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添乗員ツアーレポート  北中南米

チャチャポヤス 知られざるアンデスの古代文明

  • ペルー

2014.03.01 update

アマゾン近く、アンデス山中に栄えた知られざるチャチャポヤス文明
インカ帝国が栄える遥か以前、ペルー北部に点在した古代文明を訪ねる旅へ

断崖に張り付くカラヒアの石棺
断崖に張り付くカラヒアの石棺

 

神秘に満ちた断崖絶壁の石棺 カラヒアの石棺遺跡

チャチャポヤスの町から山の谷間を48キロほど走ると、カラヒアの石棺を訪問する拠点となる村クルスパタに到着します。村には、「事務所」と呼ばれるチケット売り場があり、ここで入場券を購入。のどかな畑の合間の山道、最後は急な谷間への下りを歩くこと45分、カラヒアの石棺を見上げるポイントへ到着しました。石棺は、私たちの立っている道から25m真上の崖の中腹にあり、どうやって設置したのか、とても不思議な場所にあります。

現在、石棺は6体。そのうちの2体には頭部に頭蓋骨が置かれています。以前は7~8体あったといわれていますが、崩れて無くなっています。これらの石棺は紀元後800~1470年頃まで続いたチャチャポヤス文化の中の1000~1300年頃に作られたとされ、一部の研究でデータでは1150年という具体的な年代もでているようです。

カラヒアの石棺遺跡
装飾の細部を見るには望遠レンズか双眼鏡が便利。頭の上には頭蓋骨が載っているものもあります。チャチャポヤスの石棺にはいくつかの種類がありますが、カラヒアのものは軽くて丈夫なマゲイ(リュウゼツラン)の花茎で骨組みを作り、草と粘土を混ぜ合わせた土で表面を塗り固めたもの。高さは2〜2.5mで、表面には彩色が施されています。石棺は死者を模したものと言われていますが、その身体の模様は鳥の羽をイメージしているのではないかとも言われています。
カラヒアの石棺遺跡
初期の調査時には保存状態は今より良かったそうです。現在は風化・崩落の危機に。
頭部と空洞の胴部からなる石棺も作られましたす。死後、一度遺体を土に埋めて骨化した後に集め、布や動物の皮などで包み、これを石棺の胴部において、副葬品とともに泥土で固め埋葬されていたそうです。

雲上の人々が暮らしたチャチャポヤス都 ケラップ遺跡(Kuelap)

標高3,000mの山奥、稜線の上に築かれたチャチャポヤス最大の遺跡がケラップ。スペイン語の表現からすると「ケラップ要塞」と訳されますが、実際にはこの建物は戦いで使われたわけではなく、多くの住居群、神殿が見つかっている都市遺跡です。チャチャポヤス文化はプレ・インカ文明の一つであり、まだ謎に包まれた部分が多く存在しますが、チャチャポヤスとはケチュア語で「雲霧の森に住む人々」という意味だと言われています。9世紀頃から栄え、1470年頃にはインカ帝国の支配と文化的な影響を受け、その後すぐにスペインの支配下に入り消滅しました。

遺跡は南北585m、東西110m、城壁の高さ17m。入り口は東側に2カ所、西側に1カ所あり、非常に狭い通路を通って中に入ります。城壁内にはチャチャポヤスの特徴となる円形の住居跡が420ケ所も確認されています。中には。ひし形などのデザインがある住居も6カ所ほど残っています。

遺跡内部は一年中雲に覆われることから、プロメリアやシダ、ランが木に着生し独特の植物相に覆われた遺跡の姿を見ることができます。チャチャポヤス文化の中で、政治、宗教の中心であったと考えられるケラップ遺跡。遺跡と雲霧林の自然美しい魅力的な都市遺跡です。

北門の入口
北門の入口
長い山道を走り、ケラップ遺跡を目指します。遺跡は精巧な石積みがされた城壁に囲まれており、内部に入るのにまずこのような門をくぐります。
テンプロ・マヨール
テンプロ・マヨール
南端にあるテンプロ・マヨール(主神殿)は高さ5m、直径13.5mの円錐形建物で、その中心には深い穴があり人や動物の骨、植物の種子、祭礼用の陶器などが。発見されています。
美しい石積みが残るケラップ遺跡の城壁
美しい石積みが残るケラップ遺跡の城壁
各所に残る円形の住居跡
各所に残る円形の住居跡
美しいひし形のデザインが 施された住居
美しいひし形のデザインが施された住居
蹄の跡
蹄の跡
ケラップ遺跡の往時にはリャマを運搬用に使っており、遺跡の通路となる階段にはリャマの蹄ですりへった石の跡も残されています。ケラップの城塞内には水場が無く、リャマが水や食料など運んでいたそうです

すり鉢とクイの囲い
すり鉢とクイの囲い
住居の中には生活を感じさせるすり鉢や石が残されていました。

そして、この石の通路なんと「クイ」(テンジクネズミ)を飼っていたというのです。チャチャポヤスの人もクイが好物だったようです。

北部ペルーに残るチャチャポヤス文明の遺産たち
レバッシュの空中墳墓(Revash)&コンドル湖のミイラが眠る(Leymebamba)

チャチャポヤス文化の遺 跡の中でもアクセスが難しいことから訪れる人も少な いレバッシュの墳墓。レバ ッシュは石灰岩の断崖に作 られた埋葬用の建物です。 この遺跡自体は19世紀にはその存在が知られていましたが、1940年代に入って正式に調査 され、カーボン分析の結果、紀元後1250年ごろのものとされています。また、レイメバンバの博物館には、近郊のコンドル湖の湖畔から見つかった200体以上ものミイラが収めらています。どのミイラも一様に、膝を抱え、肘を曲げており、手首や肘のあたりを縄で縛られた形で発見されました。これらの多くはチャチャポヤスより以降、インカ時代のものであり、その文化の融合が興味深い珍しい遺跡と言えます。チャチャポヤス期のミイラも発見されており、独自の特殊な処理が施された姿もこの博物館で見学することができます。

レイメバンバ博物館のミイラ
レイメバンバ博物館のミイラ

断崖に作られたレバッシュの空中墳墓
断崖に作られたレバッシュの空中墳墓

 

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