タグ別アーカイブ: カラコルム・ハイウェイ

ユキヒョウ、狩りの後の姿(パキスタン)

ユキヒョウ Snow Leopard Pakistan Indus Caravan saiyu Travel (1)

ユキヒョウの鳴き声を聞きその姿を探していたガイドが戻ってきて、「おめでとう」と。彼が双眼鏡を向けた方向に見たものは、仕留めたばかりのアイベックス(しかも頭ガチ割れ)と片目を傷めたユキヒョウの姿。息を飲む瞬間でした。

ユキヒョウ Snow Leopard Pakistan Indus Caravan saiyu Travel (7)

アイベックスの頭が割れている様子や切り立った崖の下にいたことから、かなりの高さからアイベックスとユキヒョウが落ちたことが想像されます。そこからこの岩のくぼみまでアイベックスを運んできたユキヒョウ。引きずった跡が残っていました。

ユキヒョウ Snow Leopard Pakistan Indus Caravan saiyu Travel (8)

片目が腫れていて、動きが非常に不自由な様子でした。ユキヒョウもこの狩りで大きなけがを負ったようです。ガイドが、このユキヒョウは死んでしまうのではないか、と心配し始めました。骨が折れている可能性があり、もう次の狩りができないのでは、と。

厳しい肉食獣の野生の姿を目の当たりにした瞬間でした。

ユキヒョウ Snow Leopard Pakistan Indus Caravan saiyu Travel (6)

それでも寝ている姿は猫らしい表情を見せてくれたりもしました。

ユキヒョウ Snow Leopard Pakistan Indus Caravan saiyu Travel (5)

狩りで疲れている+お腹いっぱい=爆睡です。

ユキヒョウ Snow Leopard Pakistan Indus Caravan saiyu Travel (2)

私たちのことはお構いなく、寝ています。

ユキヒョウ Snow Leopard Pakistan Indus Caravan saiyu Travel (13)

スコープでも観察。この春にHobby’s Worldさんに相談して購入したばかりのKOWAのスコープにiphoneをつけて撮影しました。

ユキヒョウ Snow Leopard Pakistan Indus Caravan saiyu Travel (11)

肉球が・・・。

ユキヒョウ Snow Leopard Pakistan Indus Caravan saiyu Travel (10)

猫ですー。

ユキヒョウ Snow Leopard Pakistan Indus Caravan saiyu Travel (9)

ドキッとする、ユキヒョウの灰色グレーの目。

この後、ユキヒョウは一度起き上がると穴の奥のほうへと行ってしまいました。歩くこともままならない傷ついたユキヒョウの姿に動揺しました。

 

Photo & text : Mariko SAWADA

Observation :Apr 2022, KVO area, Gilgit-Baltistan, Pakistan

カラコルムの自然を守る – クンジェラブ峠清掃活動

カラコルムの自然を守る クンジェラブ峠清掃活動 save nature of karakorum saiyu travel (1)

この4月のパキスタンのユキヒョウツアーはサイティングにも恵まれ素敵な旅となりましたが、訪れたクンジュラブ峠付近はごみが散乱しマーモットがごみを巣穴に運ぶ姿もみかけました。ツアーご参加のみなさまのご支援を受け、アブル・ハーン氏とモルホン村のボーイスカウトが5月4日にクンジュラブ峠付近の清掃活動を行いました。行政へお願いしても迅速な対応は期待できず、パキスタン国内観光客のごみに対する意識改革にも時間を要します。今シーズンはあと2回の清掃活動を行う予定にしています。

ごみを巣穴へ運ぶマーモット

冬眠明けのお腹を空かせたマーモットがごみを食べる姿はつらいものでした。

カラコルムの自然を守る クンジェラブ峠清掃活動 save nature of karakorum saiyu travel (2)

モルホン村のコミュニティホールで清掃活動についての説明をするアブル氏。

カラコルムの自然を守る クンジェラブ峠清掃活動 save nature of karakorum saiyu travel (7)

中国との国境付近は観光客の最終目的地で一番ごみが多い場所です。標高4,600mを越える高所での作業は地元の人々の協力が強力が必要です。

カラコルムの自然を守る クンジェラブ峠清掃活動 save nature of karakorum saiyu travel (8)

カラコルムハイウェイ添いの溝を清掃。お菓子のパッケージ、ペットボトル、オムツ、マスクなどが落ちていました。どうして車窓からごみを投げ捨てることができるのでしょうか。

カラコルムの自然を守る クンジェラブ峠清掃活動 save nature of karakorum saiyu travel (3)

ごみ拾いに参加した子供。

カラコルムの自然を守る クンジェラブ峠清掃活動 save nature of karakorum saiyu travel (5)

集めたごみは、峠で焼却処分しました。

今年はシーズンの前と後の2回の清掃を行いたいと思っています。今なら美しい自然を取り戻すことができます。「世界の尾根」と称されるカラコルム山脈、パミール高原の自然と野生動物の環境を守るため、微力ですができるとことからやっていきたいと思います。

<ご支援のお願い>

西遊旅行の取り組み ”持続可能なツーリズムを目指して” カラコルムの自然を守る クンジェラブ国立公園 クリーンナップ募金のご案内

Image & text : Mariko SAWADA

※同じ記事をブログ「ディスカバーパキスタン」においても掲載しております。

(動画)ユキヒョウ・エクスペデイション Snow Leopard Expedition

パキスタン北部、クンジュラブ国立公園でのユキヒョウの観察をまとめた、ユキヒョウ・エクスペディション Snow Leopard ExpeditionのTour Vlogです。雪解けのクンジュラブ峠付近の斜面は、冬眠明けのオナガマーモットの姿、そしてそれを狙うアカギツネや猛禽類の姿、そして高地の草を求めて北上するヤクの群れが・・・そしてユキヒョウが。素晴らしい季節です。

Tour Vlog SNOW LEOPARD EXPEDITION SPRING2021

これまでの苦労が報われた、感謝の気持ちでいっぱいのツアーでした。

Videography : Mariko SAWADA
Observation : April 2021, Khunjerab National Park, Gilgit-Baltistan

ユキヒョウの親子 (クンジュラブ国立公園・北部パキスタン)

春のユキヒョウ・エクスぺディションも残り2日となった日の朝の出来事です。クンジュラブ国立公園を走行中、至近距離でユキヒョウを発見。母と子供2頭、計3頭のユキヒョウがアイベックスを食べていました。

もちろんユキヒョウの親子は我々を見て驚いて、崖を登っていきます。時間にして3分くらいでしょうか、誰もが息をのみ、シャッター音だけが響き渡りました。

Snow leopards sighted from the Karakoram highway

親子が視界から消えた後、角度を変えてこの親子を探し、この日は一日彼らを追うことにしました。

ユキヒョウの観察 パキスタン Snow Leopard observation Pakistan (1)

親子が食べ残したアイベックス。夕方、確実にここに戻ってきます。

ユキヒョウの観察 パキスタン Snow Leopard observation Pakistan (2)

目立たないところからユキヒョウを観察。

日中のユキヒョウの様子動画です。獲物から遠くないところにいなくてはならないし、いい日陰はないし・・・日が当たるようになると何度も移動していました。ずっと寝ているわけではありませんでした。

Snow leopards during the daytime

そしてお待ちかねの夕方です。お母さんユキヒョウが動き出しました。

Snow leopard at dusk

暗くなって見えるギリギリまで観察し、その場を去りました。2頭の子供たちは崖の上から様子をうかがっていました。

翌朝、アイベックスは見事なまでに「完食」されていました。

 

Videography & text :Mariko SAWADA

Observation : April 2021, Khunejrab National Park, Gilgit-Baltistan

Special Thanks : Hussain Ali Khan & Abul Khan, Khunjerab National Park

クンジュラブ峠のユキヒョウ(北部パキスタン)

ユキヒョウ クンジュラブ峠 Snow Leopard Expedition Khunjerab National Park (4)

パキスタン北部、中国との国境となるクンジュラブ峠付近で観察したユキヒョウの記録です。

クンジュラブ峠はパキスタンと中国との国境で「カラコルム・ハイウェイ」が貫いていますが国立公園でもあります。1960年~70年代の「カラコルム・ハイウェイ」建設時には多くのマルコポーロ羊やアイベックスが殺され、川沿いの木々が切られるなど自然破壊が起こりましたが、その後の植樹や野生動物の保護によりアイベックスやユキヒョウの数は回復してきています(マルコポーロ羊は戻っていません)。

ユキヒョウに襲われたヤク Injured Yak, attacked by Snow Leopard (1)

朝、カラコルム・ハイウェイを峠へ向けて登っていて見たのは、全身傷ついた、血だらけのヤクの姿。標高4,500m付近の斜面におり、明らかにユキヒョウに襲われたものでした。おそらく、ユキヒョウの狩りの最中に私たちが現れたため、仕留め切れずにその場を去ったのでしょう。

ガイドがすぐにヤクの持ち主に連絡をし、スストの家畜病院へと運ばれることになりました。このヤクは妊娠しており、ユキヒョウはこういった弱っているヤクや子供のヤクを狙うとのことでした。とは言っても、ここは国立公園の中。上部フンザの村でクンジュラブ国立公園に家畜を連れてきている人々は、ヤクが襲われるリスクを承知で連れてきており、国立公園内であることを理解しています。逆に、国立公園外で家畜が襲われるとユキヒョウに「復讐」することもあり、ユキヒョウの保護のためにはまだまだ政府やNGOの活動が求められる状況です。

ユキヒョウ クンジュラブ峠 Snow Leopard Expedition Khunjerab National Park (6)

ヤクを仕留めることができなかったユキヒョウは、きっとそばにいるはずです。みんなで捜索。

遠~くに2匹を発見。仲のいい2匹で、おそらく母親と2年目になる子供でしょうか。

Snow leopards Khunjerab national park top area 1

一旦、見失いましたが、再び岩の上にいる2匹を発見。

ユキヒョウ クンジュラブ峠 Snow Leopard Expedition Khunjerab National Park (2)

 

Snow leopards Khunjerab national park top area 2

ユキヒョウ クンジュラブ峠 Snow Leopard Expedition Khunjerab National Park (5)

日没時刻になりました。もう観察できるギリギリの暗さで、ユキヒョウも獲物を求めて移動していきました。

スストの町に降りると、今日襲われていた、あのヤクのニュースが入ってきました。もう回復の見込みがないとのことで、出産と同時にと殺されたとのことでした。そして子供も助からなかったと。あのまま放置していてもユキヒョウの糧となっていたヤクですが、何か、とても悲しい結果を聞いてしまいました。

 

Image & text : Mariko SAWADA

Observation : April 2021, Khunjerab National Park, Gilgit-Baltistan, Pakistan

Special Thanks : Hussain Ali Khan & Abul Khan, Khunjerab National Park