ヒゲワシ(チトラル・ゴル国立公園)

はじめてこの鳥を見たのはインドのラダックでした。「え、誰コレ!?」って聞いたら「ラマガイエ」という返事。そのスペルもLammergeir、どう発音するのか謎でしたが、みんなラマガイエと言うのでそう発音しています。

この名は古いドイツ語の呼び名だそうで、より一般的には英語でBearded Vulture。でも「ラマガイエ」と呼びたくなる、かっこいい名前です。

 

ヒンドゥークシュの山を背景に飛ぶヒゲワシ。観察したのはチトラル・ゴル国立公園です。

ヒゲワシはユーラシア大陸中央部の山岳地帯、東アフリカ・南ヨーロッパの一部の山岳地帯、切り立った断崖で見られる鳥。大きな鳥で、全長115㎝、翼を広げると3m近くになります。ヒゲワシは英名にvultureとついていてハゲワシの仲間のように思われますが、何よりも羽毛のある頭部が全然違います。

 

ヒゲワシは動物の死骸、特に古くなった肉、骨髄が好物。大きな骨を落として割ったり、岩を使って骨を砕く様子も観察されています。

 

ハゲワシが空を舞っていると「どこで動物が死んでいるなー」と思うのですが、ハゲワシの次の段階にやってくるのがこのヒゲワシだそうです。そしてこのヒゲワシ、脊椎動物の中で唯一、食のほとんど(70~90%!)を骨から摂取している動物です。

 

アラビアンナイトに出てくる「怪鳥ロック」がこの鳥がモデルとか、古代ペルシャの「怪鳥ホマ」だとか諸説ありますが、古代の人々にとっても特別な存在だった鳥のようです。

 

Photo & text : Mariko SAWADA

Observation :Dec 2020, Chitral Gol National Park, Chitral, Khyber Pakhtunkhwa

Special Thanks : KPK Wildlife Department, WWF Pakistan, Tomo AKIYAMA

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ベニハシガラス Red-billed Chough(上部フンザ)

パキスタンの北部山岳地帯に行くと、「赤いくちばしのカラス」と「黄色いくちばしのカラス」がいます。

 

厳密にはスズメ目カラス科、ベニハシガラス属に分類される2種で、「赤いくちばしのカラス」=ベニハシガラス (Red-billed Chough)、「黄色いくちばしのカラス」=キバシガラス (Yellow-billed Chough) です。
Choughは「チャフ」と発音し夏は標高5,000m以上の高地で繁殖し、冬になると群れを成して谷に降りてきます。

 

ユーラシア大陸とアフリカ大陸の一部に分布し8亜種に分かれていますが、この北部パキスタンで見られるものはPyrrhocprax pyrrhocorax himalayanusでヒマラヤ山系から中国西部に生息し、体が大きく青紫の光沢の羽が特徴です。
ヨーロッパやアフリカでは標高2,000~3,000mほどで観察できますが、ヒマラヤ・カラコルムでは標高3,000~5,000mと高地でしか出会うチャンスがありません。

 

ベニハシガラスと出会った、冬のモルホン村付近の河原。冬の上部フンザは大変美しく、荒々しい岩肌に雪がつく景色はまさに芸術作品。

 

ベニハシガラスの観察中に河原で出会ったヤギ・羊を放牧へ連れて行く人々。上部フンザの7つの村では、夏の間はヤク、羊・ヤギのすべての家畜がクンジュラーブ峠付近の高地へ連れて行かれますが、冬の間は大人のヤクだけが高地に残り、この夏に生まれた子ヤク、ヤギ・羊は標高3,000mほどに位置する村で過ごし毎日放牧へと出かけます。

 

村人とヤギ・羊が通る道のそばに集まっていたベニハシガラス Red-billed Coughとキバシガラス Yellow-billed Chough。一般的にベニハシガラスの方が群れでいることが多く、キバシガラスの方が少ないです。

 

カラコルムハイウェイ沿いでスナジグミの実をついばむベニハシガラス。このスナジグミはユーラシア大陸で広く見られる落葉低木で、日本ではサジーとかシーバックソーンと呼ばれ一部で栽培されているそうです。

カラコルムではこの厳しい冬に実が食べられる、野鳥にとってとても大切な木です。

 

赤くゆるやかなカーブのくちばし。そして赤いのは嘴だけでなく足もです!

 

冬に上部フンザやスカルドゥ方面を訪れる際には、気をつけて観察しましょう。「ただのカラス」ではなく、赤いくちばしと黄色いくちばしのカラスに出会えます。

 

Photo & text : Mariko SAWADA

Observation : Dec 2020, Morkhon – Sost, Gilgit-Baltistan

Special Thanks : TOMO Akiyama

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パキスタンの e-VISA

パキスタンのVISAがオンラインで取得できるようになりました。
パキスタンのe-VISAの申請方法について、2019年10月に来られたお客様からレポートを頂きましたので申請方法と注意点をご紹介いたします。

 

必要なもの:パソコン、パスポート、クレジットカード、顔写真データ、ホテルの予約証明書
料金:8.18$(900円弱、2019年10月現在)
申請先:https://visa.nadra.gov.pk

まずは上記のサイトにパソコンからアクセスします。
※Google ChromeまたはFire fox以外のソフトではページが表示されません。

 

アクセスするとこの画面が出てきます。英語版が出たら「Visit Visa」を、日本語版が出た人は「ビザにアクセス」をクリックします。

 

次に「Tourist Visa」をクリックします。

 

「Apply Now」をクリックします。

 

まずは、アカウントを作る必要があります。
「CREATE A NEW ACCOUNT」をクリックします。

 

空白部分を全て埋め、チェックボックスにチェック。「SAVE AND CONTINUE」をクリックします。※パスワードは8文字以上で大文字、小文字、数字、記号を含む必要があります。

 


このような画面が表示されればOKです。
登録したメールアドレスに下記のようなのようなメールが来ます。

 


Continue Registration」をクリック。

 


メールで受け取った4桁のピンコードを打ち込みます。残りの空白を埋め、アカウントを有効化させます。「VERIFY」をクリック。

 


先ほど登録したメールアドレスとパスワードで再ログインします。

 


チェックを入れ「Accept and Continue」をクリック。

 

タブからJapanを選択します。「START E-VISA APPLICATION」をクリックしe-VISAの申請をスタートしましょう。後は流れに沿って赤い星マークを埋めて申請を進めましょう。

 

必要項目を全て入力した後、書類3点のアップロードが必要です。
1 パスポートコピー
2 顔写真
3 ホテルの予約証明書

(第三国に居住している場合は、その国のビザや就労証明書)

ファイルは350KBのものまでアップロード可能なのでサイズ調整のうえ、書類一点ずつアップロードします。

 

クレジットカードでの支払いまで終えれば申請は完了です。

 


申請から約10日後、上記のVisa承認のメールが届きました。メールのリンクからe-Visaをコピーし、必ず持っていきましょう。
※入国審査、ホテルやフライトのチェックイン時に提出を求められるのでパスポートと一緒に携帯しましょう。陸路で移動しているとチェックポストでも提示を求められます。

 

空港に到着すると、まずはe-Visaのカウンターに並び、上の画像のようにサインとハンコが押されます。その後、入国審査<Foreigner>の列に並びます。ワガ(印パ国境)など陸路の国境でもe-Visaは有効です。

 

パキスタンも個人旅行者がe-Visaを簡単に取得できるようになりました。これまで外国を旅行中の方や、海外在住の日本人はパキスタン査証の取得に苦労されていましたが、これで少しパキスタンが「近い国」になったのでないでしょうか。

 

<追記>2019年12月、西遊旅行のインド支店・西遊インディアのスタッフ(インドはEmployment Visa )がワガ国境よりe-visaで問題なく出入国できました。国境では空港のイミグレよりも質問項目の多い出入国書類の記入が必要です。

 

Text : Mariko SAWADA

※記事は2019年11月28日現在の情報をもとにしています。査証の取得を保証するものではありません。今後、e-VISA申請のサイト・取得条件などが変更されることがあります。必ず、最新の https://visa.nadra.gov.pk の情報をご確認ください。また、ご旅行出発まで日数に余裕をもって申請をなさってください。

※インド内で上記サイトが開かないと聞いています。インド在住・インド旅行中の方はご注意ください。

印パ国境越えとワガのフラッグセレモニーについてはこちら

 

カテゴリ:◇ パキスタン一般情報
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