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天売島のケイマフリ Spectacled Guillemot

ケイマフリ Spectacled guillemot 天売島 Teuri Island 海の宇宙館 ケイマフリ号 (5)

7月上旬、天売島在住の自然写真家・寺沢孝毅さんの案内のもと、天売島で「海鳥塾」を開催。海鳥のことを学び、写真を撮り、環境問題を考え、天売島を満喫した3泊4日でした。

滞在中、海が穏やかな朝、寺沢さんが操船するケイマフリ号で海鳥観察クルーズへ。この時期の夜明けは4時頃で、6時の出発でも十分な明るさです。前浜漁港を出るとウトウがちらほら浮いています。ここから赤岩の方へ船を走らせます。

ケイマフリ Spectacled guillemot 天売島 Teuri Island 海の宇宙館 ケイマフリ号 (6)

赤岩付近に来るとケイマフリが飛んでいます!ケイマフリはオホーツク海沿岸、日本では青森県と北海道だけで繁殖している海鳥で、世界でも繁殖地を観察できる場所は意外と少ないのです。

ケイマフリ Spectacled guillemot 天売島 Teuri Island 海の宇宙館 ケイマフリ号 (11)

赤岩と屏風岩付近はケイマフリがいっぱいいました。ケイマフリの英名はSpectacled Guillemot でまさに「眼鏡をかけた」ような見事なアイリングです。千島列島のウミバトの中には目の周りが白っぽく「ケイマフリ?」と悩む個体がいましたが、ケイマフリのアイリングは見事。

ケイマフリ Spectacled guillemot 天売島 Teuri Island 海の宇宙館 ケイマフリ号 (3)

岩に乗るケイマフリです。寺沢さんによるとケイマフリにとって岩場はとても重要な場所。この岩場でそまざまな行動が観察され、交尾もこの岩の上で行われます。

ケイマフリ Spectacled guillemot 天売島 Teuri Island 海の宇宙館 ケイマフリ号 (1)

岩の上のケイマフリ、さえずりも聞こえます。いったいどんな会話をしてるのか、本当にずっと、見ていられる光景です。

ケイマフリ Spectacled guillemot 天売島 Teuri Island 海の宇宙館 ケイマフリ号 (4)

こちらも、2羽の会話を見守るかのよう。

ケイマフリ Spectacled guillemot 天売島 Teuri Island 海の宇宙館 ケイマフリ号 (8)

素敵なペア。右の個体の羽毛が個性的です。

ケイマフリ Spectacled guillemot 天売島 Teuri Island 海の宇宙館 ケイマフリ号 (10)

そして、あるタイミングで飛び立ちます。水面を蹴るケイマフリの赤い脚。

天売島 ケイマフリ号 海の宇宙館

ケイマフリ号は6人乗りの小型船です。あの光景をアイレベルで見れるのはケイマフリ号だけですね!この素敵なペイントは寺沢さんがご自身で描かれただそうです。

天売島日本酒 ケイマフリ 海の宇宙館 (2)

「海の宇宙館」の純米酒・ケイマフリ。旭川の高砂酒造さんの北海道産米100%使用のお酒です。そしてこのラベルのケイマフリは絵本作家・あべ弘士さんの絵です。とても素敵なラベル。

朝に美しいケイマフリを見て、夜は美味しいお酒・ケイマフリで天売島のウニをいただく・・。

●IMG_5313

「天売島おらが島活性化会議」の方々による「天売の幸炭火焼」。この季節はムラサキウニの最盛期です!ちなみに写真の上にあるジンギスカンは焼尻島の幻のめん羊サフォーク。焼尻の幸もいただいてしまいました。

 

Photo & text : Mariko SAWADA

Observation : July 2021, Teuri island, Hokkaido

Special Thanks : 自然写真家・寺沢孝毅さん、「天売島おらが島活性化会議」

コブダイの頼子・波左間海中公園(館山、千葉)

館山 TATEYAMA diving 頼子 Yoriko コブダイ Asian sheepshead wrasse (2)

波左間海中公園は東京湾と太平洋のちょうど境い目にあり、川から入る栄養と黒潮の影響を受けた、都心から2時間以内でこれるお魚ポイントです。そしてここを有名にしているのが、海底神社とコブダイの頼子。

YORIKO Asian sheepshead wrasse コブダイの頼子・波左間海中公園

コブダイは「タイ」とついていますがベラの仲間で、雌から雄に性転換する”雌性先熟”(しせいせんじゅく)の魚。最初に「雌」として成熟して繁殖を行った後、雄に性転換して再び繁殖に参加する魚です。

そしてこの「頼子」は、以前は「頼朝」という雄と一緒に雌でしたが、ある日縄張り争いに負けたのか「頼朝」が姿を消しました。その後「頼子」は雄化し、現在に至ります。コブダイの寿命は20年ほどと考えられていますが、「頼子」はもう30年を越えるといいます。波左間海中公園で愛され大事にされ、もう寿命なんか忘れた神秘的な存在になっているようです。

館山 TATEYAMA diving 頼子 Yoriko コブダイ Asian sheepshead wrasse

こちらが有名な波左間海中公園にある、世界で唯一の海底神社。1997年に館山の須崎神社を分社して建立された正真正銘の神社です。

館山 TATEYAMA diving Seapen ヤナギウミエラ (2)

もうひとつ、波左間海中公園で有名なのが「ヤナギウミエラの群生」。初めて見ました。潮によって砂地の表面に出ていたり、出ていないこともあるそうで、群生が見れてラッキーでした。ウミエラは英語名が”Sea pen”、まさに「羽根ペン」のような形をしていますね!

館山 TATEYAMA diving Seapen ヤナギウミエラ

群生するヤナギウミエラ。

館山 TATEYAMA diving dream

そして他にもお魚ポイントがあります。”Dream”と呼ばれる漁礁ではソフトコーラルとキンギョハナダイの創り出す美しい光景が。アカオビハナダイ、カワシワハナダイの姿も。

館山 TATEYAMA diving タカノハダイのクリニーニングステ-ション

こちらはタカノハダイ(ヒダリマキ)のクリーニングステーション。タカノハダイの名前は体の縞が「鷹の羽根」に似ていることに由来するそうです。尻尾の水玉の方も気になります。

館山 TATEYAMA diving 仲がいいミギマキ

こちらは仲のいいミギマキです。

 

Image : Mariko SAWADA

Observation : Jun 2021,Hasama Marine Park, Tateyama, CHIBA

Special Thanks : NAKAO MIKIさま – Ocean★TATEYAMA

小笠原諸島・聟島列島遠征

bonin island Ogasawara dive in ogasawara シロワニ 嫁のマグロ穴 聟島列島 ケータ遠征 (16)

6月の小笠原諸島、聟島(ケータ)列島遠征のレポートです。

ゴールデンウィークが終ってから「おがさわら丸」がドック入りし、5月は代船「さるびあ丸」が運航していましたが、「おがさわら丸」が復活した6月の第一便で小笠原へ。滞在中に1泊2日で聟島列島遠征を計画していましたが、初めの2日は天候・海況が良くなく、3、4日目で実施することとなりました。聟島から戻ってきて、すぐに「おがさわら丸」に乗り込む、お客様にとっては忙しいスケジュールでしたが、小笠原諸島の最北・一ノ岩まで行き聟島列島の西側の湾に停泊して1泊、早朝のダイビングも楽しめた素晴らしい旅となりました。

bonin island Ogasawara dive in ogasawara 一ノ岩 聟島列島 ケータ遠征 (16)

これが小笠原諸島最北の一ノ岩。右手に写っているのが北之島(いくつかの島と岩礁からなります)、一ノ岩の後ろが聟島、左に映っているのが二ノ岩。

そして次の写真が、ダイバーに有名な四ノ岩。

聟島列島 四ノ岩

この、一ノ岩、二ノ岩、三ノ岩、四ノ岩、五ノ岩は北之島の北東にあり、遠い順に一ノ岩、二ノ岩と名前がつけられています。この中でも四ノ岩は、岩の割れ目にアカイセエビがぎっしりいる「エビ団地」が知られています。

bonin island Ogasawara dive in ogasawara 四ノ岩、エビ団地 聟島列島 ケータ遠征

小笠原諸島固有種アカイセエビです。小笠原諸島と伊豆諸島の一部だけに分布する種で、この通称「エビ団地」では多い時はクレパスの両面にぎっしりいて、通るのも怖いくらいですが、今回はあっさりしたものでした。

食べてみたいですよね。現在、父島では漁をする人がいなくなったため、季節によりますが、母島産のアカイセエビを食べることができるようです。

bonin island Ogasawara dive in ogasawara コクテンカタギ 聟島列島 ケータ遠征 (8)

ちょっと深場にいる美しいチョウチョウウオ、コクテンカタギ。

bonin island Ogasawara dive in ogasawara ユウゼン 聟島列島 ケータ遠征 (9)

小笠原と言えばユウゼン。日本固有種のチョウチョウウオ。

bonin island Ogasawara dive in ogasawara 聟島列島 ケータ遠征 (4)

聟島の停泊地へやってきました。暗くなる前に寝床を整え、食事の準備です。

bonin island Ogasawara dive in ogasawara 聟島列島 ケータ遠征 (5)

船での洋上キャンプ。突然の雨に備えてシートをしっかり整えています。

bonin island Ogasawara dive in ogasawara 聟島 西の湾 聟島列島 ケータ遠征 (3)

聟島で迎えたサンセット。夕食は、お刺身に魚のグリル、揚げ物、焼きおにぎり。そして波の音を聞きながら過ごす夜。

bonin island Ogasawara dive in ogasawara 針の岩 聟島列島 ケータ遠征 (17)

朝6時、聟島の停泊地を出発し、ダイビングポイントへ。早朝の「針の岩」、その右奥が「媒島」です。

bonin island Ogasawara dive in ogasawara カッポレ 聟島列島 ケータ遠征 (11)

「ケータ平根」の朝は、クマササハナムロやウメイロモドキを追うカッポレ、ギンガメアジ、ヒレナガカンパチの姿があちこちにに見られました。

bonin island Ogasawara dive in ogasawara カッポレ 聟島列島 ケータ遠征 (10)

カッポレは見た目がとても魅力的ですが、食べても美味しい魚です。「カッポレ」という名前は、釣ったときの力が強く暴れて釣っている人が「かっぽれ」を踊っているように見えることに由来するとか、「かっぽれ」を踊るほど美味しいとか、諸説あり。

bonin island Ogasawara dive in ogasawara シロワニ 嫁のマグロ穴 聟島列島 ケータ遠征 (16)

そして聟島列島のハイライトのひとつ「嫁のマグロ穴」。朝の美しい光の中を泳ぐ大小さまざまなイソマグロ。ちなみにイソマグロはあまり美味しくないんだそうです。

bonin island Ogasawara dive in ogasawara シロワニ 嫁のマグロ穴 聟島列島 ケータ遠征 (18)

「マグロ穴」という宇宙!

bonin island Ogasawara dive in ogasawara シロワニ 嫁のマグロ穴 聟島列島 ケータ遠征 (15)

「マグロ穴」の深場にはシロワニも4匹。この時期は繁殖期でオスがうろうろしているそうです。

そして夢のような時間も終わり、おがさわら丸が出航のときを迎えます。

bonin island Ogasawara dive in ogasawara おがさわら丸 聟島列島 ケータ遠征 (2)

「おがさわら丸」をお見送り。2航海で来るとお見送りに参加できるのもひとつの楽しみです。

 

Photo : Mariko SAWADA

Visit : Jun 2021, 聟島列島、小笠原諸島

Special Thanks : FISHEYE

(動画)レビジャヒヘド諸島のロカ・パルティーダ

レビジャヒヘド諸島(ソコロ諸島)のロカ・パルティーダのお魚映像です。ジャイアントマンタ、ギンガメアジ、ハンマーヘッドシャーク、キハダ、ハガツオの大群、お魚天国。

Roca Partida ソコロ諸島、ロカ・パルティーダ

Videography : Mariko SAWADA

Observation : Dec2018, Roca Partida, Revillagigedo National Park,  Mexico

Special Thanks : Club Azur, M/S Valentina

北米最大の海洋保護区・レビジャヒヘド諸島のロカ・パルティーダ

オニイトマキエイ Giant Manta ジャイアントマンタ ソコロ諸島 レビジャヒヘド諸島 ロカパルティーダ Socorro Roca Partida Revillagigedo (11)

メキシコのバハカリフォルニア半島の南西400キロ離れた太平洋沖にあるレビジャヒヘド諸島Archipiélago de Revillagigedo(または、ソコロ諸島)。

サンベネディクト島(San Benedicto)、ソコロ島(Socorro)、ロカ・パルティーダ島(Roca Partida) 、クラリオン島(Clarión)の4つの火山島から成り東西250キロ広がっています。メキシコ海軍がソコロ島とクラリオン島に駐屯する以外は無人島です。一般的な「ソコロ・ダイビングクルーズ」ではこのクラリオン島を除く3つの島を訪れます。

バハカリフォルニア半島の先端の町ロス・カボス(カボ・サン・ルーカス)から、まる1日以上かけて到着する「絶海の孤島」。秘境マニアなら絶対に興奮する火山島の景色、そして「北米の熱帯地域で最も自然が残されている」と称賛される海があります。

12月半ばに訪れたレビジャヒヘド諸島のロカ・パルティーダ Roca Partida。

ソコロ諸島 レビジャヒヘド諸島 ロカパルティーダ Socorro Roca Partida Revillagigedo (5)

ロカ・パルティーダ Roca Partida は、ソコロ・ダイビングクルーズのハイライトであり、外洋のど真ん中に火山活動でできた岩礁がそびえ、魚影濃く、オオモノとの出会いも期待できる場所。

オニイトマキエイ Giant Manta ジャイアントマンタ ソコロ諸島 レビジャヒヘド諸島 ロカパルティーダ Socorro Roca Partida Revillagigedo (9)

Giant Manta -オニイトマキエイはその代表的なもの。レビジャヒヘド諸島では個体の大きさが知られています。

オニイトマキエイ Giant Manta ジャイアントマンタ ソコロ諸島 レビジャヒヘド諸島 ロカパルティーダ Socorro Roca Partida Revillagigedo (10)

カッポレをひきつれて。

ハンマーヘッドシャーク ソコロ諸島 レビジャヒヘド諸島 ロカパルティーダ Socorro Roca Partida Revillagigedo (1)

岩場からすこし沖に出るとハンマーヘッドシャーク。

キハダ ソコロ諸島 レビジャヒヘド諸島 ロカパルティーダ Socorro Roca Partida Revillagigedo (2)

目の前を通過するキハダ。

キハダ ソコロ諸島 レビジャヒヘド諸島 ロカパルティーダ Socorro Roca Partida Revillagigedo (8)

ロカ・パルティーダの岩肌とキハダ。

ソコロ諸島 レビジャヒヘド諸島 ロカパルティーダ Socorro Roca Partida Revillagigedo (6)

そして圧巻の魚影。

ハガツオ ソコロ諸島 レビジャヒヘド諸島 ロカパルティーダ Socorro Roca Partida Revillagigedo (3)

Striped Bonito, ハガツオの大群です。

ハガツオ ソコロ諸島 レビジャヒヘド諸島 ロカパルティーダ Socorro Roca Partida Revillagigedo (4)

カツオの群れを追う、シルキーシャーク。夢のような時間でした。

レビジャヒヘド諸島はもともと島の周囲10キロ(6海里)が保護区(レビジャヒヘド国立公園 Revillagigedo National Park)でしたが、2009年~10年にサメの生息活動地域調査が行われた結果、保護のために周囲74キロ(40海里)を保護区にする提案がなされました。そして2016年にレビジャヒヘド諸島は世界遺産に登録され、2017年に国立公園の保護区が7倍にあたる150,000平方キロに拡大され北米最大の海洋保護区となりました。

世界の海が汚染と過剰な漁業により枯渇していくなか、海洋保護区の拡大の話は未来への希望をつないでくれます。

Photo & text : Mariko SAWADA

Visit : Dec 2018, Revillagigedo National Park, Mexico

Special Thanks : Club Azur, M/S Valentina

(動画)DIVING IN BONIN ISLANDS

西遊旅行の小笠原ツアー特集「世界自然遺産 小笠原諸島」のコンテンツ用に作った、小笠原のダイビングを紹介するビデオです。季節とかいろいろですが、ワイルドな海です!

DIVING IN BONIN ISLANDS

2本目はヒレナガカンパチに追われるニセタカサゴの群れですが、後半はザトウクジラの歌がバックです。

DIVING IN BONIN ISLANDS 2

 

Video & text : Mariko SAWADA

Special Thanks : Fisheye – OGASAWARA

アホウドリ最大の繁殖地 鳥島周遊クルーズ

⑯アホウドリアホウドリ 鳥島クルーズShort-tailed Albatross Tori-shima Island

商船三井が運行するにっぽん丸ネイチャークルーズ~鳥島周遊~のレポートです。とても参加したかったのですが、かなわず、参加した西遊スタッフの米谷健吾によるレポートです。

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2021年のクルーズは4月18日に横浜港から出航。アホウドリの繁殖地である伊豆諸島の鳥島を周遊する2泊3日のクルーズでした。上陸することはもちろんできませんが、簡単には訪れる事ができない鳥島で、一度は絶滅の危機に瀕したアホウドリが繁殖している様子を目にすることができたのは、大変貴重な体験です。

①アホウドリ最大の繁殖地鳥島へ アホウドリ 鳥島クルーズShort-tailed Albatross Tori-shima Island

アホウドリ最大の繁殖地・鳥島へ

アホウドリは、明治時代以前はおびただしい数が生息していましたが、1888年からアホウドリの羽毛採取のための乱獲がはじまり、1902年までに少なく見積もっても500万羽が犠牲になったと言われています。1902年に島が大噴火を起こして島民125名が亡くなった事は、後に「アホウドリの呪い」とも言われたそうです。

アホウドリ保護のために1933年には鳥島は禁猟区に指定される等保護対策も取られましたが、その後も減少の一途をたどり、1949年にはオースチン博士によって「アホウドリ絶滅」が学術誌に発表されるまでになってしまいました。しかし、絶滅したかと思われていたアホウドリが、再び鳥島で確認されたのは1951年のこと。鳥島気象台の山本氏によって10羽ほどのアホウドリが生き残って繁殖している事が伝えられたのです。

1970年代に入り、今回のクルーズにも乗船されていた長谷川博先生を中心にアホウドリの調査、個体数を回復するための活動が開始されるようになりました。従来の島の南側にある燕崎の営巣地は、非常に急な斜面にあり、火山からの土砂が頻繁に流れ落ちるなどの厳しい環境にありました。そこで、1981年からは斜面にハチジョウススキやイソギクの株を植えて、地面を安定させ、アホウドリが繁殖しやすい環境づくりが開始されました。効果は見られたものの、土砂が度々流れ落ちるこの場所では、なかなか高い繁殖成功率を保つ事はできなかったそうです。

1990年代に入ると、島の北側にある初根崎の緩やかな斜面にアホウドリの精工な模型(デコイ)とスピーカーを設置し、若いアホウドリたちを誘導しようという新たな試みが開始されました。この試みは着々と成果を上げ、現在鳥島にはこの新しい初根崎の繁殖地を中心に、従来の燕崎、そして燕崎のさらに上の子持山と、3つ繁殖地があります。一時は絶滅が発表されたアホウドリでしたが、鳥島集団の個体数も2018年に5000羽を越えるまでに回復しています。

横浜港を17:00に出港してから19時間の船の旅のすえ、翌日の12時頃になると鳥島の姿が近づいてきました。甲板からも時折、クロアシアホウドリやアホウドリの姿を見ることができました。

②鳥島到着前 クロアシホウドリアホウドリ 鳥島クルーズBlack-footed Albatross Tori-shima Island

鳥島到着前に船上から観察したクロアシホウドリ

③鳥島到着前 アホウドリアホウドリ 鳥島クルーズShort-tailed Albatross Tori-shima Island

アホウドリ成鳥

④鳥島到着前 アホウドリの若鳥アホウドリ 鳥島クルーズShort-tailed Albatross Tori-shima Island

アホウドリ若鳥

⑤鳥島到着前 アホウドリの若鳥アホウドリ 鳥島クルーズShort-tailed Albatross Tori-shima Island

アホウドリ若鳥

鳥島の姿が大きくなっていくにつれ、島の北側にある新しくできた初根崎の繁殖地が見えてきました。まだまだ遠くて肉眼では良く分かりませんでしたが、双眼鏡でみると、斜面にたくさんのアホウドリの姿、上空を飛ぶ姿も確認でき、甲板で観察する人達の興奮が高まっていくのを感じます。

⑥北側から見た鳥島 向かって右手に初根崎の新しい繁殖地 アホウドリ 鳥島クルーズShort-tailed Albatross Tori-shima Island Hatsunezaki breading ground

北側からみた鳥島 向かって右手の方に新しくできた初根崎の繁殖地があります。

13時頃に島の北側の海上に到着。ここからは長谷川先生の解説を放送で聞きながら、反時計回りに島を一周しました。この辺りまでくると初根崎の繁殖地が肉眼でも確認できる様になり、アホウドリ、クロアシアホウドリが海上を飛ぶ姿をたくさん観察できました。

⑦初根崎の繁殖地アホウドリ 鳥島クルーズShort-tailed Albatross Tori-shima Island Hatsunezaki albatross breading ground

初根崎の繁殖地

⑧アホウドリとクロアシホウドリアホウドリ 鳥島クルーズShort-tailed Albatross Tori-shima Island

海上を飛ぶアホウドリとクロアシアホウドリ

⑨アホウドリアホウドリ 鳥島クルーズShort-tailed Albatross Tori-shima Island

アホウドリ成鳥

海面に浮かぶアホウドリとクロアシアホウドリの群れ。こんな風景は他では決して見る事ができないでしょう。カメラや双眼鏡を除く人達から「凄すぎる!」「信じられない!」といった感嘆の声が次々に聞こえてきました。

⑩海面に浮かぶアホウドリとクロアシホウドリアホウドリ 鳥島クルーズShort-tailed Albatross Tori-shima Island

海面に浮かぶアホウドリとクロアシホウドリ

⑪海面より飛び立つ様子アホウドリ 鳥島クルーズShort-tailed Albatross Tori-shima Island

海面から飛び立つアホウドリとクロアシアホウドリ。海面に浮かぶアホウドリはまだ、黒色の部分が多い若い個体が多いようです。

⑫東側から見た鳥島 北側の傾斜が緩やかで、南側が急峻な地形である事が分かるアホウドリ 鳥島クルーズShort-tailed Albatross Tori-shima Island)

西側から見た鳥島 北側の傾斜が緩やかで、南側が急峻な地形である事が分かります。

島の南側に近づくにつれて、従来の繁殖地である燕崎が見えてきました。急峻な斜面で、火山の土砂が流れ落ちている状況が良く分かりました。アホウドリたちは初根崎の新しい繁殖地に徐々に移りつつありますが、まだこちらにも550組ほどのつがいが繁殖しています。

⑬島の南側にある燕崎の繁殖地アホウドリ 鳥島クルーズShort-tailed Albatross Tori-shima Island Tsubamezaki Albatross breading ground

島の南側にある燕崎の繁殖地

⑭燕崎の繁殖地拡大アホウドリ 鳥島クルーズShort-tailed Albatross Tori-shima Island Tsubamezaki breading ground

燕崎の繁殖地(拡大)

島の東側には繁殖地がないため、船上から見られる鳥達の数も徐々に減っていきました。鳥島周遊の終わりが近づいていることに気づかされ、甲板の人々からは「もう1周してほしいなぁ」という声がこぼれていました。長谷川先生によると、このまま順調に進めば2026年には1万羽にまで回復することが見込まれるといいます。その過程をこの目で見られた感動はひとしおです。来年は是非、島2周で実施してほしいものです!

 

Photo & text :Kengo YONETANI

Observation /Cruise : 18-20April 2021 by Nippon-maru, Tori-shima, Izu Islands, Tokyo, Japan

飛翔、オオワシとオジロワシ(羅臼、北海道)

羅臼 流氷クルーズ オオワシ オジロワシ Rausu Drift Ice Cruise Steller's Sea Eagle (3) Wildlife of Hokkaido

冬の道東撮影ツアーのレポートです。羅臼の流氷クルーズ、今回は沖に流氷がなく、逆に漁港内に流氷が入り込んだためそこで撮影クルーズが行われました。

しかし、背景に建造物を入れずに撮るのは難しい・・・。前半は氷を入れて撮ってみて、後半は飛んでるオオワシ、オジロワシにロックオン。船のスタッフの方も、上手に魚を投げてくださいました。

羅臼 流氷クルーズ オオワシ オジロワシ Rausu Drift Ice Cruise Steller's Sea Eagle (2) Wildlife of Hokkaido

船にめがけて飛んでくるオオワシ。

羅臼 流氷クルーズ オオワシ オジロワシ Rausu Drift Ice Cruise Steller's Sea Eagle (11) Wildlife of Hokkaido

奪い合いの開始です。

羅臼 流氷クルーズ オオワシ オジロワシ Rausu Drift Ice Cruise Steller's Sea Eagle (9) Wildlife of Hokkaido

海や氷に落ちた魚を取るより、横取りの方がリスクが低いのでしょうか。

羅臼 流氷クルーズ オオワシ オジロワシ Rausu Drift Ice Cruise Steller's Sea Eagle (8) Wildlife of Hokkaido

争っています。

羅臼 流氷クルーズ オオワシ オジロワシ Rausu Drift Ice Cruise Steller's Sea Eagle (7) Wildlife of Hokkaido

魚が飛んで行ってしまいました。

羅臼 流氷クルーズ オオワシ オジロワシ Rausu Drift Ice Cruise Steller's Sea Eagle (5) Wildlife of Hokkaido

オジロワシの方が少し大人しい目?バトルはどちらかというとオオワシの方が多かったかもしれません(この日の朝の印象だけです)。

漁港内という場所の撮影ではありましたが(クルーズとは言えないですね)、天候に恵まれ羅臼の空を舞う、美しい海鷲の姿を見れた朝でした。

 

Photo & text : Mariko SAWADA

Observation : Feb 2021, 羅臼、北海道

Special Thanks : ゴジラ岩観光のみなさま

風蓮湖・氷上のオオワシとオジロワシ(根室、北海道)

Lake Furen Hkkaido Steller's sea eagle 風蓮湖 オオワシ Wildlife of Japan

冬の道東撮影ツアーのレポートです。2月半ばは気温が高め、雪も少なめで風蓮湖の氷も心配でしたが、オオワシ、オジロワシはいつも通り。何よりも今年は外国人フォトグラファーがいないので混んでいません。

朝、8時を過ぎると湖畔の木々にオオワシ、オジロワシが待機し、カラスは氷上で待ち構えていました。

Sea Eagles on Ice lake Furen 風蓮湖の鷲|西遊旅行

Video & text : Mariko SAWADA

Observation : Feb 2021, 風蓮湖、北海道

Special Thanks : 「レイクサンセット」さま

(動画)羅臼の流氷クルーズ・羅臼漁港の流氷とオオワシ、オジロワシ

今年は流氷がある期間がとても短かった羅臼。羅臼に到着すると、知床サライのスタッフから「昨日までは流氷の状態が良かったんですが、風が西に吹いているので夜の間になくなってしまいそう」と言われ、祈りながら迎えた朝。

風がきついために夜明けクルーズは中止になりましたが、9時の便では、港の中に集まった流氷を背景に撮影大会が繰り広げられました。

羅臼 流氷クルーズ オオワシ オジロワシ Rausu Drift Ice Cruise Steller's Sea Eagle (6) Wildlife of Hokkaido

羅臼の漁港の中にたまった流氷。ここに撒餌をしてオオワシとオジロワシの撮影です。背景が入らないように撮ると、本当に大自然の中のように見えるのでびっくりです。

Sea Eagles on drift ice Rausu(羅臼の流氷クルーズ)|西遊旅行

Video & text :Mariko SAWADA

Observation : Feb 2021, 羅臼、北海道

Special Thanks : ゴジラ岩観光、知床サライ、Hobby’s World 吉成才丈さま