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添乗員ツアーレポート  南アジア

ネパール大紀行

  • ネパール

2012.02.01 update

タサン・ビレッジから望むダウラギリ(8,167m)
タサン・ビレッジから望むダウラギリ(8,167m)

約4,500万年以上前、地球の最高地点は海の中でした。インドプレートが北上しユーラシアプレートと衝突、インドプレートがユーラシアプレートの下に潜り込みながら大陸を押し上げ、8,848mの世界最高峰を創りだしました。 南北約200㎞、東西800㎞の長方形の形をしたネパールは南のタライ平原(最低標高70m)から北はヒマラヤ山脈(最高8,848m)まで、その地形に適応してきた人・動物の生活、美しい自然とその植生が見られる特異な地形を成しています。 世界的な登山ブームが始まった1950年よりネパールには登山客とともに沢山の近代化の波が押し寄せました。都市部では急速な観光地化が続く中、登山客を魅きつけて止まない8,000m峰の高峰群の麓では、現在でも昔から続く晴耕雨読の生活が営まれています。

保護された動物と人々の生活
~チトワン国立公園~

標高1,000mまでの南部に広がるタライ平原を主とする地域は、かつての亜熱帯のジャングルが肥沃な穀倉地帯へと変わり、現在では国土の17%を占めています。数多くの野生保護区もあり、数々の絶滅危惧種の動物をはじめとした野生動物が見られます。ツアーではそのうちの一つ、チトワン国立公園を訪れます。
18世紀初頭から第二次世界大戦後まで王室の狩猟場だったチトワンは、ビレンドラ・ビール・ビクラム・シャハ国王の力によりネパール最大の国立公園に生まれ変わりました。インドサイ(別名:アジアイッカクサイ)、インドガビアル(細く長い顎のワニ)、ガンジスカワイルカ(絶滅危惧種・視力が弱い為に超音波で自らの位置を確認し捕食する)に加え、500種類にもおよぶ鳥類の棲家ともなっています。ジャングルサファリではインドゾウにまたがり、国立公園内を象使いとともに巡ります。5000万年前より進化し続けてきたとされるゾウは44属350種の中から現在ではアフリカゾウ、インドゾウの2種のみが生存しています。古くから皇族の乗り物やインドの王への贈り物として人々に親しまれてきたゾウは現在は手厚い保護の下、国立公園のパトロールや洪水時の人命救助、物資の輸送と、現在も人々の生活に密着に尽力してくれています。

インドゾウにまたがる象使い
インドゾウにまたがる象使い
インドサイ
インドサイ

平原から上部ヒマラヤへ
~変わりゆく景色と人々の暮らしと宗教、仏教とヒンズー教の共存~

国土の68%を占める標高4,000mまでの丘陵地帯と低山ヒマラヤには人口の殆どが集中しています。首都カトマンズをその中心に、数々の観光地を擁します。南に位置する釈迦生誕の地ルンビニでは亜熱帯気候の下今日も巡礼者は後を絶ちません。ティラウラコットでは釈迦が出家するまでの27年間を過ごしたとされるカピラバスティの城址も残ります。
カトマンズ盆地の三大都市カトマンズ・バクタプル・パタンはいずれもネワール文化を残す都市です。18世紀以前、グルカ王の支配下に入るまでカトマンズ盆地を支配していたネワール人は古くからどの他の民族よりも商才・技術・交易に長けており、中世ネパールの繁栄と文化は彼らによってもたらされたものと言われています。人種的にはモンゴロイドとコーカソイドの混血とされ、社会的には他の部族との通婚を嫌い、独自の言語によって独自社会を築き上げてきました。7世紀のはじめ、ネワールの都市は仏教についての学問の中心地として有名でした。そして何世紀にも渡る交易を介しチベット仏教、ヒンズー教との交流を深めていきます。タントラ教の影響を受け始めると神秘的・女性崇拝・犠牲要素が仏教とヒンズー教にも多く取り入れられ、独自の色味がネパールの宗教に加えられてきました。寺院の多くにはその建築過程において途中から別の宗教の要素が取り入れられたものもあり、仏教徒、ヒンズー教徒の両者が参拝するものも少なくありません。そして現在に残る数多くの美しいネワール建築群は多くが17-18世紀、マッラ王朝の時代に建設されています。地震による損壊で数多くの寺院や王宮が建て直されていますが精緻を極めた美しい木彫細工・青銅鋳造等の技術は職人の手により現在にまで受け継がれています。石畳の道を美しい木造彫刻が施された赤レンガの建物の間を歩き、遠くヒマラヤ山群を望む…自然・人・宗教の息づくネパールならではの愉しみがそこにはあります。

釈迦生誕の地ルンビニ
釈迦生誕の地ルンビニ
カピラバスティの城址
カピラバスティの城址
カトマンズに残るネワール建築
カトマンズに残るネワール建築
陶工広場
バクタプルの陶工広場
「美の都」パタン
「美の都」パタン

8,000m峰14座のうちの8座

世界で名立たる8,000m峰14座のうちの8座がネパールにあります。今現在もプレートテクトニクスにより成長を続けるエベレスト山群は刻一刻変わる表情・姿を私達に楽しませてくれます。その厳かな眺望から、昔から現地の人々には高山・またそこの湖は神々の座として信仰の対象であり、汚すことは禁忌とされてきました。年々増え続ける登山者によるごみ問題はネパールの聖なる山々をおびやかしています。
ネパールの中央に位置するアンナプルナ山群のその雄姿はヒマラヤ景勝地ポカラ一帯から望み見る事が出来ます。「豊穣の女神」の意のアンナプルナはその名の通り、その氷河の融け水で付近一帯の山を潤し、緑を育て、私達に恵みをもたらしてくれます。何千万年も前、そこが海の底であった事を物語るようにエベレスト山群道中では今でもアンモナイト拾いが楽しめます。太古からの贈り物探しも旅の一つの楽しみです。

  • ショコンレイクとニルギリ連峰
    ショコンレイクとニルギリ連峰
  • タサン・ビレッジ
    タサン・ビレッジ(※8,167mを誇るダウラギリを目の前にする絶好のロケーションに位置するタサン・ビレッジではホテル屋上から360度山の大パノラマがお楽しみ頂けます。タサン・ビレッジのタサンはタカリの言葉で「タカリ族の住む地域」を意味します。)

タカリ族

塩の街道を呼ばれるジョムソン街道で350万年前以上にこの地に居住を始めたチベット系のタカリ族はチベット交易を営んできた商業民族です。チベットからの岩塩交易を主に、独特で豊かな文化と伝統をこの地に築いていきました。北へ向かう道は冬場雪により閉ざされ、南への道は夏にモンスーンで通行止めになるという自然現象を利用し、南からは穀物を、北からは岩塩を取引していました。
道中のマルファと呼ばれるりんごが名産の小さな街は、かの有名なチベット僧・河口慧海もチベット入域前の準備期間に滞在しています。栄養の乏しい土壌ながら、昨今では海外からの援助も加わり様々な換金作物が栽培されています。厳しい環境の下、山の麓でひっそりと自然と共存する人々の姿は文明社会に生きる私達に忘れかけていた何かを思い出させてくれるような気持ちにさせてくれます。登山家達の野心の対象であり、恵みの源、地球からの贈り物を感じる旅に出かけませんか。

  • ジョムソン街道
    ジョムソン街道
  • ナウリコット村
    ナウリコット村

関連ツアーのご紹介

ネパール大紀行

ヒマラヤからタライ平原までネパールの全てを見る。神々の台座ヒマラヤを仰ぎ、ネワール建築が立ち並ぶ古都を散策。 ゾウの背に揺られジャングル探検。安らぎを求めネパールヘ。

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