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インドの森の野生動物
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インドの森では「森の王」として君臨するベンガルタイガーやライオンのほか、
アクシスジカやニルガイなど、インド亜大陸のみに生息する動物たちを観察することができます。
美しきインドの森に暮らす動物たちをご紹介します。
インドの森では「森の王」として君臨するベンガルタイガーやライオンのほか、
アクシスジカやニルガイなど、インド亜大陸のみに生息する動物たちを観察することができます。
美しきインドの森に暮らす動物たちをご紹介します。

ベンガルタイガー / ベンガルトラ 
Bengal Tiger


トラはアジア大陸に分布するネコ科最大の動物で、古来よりアジアの文化の中で力や威厳の象徴として親しまれてきました。日本では生息していないにもかかわらず、屏風や絵画、装飾のモチーフとして好まれてきたことにも見てとれます。インドの人々にとってトラは神話や伝承に登場する、そして身近な恐れと信仰の対象となる、特別な存在でした。ベンガルタイガーは「インドの国獣」であり、インドを象徴する野生動物です。インドでは2006年に1,411頭と推定されたインド国内のベンガルトラは、2014年の調査で2,226頭に増加。インドは国立公園の保全・野生動物の保護に取り組む、世界一のトラの生息国です。 インドとバングラデシュの国獣であり、2011年の推測で世界に2,500頭生息すると言われる野生のベンガルタイガー。密猟と森林破壊により減少傾向にあります。オスは全長270-310cm、体重180-260kg、メスは全長240-265cm、体重100-160kgでシベリアトラより小さく、体毛は短めで縞が少なく、肩部や胸部に縞のない個体もいます。森林や湿原などに生息し、基本的に夜行性。群れは形成せず、繁殖期以外は単独で生活します。オス、メスともに縄張り(縄張りの規模はメスよりオスの方が大きく、獲物の量などで変動がある)を形成して生活し、オスの縄張りの中に複数のメスの縄張りが含まれます。

トラの減少と「プロジェクト・タイガー」

インドの発展と森林開発に伴って、野性のトラは減少していきました。独立以前の時代に行われた王族(マハラジャ)やイギリス植民地官僚による過剰なまでの狩猟、そして人口増加に伴う森林開拓に伴い生息地を追われ「人食い虎」の名目で殺されました。またその美しい毛皮と中国漢方としての需要から密猟があとを絶ちません。長い歴史の中でヒンドゥーの教えのもと、自然と生き物を大切にし、人々が守り続けてきた森と野生動物との共存のバランスが崩れました。「森の王」であるベンガルタイガーの減少そのものが「インドの森の危機」でした。20世紀初頭には4万頭いたと推定されるトラは絶滅の危機に直面していたのです。そこで、1973年、当時の首相であったインディラ・ガンディーによって「プロジェクト・タイガー」という保護政策が打ち出されました。「私は、マハラジャから寄贈されたトラ皮の大きな敷物を見る度に悲しくなります。このトラは、ほんの少し前まで森に君臨していた。彼は森の中で猛々しい吼え声を上げているべきであり、決して敷物になるはずではありませんでした。トラは、生きているからこそ美しい。トラはインドで最も美しい動物。」インディラ・ガンディーの声を受けて、トラの保護区が設立され、「トラを殺すと罰金、トラに殺されると同額の見舞金」という、人間とトラを同等に扱う法律も制定されました。法律では更に保護区内の草食動物の狩猟や森林伐採も固く禁止しました。その結果、インド内のベンガルタイガーは1973年の1,827頭から1989年には4,334頭までに増えました。

自然と人間の共存を目指して

しかし、1980年代に増えたトラの頭数も、今世紀に入り再び減少しました。インド環境森林大臣は、2006年時点で国内のベンガルタイガーの推定個体数が1,411頭に減少してしまったという衝撃的な事実を発表しました。その減少の背景には、1990年代から再び盛んになった密猟、森林伐採や土地開発などがあります。密猟の理由のひとつにトラと村人の距離が近く人間の耕作地を荒らし、その結果住民がトラ狩りを行い現金収入を得るという悪循環に陥る保護区が出てきたことがあげられました。トラは、年間およそ300頭が密猟されていると言われ、これは1日に約1頭のペースです。この発表を受け、インド政府は、「プロジェクト・タイガー」の実施に対し、5年間で計60億ルピー(約120億円)の予算を割り当てました。密猟を防ぐ特別パトロールも強化されました。そしてトラの個体数を増やすためにそのテリトリーとなる森を広げなくてはなりません。森をつくるためにはそこに暮らしていた人々に補償金を支払い別の場所に移住してもらう努力がなされました。このプロジェクト・タイガーの資金はトラの保護だけでなく、プロジェクトによって保護区内から退去させられる人々の支援にも充てられています。また、同プロジェクトでは緩衝地帯(バッファー・ゾーン)における地域密着型のエコツーリズムの促進も支援しています。インドは今、発展に伴うさまざまな問題を解決しながら、「森の再生」にとり組んでいます。過去20年間に少しずつ森林を取り戻しはじめ、2000年~2010年の森林面積の増加は世界で3番目の国となりました。さらにインド政府は2020年までに現在20%の森林面積を33%まで回復させることを目標に挙げています。そして近年のインドは「サファリ・ブーム」。かつては外国人だけが楽しんだサファリをインドの人々も楽しむようになり、同時にインドの森と野生について学んでいます。これまでは「克服」する対象だった「野生」が、「保護」する対象にかわってきました。インド国内の人々からもインドの自然とベンガルタイガーの保護の声が上がり始めました。2011年の調査では個体数が1706頭になり5年間で295頭増えたことになります。そして2014年の調査では2226頭に、2018年には2967頭になったといううれしい報告がありました。野生のベンガルタイガーが森を闊歩し、寝ころび、獲物を狙い、子育てをする姿見れば、なぜこれほどまでに人間がトラに憧れてきたのかがわかります。その誇り高い風格、黄金に輝く姿はまさにインドの森の王です。

アジアライオン / インドライオン 
Asiatic Lion


学術名Panthera leo percicaと呼ばれるライオン。古くはメソポタミア、古代ペルシャ文明のレリーフにも登場し、現在のイラン・イラク・パキスタン・インドの南部地方に広く生息していましたが、現在はギル野生動物保護区にのみに残る貴重な存在となってしまいました。ギルの森林は1900年代初頭にジュナーガルの王族が保護区とされ、そのころにはトロフィー・ハンティングによる乱獲のためアジアライオンの数は15頭にまで激減していました。アジアライオンを救ったのはThe Lion Breeding Program(ライオン繁殖計画)でした。このプログラムは繁殖センターを作り、アジアライオンの行動を研究し人工授精を実施しました。ジュナンガールのサッカーバーグ動物園の繁殖センターでは180匹の子供を誕生させ、126匹の子供たちはインド内外の動物園へと送られました。ライオンの個体数調査は5年ごとに行われています。この努力により、多様性ある落葉樹の森でアジアライオンはその数を増やし、2015年の調査では子供をふくめて523頭にまで回復しています。

アフリカライオンとアジアライオンの違いは?

アジアライオンはアフリカライオンに比べて、以下の特長があります。
1:雄のたて髪が短い
2:しっぽの房が大きい
3:お腹の付近に縦の肉ひだがある
4:小型(アジアライオン 頭胴長:140-195cm、体重:120-200kg/アフリカライオン 頭胴長:170-250cm、体重:150-250kg)

レオパード / インドヒョウ 
Indian Leopard

インドヒョウは、インド各地の森に暮らしていますが、見ることは難しい動物。観察できる場合はほとんどが離れた岩の上で寝そべっていたり、木の枝の上や岩陰で寝ていることが多い動物です。インドに暮らす大型ネコ科動物のうち、ベンガルタイガーとアジアライオンは同じ場所に生息できませんが、インドヒョウとはいずれとも同じ森で生息しています。ベンガルタイガーの観察の際に、インドヒョウも観察できるチャンスがあります。

インドサイ 
Indian Rhinoceros ,Greater one-horned Rhinoceros

インド東北部とネパールのタライ平原に生息するサイ。体長310 – 420cm、体重は1,500 - 3,500kg。他のサイ(クロサイ、シロサイ等)は2本の角がありますが、インドサイは頭に1本30 – 60cmの角があるのが特徴です。1990年代初頭にはハンティング、密猟で1,800頭ほどにまで激減した種ですが、その後の保護により、2015年の個体数調査では3,555頭に増加したと言います。

ジャングルキャット
Jungle Cat


ジャングルキャットは中東~南アジアの国に生息する野生のネコ。インドでは乾燥した森、草原、沼地、村のそばなど幅広い環境の中で暮らす動物ですが観察は容易ではありません。体長60-75cm、体重5-16kg、イエネコに比べて大型でしっかりした体格です。

ブラックバック
Blackbuck, Indian Antelope


インドの乾燥地帯の草原に暮らすアンテロープ。オスに70cmにもなるらせん状の長い角が見られるのが特徴です。オスは口元、目の回りが白く、体の上半分がこげ茶色、体の下半分が白っぽいのに対し、メスや子供は黄茶色と外見が異なります。ブラックバックは生息地の喪失、トロフィー・ハンティングなどにより激減しました。ラジャスタン、グジャラートの国立公園や乾燥地帯の農村部で見ることができます。

ワイルドボア / イノシシ
Wild Boar, Indian Boar


アジアやヨーロッパなどを中心に幅広く生息するイノシシのインド亜種。イノシシは分布地域によって差があり、インドのワイルドボアはたてがみが長めで、頭が大きい外見をしています。犬と同じくらい鼻が敏感で神経質な動物。ワイルドボアの家畜化したものがブタです。

ドール / アカオオカミ
Dhole, Asian Wild Dog, Red Dog


日本ではアカオオカミとも表記される、アジア(ユーラシア大陸東部~南アジア)に生息するドールのうちのインド亜種。赤茶色の毛、黒っぽい尻尾をもち、オオカミより小さくジャッカルよりも大きいドール。インドの森に群れをなして暮らしますが、その集団での狩りはすさまじく、獲物の腹などの柔らかい部位にくらいつき、生きたまま食べ始めることでも知られています。ドールは害獣として駆除されたり、森の開発により生息地を奪われ、その数を激減させました。インドの森のサファリでもドールと出会うことは決して多くありません。

チータル / アクシスジカ
Chital,Axis Deer,Spotted Deer


インドの森サファリで一般的に見られるシカの仲間。インドではチータル (chital) と呼ばれ、「斑点のある」という意味があります。インド、バングラデシュ、ネパール、ブータン、スリランカに生息します。 体の白い斑点が特徴的で、角は毎年落ちて生え変わります。その際、古い角を食べる行動が見られますが、これはカルシウムを接種のためだと考えられています。また、オス同士の争いに角が使われます。アクシスジカの群れとハヌマンラングールの群れが一緒にいることが多く、樹上のサルが落とした実をアクシスジカが下で食べているのが観察されます。また、ベンガルタイガーやアジアライオンを見ると「アラームコール」を発します。

バラシンガジカ / インドヌマジカ
Brasingha (Swamp Deer)


インドとネパールの森に棲む大型のシカの仲間。蹄が長く接地面が大きいことから、ぬかるんだ場所を移動することができ水辺で観察されます。オスの角は左右に枝分かれし、成獣では10~14にも枝分かれし、名前の「バラシンガ」は「12本の角」といいう意味があります。個体数は少なく、インドではカジランガ国立公園、カーナ国立公園で見られるほか、インドと国境を接するネパールのシュクラファンタ野性動物保護区に1900頭ほどが生息しています。

アジアゾウ Asian Elephant

インド、ネパール、スリランカ、バングラデシュなどの南アジアと東南アジアの一部地域に生息するゾウ。アフリカゾウとは、大きさ、耳や頭の形なども異なり、オスの牙は小さく、メスは牙がない個体が多くいます。インドでは、ゾウはヒンドゥ神話に「ガネーシャ」として登場し、絶大な人気をもつ神のひとりです。

ハヌマンラングール Hanuman Langur, Grey Langur

オナガザル科に分類されるサルでインド亜大陸を中心に分布する灰褐色の毛で覆われたやせ形のサル。「ハヌマン」はインドの神話「ラーマーヤナ」に登場する猿神で、民間信仰として人々に人気があることから、ハヌマンラングールも手厚く保護されています。その結果人に近づくことも多く、森だけでなく寺院や村でも見かけることがあります。

アカゲザル
Rhesus macaque, Rhesus monkey


オナガザル科マカク属のサルでインド亜大陸中・北部から中国南部にかけて分布。日本では外来種として野生化している報告があります。見た目はニホンザルに似ていますが尻尾は長め。アカゲザルは「実験動物」として利用されており、Rh式血液型のRhはアカゲザルの英名Rhesusにちなんでいます。

ガウル / インドヤギュウ
Gaur ,Indian Bison


インド・ネパールと東南アジアに分布する大型のウシ科の動物で、体長250-330cm 、体重580-1,000kg、大きなものは1,500kgにもなります。群れを作って暮らし食性は草食。インドでは数が減ってしまったことから中央インドの国立公園への再導入が試みられています。

ハイイロマングース
Indian Grey Mongoose, Common Grey Mongoose


マングースの中でもインドを中心とした南アジア地域で見られる一般的なマングース。森林、サバンナに生息し単独で生活します。体長36cm-45cmで、45cmほどの大きなふさふさした尾が特徴です。

サンバー  Samber


インドの森で見られる大型のシカの仲間。インド亜大陸を中心に広くアジアに分布し、日本では水鹿(すいろく)とも呼ばれます。110cmにもなる角はオスにのみ見られ、アクシスジカと同様、1年に一度落ちて生え変わります。また、鹿としては長めの尾を持ちます。「水鹿」と呼ばれる通り、湖や沼などの水辺付近に生息し草・水草を食べ、ベンガルタイガーを見ると「アラムコール」を発します。

ニルガイ Nilgai


インドの森に生息する、最大のウシ科の動物でインド亜大陸の固有種。首・顔がウマに似ていることから、「ウマシカ」などとも呼ばれます。前肢が長く、たてがみがあります。体毛は短く、オスとメスで色が異なります。オスは暗い灰色(青っぽいことからBlueBull=青い牛ともよばれます。ニルガイの名前もニルが青、ガイが牛を意味します)、メスは灰褐色。インドではヒンドゥ教徒にとって母である「牛」と似ているため大切にされましたが、イスラム教のムガール時代からハンティングされるようになったと言います。体長は180cm~200cmと大型でオスは15cm~20cmの2本の角があります。

キンイロジャッカル Golden Jackal


イヌ科の動物で、ジャッカル類のなかでは最も大型。キンイロジャッカルはアフリカから湾岸、中近東、南アジアにかけて生息しますが、インドに生息するものはインド亜種でインドジャッカルとも呼ばれます。


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