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プルプレア・リンドウ(Gentiana Purrurea)

海外出張のため、しばらくお休みさせていただいておりました「世界の花だより」を本日より再開させていただきます。

皆様は「リンドウの花」と言えば、何色の花を想像されるでしょうか。

通常は、世界の花だよりのブログでもご紹介した「チャボリンドウ(Gentiana acaulis)」のような濃い青色~青紫の色合いをイメージされる方が大半かと思います。
日本では、北海道や尾瀬(以前、私がこの2ヶ所で観察した思い出があります)で見られるようなトウヤクリンドウは他のリンドウ科の花とは違った黄白色の色合いの花を楽しめるリンドウですが、その色合いに負けない驚きを見せてくれるのが、本日ご紹介する「プルプレア・リンドウ(Gentiana Purrurea)」です。

プルプレア・リンドウ(Gentiana Purrurea)

被子植物 双子葉類   時期:7~8月
学名:Gentiana Purrurea  英名:Purple Gentian
和名:英名からムラサキリンドウと紹介されていることも
科名:リンドウ科(Gentianaceae) 属名:リンドウ属(Gentiana)

 

プルプレア・リンドウ(Gentiana Purrurea)は、ヨーロッパ・アルプスの草原や牧草地に生息し、草丈は20~60cm、茎頂には2~5つほどの花をつけ、花の長さは3~4cmとなります。
このプルプレア・リンドウを現場で紹介すると、最初はリンドウと信じてもらえない時もあります。それは葉の形状が明らかに他のリンドウと異なるからかもしれません。5~6cmほどの長さの葉が四方に伸びる形状は、確かに他のリンドウとは大きく異なります。

 

この花は、マルハナバチ(丸花蜂)が好むバラのような香りを放ち、マルハナバチ(丸花蜂)は花から花へ飛び回り、受粉を引き受けてくれます。

 

ヨーロッパのレストランなどにあるお酒の1つに「シュナップス(蒸留酒)」というものがあります。本来は、アプリコットや洋ナシなどのフルーツで作られるのですが、リンドウの根を使用して作られるものもあり、最高級のリンドウ・シュナップスは、このプルプレア・リンドウの根を使用して作られています。
リンドウ・シュナップスはお酒として美味しいだけでなく、地方によっては病気(特に胃の病気)に効くと言われています。
虫もこの花を好み、雅の毛虫が堅い根を好んで食べると言われています。

 

「花はほとんど開かない」「雪解けの時期に咲くリンドウのため、自身の保護のため花は開かない」と紹介されることもありますが、もちろん花は開きます。
チャボリンドウや、日本のトウヤクリンドウのように黒い斑点が特徴的で、花の内部がほのかに黄色く、とても印象的な色合いです。
なかなか開花したプルプレア・リンドウに出会うのは難しいかもしれませんが、是非観察できたときには全体の姿と合わせて、ほのかに黄色い内部にも注目をしてみてください。

開花したプルプレア・リンドウ

 

<プルプレア・リンドウに出会えるツアー>
アルプス三大名峰展望 花のアオスタ山麓ハイキング(イタリア)
花のドロミテハイキング(イタリア)
ドロミテ周遊トレッキング(イタリア)
花のモンブラン山麓ハイキング(フランス、イタリア)
ツール・ド・モンブラン Tour du Mont Blanc(フランス、イタリア、スイス)

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チャボリンドウ(Gentiana acaulis)

本日は、アルプス三大名花の1つ「チャボリンドウ(Gentiana acaulis)」をご紹介します。

先日よりご紹介しておりますアルペンローゼ、エーデルワイス、そして今回のリンドウが「アルプス三大名花」と言われている花です。

被子植物 双子葉類  時期:58
学名:チャボリンドウ(Gentiana acaulis)
科名 : リンドウ科(Gentianaceae) 属名 : リンドウ属(Gentiana)

 

ヨーロッパ・アルプスを訪れると、地面からトランペット状の大きな花がご覧いただけます。今回ご紹介するチャボリンドウは茎がほとんど無いうえ、花の長さが45㎝と非常に大きいことから、比較的簡単に見つけていただくことのできる花です。
同じようにトランペット状に花を咲かせるリンドウは、ヨーロッパ・アルプスには今回ご紹介するチャボリンドウ(Gentiana acaulis)、英名でトランペット・リンドウと称されるクルシイ・リンドウ(Gentiana clusii)、花の長さが他より3㎝程度と少し小さいアルピナ・リンドウ(Gentiana alpina)の3種類あり、3種とも非常似た姿をしており、見分けるのは非常に難しいです。

 

見分けるポイントの1つが「葉」の違いです。違いは以下のとおりです。
1.チャボリンドウの葉は長楕円形、葉が柔らかく、葉の長さはそれほど変化はありません。
2.クルシイ・リンドウの葉は長楕円形、葉は硬く、地面に近い方の葉が長く伸びます。
3.アルピナ・リンドウの葉は花茎のすぐ下に短い楕円形の葉を持ちます。

 

また、「花の内側」にも見分けるポイントがあります。
1.チャボリンドウは花の内側にオリーブ色の筋があり、盛り上がった黒っぽい斑点があります。
2.クルシイ・リンドウにも黒っぽい斑点がありますが、小さくあまり目立ちません。

チャボリンドウとクルシイ・リンドウは、正直2つ並べられても見分けるのは難しいかもしれません・・・。

 

上記の3種以外にも、群青色や紫色の様々なリンドウが咲きそろっており、大半のリンドウが58月と長い期間で観察ができるため、1回のハイキングで様々なリンドウが観察できますので、皆様のお好みのリンドウを探していただくのも、ヨーロッパ・アルプスでのフラワーハイキングの楽しみの1つです。

 

<アルペンローゼに出会えるツアー>
アルプス三大名峰展望 花のアオスタ山麓ハイキング(イタリア)
花のドロミテハイキング(イタリア)
ドロミテ周遊トレッキング(イタリア)
花のモンブラン山麓ハイキング(フランス、イタリア)
ツール・ド・モンブラン Tour du Mont Blanc(フランス、イタリア、スイス)
究極のマッターホルン展望トレッキング(スイス)