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添乗員ツアーレポート  南アジア

バングラデシュ ベンガルの大地を水と共に生きる

  • バングラデシュ

2013.08.01 update

バングラデシュ -ベンガルの大地を水と共に生きる-

 

バングラデシュ Bangladesh

 インド亜大陸の東端に位置するバングラデシュ。ガンジス川、ジャムナ川、メグナ川の3本の川と無数の支流が国全体を潤しながらベンガル湾にそそぎこみ、毎年起こる洪水では国土の約3分の1が水に浸かります。人々はその洪水を災害ではなく自然の恵みとして共存し暮らしてきました。バングラデシュは1971年に東インド(現パキスタン・イスラム共和国)から分離・独立した比較的新しい国です。一方、この地には紀元前から仏教、ヒンドゥー教、イスラム教の王朝が順に栄え、互いに影響しあいながら築き上げられた豊かな文化が息づいています。

  雨季になると国内だけでなくインド側からも大水が流れ込み、標高差が少ないデルタ地帯の大地は、しばしば洪水に見舞われます。およそ10年に一度おこる大洪水は「ボンナ」と呼ばれ恐れられていますが、それ以外の定期的な洪水は「ボンナ」と区別して「ボルシャ」と呼ばれ、肥沃な土や魚を運ぶ豊かな自然の恵みとされています。

バングラデシュの主な産業は農業。米などの穀物のほか、イギリス統治時代からの輸出品であるジュートやインド藍、紅茶も作られています。人口は世界7位、都市国家を除くと人口密度の高さは世界一となります。この国を旅していると、いたるところで働く人々の笑顔と出会うことができます。国民の83%はイスラム教徒ですが、他のイスラム教国と比べて外で働く女性の姿を多く見かけます。有名なグラミン銀行の支援で自立する農村女性も多く、村を訪れると女性たちに大歓迎されます。

日本では「貧しい国」と言ったイメージが付きまとうバングラデシュですが、詩人タゴールが「我が黄金のベンガルよ」と讃えた豊かな大地や美しい農村風景、人々の笑顔こそが一番の魅力なのではないでしょうか。

大地が隆起したあと、風と雨による浸食によって削られた大地が
モングラ付近の川沿いにて
モングラ付近の川沿いにて
乾燥させたジュートを運ぶ
乾燥させたジュートを運ぶ
バングラデシュの農村にて
バングラデシュの農村にて

世界自然遺産 シュンドルボン国立公園
世界最大のマングローブ地帯

バングラデシュの南西部に広がる、世界自然遺産シュンドルボン国立公園。バングラデシュとインドの西ベンガル州にまたがる世界最大の広大なマングローブ地帯には、ベンガル・タイガーやガンジス・カワイルカなど希少な野生動物が暮らしています。
マングローブの森は人々にも豊かな恵みを与えています。毎年4月から5月は蜂蜜採りのシーズン。この時季はベンガル・タイガーが凶暴になる繁殖期にあたり、男たちは命がけで森に分け入り蜂蜜を採ります。その際、蜂の巣を全て採ってしまうことはせず、必ず3分の1を蜂のために残します。
シュンドルボンの伝統的な漁は「カワウソ漁」。訓練したカワウソが漁師のかけた網に魚を追います。シュンドルボンの森の間を巡る水路を船で行くと、伝統漁を生業にして暮らす人々の村や漁に出る小舟とすれ違います。

  • シュンドルの木
    シュンドルボンの名前の由来となったシュンドルの木(下)と呼吸根(左)。干潟ではシオマネキやムツゴロウなどが暮らしています。干潟に暮らすシオマネキ干潟に暮らすシオマネキ
    シュンドルの木シュンドルの木
  • カワウソ漁
    伝統的なカワウソ漁の様子。日本の鵜飼いと似ていますが、カワウソは魚を飲み込むのではなく網に追い込みます。 

    カワウソ漁の様子カワウソ漁の様子
    カワウソカワウソ

  • マングローブに生きる漁師と樵の村
    村の片隅には土着の女神「バンビビ」を祀る小さな社が造られています。漁師や樵は仕事の前にこの社を訪れ、女神に安全と仕事の成功を祈ります。
    「バンビビ」と祀る社「バンビビ」を祀る社
    マングローブに生きる樵マングローブに生きる樵

石のない大地で発展した砂が織り成す芸術
バングラデシュのテラコッタ彫刻園

大河のデルタ地帯にあるバングラデシュ。川が運ぶ豊かな土砂はレンガ作りに適しており、他の建築素材に比べて度重なる洪水にも強いことから、現在残る歴史的な建築物の多くはレンガで造られています。そのレンガの建築物を飾るのが「テラコッタパネル」。粘土が乾かないうちに素早く彫刻を施して焼くテラコッタパネルは、十分に時間をかけて作られる石や木の彫刻に比べて素朴で味わい深く、その赤茶色の肌が豊かなベンガルの大地に映えます。バングラデシュの文化は、仏教やヒンドゥー教、イスラム教の文化がおおらかに混ざりあって形成されたため、彫刻にもその影響が見てとれます。

仏教遺跡パハルプール
インド亜大陸最大の仏教遺跡パハルプール。僧院が造られた8〜9世紀、仏教がタントリズム期にあったため、その装飾にはヒンドゥーの神々も描かれています。

仏教遺跡パハルプール
仏教遺跡パハルプールのレリーフ
プティアのヒンドゥー寺院
19世紀に建造されたプティアのヒンドゥー寺院。イスラムのムガール帝国時代に造られたため、ヒンドゥーの寺院でありなが
らイスラムの影響を受けた彫刻が見られます。ここにはムガール帝国時代の狩猟の様子がいきいきと描かれています。

プティアのヒンドゥー寺院<
プティアのヒンドゥー寺院のレリーフ

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