144

ハクサンイチゲ(白山一花:Anemone narcissiflora)

本日は、「ハクサンイチゲ(白山一花:Anemone narcissiflora)」をご紹介します。高山植物と調べると、よくハクサンイチゲが群生する写真が掲載されていたり、様々な資料で「高山植物の代表種」として紹介される花の1つです。

 

ハクサンイチゲ(白山一花:Anemone narcissiflora)

 

被子植物 双子葉類
学名:Anemone narcissiflora
科名:キンポウゲ科(Ranunculaceae)
属名:イチリンソウ属(Anemone)

 

ハクサンイチゲ(白山一花)は、本州の中部以北から東北地方に分布し、亜高山帯から高山帯の湿った草地に自生する日本固有のキンポウゲ科イチリンソウ属の多年草です。
7月の「花咲く千畳敷カール・乗鞍・上高地を歩く」に同行させていただいた際、中央アルプスの宝剣岳の麓にある千畳敷カール、北アルプスの乗鞍岳の麓にある乗鞍・畳平にて観察することができました。

 

草丈は15~60㎝で直立し、葉は無柄で4枚の葉が輪生し、それぞれが手のひら状に2~3回深裂し、裂片の先が尖っているのが特徴です。ハクサンイチゲは、茎、葉柄、葉、花柄に粗い毛が確認できます。

 

花期は6~8月。花茎の先端は数本に分かれて各々に1つずつ、2~5個の花を散形状に、直径2~2.5cmほどの花を咲かせます。
「イチゲ」とは、通常は1株に1つの花をつける花のことですが、ハクサンイチゲなどイチリンソウ属の植物に多く付けられる名前のため、花が一輪でなくてもイチゲの名前が付いています。

 

真っ白な花弁が印象的・・・と言いたいところですが、ハクサンイチゲには花弁はありません。
花弁に見える真っ白の部分は花弁ではなく「萼片」で、少し先端が尖った形状の萼片は5~7枚付けます。花の中央部には黄色の雄しべ、緑色の雄しべが密集します。

 

近縁種や変種として、エゾノハクサンイチゲ(蝦夷の白山一花:北海道から東北地方北部の高山帯に分布し、葉の幅が広く先端が尖らない)やシコクイチゲ(四国一花:四国山地の岩場(石鎚山など)に分布し、複散形に咲く)があります。
また、日本第二の高峰・北岳にしか咲かないキタダケソウに似ていると紹介されることもあり、キタダケソウは花弁の先端が尖らず、窪んでいる点が違いです。
また、私も知りませんでしたが、萼片が緑色に変わった「ミドリハクサンイチゲ( f. viridis )」と呼ばれるものもあるそうです。是非一度観察してみたいものです。

 

ハクサンイチゲをはじめ、「ハクサン」という名のつく花が多いですが、ご存知の方も多いと思いますが、石川県の白山のことです。
色々と調べていると、興味深い資料があったのでご紹介します。
日本の植物研究は古くからあったようですが、西欧文化を受け入れ、植物学として発展したのが明治時代。その後、高山が研究対象となり、登山道があり山の案内人のいる山で調査が始まったそうです。白山は江戸時代から山岳信仰として登られてきた歴史があるため、当時の植物研究家は白山で多くの植物を発見し、植物に白山の山の名を付けたことが理由とのことです。
その後、日本中の高山が登られるようになり、白山以外でも同じ高山植物が発見されましたが、一度つけた名前は簡単には変えられず、ハクサンという名のつく花が多く残っているとのことです。
因みに「ゴゼン」という名の付く花も多いですが、白山の御前峰のことです。

 

ハクサンイチゲは、その色合い、花の美しさから群生すると見事な花畑の風景となります。群生したハクサンイチゲをのんびり眺めるだけでも幸せな気持ちになります。

 

ハクサンイチゲ(白山一花:Anemone narcissiflora)

 

<おすすめ!! 紅葉シーズンに自然を楽しむツアー>
※10月18日出発:まもなく催行!
※一番のオススメです!!

「清流の国」岐阜から上高地へ 4つの自然探勝ハイキング
“岐阜の宝もの”小坂の滝、天生県立自然公園、五色ヶ原の森と名勝・上高地を専門ガイドと歩く5日間。

 

※10月18日出発:まもなく催行!
北信濃の小菅神社・戸隠神社五社参拝と鬼無里フットパスを巡る
専門ガイドと共に寺社仏閣を巡り、由緒を知り、御朱印をいただく旅。また、自然美溢れる鬼無里でもガイドウォークを楽しむ5日間。

 

※9月19日出発:催行決定!
日本で最も早い紅葉を観る!大雪山山麓一周と能取湖のサンゴ草
黒岳、旭岳、十勝岳、三国峠など大雪山山系の原生林と紅葉の名所を巡る5日間。
※エゾオヤマリンドウに出会えるかもしれません。

 

※10月5日出発:催行決定!
秋の千畳敷カール・乗鞍・上高地を撮る
傑出した山岳景観を誇る中央アルプスから中部山岳国立公園を巡る4日間。撮影目的でなくても、自然、風景を満喫できます。

 

※10月9日出発:まもなく催行!
秋色に染まる尾瀬・奥日光・谷川連峰を撮る
美しい紅葉や山岳風景の撮影をご堪能いただく日程。尾瀬は2泊3日でゆっくりと巡り、秋色に染まる尾瀬を堪能いただけます。