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添乗員ツアーレポート  中近東・中央アジア

究極のK2展望トレッキング
バルトロ氷河からゴンドゴロ・ラ越え

  • パキスタン

2012.06.01 update

2012年6月に同行させていただいた、ゴンドゴロ・ラ(峠5,680m)越えの記録をご紹介します。


ゴンドゴロ・ラの頂上にて

ゴンドゴロ・ラ(峠5,680m)越えのルート

世界第2位峰K2。その堂々たる雄姿はバルトロ氷河を歩き切った者だけが辿りつけるカラコルムの核心部コンコルディアより仰ぎ見る事が出来ます。しかし、実は世界中のトレッカーを魅了するこのカラコルムの王道ルートはコンコルディアまででは無く、更に奥へと続きます。それが雪壁登りの技術(クライミング技術4級)を要するゴンドゴロ・ラ(峠5,680m)越えのルートです。このルートは1986年に、コンコルディアとフーシェ谷を繋ぐルートとして開設されました。ゴンドゴロ・ラ越えのベースキャンプは、最初に峠越えをしたアリ・ムハマンド氏の名前を取り、アリ・キャンプと名付けられています。ルートがオープンしているのは毎年6月下旬から8月中旬にかけてで、その間アリ・キャンプとフーシェ側のベースキャンプのフスパンには、レスキューチームが常駐します。毎年ルートがオープンすると彼らがロープをフィックスし安全の為、峠越えのグループに同行してくれます。今回、我々は雪解けが進むとフーシェ側への下りで落石の危険があるので、雪が多く残っている6月下旬に照準を絞りました。


K2を間近に望むコンコルディアのテント場

ロープワークの練習

バルトロ氷河をゆく

まずバルトロ氷河を進んでいきます。コンコルディア(4,650m)まで、徐々に標高を上げる行程です。K2展望とポーターやスタッフの休養の為に、コンコルディアでは連泊し、高度順応は万全。コンコルディアでは大きなセラック(氷柱)にアイススクリューにてロープをフィックスし、実際にアッセンダー・ディッセンダーを使用したクライミングを反復練習しました。

コンコルディアからアリ・キャンプへ

コンコルディアを出発すると、起伏の激しいアッパーバルトロ氷河を上流へ。時々振り返って遠ざかるK2とブロードピークを見ながら、チョゴリザ方面へと進みます。しばらく行くと、チョゴリザ手前で左岸に流れ込むヴィーネ氷河へとルートを取ります。ヴィーネ氷河はモレーンの堆積の無い平らな氷河。太陽の照り返しも強く、道中の通過したキャンプ地がミクサス(目の痛みを意味するそう)と呼ばれているのも納得できます。徐々にルートは一面の雪原に変わり、アリ・キャンプ(5,010m)に到着。寒々しい景観ですが、キャンプ地はサイドモレーン上となる為、氷河上のコンコルディアよりも暖かく感じます。最大4日間の予備日を設けてあるので、衛星電話で下界とも通信し、天気をチェック。幸いにも今晩晴れとの事で、迷わず今晩未明のアタックとしました。


  • K2・ブロードピークを背に歩く

  • ヴィーネ氷河をアリ・キャンプへ

深夜1時、アタック開始

23時30分に起床。簡単な食事を胃に流し込み、1時に出発。暗い中の行動となるので出発時にハーネス等を装着。
月明かりとヘッドランプを頼りにゴンドゴロ峠の取り付きを目指します。取り付きに到着するとアイゼンを装着。フィックスロープにセルフビレイ。アッセンダーを引っ掛け、平均傾斜50度の雪壁登攀が始まります。ポーターは既に我々を抜き去り、丸腰でどんどん登って行きます(彼らはアイゼンも装着しない。靴に靴下を被せて滑り止めとしている。)。アッセンダーの引っ掛りが悪いので、あまり頼らずに縦走用ピッケルを片手にバランスよく登って行きます。傾斜はずっと続くのでは無く、数カ所に分かれていますが、毎年ルートやコンディションは変わります。今回は登り始めが最も傾斜が急だった様子。空が白み始めてきた頃、振り返ると尾根の上にK2、ガッシャーブルムⅠ峰・Ⅱ峰が顔を出し始め、そして5時20分ゴンドゴロ・ラの頂に到着。
カラコルムを制覇したような満足感と絶景に包まれました。


  • ゴンドゴロ・ラへの雪壁登攀

  • ゴンドゴロ・ラの頂上から望むK2

フーシェ谷への下山

フーシェ谷への下山は登りよりもタフなアルバイト。落石の心配があるのでヘルメットを装着し、フィックスロープにディッセンダーを装着。しかし、滑りが悪いのでディッセンダーは外し、カラビナの簡易ビレイのみで平均傾斜50度の雪壁を慎重に下って行きます。一息付くポイントは無く、雪と岩のミックスの箇所もずっとアイゼンを装着したまま一気に下りきりました。
キャンプ地のフスパンはこれまでとは別世界。高山植物咲き乱れる光景にこれまでの緊張もほぐれ泥のように眠りこみました。この後、我々は4日間の予備日を消化するためにK1(マッシャーブルム)B.C.へトレッキング。手厚くサポートしてくれたスタッフやポーター達の為に山羊を一頭購入し振舞い、改めて全員でお互いの検討を讃え合いました。


  • フーシェ側の壁を下る

  • 緑豊かなフスパンへ

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