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奥上高地自然探勝ハイキングの魅力 ~上高地で過ごす3日間

本日も私がおすすめしたい場所をご紹介します。第2弾は「上高地」です。

 

■関連ツアー
花咲く北飛騨の森から上高地へ 2つのフラワーハイキング

 

23歳より添乗員を始め、もう何年が経つでしょうか。国内添乗員だった頃から遡ると、添乗へ出向いた先で最も多く訪れている場所の1つが上高地です。それと合わせて、プライベートでも数えきれないくらい訪れている場所でもあり、穂高連峰の裾野に広がる日本屈指の景勝地・上高地は、何度訪れても飽きることなく、毎回魅了される風景が広がります。
その素晴らしい上高地を訪れるツアーを造成するにあたり、他とは違った方法で案内することができないか、過去に訪れたことがある方も満喫できる方法がないか、のんびりと歩き上高地を深く知る方法はないか・・・。
色々と考えた結果、思い切って上高地で2泊するプランを造成するに至りました。

 

上高地は、長野県の北アルプス南部の梓川上流部に位置し、長野県・岐阜県・富山県・新潟県の4県に跨る中部山岳国立公園の一部(上高地は全域が長野県松本市)であり、国の文化財(特別名勝・特別天然記念物)に指定されています。
季節を問わない景勝地として名高く、火山活動、氷河時代やその後の浸食作用など、途方もない時を経て形成された上高地は、今なお私たちを魅了し続けています。

 

1.大正池エリア
河童橋から約4km。梓川の下流部に位置する大正池は、上高地散策のスタート地点でもあります。梓川沿いに聳えるトロイデ型の活火山・焼岳の風景を楽しんだ後、河童橋を目指します。

 

2.田代池エリア
大正池と共に大正時代の焼岳大噴火の影響で梓川の支流である千丈沢を堰き止めてできた田代池は、正面に聳える霞沢岳などの砂礫層を経由した伏流水によって養われた池です。枯れた水草や周囲から流れ込む土砂などが堆積し、長い年月をかけて湿原化された田代湿原から望む穂高連峰の風景もオススメのポイントです。

 

3.河童橋エリア
言わずと知れた上高地のシンボル・河童橋。河童橋周辺から眺める穂高連峰は圧巻の風景です。上高地の夜は静けさと暗闇に包まれます。夜の凛とした空気の中に広がる煌めく星空の風景は上高地で滞在した方だけの贅沢なひとときを味わう事ができます。もちろん、夜明けを迎え、朝焼けに染まる穂高連峰の風景も見逃すことのできない風景です。

 

4.明神エリア
河童橋から約4km上流に位置する明神エリア。立つ稲穂のように鋭く「穂高明神の為の山」という意味を持つ明神岳の風景とともに、穂高見神(ほたかみのかみ)を祀る穂高神社奥宮、針葉樹林に囲まれた穂高神社奥宮の境内に梓川の古い流路に明神岳からの湧水が溜まってできた明神池をご覧いただけます。

 

5.徳沢エリア
河童橋から約7km、梓川の上流部に位置する徳沢エリア。かつては「徳沢牧場」と呼ばれていて、残雪の山々を背景にした放牧風景は古き良き時代の牧歌的な光景として登山者に親しまれていたそうです。上高地の中でも訪れる観光客が少ないため、静寂に包まれた奥上高地の雰囲気を堪能できます。5月はニリンソウが咲く季節です。

 

ツアーでは、3日間に渡り上高地を堪能するプランを設けております。

 

1日目:大正池~河童橋~バスターミナル(約4.5km)
のんびりと上高地の風景をお楽しみいただきます(自由散策)。
河童橋から徒歩2分の「西糸屋山荘」に宿泊。夕食後は、河童橋へ出向いて星空の風景を楽しみます。

 

2日目:奥上高地自然探勝ハイキング(河童橋~明神池~徳沢)
夜明けから朝焼けに染まる穂高連峰の風景を堪能した後、専門ガイドと共に「奥上高地自然探勝ハイキング」(約7km)を楽しみます。
上高地の奥座敷・徳沢では、井上靖の長編小説『氷壁』の舞台となった「徳澤園」に宿泊。
※午後は、横尾エリアを目指すこともでき、上高地を端(大正池)から端(横尾)まで完全踏破することも。

 

3日目:自由に河童橋へ自由散策
明神エリアからは梓川右岸を歩き、岳沢湿原もゆっくり見学(自由散策)。
河童橋周辺のカフェで優雅にコーヒーとレアチーズケーキと共にのんびりと過ごし、上高地を出発。

 

7月にご一緒した奥上高地自然探勝ハイキングは非常に興味深いものでした。
専門ガイドが各所で上高地の自然・植生・地勢など幅広く解説してくれ、何より上高地への愛情がこちらへも伝わってくる素晴らしいガイド案内でした。
初めて上高地を訪れる方はもちろん、何度も上高地を訪れたことがある方にもオススメのプランです。
弊社ツアー「花咲く北飛騨の森から上高地へ 2つのフラワーハイキング」は、残雪が残る穂高連峰の風景が楽しめるゴールデンウィークニリンソウが咲く季節の5月にそれぞれ設定しておりますので、是非ご検討ください。

 

<5月に観察できる花>

<7月に観察できる花>

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キバナノヤマオダマキ(黄花の山苧環:Aquilegia buergeriana var. buergeriana f. flavescens)

先日、オオヤマオダマキ(大山苧環)をご紹介しましたが、本日はヤマオダマキの黄花種である「キバナノヤマオダマキ(黄花の山苧環)」をご紹介ます。
6月「花の尾瀬フラワートレッキング」で宿泊した草津温泉のホテル敷地の森、さらに7月「花咲く千畳敷カール・乗鞍・上高地を歩く」では駒ケ岳ロープウェイの山麓・しらび平駅周辺や奥上高地自然探勝ハイキング時(明神エリア周辺)に観察することができました。

 

草津で観察したキバナノヤマオダマキ(黄花の山苧環)

 

被子植物 双子葉類
学名:Aquilegia buergeriana var. buergeriana f. flavescens
科名:キンポウゲ科(Ranunculaceae)
属名:オダマキ属(Aquilegia)

 

キバナノヤマオダマキ(黄花の山苧環)は、ヤマオダマキ(Aquilegia buergeriana var. buergeriana)の黄花種です。キバナノヤマオダマキとヤマオダマキは花の色以外、基本的な部分は同じです。

 

草丈は30~60cmで直立し、上部でいくつかに枝分かれし、直径3~4cmの花を下向きに咲かせます。
葉は、根生葉が2回3出複葉(葉柄から三つの小葉を出し、その小葉がさらに3つの小葉に分かれるもの)、小葉は2~4cmの扇形で2~3裂します。

 

花期は6~8月。枝分かれしたそれぞれの茎の先端部に直径3~4cmほどの花を下向きに付けます。
形状は前回ご紹介したオオヤマオダマキ(大山苧環)と同じですが、キバナノヤマオダマキも花弁状の萼片(横に広がる5枚の萼片)、中央部の花弁(長さ1~1.5㎝、花弁も5枚)に分かれ、花弁状の萼片はやや白に近い淡黄色、花弁の方が若干濃い黄色という印象です。

 

先日、ヤマオダマキとオオヤマオダマキの違いをご紹介しましたが、少し追記です。
・オオヤマオダマキ(大山苧環)
→萼と距が赤茶色、花弁は淡黄色、距の先端が下向きのもの
・キバナノオオヤマオダマキ(黄花の大山苧環)

→オオヤマオダマキの黄花種。
 萼、距、花弁ともに淡黄色、萼の先端が下向きのもの

 

・ヤマオダマキ(山苧環)
→萼と距が赤茶色、花弁は淡黄色、距の先端が真っすぐのもの
・キバナノヤマオダマキ(黄花の山苧環

→ヤマオダマキの黄花種
 萼、距、花弁ともに淡黄色、萼の先端が真っすぐのもの

 

写真をご覧いただくと、「距」(花の後ろに突き出した中空の角状のもの、花弁や萼が変化したもの)が真っすぐに伸びているので、「ヤマオダマキの黄色種」であることが判ります。
また、上写真の距のあたりをご覧いただくと、少し赤味の残る部分が確認できます。中にはもう少し濃く残る個体もありますが、ヤマオダマキやオオヤマオダマキの萼片(赤茶色)の色合いに比べると明らかに濃淡の差がありますので、見分けるにあたり、ややこしい点ではありません。

 

苧環という和名は、距が伸びた花の様子が苧(カラムシ)や麻(アサ)などの繊維を巻いた管に似ていることが名の由来です。

 

前回に続き、ヤマオダマキの仲間をご紹介しましたが「ヤマオダマキ(山苧環)」「オオヤマオダマキ(大山苧環)」「キバナノヤマオダマキ(黄花の山苧環)」「キバナノヤマオダマキ(黄花の大山苧環)」など、見分け方は難しくはないので、次回しっかりと観察してみてください。
因みに「ミヤマオダマキ(深山苧環)」は・・・また機会(撮影ができれば)があればご紹介します。

 

上高地で観察したキバナノヤマオダマキ(黄花の山苧環)
オオヤマオダマキ(山苧環:Aquilegia buergeriana var. oxysepala)

 

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