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フッキソウ(富貴草:Pachysandra terminalis)

今回のブログが公開される頃、私は「花の尾瀬フラワートレッキングとチャツボミゴケの群生地を歩く」へ同行し、お客様とともに尾瀬に咲く高山植物を楽しんでいる頃です。どんな花が観察できたか、後日報告させていただきますので、お楽しみに。

 

本日は「フッキソウ(富貴草:Pachysandra terminalis)」をご紹介します。

 

フッキソウ(富貴草:Pachysandra terminalis)

 

被子植物 双子葉類
学名:Pachysandra terminalis
英名:Japanese spurge
科名:ツゲ科(Buxaceae)
属名:フッキソウ属(Pachysandra)

 

5月に信州へ訪れる前、色々と調べている際に観察できる花の1つとして「フッキソウ(富貴草)」が紹介されていました。その時は「フッキソウ(富貴草)」という花のことは知りませんでした。
実際、信州へ訪れると白馬村の姫川源流自然探勝園では雨水に濡れたフッキソウを、飯綱町では土手下に群生するフッキソウなど、その他鬼無里や戸隠などでも観察することができ、非常に印象深い花の1つとなりました。

 

フッキソウ(富貴草)は、ツゲ科フッキソウ属の常緑小低木で、常緑の葉が生い茂る様子が「繁栄」と表すとされ「富貴草」と名付けられたのが由来とのことです。
日本の北海道から九州に、海外では東アジアに分布し、低地から山地の林内などに自生します。
草丈は20~30㎝の低木で、茎の上部は地面を這い、上部は斜上し立ち上がります。
葉はほんの少し厚みと硬さを感じ、やや光沢のある革質。葉柄を持ち、長さ3~5㎝ほどで倒卵形、先端部にほんの少し鋸歯が確認できます。写真をご覧いただくと多数の葉が輪生しているように見えますが、葉の付き方は互生。ある資料には「葉がらせん状につく」とあり、その表現はぴったりかもしれません。

 

花期3~5月。茎頂に長さ3~5㎝穂状花序をつけ、上部に雄花、基部に雌花を咲かせます。
フッキソウ(富貴草)は、雄花・雌花とも花弁はありません。
雄花には3~4本の白く太めの雄しべが伸び、雄しべの先端がピンク~茶褐色の葯が確認できます。写真で確認できる大半の部分が雄花です。
雌花は、基部につきますが、花柱の先端が2裂しているのが特徴です。下の写真が唯一雌花が映りこんでいた写真です。

 

信州では、ニリンソウやカタクリ、リュウキンカなどの観察がメインとなり、フッキソウは目立たず、少し地味に感じる花でしたが、何度も観察しているうちに見分けもつくようになり、次第に可憐な花に感じ始めた、印象深くも不思議な魅力をもつ花でした。

 

フッキソウ(富貴草)の雌花、どこにあるか判りますか?

 

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シロバナエンレイソウ(白花延齢草:Trillium tschonoskii)

我が家の周辺や通勤路などで様々な色合い、品種のアジサイが目に留まるようになりました。ぼんぼりのように咲くアジサイを見ると、通勤中でも思わず足を止めてしまい「会社を休み、弁当でも食べながらアジサイ観察を楽しもうかな~」という気持ちが芽生えてしまいます。

 

前回はエンレイソウ(延齢草:Trillium smallii)をご紹介しましたが、本日は「シロバナエンレイソウ(白花延齢草:Trillium tschonoskii)」をご紹介します。

 

シロバナエンレイソウ(白花延齢草:Trillium tschonoskii)

 

被子植物 単子葉類
学名:Trillium tschonoskii
別名:ミヤマエンレイソウ(深山延齢草)
科名:シュロソウ科(Melanthiaceae)
属名:エンレイソウ属(Trillium)

 

シロバナエンレイソウ(白花延齢草)は、その名のとおり「白い花を咲かせる延齢草」です。
日本では、北海道、本州、四国、九州に分布し、低地から山地帯の林床に自生する多年草です。海外では、東アジアやサハリンに分布します。

 

草丈は20~40㎝となり、エンレイソウ(延齢草)とほぼ同じで、太めの茎で直立します。葉は茎頂で3枚輪生し、菱状卵形で長さが5~15㎝、先が尖り、基部が広いくさび型の形状をしています。

 

ここまでは前回紹介したエンレイソウと似ていますが、花の形状、色合いに若干の違いあります。
エンレイソウは、花弁(内花被片)はなく、花弁のように見えるのは全て萼(外花被片)ですが、シロバナエンレイソウ(白花延齢草)は異なります。

 

花期は4~5月。シロバナエンレイソウ(白花延齢草)は、3枚の白い部分は花弁(内花被片)、緑色の部分が萼(外花被片)です。外花被片(萼)はエンレイソウ(延齢草)より長く、2~2.5㎝、内花被片・外花被片とも先が尖った形状です。
雄しべは6本で、葯は花糸とほぼ同じ長さ、クリーム色で先は尖った形状です。花柱は花の中央に球形の子房の上で基部から短く3裂しており、上の写真をご覧いただくと、葯や3裂した花柱などが確認できます。

 

花は葉の中央から花柄を伸ばし、花柄の頂に花を1つ咲かせますが、エンレイソウ(延齢草)に比べて花柄が短い印象です。

 

先月、長野県飯綱町の「むれ水芭蕉園」で水芭蕉やリュウキンカの群落を歓声を挙げながら観察していると、木道脇に数輪のシロバナエンレイソウを見つけ、観察を楽しみました。同ツアーで褐紫色のエンレイソウを幾度か観察したあとだったため、淡い白色のシロバナエンレイソウを見つけた際にはさらなる歓声が挙がり、お客様と共に順番に観察・撮影を楽しむことができました。

 

花被片が褐紫色のエンレイソウ(延齢草)
白い内花被片が印象的なシロバナエンレイソウ(白花延齢草)

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