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チベットみどころガイド

青海省のチベット世界

Tibetan Culture in Qinghai

中国最大の塩水湖・青海湖のある青海省。省都は西寧。チベットの地区区分では「アムド地方」の西部から中央部、「カム地方」の東南部、チベット族は全省の人口の約20%を占めています。 ダライ・ラマ14世の生家やゲルク派の六大寺院のひとつタール寺なども青海省にあります。
西寧からさらに奥地へ入ると草原や山々が広がります。夏になるとアムネマチン山脈の麓には高山植物の花が咲き乱れ、チベット族のお祭りが行われます。一歩、踏み込んだ青海省の魅力をご紹介します。

西寧/ Xining

青海省の省都。標高2,275m。古くは「湟中」と呼ばれ2100年も昔から屯田地として史書に記載されている歴史のある町です。市の面積は350平方km。人口は100万人。回族、チベット族、モンゴル族、満州族など漢民族のほかにも少数民族が約23%を占めます。2006年にチベット自治区ラサまでの青蔵鉄道の開通後は鉄道旅行の起点の町として、訪れる観光客は年々増えています。

青海省博物館 トヨタ自動車関連の会社の社長小島鐐次郎氏(西寧市の名誉市民でもあります)の援助でできた博物館。2階が展示室になっており、青海省の少数民族の衣装や出土された文物、チベット仏教の仏像、曼荼羅などが展示されています。都蘭遺跡で発見された絹織物は、青海省に古代シルクロードの道筋があったことを示しています。また、省内から出土した化石の展示も多数あり、じっくり楽しむことができます。

青海省博物館 
中国蔵医葯文化博物館
市内より10㎞、所要20分。2006年5月にオープンした中国で唯一のチベット医学博物館。 一番の見所は 幅2.5m、長さ618mのギネスブックに登録される世界最大の綿製のタンカです。400人で4年間かけて作られたもので、計6箇所の継ぎ目があり、最後の4mは展示室の幅が足りず端は巻かれて展示されています。タンカの内容は、チベットの歴史、歴代王、歴代ダライ・ラマ、歴代パンチェン・ラマ、密教の神々、曼荼羅110種、各宗派の僧侶、チベット医学タンカなどなど。新しいタンカですが、チベットへ行く前に歴史やチベット仏教に関して理解を深めることができます。大タンカの他にもチベット医学の道具、タンカや経典などが展示されています。
中国蔵医葯文化博物館
生命誕生タンカ
博物館入口

水井巷市場 西寧市内の市場。市場の両側には野菜、果物から漢方薬のお店、食堂、青海省の特産品を売るお店が並びます。
※2019年5月より大規模な改修工事中のため閉鎖されています。再開時期は未定です。

水井巷市場(2018年の様子)

タール寺/ Kumbum Monastery

市内より約30km、高速道路で30分ほど。1379年にゲルク派の創始者ツォンカパが誕生したこの地に建てられたゲルク派六大寺院のひとつです。 以前は4000人以上もの僧が在籍し、チベット仏教センターとして重要な位置を占めていました。現在は観光地として整備され、多くのお堂を見学することができます。 山の斜面の広大な敷地に数多くのお堂が林立し、駐車場から商店街を通り、混乗カートに乗り寺院入口へ。ゆっくりと見学するには半日は必要です。このタール寺の中で一番の見所は、ツォンカパの霊塔が安置されている金色に輝く屋根を持つ大金瓦殿。その前では多くの巡礼者が五体投地で祈りを捧げる姿が見られます。その他、タール寺の三絶と呼ばれる壁画、酥油花(バター彫刻)、堆繍(アップリケのように布を貼り合わせたもの)のタンカなども見所のひとつです。冬は巡礼者、夏は観光客で賑わいます。

タール寺
小金瓦殿

【タール寺の見所】 ①八塔:釈迦の8つの出来事を表します。
②大経堂:3000人を収容することができるタール寺最大の建物。内部には堆繍、経典、ツォンカパ、パンチェンラマ9、10、11世の像、ダライラマ、パンチェン・ラマの玉座などがあります。現在は400名程の僧が学んでいます。年に2回(旧暦の4/15、6/7)にタンカの御開帳が行われますが、30mの大タンカはここに収容されています。
③大金瓦殿:ツォンカパ生誕地に菩提樹が成長したところを1560年に仏塔にし、仏塔から寺院が拡大しました。現在、内部には高さ11m、宝石が数万個使われた銀塔があります。
④九間殿:最大の文殊菩薩像。ツォンカパは文殊菩薩の化身です。
⑤大金瓦殿広場:チャムをする広場。夕方、問答も行われます。
⑥酥油花館:毎年旧暦正月2月21日に2チームが競ってバター彫刻をつくります。優勝したバター彫刻は裏手の仏前に、負けたチームは入り口に飾られます。10人1チームで3ヶ月かけて冬季につくられます。
⑦小金瓦殿:護法神殿。護法神の力で鎮められたヤクやヤギ、クマの剥製が2階に祀られています。

如来八塔
入り口で五体投地をする人々

青海湖/ Qinghai Lake

西寧を出発し、文成公主がチベットへ嫁ぐ際に立ち寄った日月山の峠を越えると、中国最大の塩水湖・青海湖に到着。 紺碧の水をたたえた湖は一周約360㎞、琵琶湖の六倍もの規模を誇り、ほとりに建つ遊牧民のテントが風情を添えています。湖畔には立派な宿泊施設が完備され、テント風の施設(張房式)や小さなホテルに泊まることができます。 7月~8月の青海湖のほとりは菜の花が咲き乱れ、一面黄色に染まります。また、湖に浮かぶ鳥島はその名の通り渡り鳥が集まることで知られ、毎年5月には多くの鳥が飛来します。渡り鳥はこの時期に子育てのために湖上の小島に滞在し、8月には東南アジアや中国南方へと飛び立っていきます。

中国最大の塩水湖・青海湖
7月~8月 湖畔に咲く菜の花

チャカ塩湖/ Chaka Salt Lake

ツァイダム盆地の東部、烏蘭県茶カ鎮の南に位置します。茶カ(チャカ)とはモンゴル語で「塩海」の意味。雨期には水面積が104k㎡になります。塩の厚さは5から10m弱。天然の塩湖です。乾期にはトロッコに乗って塩湖の中程まで行くことができます。

チャカ塩湖
チャカ塩湖内に造られた遊歩道

ゴルムド/ Golmud Station

ツァイダム盆地の中南部に位置し、南に崑崙山脈、北にチャルカン塩湖があります。 人口20万人、そのほとんどは周辺の都会から働く地をもとめて移住した漢民族です。東に行くと西寧、西へ行くと新疆、北へ行くと敦煌、南へ行くとラサと交通の要衝として重要な町です。 青蔵鉄道は、この町から始りラサへと向かいます。

ゴルムド駅

アムネマチン/ Amne Machin

チベット4大神山のひとつで、崑崙山脈の東部、青海省の東南部に位置する山脈。平均海抜は5,000~6,000m。主峰は瑪卿崗日の6,282m、「瑪卿」とは、「黄河源流の最大の山」の意味。
1940年代から謎の山脈として探検家から注目をあび、一時はエベレストよりも高い山と話題になりましたが、1970年代に訂正されました。1981年5月には日本の上越登山隊が初登頂しています。夏になると山麓の様々な場所で幻の花・ブルーポピーをはじめとする高山植物の花々を観察することが出来ます。

マチン郊外よりアムネマチン山麓を望む
ブルーポピー メコノプシス・ホリドゥラ(ケシ科)
メコノプシス・クィントゥプリネルヴィア (ケシ科)
ステレラ・カマエヤスメ(ジンチョウゲ科)
メコノプシス・インテグリフォリア(ケシ科)

ジェクンド/ Jyekundo

西寧から800㎞離れた奥地、山道を走り標高4,000mを越えてようやく到着するチベット族の町。初夏の花咲くシーズンには、途中のバヤンカラ峠でブルーポピーの群生を目にすることができます。玉樹の町が近づくと、山肌に大小多くの僧坊が密集しているジェク・ゴンパ(結古寺)が見えてきます。赤、白、灰色の三色を使った建物は、チベット仏教サキャ派の寺院の特徴です。 そのほか、チベットへ嫁いだ文成公主が立ち寄ったという文成公主廟、25億個(!)ものマニ石が積まれた世界最大規模のマニ塚・新寨マニ城などが見どころです。 夏には郊外の草原で大規模な競馬祭が行われ、近郊の村々から自慢の衣装で着飾った多くのチベット族が集い、大変な賑わいをみせます。

ジェク・ゴンパ
ジェクンドの競馬祭の様子
ジェクンドの競馬祭の様子

黄河源流域/ Source of the Yellow River

西寧から約500㎞。標高4,270mの瑪多(マトゥ)が探訪の拠点になります。ここから黄河第一橋を渡り険しい河沿いの道を進むと、紺碧に輝く黄河源流部のオリン湖とザリン湖に到着します。 オリン湖のほとりには記念碑の「黄河源流牛頭碑」がどっしりと建っています。 初夏の湖畔ではブルーポピーを始めとする、色とりどりの高山植物の花を観察することができ、更に源流へと遡れば、無数の湖が散らばる「星宿海」があります。
※2019年現在、環境保護のため黄河源流域地域への観光客の立ち入りは禁止されています。

黄河源流部のオリン湖

レゴン(同仁)/ Legong

青蔵高原と黄土高原の接する場所に位置し、チベット語では熱貢(レゴン)と呼ばれています。この小さな町には古くから多くの寺院が建立され、中でも隆務寺は古く1301年にサキャ派の寺院として建てられました。 1767年にはダライ・ラマ3世の影響でゲルク派の寺院となり、黄南チベット自治州で最大の寺院にまで発展しました。明代につくられた釈迦牟尼像やツォンカパの法衣などが残り、毎年チベット暦のお正月には大規模な法会が催されます。 同仁近郊を流れる隆務河のほとりでは、14~15世紀にタンカや塑像などをつくる職人が多く住み始め、「五屯芸術」と呼ばれるチベット仏教芸術を発展させました。今でも多くの職人が「五屯芸術」の伝統技術を受け継いでいます。上五屯と下五屯の2つの村から成り立ち、村を散策すれば各工房で作業風景を見ることができます。また、工房では作りたてのタンカや塑像を購入することも可能です。

レゴンの神舞祭の様子
口に針を刺す男性
女性たちの舞

ラブラン寺(甘粛省)/ Labrang Monastery

1709年創建のチベット仏教寺院で、かつては3,000人もの僧侶を抱えるチベット仏教学の大総合センターでした。タール寺と同じく金色に輝く鳳凰のような屋根が重畳した大伽藍が、標高3,000mの山麓にそびえたっています。現在でも500人以上の僧侶が寺院を守り、甘粛省だけではなく、青海省、四川省などのチベット族の信仰を受けています。

ラブラン寺
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