ルムテクを基点として布教活動に励みました。1981年に亡くなった16世の遺骨と遺灰は、宝石がちりばめられた立派な聖骨箱に保存されており、ゴールデン・ストゥーパと呼ばれています。インド政府は、カルマパ17世をダライ・ラマに次ぐ重要人物としています。その為、本拠地であるルムテク僧院への訪問を拒み続けているのです。チベットで即位し2000年にインドに亡命してきたカルマパ17世は、未だにルムテク僧院に入ることが出来ず、現在ダラムサラに本拠を置いています。非常に重要な寺院のため、セキュリティーも厳しく、入り口ではパスポートやシッキム入域許可証などのチェックがあります。

ルムテク僧院
ルムテク僧院の小僧さん

ペリン/ Pelling

ネパールとの国境に迫るシッキム州西部の町、ペリン。世界第3位の高峰カンチェンジュンガまでわずか32㎞の距離に位置し、ヒマラヤの稜線をすぐ近くに望むことができます。登山やトレッキングの起点としても賑わいを見せ、時折登山家やトレッカーの姿を見かけることもあります。天気が良ければ、朝日を浴びて輝くカンチェンジュンガの雄姿を町中から眺めることができます。ペリン郊外の、荘厳な立体マンダラを擁するペマヤンツェ僧院が大きなみどころです。

朝焼けのカンチェンジュンガ

ペマヤンツェ僧院/ Pemayangtse Gompa

ペマヤンツェとは「崇高なハスの花」を意味し、伝統と格式を誇るニンマ派の僧院です。3階に納められている7段式の立体マンダラは、「サンドペルリ」と呼ばれるパドマ・サンバヴァの住居の模型で、鮮やかな彩色が施され非常に素晴らしいものです。この大きな立体マンダラは、今は亡きドゥンジン・リンポチェが一本の大木から7年かけて造りだしたといわれています。

ペマヤンツェ僧院
ペマヤンツェ僧院から望むカンチェンジェンガ

カリンポン/ Kalimpong

旧シッキム王国の交易路上の宿場町として栄えたカリンポンは、18世紀にブータン人に征服され、後に英領インドの西ベンガル州になりました。19世紀後半、スコットランドの宣教師たち(特にイエズス会士たち)は仏教に対抗し、巧みに布教活動を行いました。現在もその影響が見られ、町中には幾つかの教会があります。

カリンポンの町

聖メアリー教会/ St. Mary's Church

建物はネパール・ヒンドゥー様式、壁画はチベット風(イエス・キリストがチベット仏教ゲルク派の黄帽をかぶって袈裟を着ていたり、聖母マリアが蓮の上で説法をしていたり…)の非常にユニークなカトリック教会です。地元の人々に受け入れられやすいように、このように姿を変えて伝えられたのでしょう。1900年に、宣教師グラハム博士が茶農園労働者の子供を教育する目的で建てた有名な孤児院と学校も、今日にいたるまで健在です。

聖メアリー教会
教会の壁画

ドゥルピン僧院/ Durpin Gompa

カリンポン最大のこの僧院は、町を見下ろす丘の上に造られたニンマ派の僧院です。「双眼鏡」を意味する「ドゥルピン」の丘からは、晴れるとヒマラヤの山々を見渡すことができます。「ゾン・ドグ・パリ・フォダン・ゴンパ」とも呼ばれるこの僧院は、1976年にこの地を訪れたチベット仏教最高指導者ダライ・ラマによって献堂されたものだそうです。

ドゥルピン僧院の外観

カリンポン・ハット/ Kalimpong Hat

カリンポンでは毎週水曜日と土曜日に「カリンポン・ハット」と呼ばれる定期市が行われています。様々な花、野菜、スパイス、紅茶、穀物、日用雑貨等の他、麹、納豆などの発酵食品も売られており、見ているだけで楽しくなる市場です。

カリンポン・ハット
発酵食品を売る店

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