ソルトレンジ Salt Range- ヒマラヤ岩塩を産出する塩の山脈

 

ヒマラヤ岩塩、ピンクソルトとして世界で流通している岩塩の多くがパキスタンの岩塩坑で産出されたものです。なかでも は有名で、観光客が中に入ってその採掘された後を見学したり、ピンク色の岩塩で作られた地下モスクを見学したりできる観光地にもなっています。

今回、パンジャーブウリアルという野生動物を探しにでかけたソルトレンジで、観光地ではない岩塩採掘所を見る機会がありました。

 

 

ソルトレンジ Salt Range はパキスタンのパンジャーブ州、ヒマラヤ山脈の南端に位置し、ポトハル高原 Pothohar Plateau の南からジェルム川  Jhelum River の北へと広がっています。

ヒマラヤ岩塩はこのソルトレンジにある褶曲衝上帯のエディアカラン期からカンブリア紀初期(6億年~5億4000万年前)に遡る厚い蒸発岩の層から産出されます。カンブリア紀から始新世にかけての堆積岩がより新しい時代の堆積岩の上に押され、浸食されソルトレンジSalt Rangeが現れました。

太古の海の化石がインド大陸とユーラシア大陸の衝突により地表に現れた、何とも壮大でロマンがある岩塩です。

 

 

ポトハル高原であちこちに見られる岩塩坑。

 

ソルトレンジの岩塩に関してもう一つロマンある話があります。この塩を発見したのはかのアレキサンダー大王の軍隊だという伝説です。紀元前326年、アレキサンダー大王のインド遠征の際に軍馬が地面をなめていたことから塩が発見されました。実際にアレキサンダー大王の軍とインド諸侯軍との対戦「ヒュダスペス河畔の戦い」はジェルム川河畔で、このソルトレンジを通過したことは間違いありません。

 

 

岩塩坑の入り口付近の地表は塩の結晶で覆われています。

 

 

トラックが採掘場へ入っていきます。トラックの運転手によると2キロ以上先で採掘がおこなわれおり、それを運び出してくると。

 

 

こちらは岩塩をのせて出てきたトラックです。相当の重量でしょう、オフロードの道をゆっくりゆっくり進んでいきます。

岩塩の採掘の歴史は、確認されるものは紀元後1200年ごろにはじまり、ムガール帝国時代には岩塩の交易も行われていました。イギリス植民地下の1872年にケウラ岩塩坑のメイントンネルが作られ本格的な採掘が始まりました。

 

 

岩塩坑のひとつに歩いて中に入ってみました。ソルトレンジの内部です。

 

 

これは岩塩ミル用に細かく砕いて商品化されたヒマラヤ岩塩。以前は「ミル」のようなおしゃれなものはなく、粉状か岩のブロックのまま販売されていましたが、最近はおしゃれなパッケージで岩塩ミルとセットで販売されたりしています。価格も安く、必ず使うものなので外国人観光客のお土産品としても人気です。

 

 

こちらは北部フンザでの伝統的なヒマラヤ岩塩の使用方法です。フンザ地方ではチャイに砂糖ではなく塩を入れます。熱いチャイをヒマラヤ岩塩のブロックでぐるぐるかき混ぜます。

 

 

パンジャーブ地方のソルトレンジからはるばるとカラコルム山脈の村まで運ばれ、今もチャイには欠かせない岩塩。

そういえば、漫画『ラーメン食いてぇ!』(2018年に映画化、キルギスで撮影されました)では、遊牧民の煮込み料理の隠し味としてこの岩塩が登場。作品の本当の舞台は新疆ウイグル自治区ですが、パミールを越えたヒマラヤ岩塩の味を大自然の中で堪能する描写が大変印象的でした。

 

Image & text : Mariko SAWADA

Visit  : Dec 2020, Potohar, Punjab

Reference : Wikipedia,

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蓮の上のレンカク Pheasant-tailed Jacana

「レンカクが蓮の上で巣を作ってる、行こう」と誘いがあり、訪問してみました。

 

場所はラホールの南西75キロにあるヘッド・バローキー Head Baloki というナーヴィー川 Navi River の流れる村。この村は川から引いた水路や池がありそこに水鳥たちが集まっていました。

 

ラーヴィー川はパンジャーブ地方を流れる5つの川の1つ。もともとこのパンジャーブと言う言葉もペルシャ語で ”Panj -ab =5つの水 “を指し、インダス川とその4本の支流が育む豊かな土地のことです。しかし、これらの川も1947年のインド・パキスタンの分離独立により川の水利権をめぐり紛争の原因となりました。ヒマーチャル・プラデーシュに水源を発するこのラーヴィー川も例外ではありません。

 

夏羽のレンカク(Pheasant-tailed Jacana) です。尾羽が長くなり、 頭とのど、翼が白く、体の羽毛は黒っぽい茶色です。そして首の後ろが黒い縁取りのある金色になります。

 

長い足の指とツメで、体重を分散して蓮の葉の上を歩きます。

 

雛をつれたレンカクです。ここに連れてきてくれた友人は「蓮の葉の上で巣をつくってる」といっていましたが、孵化したようです。そしてヒナのしっかりした足。レンカクの雛は、その水の上と言う厳しい環境から、孵化したらすぐに動けるのだそうです。

 

レンカクはオスが子育てをする”イクメン鳥”だそうで、これはお父さん。

 

お父さん、雛を守るために近づいてきたインドアカガシラサギに声を発して追い払います。

 

こちらは2羽のレンカクが羽を広げています。何のディスプレイだったのでしょう・・。

 

早朝のパンジャーブ、蓮の池で見た美しいレンカクたちの姿です。

 

Photo & Text : Mariko SAWADA

Observation : Aug 2017, Head Baloki, Punjab, Pakistan

Special Thanks : The late Mr. Zahoor Salmi(Photographer)

※この記事は2017年9月に掲載したブログ「蓮の上のレンカク」 https://www.saiyu.co.jp/blog/wildlife/?p=3943を加筆・修正したものです。

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古都ラホールのワジールハーンモスク Wazir Khan Mosque

ラホール旧市街にある17世紀に建築されたムガール帝国時代の遺産のひとつがワジールハーンモスク Wazir Khan Mosqueです。

シャー・ジャハン帝の時代に建設され、中庭のファサード、カシカリという複雑なファイアンスタイル装飾は当時のペルシャ建築様式が取り入れられました。モスク内部の礼拝の間はフレスコ画で埋めつくされています。

2009年よりパンジャブ州政府とアガ・ハーン文化基金による大規模な修復が行われ、ラホール観光のハイライトの1つにもなってきたモスクです。

 

古都ラホール ワジールハーンモスク Wazir Khan Mosque LAHORE

 

Videograhy : Mariko SAWADA

Visit : Feb 2020 , Lahore, Punjab

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ラホール旧市街ウォーク

ラホール旧市街ウォーク Lahore Walled City Bazaar

 

スイスとメキシコから来た友人がラホール旧市街を散策している様子です。

“Walled city of Lahore”  と呼ばれるラホール旧市街は1000年程前に泥レンガの城壁と門で囲まれた要塞の町として発達し、ムガール帝国時代には都として栄えました。

現在は城壁などは一部が残るだけになりましたが、2012年以降、ノルウェーやアメリカ政府の協力を受け旧市街を観光地として発達させるべく整備が行われています。デリー門からワジールハーンモスクにかけては観光客が情緒たっぷりの「旧市街ウォーク」を楽しめるようになりました!

 

Video & text : Mariko SAWADA

Visit : Mar 2020, Lahore, Punjab

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(動画) 夜のラホール城へ – Lahore, History by Night

週末のラホール城 Lahore Fort で行われる、History by Night。

 

パキスタンの一般向けでウルドゥ語での開催ですが、ライトアップされたラホール城の至宝、シシュマハル Sheesh Mahal に入るにはこの手しかありません。

 

Video & text : Mariko SAWADA

Visit : Mar 2019, Lahore, Punjab

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パキスタン鉄道でインダス川を渡る!

パキスタン鉄道・インダス川を渡る Pakitan Railway Crossing the Indus, Attock

 

パキスタンの鉄道はインドと比べると発達はしていませんが、逆に言うとイギリスが植民地時代に作った鉄道のシステム、駅の建物などがよく残されています。

 

特にアトック付近では、この鉄道がインダス川を渡るのです!

イギリス領インド帝国時代の鉄橋、駅だけでなく、車窓からはムガール帝国時代の要塞アトック城も望む、ヘリテージ・トリップです!

 

Video & text : Mariko SAWADA

(Video is from a trip in  Feb 2020)

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(ドローン動画)タキシラのシルカップ都市遺跡

タキシラの都市遺跡シルカップの空撮です。
方格設計( Grid plan)という、道を碁盤の目状に配置した都市プランで、空撮によりその全貌を見ることができました!

 

シルカップ遺跡についてはこちら

 

空撮 タキシラ・シルカップ Drone footage Sirkap, Taxila

 

 

Video & text : Mariko SAWADA

(Video is from a trip in Feb 2020)

Location : Sirkap, Taxila, Punjab

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(ドローン動画)ダルマラージカ仏塔、タキシラ

ドローン撮影も含む、ダルマラージカー・ストゥーパの動画です。

紀元前3世紀、マウリヤ朝のアショーカ王がガンダーラ地方で作ったストゥーパ(仏塔)が2基のうちのひとつ。空から見ると円形基壇の巨大ストゥーパとそれを囲む祠堂の様子がよくわかります。

 

>ダルマラージカの遺跡についてはこちら

 

空撮 タキシラ・ダルマラージカ仏塔 Drone footage Dharmarajika Stupa, Taxila

Video & text : Mariko SAWADA

(Video is from a trip in Feb 2020)

Location : Dharmarajika, Taxila, Punjab

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ラホール博物館 Lahore Museum

始まりは1865年という歴史を持つラホール博物館。1894年に現在の位置で開館し、その建物自体の建築も展示方法も間違いなくパキスタン一の博物館です。

 

この博物館が建築されたのはイギリス領インド帝国時代。ヴィクトリア朝のゴシック・リヴァイヴァル建築とインドの伝統的建築の要素を持つ「インド・サラセン様式」の建物で、ラホール出身の建築家ガンガ・ラムによる作品です。

「インド・サラセン様式」の体表的な建物と言えばインドのムンバイにあるチャトラパティ・シヴァージー・ターミナス駅(旧ヴィクトリア駅)がありますが、パキスタン国内の古い町でも同様の建物をみることができます。

 

イギリス領インド帝国時代の1875 – 1893年には「ジャングルブック」で知られる作家ラドヤード・キップリングの父がラホール博物館の館長を務め、その後のキップリングの作品「少年キム」には当時のラホールが描かれています。

 

ラホール博物館のエントランスです。スワート渓谷の木彫ドアの展示から始まります。

この博物館はパキスタンの歴史ごとにギャラリーが設けられ、インダス文明(閉鎖中のこともあります)、ガンダーラ美術、ムガル帝国時代、英国領インド時代など多岐にわたる展示があるのが特徴です。

 

この博物館が、いやパキスタンが世界に誇る名宝がこれ、「仏陀苦行像」「 断食する仏陀像」「Fasting Buddha」。シクリ(カイバル・パクトゥンクワ州)の伽藍跡から出土した2~3世紀ごろの作品です。

 

”シッダールタは出家後、各地を遍歴して道を求めたが、最後には山林にこもって6年間の苦行を行った。彼の身はやせ衰えてしまったが、どうしても悟りを開くことができなかった”(引用:「ガンダーラの美神と仏たち」樋口隆康著)

 

落ち窪んだ眼、血管や助骨まですけて見える体。厳しい修行をやりぬいた神々しいまでの精神力を表現し、この苦行像はガンダーラ美術の神髄とも言われています。

「仏陀苦行像」はラホール博物館以外ではペシャワール博物館にも展示があります。

 

「仏陀苦行像」のそばに展示されている、同じシクリの遺跡から出土した石造のストゥーパ。

 

これはハーリーティー、鬼子母神の彫像です。これもシクリ出土のもの。

 

人の子をさらう人食い鬼だったハーリーティー。釈迦により子供を奪われて苦しむ親の気持ちを知り、我が子も他人の子も愛すようになり「子供の守護神」となりました。また、ハーリーティーは500人とも1,000人とも言う多産だったため「安産の守護神」ともされ、「多産」のシンボルでもある柘榴(ざくろ)の花を髪につけています。

 

このハーリーティー、ギリシャの女神のようですよね、ギリシャの運命の女神テュケーなのです。ギリシャの神々がガンダーラの仏教美術に現れた東西文明の融合を見る作品です。

 

そしてこちらはインドギャラリー。ツアーで訪問すると、ガンダーラギャラリーでほぼ時間を使い(忙しい時は「仏陀苦行像」を中心)、他のギャラリーはあまりゆっくり見る時間がないのですが、ムガル帝国時代のミニアチュール等、みどころいっぱいの博物館です。

 

Photo & text : Mariko SAWADA

(Photos are from a trip in Oct 2019 – Feb 2020)

Location : Lahore Museum, Lahore, Punjab

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タキシラ博物館 Taxila Museum

タキシラ一帯の遺跡からの出土品が展示されているのがタキシラ博物館 Taxila Museum。パキスタンがイギリス領インド帝国の時代に建てられ、1928年に開館した大変古い博物館です。

 

館内には遺跡から運ばれてきた化粧漆喰(ストゥッコ)によるガンダーラ仏、奉献ストゥーパの台座、かつてはストゥーパの基壇を飾っていたであろう片岩に彫刻された仏伝図などが展示されています。

 

これはモーラモラドゥにある奉献ストゥーパのレプリカです。この7層の傘蓋を持つ小型ストゥーパ、実物は遺跡の僧院区の僧房に残されています。

 

これはインドのサンチー仏塔の頂部にあるものと非常に似ています。四角い「平頭」があり、その上に「傘蓋」。その周りを木柵を石に置き換えた「欄楯」が囲んでいます。

 

展示品のストゥーパ一部には装飾を飾った石が見られます。

 

奉献ストゥーパの台座です。仏陀像、各パネルの間にはギリシャ様式の柱、そして台座を支えるアトラス神の姿が。

 

東西文化の融合を象徴する展示品もたくさんあります。これは花綱模様。波状に展開する花綱を若い青年がかかえているモティーフで、ギリシャ・ローマを起源としますがガンダーラでも大いに流行りました。

 

花綱の上がったところをキューピッドが背負い、下がった所には葡萄の房やリボンが装飾されています。

 

そしてこれは仏陀像のわきに立つ、明らかに異国の人。ジョウリアン遺跡を飾っていた見事なストゥッコ像で、解説には「おそらく奉献者とその妻」と。帽子の形からサカ族でしょうか。

 

そしてもっと異国情緒あふれるこのボデイ、ガンダーラに現れたギリシャの愛の女神アフロディーテーです。

 

Photo & Text : Mariko SAWADA

(Photos are from a trip in Feb2020)

Location :  Taxila Museum, Taxila, Punjab

参考図書:パキスタンのガンダーラ遺跡と博物館を訪問する方にお勧めの一冊!「ガンダーラ美術の見方」監修:奈良康明監修、著:山田樹人著、写真:高倉一太(里文出版)、「ガンダーラの美神と仏たち、その源流と本質」著:樋口隆康(NHKブックス)

カテゴリ:タキシラ > ガンダーラ遺跡 > ■パンジャーブ州 > ◇ パキスタンの遺跡・世界遺産 > ◇ パキスタンの博物館
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