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マダガスカルみどころガイド

アンツィラナナと石灰岩の森

Antsiranana and the Limestone Forests

マダガスカル島の北端に位置する港町アンツィラナナ(旧ディエゴ・スアレス)は、天然の良港と背後にそびえる山並みに囲まれた風光明媚な町で、北部探訪の拠点となっています。内陸には石灰岩が侵食して生まれた尖塔地形ツィンギーや乾燥林・熱帯林が広がるアンカラナ特別保護区があり、洞窟や地下河川など特異な景観が見られます。西方に浮かぶノシベ島は、美しいビーチと熱帯雨林が共存するリゾート地で、ロコベ完全自然保護区では島固有の動植物が観察できます。石灰岩の森と豊かな生態系が織りなす北部ならではの自然が魅力です。

 

 

アンツィラナナ/ Antsiranana

アンツィラナナは、マダガスカル最北部に位置する港町で、インド洋に面した広大な天然の湾と、背後に広がる山々に囲まれた美しい景観で知られています。17世紀にこの地を訪れたポルトガルの航海者ディエゴ・スアレスの名に因んで命名されましたが、1975年に現地語に由来する現在の名称「アンツィラナナ」に改称されました。19世紀末には、インド洋での影響力拡大を目指すフランスによって海軍基地として整備され、1885年にはメリナ王国との条約により周辺地域とともにフランスの保護領となりました。現在も、赤レンガ造りの教会やフランス風の邸宅など、植民地時代の建築が残る街並みが独特の風情を醸し出しています。 市街地の高台にあるジョフル広場からは、世界第2位の規模を誇るアンツィラナナ湾(アンドヴォバザ湾)の眺望が楽しめ、湾内に浮かぶ街のシンボル「パン・デ・シュクール(砂糖の島)」を眺めることができます。

パン・デ・シュクール(砂糖の島)
海軍基地を整備したフランス陸軍のジョフル将軍像

アンカラナ特別保護区/ Ankarana Special Reserve

アンカラナ特別保護区は、マダガスカル最北部、アンツィラナナの西約100kmに位置する自然保護区で、独特の地形と多様な生態系で知られています。「アンカラナ」とは現地語で「石灰の場所」を意味し、1億5000万年前のジュラ紀中期に形成されたとされる石灰岩の台地が広がっています。 保護区内には、有名なベマラハ国立公園と同様に、石灰岩が長年にわたり浸食されてできた、鋭く尖った岩の林「ツィンギー」と呼ばれる地形が見られます。数十キロに及ぶ鍾乳洞や地下河川も存在し、こうした特異な地質環境が、多様な動植物の貴重な生息地を形成しています。 また、キツネザル類や爬虫類、数百種の植物など、マダガスカル固有の生物が数多く観察できます。乾燥林と湿潤林が混在するこの地域では、季節や時間帯によって異なる生態系の表情を楽しむことができます。

保護区内に広がるツィンギー

パンサーカメレオン

レッドツィンギー/ Tsingy Rouge

レッドツィンギーは、アンツィラナナの南約60km、イロド川流域に広がる赤褐色の奇岩群です。鉄分を多く含む赤い砂岩が数百万年前に堆積し、長い年月をかけた雨や風の浸食によって、鋭く尖った「ツィンギー」状の地形が形成されました。独特の赤い色彩と荒々しい造形は、マダガスカルでも他に類を見ない景観を生み出しています。この地形は、石灰岩からなる白いツィンギーと比べて柔らかい堆積岩で形成されているため現在も浸食が進行しています。赤い岩の尖塔が夕日に染まる光景は幻想的で、自然の造形美と大地の営みを感じさせてくれます。

鉄分を含んだ赤砂岩のツィンギー
自然の造形美が広がる

ロコベ完全自然保護区/ Lokobe Strict Nature Reserve

ロコベ完全自然保護区は、マダガスカル北西部、ノシベ島の対岸に位置する自然保護区で、1927年に設立されました。面積は約15.2平方キロメートルと比較的小規模ながら、この地域に残された最後の原生林のひとつとされており、焼畑農業や木材伐採により80%以上の森林が失われたといわれるマダガスカルにおいて、極めて貴重な自然が今なお守られています。

この保護区には、「クロキツネザル」や「ミクロヒメカメレオン」をはじめとする、ここでしか見られない固有種のキツネザルやカメレオン、昆虫類などが数多く生息しています。熱帯林の中を静かに散策すれば、そうした希少な野生動物との出会いに恵まれることもあります。研究と保護を主な目的とする「完全自然保護区」に指定されているため、訪問には事前の許可とガイドの同行が必要です。人為的な影響が最小限に抑えられたこの森は、マダガスカルの生物多様性の真髄を体感できる貴重な場所となっています。

クロキツネザル
ミクロヒメカメレオン
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